更新日:2025年5月22日
財政援助団体等監査結果に関する報告(令和7年5月22日)1
第1 監査の基準
この監査は、浜松市監査基準(令和2年浜松市監査委員告示第2号)に準拠して実施した。
第2 監査の対象
次のとおり(部課等の名称は、監査の期間の末日時点の名称)である。
1 浜松市海外経済交流推進協議会(財政援助団体監査)
- 監査対象負担金 浜松市海外経済交流推進事業負担金(令和5年度分)
- 負担金の所管課 産業部 産業振興課
2 公益財産法人浜松・浜名湖ツーリズムビューロー(財政援助団体監査)
- 監査対象負担金 家康プロジェクト推進事業における誘客宣伝事業に関する負担金(令和5年度分)
- 負担金の所管課 産業部 観光・シティプロモーション課
3 公益財団法人浜松市勤労福祉協会(出資団体監査)
- 市の出資比率 45.5%
- 団体の所管課 産業部 産業振興課
4 株式会社浜松新電力(出資団体監査)
- 市の出資比率 49.54%
- 団体の所管課 カーボンニュートラル推進事業本部
5 株式会社HACK(公の施設の指定管理者監査)
- 公の施設 浜松市新川モール
- 施設の所管課 産業部 産業振興課
第3 監査の範囲
1 財政援助団体については、令和5年度に執行された本市からの負担金の交付に係る出納その他の事務について監査を実施した。
また、併せて団体の当該事務に関する所管課の事務について監査を実施した。
2 出資団体については、主に令和5年度に執行された出納その他の事務について監査を実施した。
3 公の施設の指定管理者については、令和5年度及び令和6年度に執行された管理業務全般について監査を実施した。
また、併せて団体の当該事務に関する所管課の事務について監査を実施した。
第4 監査の期間
令和6年11月1日から令和7年1月27日まで
第5 監査の着眼点及び実施内容
監査の対象及び範囲に示した団体の事務並びにそれに関する所管課の事務について、本市の財政的援助等の目的に沿って適正かつ効率的に行われているかを着眼点とし、検証した。
監査手続については、監査対象部局及び団体から提出された資料及び諸帳簿等関係書類を抽出調査するとともに、関係者から説明を聴取し、関係法令等に基づき適正に執行されているかについて監査を行った。
第6 監査の結果等
1 監査の結果
上記のとおり監査した限り、重要な点において、監査の対象となった財政援助団体等の当該財政的援助等に係る出納その他の事務の執行が当該財政的援助等の目的に沿って行われていることが認められた。
2 監査の結果に基づく意見
地方自治法第199条第10項の規定に基づき、監査の結果に関する報告に添えて、意見を次のとおり提出する。
(1) 公益財団法人浜松市勤労福祉協会
(所管課:産業部 産業振興課)
公益財団法人浜松市勤労福祉協会の経営状況及び市の関与について
【現状及び課題】
- 市の出資団体である公益財団法人浜松市勤労福祉協会(以下「協会」という。)は、中小企業勤労者等の福祉の増進を図るとともに、中小企業の振興及び地域社会の発展に寄与するため、中小企業勤労者等の生活安定・老後生活安定・財産形成事業をはじめとした各種共済事業を実施している。
- 協会は、市の補助金に頼らない経営基盤の強化を目指し、平成26年度から「自立化プラン」を策定し、従業員数がおおむね300人以下の事業所を対象に、第4期計画の最終年度(令和7年度末)の目標として共済会会員数を2万5千人と掲げ、会員獲得に向けた取組を進めている。しかし、過去5年間ほぼ横ばいで推移しており、令和6年4月現在で2万2千人程度に留まるなど、同プランの目標の達成が難しい状況である。
- 市は、市内中小企業の振興と地域社会の活性化に寄与し、勤労者の福祉向上を図るため、浜松市勤労者共済事業費補助金を交付している。自立化プランでは、令和7年度末までに同補助金を廃止することを目指しており、同プランに基づき、毎年度補助金を減額している。令和8年度以降の補助金交付については、同プランの進捗状況や社会情勢を踏まえ、共同交付相手である湖西市と協議するとしている。
- 協会では、令和7年度末に予定する浜松市勤労会館の廃止に伴う会館の管理運営に関する事業(指定管理業務)の終了や事務所の移転のほか、近年、人件費の増や物価高騰など固定費の増も見込まれ、収支への影響を懸念している。
団体に対するもの
【意見】
- 協会は、市の補助金に頼らない経営基盤の強化を目指し、自立化プランを策定し共済会会員数の増加などに向けて取り組んでいるが、労働人口が減少するなか、目標達成には至っていない。協会は同プランにおける共済会会員数の目標を2万5千人としているが、22万人を超える市内の中小企業従業者数から見ると、まだ会員拡大の余地があると考えるため、対象を明確にしたうえで、より効果的なアプローチを検討し、引き続き会員獲得に向けて取り組まれたい。
