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更新日:2025年4月1日
中山間地域とは、「平地の周辺部から山間地までの、まとまった平坦な耕地の少ない地域」をいいます。一般的に、地形は平野から山に向かって、平地→中間地→山間地と変化していきます。この中間地と山間地を合わせた地域が中山間地域と呼ばれています。
浜松市の中山間地域は、市全体の面積(1,558.11㎢)の65.6%にあたる1,022.81㎢を占め、豊かな自然環境、多様な生態系や歴史・文化を有する地域です。
地場産業である農業では、お茶やそばなど様々な農産物が生産されています。特にお茶は、日照時間が短く寒暖差のある中山間地域の地形で栽培されることで、爽やかな香りに加え、うまみと渋みを持つ茶葉として知られています。
林業では、スギやヒノキが植林されており、「天竜美林」と呼ばれる景観が楽しめる場所として知られています。この地域は、美しい景観の提供だけでなく、優良な木材を供給しています。
文化面でも、中山間地域には地域ごとに異なる個性がいかされた民俗芸能や伝統文化が受け継がれています。これらの文化は、地域のアイデンティティや魅力の一部となっています。
中山間地域の森林面積は923.99㎢で、浜松市の森林面積(1,023.85㎢)の約9割を占めています。「森林」は土砂災害を防ぐ機能のほか、大気中の二酸化炭素を吸収して地球温暖化の進行を緩和する機能に加え、水源を涵養する機能を有しています。
中山間地域の山や森によって育まれた「水」は、都市部の隅々まで行き渡ります。秋葉ダムから取水した水は三方原用水を通り大原浄水場を経由し、また、船明ダムから取水した水は都田、於呂、寺谷の各浄水場(静岡県企業局)を経由して飲料水として市民へ供給されています。加えて、両ダムから取水した水は、農業用水や工業用水としても利用され、浜松市の産業に寄与しています。
豊富な水資源は「電力」も生み出します。中山間地域に設置されたダムの水を利用して佐久間などの水力発電所でつくられた電気は、発電過程で二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスをほとんど排出しない環境にやさしい電力として関東圏や中京圏にも供給されています。
また、豊富な養分を蓄えた中山間地域の肥沃な「土」は作物の生育に適しているだけでなく、浜松市沿岸域に整備された防潮堤にも使われています。
このように、中山間地域は地域住民の生活の場としての機能を果たすだけでなく、都市部の市民生活も支えていることから、中山間地域の維持・活性化を図ることは、都市部の人々にとっても重要な課題といえます。