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更新日:2026年6月5日
全国的に少子化が進む中、県内の高校の入学者数が減少傾向にあります。中でも生徒数が少ない山あいの高校では、県の基準により募集停止となる危機が訪れています。
今月は、山あいにある高校で学ぶ魅力と、学びの場が地域にあり続けるための佐久間地区の皆さんの取り組みや思いを紹介します。
県内の高校(公立と私立、全日制と定時制を含む)の入学者数を2015(平成27)年と2025(令和7)年で比較すると、およそ5千人、15%減少しています。

天竜区の山あいにある県立浜松湖北高等学校佐久間分校(以下、佐久間分校)は、全校生徒が県内で最も少ない、50人に満たない高校です。
入学者数の推移から、県の基準※により、今年度の生徒募集が停止となる可能性がありましたが、市や地域が一体となって全国からの生徒募集や支援などに取り組んでいることから、特例として今年度の募集が継続されました。
もし地域から高校がなくなったら……、遠くの高校に通わなくてはならないため、子供だけでなく保護者も一緒に引っ越すことを検討する家庭があるかもしれません。そうなると、地域の過疎化が一層進むことが懸念されます。
※県教育委員会では、県立高校の入学者が2年連続で15人未満となった場合、県立高等学校の在り方に関する基本計画の基準により翌年度からの募集を原則として停止するとしています
市では、地域支援の一つとして、佐久間分校の生徒確保を支援しています。遠方から入学する生徒に対し、下宿先の確保や家具・家電の用意を行っています。また、今年度からは寮・下宿費の一部を補助しています。
Voice 卒業生から今春卒業した菅原さんに、佐久間分校の生活について聞きました。自然や生物に興味があること、また市外からの入学ということで寮に入れることも踏まえて佐久間分校を志望しました。
菅原光(ひかる)さん |
市内の中山間地域には、県立天竜高等学校二俣校舎と春野校舎、県立浜松湖北高等学校佐久間分校の3校があります。小規模校ならではの特性を生かし、生徒に合わせた学習や、地域と連携した取り組みを行っています。
佐久間地区や水窪地区、愛知県東栄町からはJR飯田線で通学できますが、それ以外の地域から通う生徒には、寮や下宿が用意されています。

遠方から佐久間分校に入学する生徒が安心して生活できるよう、地域の人々が寮の運営などで支えています。
食事の準備や夜間の対応(宿直)を行っている地域団体「啓成寮運営協議会」会長の大見さんにお話を伺ったところ、「ボランティアでできる範囲のお世話はしているけれど、干渉しすぎるのは避けて、生徒たちの自主性を重んじたサポートをしています」と話してくれました。「寮長の選び方や部屋替えも生徒に任せています。寮の中での融和を考えながら、自分自身でたくましく成長してくれているんじゃないかと思います」
3月に三遠南信自動車道のいなさICから佐久間川合IC間が開通した日、寮の卒業生5人が車で佐久間を訪ねてくれたそうです。「彼らが3年間で絆を深めたこと、佐久間を大切に思ってくれていることが、とてもうれしかったです」と、話してくれました。

啓成寮運営協議会会長 大見芳(かおる)さん
地域のイベントを若い人たちと一緒に盛り上げられたらうれしいです

7年前からです。佐久間分校は、その頃にも生徒数減少で募集停止の危機に直面しました。学校がなくなると地域が衰退してしまうという強い危機感があったため、関係機関に働きかけ、地域で寮を再開することになりました。
部活動に入ると部活動が中心の生活になると思いますが、もし興味があれば、地域のイベントに参加してもらえるとうれしいです。実際に、法被を着て『龍神の舞』に参加してくれる生徒もいます。若い人がイベントに参加してくれると地域に活気が生まれます。
寮生と下宿生の食事を作っているのは、NPO法人がんばらまいか佐久間の食堂「いどばた」です。平日の昼と夜の食事を用意し、学校や寮に届けています。いどばたスタッフの馬場さんは、「メンバーの年齢は60代から80代までと高齢ですが、みんなで協力しながらやっています。食事にもそれぞれのアイデアや各家庭の味が生きています」と言います。
普段の生徒との関わりは「道で会った時にあいさつを交わすこと」だけでしたが、食事を作るようになってからは、「例えばご飯が全部残る日が続いたら、どうしたのかな、体調悪いのかなと心配で、ちょっと話を聞いてみることもあります。食は体をつくる基本ですし、私も子供や孫を育ててきたので、そのような面でも高校生のことを以前よりも気にかけるようになっています」と話してくれました。