- 協会は、共済事業において地元密着型のサービスを提供しており、同種の事業を行う全国展開の企業等との差別化を図っている。今後、自立した運営に向けて一層の努力が求められるなか、協会の強みを活かした形でのサービス提供により、会員獲得を進めることが必要となる。こうした認識のもと、地域の中小企業勤労者のニーズを的確に捉えたうえで、効果的な共済事業の実施に取り組まれたい。
所管課に対するもの
【意見】
- 近年、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践し、生産性向上や健康増進へつなげる健康経営の重要性が指摘されるなか、中小企業の人材確保に向けて、福利厚生の充実が課題となっている。
- こうした企業を取り巻く情勢の変化がある一方、協会に関しては令和7年度に市の補助金廃止を含む自立化プランの終期を迎え、さらに勤労会館の廃止に伴う指定管理業務が終了するなどその経営環境には厳しさが増す。
- 本市として「ウエルネスシティ(予防・健幸都市)」の実現を目指し、地域企業の健康経営を促進するなか、産業振興課は、中小企業支援に係る政策全般における協会の位置付けを明確化した上で、協会の培ってきたノウハウ、ネットワークなどの経営資源を活用することで、本市の中小企業勤労者等の福祉の増進に係る施策の実施を最適化できる事業を検討するなど、時代の変化に即応し、持続可能で実効性のある取組を推進されたい。
(2) 株式会社浜松新電力
(所管課:産業部 カーボンニュートラル推進課(旧:カーボンニュートラル推進事業本部))
株式会社浜松新電力の経営状況等について
【現状及び課題】
- 株式会社浜松新電力(以下「浜松新電力」という。)は、平成27年10月、浜松市と民間企業8社により設立された。設立目的は、市内で産まれた再生可能エネルギーを市内で消費する仕組みが存在しなかったことから、浜松産のエネルギーを地産地消することである。
- 浜松新電力は、事業を通じて地域内で資金を循環させ、地域経済を活性化するとともに、実質再生可能エネルギー100%の電力を供給することにより、地域におけるカーボンニュートラル実現に貢献することとしている。
- 電力は主に市内清掃工場や太陽光発電所から調達し、市内小中学校及び消防署等の公共施設や民間需要家へ供給している。
- 卸電力市場価格の高騰に伴う電力調達に係る支出の増加により、令和2年度及び令和3年度は2期連続で純損失を計上したが、令和4年度及び令和5年度は2期連続で純利益を計上した。
- 市は、浜松新電力への経営に対する関与を強めると共に、地域のカーボンニュートラル実現に向けた再生可能エネルギーの地産地消や、エネルギーの地域経済循環などをより一層積極的に推進していくため、令和6年3月末、浜松新電力の増資の全額約4,900万円を出資し、筆頭株主となった。
- また、増資により、市の出資比率が25%以上となったことから「浜松市外郭団体の設立及び運営に対する関与の基本方針」により、浜松新電力は市の外郭団体となった。
- 浜松新電力は、実質再生可能エネルギー100%の電力の供給拡大、民間需要家の拡大等に加え、令和12年度に向け総販売電力量を令和4年度比で2倍以上に拡大するとしている。
所管課に対するもの
【意見】
- 市は、浜松新電力への経営に対する関与を強めると共に、地域のカーボンニュートラル実現に向けた再生可能エネルギーの地産地消や、エネルギーの地域経済循環などをより一層積極的に推進していくため、令和6年3月末、浜松新電力の増資の全額約4,900万円を出資し、筆頭株主となった。また、増資に伴う出資比率の増加により、浜松新電力は市の外郭団体となり、所管課であるカーボンニュートラル推進課は、浜松新電力の運営に関し「浜松市外郭団体の設立及び運営に対する関与の基本方針」を踏まえ、指導及び助言が求められることとなった。
- 浜松新電力は、令和2年度及び令和3年度において、卸電力市場価格の高騰の理由により純損失を計上した。その後、卸電力市場価格が比較的安定したほか、浜松新電力として新たな料金メニューの導入等の対策を取ることで、令和4年度及び令和5年度は純利益を計上している。
- カーボンニュートラル推進課は、市民サービスの提供及び市の財政運営に悪影響を及ぼすことなく、価格競争力のある再生可能エネルギーを本市の施設だけでなく民間の施設にも安定供給することで、本市におけるカーボンニュートラルの実現に資するよう、経営に対する関与を行われたい。
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