更新日:2025年12月1日
令和6年度浜松市リハビリテーション病院の事後評価結果
令和6年度における浜松市リハビリテーション病院の指定管理者及び経営強化プランの事後評価については、評価委員会における審査結果を踏まえ、次のとおり公表します。
1.公の施設の名称
浜松市リハビリテーション病院
2.指定の期間
令和6年4月1日~令和11年3月31日
3.指定管理者
名称:社会福祉法人聖隷福祉事業団
所在:浜松市中央区元城町218番地26
4.事後評価委員会の概要
(1)評価委員会の構成
- 委員長:浅野道雄(あさのクリニック:院長)
- 委員:後藤励(慶應義塾大学大学院:教授)
- 委員:坂田妃佐恵(坂田妃佐恵公認会計士事務所:公認会計士・税理士)
- 委員:鈴木敦之(遠州鉄道株式会社:取締役常勤監査等委員)
- 委員:半場浩恭(浜松磐田信用金庫:専務理事)
(2)審査日時
- 令和7年8月28日(木曜日)午後2時00分~午後4時30分
(3)評価点
5.評価の内容
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評価項目
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配点
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評価点数
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1.当該病院の果たすべき役割と機能
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40
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39.2
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2.経営の視点
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30
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26.4
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3.患者、地域住民への普及啓発
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10
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8.8
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4.前年度指摘項目への対応
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20
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17.2
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合計
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100
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91.6
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6.当該病院の果たすべき役割と機能に対する意見・要望
- 地域の急性期医療を支える後方病院として、待機期間の短縮のための工夫を行い、成果を上げている。また、地域のリハビリテーション病院の中核を担う病院として、嚥下障害、スポーツ障害、高次脳機能障害などに対する専門的リハビリテーション医療の提供を継続している。自院の果たすべき役割をしっかりと認識し、地域や患者の期待に応える医療活動を継続しており、高く評価できる。
- 医療リハビリと共に、介護保険事業である訪問リハビリと通所リハビリについても実績を伸ばし、慢性期医療から在宅への統合されたリハビリ体制を構築していることは評価できる。
- 入院待機日数が短縮されるなど地域連携が強化されることで、近隣の急性期病院の在院日数の短縮に寄与する可能性があるなど、地域全体の医療資源の効率化に貢献している。
- 診療報酬の改定状況、人件費の高騰など厳しい環境の中で、医療機能にかかるKPI(重要業績評価指標)が良化もしくは高い水準で維持されている。この水準を維持するのは容易ではないが、ぜひとも継続していただきたい。
- 職員の生産性向上や入院待機日数を減らす取り組み等が奏功し、リハビリ件数が前年度比で大幅に増加する一方、ご利用者様一人ひとりにしっかりとリハビリサービスが提供できており、リハビリ実績指数が向上、ご利用者様の支持を得ていることを確認した。また、就労準備室「momo」での就労訓練を通じ、障がい者雇用、障がい者ボランティア受入れ推進にも注力、障がい者雇用率アップに寄与していることも確認した。特色を活かしながら利用される方に寄り添った事業運営がなされていることに敬意を表する。
- 各指標の計画達成率が良好に推移し、種々の取組施策も有効に機能している状況が理解でき、地域の急性期医療を後方から支えるという役割、機能を十分に果たしていると考える。
7.経営の視点に対する意見・要望
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「規模・機能は縮小せずに構造をコンパクトにし、効率的な運営を行う」というコンセプトのもと、無駄を省き、職員の労務を増大させずに、業務、経営を効率化させていることがわかり、評価できる。
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一方で、「効率化・コンパクトな運営」のために、常勤医師数の減少、学術活動の縮小を余儀なくされている点は、将来性の観点から危惧される。医師の人件費の減少は、短期的には経費節減効果があるが、技術建設や、やる気のある若手医師の確保を困難とすることから、長期的には経営にもマイナスの影響を与える可能性がある。伝統的な活発な学術活動と、地域医療の充実との適切なバランスの維持が求められる。
- 現状では表立っての課題にはつながっていないとのことだが、常勤医師の減(非常勤医師の比率の向上)はやはり気がかりである。常勤医師の確保や育成に関し、どのように中長期的に進めていくかのプランがより見えると良いと考える。
- エンゲージメントが高いのは好ましいが、回答率がもっと高いとより説得力がある。回答率の向上に向けた取り組みをお願いする。
- 診療報酬改定や物価上昇に加え、医師の減少など厳しい経営環境のなか、質を落とさずコンパクトで効率的な運営を実践、前年・予算ともに上回る成果を挙げたことを確認した。
- その背景に、病院の目指す方向性が病院長を中心に職員間でしっかり共有され、自由闊達に意見が言える職場の心理的安全性が高まり、新たなチャレンジをはじめ職員が活き活きと働くことができていることが生産性向上につながっているのではと感じた。良い循環が企業風土となり、さらに強い組織になることを期待する。
- 全国的に病院を取り巻く経営環境、特に収益性の確保が困難となっている中で、良好な収支実績を維持されているほか、人的なマネジメントについてもバランス良くコントロールされており、非常に健全な経営状況にあるものと評価する。
8.来年度の病院運営事業に対する意見・要望
- 職員一人ひとりの「発想」に耳を傾け、業務改善、経営効率化を進め、困難な診療報酬体系の中で、経営を維持・発展させる努力を、今後も継続していただきたい。
- 学術的な活動も重視し、医師のモチベーションを維持するとともに、魅力ある医療活動をアピールすることで若くて優秀な医師を確保することにもバランスよく注力していくことを期待する。
- リハビリテーション病院に限った問題ではないが、安定した医療体制の構築のため、医師・看護師の確保は、一丁目一番地の課題である。専攻医の積極的な受け入れや看護職員再就職支援プログラム「hana」等、引続き新たな発想を生かし、医師・看護師を増やす取り組みに注力していただきたい。
- 職員の自発的、能動的な改善提案や行動計画が持続的に浸透していくよう、職場内コミュニケーションの円滑な環境維持構築、人事評価制度の公平な運用等を図っていっていただきたい。