更新日:2021年11月4日
浜松市リハビリテーション病院の事後評価結果
令和2年度における浜松市リハビリテーション病院の指定管理者の事後評価については、評価委員会における審査結果を踏まえ、次のとおり公表します。
1.公の施設の名称
浜松市リハビリテーション病院
2.指定の期間
平成31年4月1日~令和6年3月31日
3.指定管理者
名称:社会福祉法人聖隷福祉事業団
所在:浜松市中区元城町218番地26
4.事後評価委員会の概要
(1)評価委員会の構成
- 委員長:大久保忠俊(大久保外科・消化器科医院:院長)
- 委員:後藤励(慶應義塾大学 教授)
- 委員:大六野隆(ヤマハ株式会社:顧問)
- 委員:町田あつ子(町田進亮税理士事務所:税理士)
- 委員:松浦直樹(スズキ株式会社:監査本部長)
(2)審査日時
- 令和3年8月5日(木曜日)午後2時00分~午後4時00分
(3)評価点
5.評価の内容
評価項目
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配点
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評価点数
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1.重要課題への対応
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10
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8.2
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2.経営の視点
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30
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24.0
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3.公立病院としての取組み
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30
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27.0
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4.前年度指摘項目への対応
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20
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14.8
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5.顧客満足度
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10
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6.8
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合計
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100
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80.8
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6.経営の視点からの意見・要望
- 令和2年度は収支決算でマイナス収支となったが、これは新型コロナウイルス感染症の影響もあり、止むを得ないと思われる。国県の補助制度を活用して建て直しを図っていただきたい。
- 新型コロナウイルス感染症の影響で、外来患者数、入院患者数ともに令和元年度を下回ったが、1日平均入院患者数と病床利用率は変わらず、外来単価も目標を上回っており、努力のあとが見られる。
- 職員給与費対医業収益比が令和元年度よりやや減少したことは評価できる。
- 新型コロナウイルス感染症の影響下にもかかわらず、病床コントロールや退院調整や退院支援、病診連携等を積極的に行い、高い病床利用率の確保と外来患者数の保持が実現できていることは高く評価できる。
- (PDCA)目標管理ができていない。同じ目標の数字が資料によって異なっている。組織として何を目標に活動しているのか、全員でしっかり共有してほしい。
問題を認識したとき、その理由の掘り下げが足りない。表面的、直接の理由に満足せず、そこに至る原因を、いわゆる「なぜなぜ5回」で追求してほしい。
- (顧客満足)全調査項目で顧客満足度が令和元年度よりも下がっている。その理由はスタッフの疲弊であるというが、その原因をさらに掘り下げて対処してほしい。
浜松市リハビリテーション病院のウェブサイトでは、顧客満足度調査の中でプライバシーの項目が赤く強調されているにもかかわらず、評価委員会の席上、この点についての報告がない。組織として、何を重視しているのか、どこに問題を感じているのか、一貫した対応をお願いしたい。
- 外来の患者数が大幅に減少している。高齢化社会が進む中、回復期病棟であるリハビリテーション病院の果たす役割は大きい。新型コロナウイルス感染症対策を万全にし、より多くの患者を受け入れる体制を整えて頂きたい。
- リハビリテーション先進機器を多数導入し、早期の回復がみこまれることとなったのは患者にとって大きな希望である。採算の面では、診療報酬が150点との事であるが、効率よく活用し改善を図っていただきたい。また機器の使用は新型コロナウイルス感染症対策としても安全性が高いと考えられる。
