更新日:2023年4月13日
浜松市財政の概要/4 財政指標による市財政状況の分析 5
浜松市財政の概要
4 財政指標による市財政状況の分析
(5)実質公債費比率→17.9%([15]17.4%、[16]18.7%、[17]17.5%)
《実質公債費比率の現状》
- 実質公債費比率は、公債費に準ずる助成、繰出しなどを公債費に加え、実質的な公債費による財政負担の程度を示す指標として、平成18年度から新たに導入された指標である。
- 平成17年度の実質公債費比率は17.9%であり、政令市平均(18.3%)は下回っているものの、18%以上の団体は起債の許可団体となる(25%以上になると発行制限団体となる)ことから、当該値を下げていくことが必要な状況である。
- 浜松市の実質公債費比率は、起債制限比率([17]11.4%)に比べ、6.5%の上昇となっており、これは総務省速報値による政令市の平均ギャップ3.5%と比べても大きな上昇幅となっている。その要因としては以下のようなことがらが考えられる。
(歳入面)
- 1)平成15年度から平成17年度にかけて、交付税及び臨時財政対策債発行可能額が大きく減少し、標準財政規模等、一般財源総額が縮小した。
(歳出面)
- 2)過年度において、下水道事業に積極的に取り組んできたことから、下水道にかかる財政負担が他市に比べて大きくなっている。
- 3)居住面積が広い地勢上、積極的に区画整理、土地改良によるまちづくりを行ってきた経緯があり、その財政負担が大きくなっている。
- 4)土地開発公社の保有土地解消をここ数年積極的に行ってきており、その手法の一つとして債務負担行為の活用を行ってきた。
- なお、当該指標は今年から導入されたものであり、要因については、更なる分析が必要である。
《他都市との比較》
- 政令市平均は18.3%であり、浜松市は政令市平均よりはよい値である。(資料編P7参照)
- 当該値は、どのような公営企業を有しているか、によっても変動要因が大きく異なってくると考えられるものであるが、浜松市は上記のような要因により、他市に比べ起債制限比率とのギャップが大きくなっていると考えられる。
《実質公債費比率にかかる評価と今後の方針》
- 浜松市の実質公債費比率は、起債制限比率のレベルに比べて高い値となっており、今後改善を要するものである。
- 具体的には以下のような取組みなどを行い、中長期的な改善を図ることが必要である。
- 1)中期財政計画の策定及びその中での企業債を含めた市債抑制の目標設定、管理など、市全体を総括した中長期的な財政運営
- 2)土地改良事業、区画整理事業にかかる計画規模の精査と規模の適正化
- 3)計画的な土地開発公社の保有土地の解消 など
- なお、歳入面では三位一体の改革による税源移譲に伴う市税の増などが見込まれ、また歳出面でも行財政改革効果により、今後の実質公債費比率は改善していく見込みである。
用語の解説
実質公債費比率…公債費に準ずる助成、繰出しなどを公債費に加え、実質的な公債費による財政負担の程度を示す指標。過去3年間の平均値で算定。従来の起債制限比率の算定に以下の要素を加えたことになります。
- 企業債の償還に充てられたと認められる企業会計への繰出金
- 公債費に準ずると認められる土地改良や区画整理等に対する助成
- 用地取得に係る債務負担行為
単純化すると、下記のような数式となる
公債費に充てた一般財源+公債費類似のものに充てた一般財源-それらに対する交付税措置額(A)
標準的な税収入等+交付税額+臨時財政対策債の発行可能額-(A)
したがって、比率が高くなる要因としては、分子(歳出)である公債費、公債費類似のものが大きくなること、及び、交付税、臨時財政対策債の減により分母(歳入)が小さくなることが考えられる。
起債制限比率…公債費から地方交付税で措置される公債費を差し引いた値を、標準財政規模から地方交付税で措置される公債費を差し引いた値で割った数値の、過去3カ年の平均値。
地方債の許可団体…実質公債費比率が18%以上の地方公共団体は、実質公債費比率の適正化を図るための計画を策定し、計画の内容、実施状況等を勘案して地方債の発行を許可するものとされている。
地方債の発行制限団体…実質公債費比率が25%以上の地方公共団体は、原則として一部事業の地方債の発行を許可しないものとされている。

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