更新日：2025年11月19日

第1章生涯学習とは

1.生涯学習の理念

教育基本法第三条では、生涯学習の理念が次のように示されています。

国民一人一人が、自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、その生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図られなければならない。

生涯学習の理念では、人々が生涯を通じて自発的に学び続けることを重視しています。年齢や社会的立場に関わらず、多様な形態での学習により、個人の成長と社会の発展を目指すもので、急速に変化する社会への適応を促進します。また、知識の獲得だけでなく、多面的思考力や創造性などの幅広いスキルの開発に取り組むことにより、教育を生涯にわたる継続的なプロセスとして捉えています。

知りたい、やりたいと思ったこと、続けていること、新しく始めること。生涯学習は個人の「夢」や「好奇心」から始まります。まず行動を起こすことで、新しい知識や技能を得る楽しさを感じられ、新しい仲間との出会いがお互いの能力を高めます。

さらに、学びを通じた人と人とのつながりは、次の学びのきっかけを生むとともに、仲間の輪を広げることで地域力が向上し、現代社会が直面する様々な課題解決につながります。そして、一人ひとりの学びや経験を地域に生かし、周囲を巻き込むことで、住みよい社会が築かれ、豊かな生活を実現できるのです。

2.生涯学習の分野

生涯学習は、生涯の様々な場面や機会で行うあらゆる学習活動のことで、家庭教育をはじめ、学校教育や社会教育、文化・スポーツ・レクリエーション、地域活動やボランティア活動、趣味、仕事上の知識や技術の習得など、様々な分野にわたる広範な学習活動を指しています。

3.生涯学習の目的や効果

生涯学習の目的は、個人の成長を通して豊かで充実した人生を送ることにあります。学びの喜びや出会いは生きがいにつながり、学習で社会の変化に適応する能力が培われることで、生活の質の向上とともに、社会全体の発展が期待されます。

（1）探求心・向上心の充足

生涯学習において自分の夢や好奇心に基づいて学ぶことは、学習意欲を高め、継続的な学びにつながります。また、好きなことを学ぶことで達成感を得られ、ストレス解消やリフレッシュ効果が期待できるとともに、自己肯定感や人生の充実度の向上につながります。

（2）新しい知識や技術の習得

生涯学習を通して新しい知識や技術を身につけることは、現代社会の急速な変化に対応するために不可欠です。また、新しい知識を学ぶことで問題解決能力や創造的思考が育まれます。特にデジタルスキルの習得は情報格差の解消にもつながり、高齢者や社会的弱者の社会参加を促進します。

（3）学びを通した人とのつながりの構築

共通の興味を持つ人たちとの交流や世代の違う人たちとの出会いは、新たな人間関係を構築する機会となり、社会的孤立の防止にも役立ちます。特に高齢化が進む中で、学びを通した人と人とのつながりは、心身の健康維持に不可欠です。また、地域コミュニティの活性化や社会の寛容性、結束力の向上にも寄与します。

（4）学びを通した社会参加の機会の創出

生涯学習は退職後も含めた社会参加の機会を提供し、個人の自己有用感を高めるとともに社会の持続可能性に貢献します。若年層にとっても、実践的な社会参加の機会として重要な役割を果たします。学びを通して得た知識やスキルを活かして地域活動に参加することで、社会貢献にもつながります。

（5）学びを通した地域課題の解決

地域の課題や歴史・文化を学ぶことで、住民が主体的に課題解決に取り組む力が培われ、地域社会の発展が期待されます。また、多様な専門性を持つ人たちの協働は、効果的な解決策の提案につながります。特に、地域に根ざした学習活動は、持続可能な地域づくりにも貢献します。