食堂「いどばた」 馬場真弓さん
私たちの方が元気をもらっているかもしれないですね
昼食は、その日の担当者が決めています。私が作る時は、栄養のバランスを考慮しながら、高校生が好きそうなメニューになるよう心がけています。夕食は、月曜日はハンバーグ、火曜日が揚げもの、水曜日は魚、というように大体決まっています。木曜日のカレーが一番人気です。
自然の豊かさを感じてほしいです。新緑の時季の雨上がりは木々の緑がとても美しく、天竜川の水もきれいなので、そういった風景を味わってもらえたらと思います。

2年生(寮生) 東昊亮(こうすけ)さん
以前、中学校の先生が佐久間地区で勤務していたのと、母が訪問看護師をやっていて佐久間地区にも訪れているのがきっかけで、佐久間分校を知りました。寮生活に憧れていたことと、自然が好きなので志望しました。
自由に過ごせるところが気に入っています。今年度は寮長になったので、新1年生が何に困っているかを聞いて、サポートしています。先輩たちも同じように僕たちのことを支えてくれました。

3年生(佐久間地区から通学) 山桐加琳(かりん)さん
地元なので小さい頃から知っていて、高校に通うならここかなと思っていました。
学年の壁を超えて仲がいいことと、先生が熱心に、一人一人に向き合って教えてくれるところです。
にぎやかになるとうれしいです。移住してきてくれる人が増えてほしいです。
中学校の先生の紹介で佐久間分校を知り、弓道部と寮があったことが決め手でした。親元を離れての生活で、やっていけるのか心配でしたが、入学後、初めて家に帰ってきた時に「楽しい」と言っていたのが印象的でした。
寮生活をすることで、洗濯や掃除など、一般的なことができるようになったと思います。また、授業では少人数制なので先生がしっかりと教えてくれています。また、子供が安心して生活できるように、地域の人々がとても温かく、熱心に協力してくださっています。
弓道部がもっと強くなって佐久間地区のPRにつながればと思い、部活動も応援しています。


静岡文化芸術大学文化政策学部 舩戸修一教授
たくさんの人が「おっ!」と思うような取り組みを考えて、佐久間分校を応援する輪を広げていきたいですね

静岡文化芸術大学3年 種市瑛太さん
これからも新しいアイデアで佐久間地区のPRに協力して、佐久間分校のサポーターをつくっていきたいです!
舩戸先生 独自の教科「地域」では、中山間地域の集落を維持していくには、というテーマで話をしています。全国の高校生が地域づくりをしている事例や、地域で農作物を加工し販売している事例などを紹介しています。
また、「人の移動」に着目しており、例えば就職や進学などで地元を離れたとしても、週末や正月、盆には帰省しますよね。地域の担い手は、住民だけでなく、もっと広い範囲で考えることができると考えています。
高校卒業後は、地元を一度離れる選択も勧めています。地元以外の暮らしを知ったとき、地元の唯一無二の良さを発見できるのでは。そんなことを授業で伝えています。
舩戸先生 授業が縁となり、学生がカレンダーを制作しました。学校生活のほか、佐久間地区の季節の風景や行事の写真を載せています。撮影地は分校生にヒアリングし、高校生目線の佐久間の魅力を表現することができました。
種市さん いま、大学生が描いた佐久間地区のラッピング電車(遠鉄電車)が走っているので、ぜひ皆さんに見てほしいです。

舩戸先生 高校生も地域住民の一人として地域の可能性を引き出せる、ということを伝えています。
美しい景観や人々の知恵、技術など、豊かで大切な地域資源が佐久間地区にはあります。高校生活で、佐久間地区の魅力や、何か自分にできることを見つけて、行動を起こしてみてほしいです。そして卒業した後も佐久間地区とつながり続けて、佐久間の一員として関わっていてほしいですね。

地域の現状や地域活性化について学んだ上で、地域のためにできることを考え、実践しています。

授業や寮の見学会を開催しています。
今年度の開催日は、以下の通りです。
学校見学:8月4日(火曜日)
オープンスクール:11月14日(土曜日)
詳細・申し込みは佐久間分校ホームページへ
https://www.edu.pref.shizuoka.jp/sakuma-b/(別ウィンドウが開きます)
この特集に関するお問い合わせは、天竜区区振興課(【電話】053-922-0013)へ
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