更新日:2023年10月13日
浜松市リハビリテーション病院の事後評価結果
令和4年度における浜松市リハビリテーション病院の指定管理者の事後評価については、評価委員会における審査結果を踏まえ、次のとおり公表します。
1.公の施設の名称
浜松市リハビリテーション病院
2.指定の期間
平成31年4月1日~令和6年3月31日
3.指定管理者
名称:社会福祉法人聖隷福祉事業団
所在:浜松市中区元城町218番地26
4.事後評価委員会の概要
(1)評価委員会の構成
- 委員長:浅野道雄(あさのクリニック:院長)
- 委員:飯尾圭介(遠州鉄道株式会社:取締役常勤監査等委員)
- 委員:後藤励(慶應義塾大学大学院:教授)
- 委員:坂田妃佐恵(坂田妃佐恵公認会計士事務所:公認会計士・税理士)
- 委員:半場浩恭(浜松磐田信用金庫:常務理事)
(2)審査日時
- 令和5年7月27日(木曜日)午後1時30分~午後3時00分
(3)評価点
5.評価の内容
評価項目
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配点
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評価点数
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1.重要課題への対応
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10
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9.2
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2.経営の視点
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30
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25.2
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3.公立病院としての取組み
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30
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28.2
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4.前年度指摘項目への対応
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20
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18.0
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5.顧客満足度
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10
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8.8
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合計
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100
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89.4
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6.経営の視点からの意見・要望
- 新型コロナウイルス感染症クラスターの発生による病棟閉鎖を複数回経験しながら、ポストコロナ患者を受け入れることで、結果として平均として高い病床稼働率を維持し、経営への悪影響を最小限に留めた。一方で、外来・入院とも高い単価を達成し、その他の収益も加えることで、良好な経営状態を保っている点は高く評価できる。
- 新型コロナウイルス感染症による入院制限などの制約をうけながらも、225床を年間93%の高稼働でまわしているのは組織マネジメントやオペレーション能力が優れているから。当院が地域の回復期医療を支える重要な社会インフラであることを再認識した。
- 退職や育休等の理由で職員数が令和3年より減少している状況のなか、サービス活動収益は令和3年予算ともクリアしている。N-R協働や地域連携患者サポートセンターは、患者のニーズを取り込みつつ生産性向上にも寄与する素晴らしい取り組みである。
- 前年度指摘事項にも十分対応頂き、新しい院長の下でも変わらぬリーダーシップと多職種連携が実を結んでいることを高く評価させて頂きたいと思います。
- コロナ禍にあっても3年連続で収支差引(市の病院事業と聖隷会計との合算)が増加しており、財務数値としては良好な経営状態を維持しており素晴らしいと感じました。収益は、診療報酬交付金によって決まるため、指定管理者側に適切にインセンティブが働き、市側にも、財務上も市民サービスとしてもメリットがあるように、診療報酬交付金額を決定してほしいと考えます。
- 職員数の不足が重要な課題であり、採用の強化、離職防止のための具体的な対応策へのアプローチが必要と考えます。あわせDXによる省力化や合理化について積極的に取組まれることを期待します。
7.公立病院としての取組みに対する意見・要望
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公立病院として、特色のある取り組みを複数行うと同時に、地域への貢献も重視した活動を展開していることは高く評価できる。特に、ポストコロナ患者の積極的な受け入れを行うことで、急性期病院の負担を軽減し、市民の安心を確保することで、コロナ禍における医療に大きく貢献した。また、オリジナルの概念である「N-R協働」により、理念を共有したタスクシェアを実現し、限られた人的資源を有効に生かして入院患者への一貫したリハビリを実践している。
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えんげセンター、高次脳機能センター、脊髄損傷患者支援などの取り組みは公的医療としての使命を十分果たしおられる。当院の独自能力としてさらに磨き上げてほしい。
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ポストコロナ患者を数多く受け入れたことや、職員の大量罹患などのアクシデントに見舞われながらも総力を挙げてリハビリ医療を止めなかったことについては、事業者の強い信念と責任感が感じられた。
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経営安定のために非保険のサービスを行うことは重要だと考えますが、競争環境や適正な価格付けなど課題はあろうかと思います。需要の把握、(必要に応じて)有用性の評価など社会的な意義づけを行うことを負担のない範囲で行うことも必要かもしれません。
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特色のある取り組みや、障害者雇用の実施などを適切に取り組まれていると感じます。障害者雇用に関しては、ぜひ継続して取り組んでいただきたいです。
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指定管理という制度上難しいとは思いますが、長期持続的な病院運営が公立病院の使命であり浜松市と連携を深め将来的な投資計画をふまえた中長期的な収支計画が策定できると良いと思います。
8.来年度の病院運営事業に対する意見・要望
- 今後は、感染による病棟閉鎖を引き起こさないよう注意・工夫したり、影響を最小限に留めるような方策を立て、更に良好な経営状態を目指すことが期待される。実践している魅力的な活動を外部に向けて発信し、学術的にこの領域をけん引すると同時に、多くのやる気のある職員の獲得に努め、さらに、地域・患者のためのリハビリを発展させることが期待される。特に、訪問リハビリにも注力し、地域の在宅診療を行っている開業医や看護師と連携をとって、在宅医療の発展にも貢献することが期待される。
- 令和5年度も地域リハビリテーション強化推進事業を充実させていただきたい。この分野のトップリーダーとして、地元の医療職や福祉職に研鑽と交流の機会を与えることにより、地域全体のリハビリ医療がさらにレベルアップすることを期待したい。
- 改善要望という形で指摘する事項はありません。引き続き質の高いリハビリ医療を続けていただきたいと思います。
- 職員満足度について、労働時間の適正化・相応の報酬・自己実現機会の提供などを通じ、患者満足度だけでなく職員満足度も向上させるための取り組みをお願いします。また職員満足度調査への回答率もさらに向上させると、より多くの職員の意見が聞けるのではないかと考えます。
- 現在取組みされている種々の改善策が一過性にならないよう継続し定着化していくことを期待します。