- 退院後の支援と介護事業が順調に進んでいるようで頼もしい。今後も引き続き行っていただきたい。
- 配布資料の数値・表現の正確性に欠ける部分が気になりました。正しい経営判断を行える資料が作成されているのか不安に感じました。
- コロナ禍にもかかわらず、収益が予算を上回ったことは良かったが、サービス活動費用も予算を上回っており、トータルで収支悪化となったことは、残念です。
- 収益はより大きく、費用はより少なく両面からの改善を期待しています。
7.公立病院としての取組みに対する意見・要望
- 回復期病棟の患者1人あたりのリハビリ提供単位数がさらに増加し、それに伴いリハビリ実績指数も徐々に増加していることは評価できる。
- 「えんげセンター」では、嚥下造影検査実施件数が増加し、嚥下サポーターの養成、嚥下障害に関する研修および研究活動なども活発に行われており、今後も日本の嚥下障害治療のリーダー的存在として努力していただきたい。
- 「高次脳機能センター」における自動車運転再開支援の取り組みは、他病院にはないユニークな取り組みであり、今後も実績を重ねていただきたい。
- 脊髄損傷患者の社会復帰に関して、貴院の役割はとても重要であり、期待されているので、さらに力を入れて取り組んでいただきたい。
- 各種リハビリテーション先進機器を導入し、効果を上げていることはすばらしい。とくに「ウェルウォーク」の効果が著しいようであるので、さらに症例を重ねて学会、研究会等で発表していただきたい。
- 顧客満足度調査で、各職種の対応が令和元年度より軒並み満足度割合が減っているのは残念である。おそらく新型コロナウイルス感染症の影響で、ある程度は止むを得ないと思われるが、次年度はぜひ回復してほしい。
- 外来ベンチマーク結果において、「医師との対話」「看護師の対応」の順位が低下しているのは残念である。原因を究明し改善を図ってほしい。
- リハビリロボット等の高度機器の導入が、リハビリ提供単位数の増加のみならず医療従事者のみなさんの医療の質の向上の試みにもつながっており、雇用者満足度の向上に寄与する可能性がある動きになっていることは高く評価できる。
- 静岡県のリハビリ医療の中心施設として、周囲の医療機関との連携や退院後支援、介護保健事業を積極的に行い、高い在宅復帰率と退院後の健康改善を実現していることは高く評価できる。
- 新型コロナウイルス感染症拡大で活動が制約を受ける中、様々な工夫をして公立病院としての役割遂行を進めている。また、院内感染も防止できている。
- 経営陣および現場のスタッフの皆さんの努力に感謝申し上げるとともに心から敬意を表したい。
- 浜松市と3ヶ月に一度の頻度で「将来構想会議」を行っているというのは、長期的な視点で活動するための大変よい取り組みであると思う。
- 回復期病棟として多くの患者を受け入れて、また幅広く取り組んでいくことが使命である。
- 高齢化社会を見据えて嚥下の機能回復に力を入れてきたことはすばらしい。担当医が退職したようだが、新しい人材を確保し、取り組みの幅が狭まらないようにして頂きたい。
- スポーツ障害への需要も高いとの事だが、セミナーについては特定の学校だけではなく、WEB等を活用し、できるだけ多くの中高生に対して開催をして頂きたい。
- 地域支援・就労支援、在宅復帰支援は公立病院として大切な取り組みと考えます。
- 令和2年度はコロナ禍の影響で思うような活動が出来なかったと思いますが、病院関係者全員で協力し、より実のある取り組みをお願いします。
8.来年度の病院運営事業に対する意見・要望
- 新型コロナウイルス感染症拡大が当分は続くと思われるので、病院内から感染者を出さないことを最優先とし、その上で国県の補助制度を活用しつつ、医業収益を確保していただきたい。
- 「ウェルウォーク」を始めとするリハビリテーション先進機器を活用し、回復期病棟の患者1人あたりのリハビリ提供単位数をさらに増加させ、リハビリ実績指数も上げるよう努力を重ねていただきたい。
- 在宅復帰率をさらに上昇させ、「訪問リハビリ」「通所リハビリ」の実績をさらに伸ばし、退院後の支援に力を入れていただきたい。
- 通常リハビリに加え、県内に専門施設がなくニーズが大きい脊髄損傷患者支援にも積極的に取り組まれているが、予定入院数を大きく越えた受入を行っている。増大する患者数に対して、十分なスタッフ数とスタッフへのケアが行われているかどうか、従業員満足度なども活用して注意深く見守ることが重要だと考える。
- 外来患者満足度については、回答率が必ずしも高くないため数量的統計的な推論を行うのは慎重に行う必要があると思われる。数値の変化に必ずしも一喜一憂は必要なく、現在行われているような投書に対する機動的な対応を重視した方が患者満足度の向上には有用だと思われる。
- (医療安全)幸い大きな事故はないが、目標、重点事項を明らかにした上で、それが出来ているのかどうか報告をしていただきたい。
- (報告全般)高い志を持ち、専門的な問題意識に基づいて優れた実績を上げているのだから、それがよく伝わるような丁寧な説明をお願いしたい。
数字や事実を並べるだけでなく、重要視している事項、それについての分析、評価等、組織として意志の入った報告をしていただきたい。
- 目標を明確にし、人材の確保から役割分担、各部署との連絡や意見交換を密にとり、患者と医療従事者ともにより安全で質の高いサービスを提供して頂きたい。
- また、スタッフの増員とともに各個人のスキルアップにも力を注いでいただけるとより良くなるのではないかと思います。
- コロナ禍で大変な時期ですが、より良い治療を多くの患者さんに提供できるよう、しっかりとした取り組みをお願いします。
- 顧客満足度の向上は、経営上重要な項目です。コストとの兼ね合いをしっかり考えながら、お客様満足度を向上させて下さい。