更新日:2025年2月19日
定期監査(財務監査)・行政監査結果に関する報告(令和7年2月19日)
第1 監査の基準
この監査は、浜松市監査基準(令和2年浜松市監査委員告示第2号)に準拠して実施した。
第2 監査の対象
次のとおりである。
対象とする部等 |
対象とする課等 |
1 市民部 |
市民生活課 |
市民協働・地域政策課 |
UD・男女共同参画課 |
創造都市・文化振興課 |
文化財課 |
博物館 |
美術館 |
中央図書館 |
スポーツ振興課 |
- |
2 環境部 |
環境政策課 |
環境保全課 |
一般廃棄物対策課 |
廃棄物処理施設課 |
平和清掃事業所 |
天竜清掃事業所 |
産業廃棄物対策課 |
- |
3 都市整備部 |
都市計画課 |
北部都市整備事務所 |
土地政策課 |
交通政策課 |
市街地整備課 |
建築行政課 |
住宅課 |
緑政課 |
動物園 |
公園課 |
公園管理事務所 |
- |
4 消防 |
消防総務課 |
予防課 |
警防課 |
情報指令課 |
中消防署 |
東消防署 |
西消防署 |
南消防署 |
北消防署 |
浜北消防署 |
天竜消防署 |
- |
第3 監査の期間
令和6年8月1日から令和6年11月21日まで
第4 監査の着眼点及び実施内容
事務の執行及び経営に係る事業の管理について、合規性、正確性、経済性、効率性及び有効性の観点から適正に行われているかを着眼点とし、検証した。
監査手続については、監査対象部局から提出された資料及び諸帳簿等関係書類を抽出調査するとともに、関係職員から説明を聴取し、関係法令等に基づき適正に執行されているかについて監査を行った。
第5 監査の結果等
1 監査の結果
上記のとおり監査した限り、重要な点において、監査の対象となった事務が法令に適合し、正確に行われ、最少の経費で最大の効果を挙げるようにし、その組織及び運営の合理化に努めていることが認められた。
2 監査の結果に基づく意見
地方自治法第199条第10項の規定に基づき、監査の結果に関する報告に添えて、意見を次のとおり提出する。
(1) 市民部
ア 創造都市・文化振興課
(ア) 浜松市創造都市推進事業補助金について
【現状及び課題】
- 市は、浜松市総合計画に掲げた都市の将来像「市民協働で築く『未来へかがやく創造都市・浜松』」の実現に向け、市民、アーティスト、民間企業等が発意し、主体となって実施する取組に対し、浜松市創造都市推進事業補助金を交付している。
- 補助の対象となる事業は、浜松市創造都市推進事業補助金交付要綱(以下、「要綱」という。)において、7月1日から翌年の2月15日までの期間で開始し終了するものとしており、実施期間が限定されている。
- 補助金額の算定に当たっては、要綱において、総事業費から当該事業に係る他団体等からの補助金、負担金、その他収入(自己負担額を除く)を控除し、残った経費から補助対象経費に相当する額を補助金額とする旨が規定されている。
- 市は、補助金の交付に当たり、収支決算書に記載の金額を根拠とし、その他収入(自己負担額を除く)の裏付けとなる資料の提出を求めていない。
【意見】
- 市民等が発意し、主体となって実施する取組に対し、市が交付する浜松市創造都市推進事業補助金の対象事業は、7月1日から翌年の2月15日までの期間で開始し終了するものに限定されているため、当該期間内に行われない事業は対象外となり、所期の目的を達成できないおそれがある。
- 創造都市・文化振興課は、会計年度独立の原則の範囲内で債務負担行為の設定その他の方法により補助対象事業期間の拡大を図るなど、制度利用者の視点に立ったより柔軟な運用が可能となるよう制度の見直しを検討されたい。
- 事業実施主体にその他収入がある場合には、その額を控除して補助金額を求めることとされているが、市はその他収入の裏付けとなる資料の提出を求めていないため、補助金が過剰に交付されるリスクがある。また、自主財源を確保すると、それに応じて補助金が減額される仕組みとなっているため、収入確保の動機付けが機能せず、補助金への依存を強めてしまうおそれがある。
- 創造都市・文化振興課は、補助金交付の適正性確保に向けて、実績報告時における収入の確認方法を見直し、補助額算定の透明性を高めるとともに、自主財源の確保による財政的自立を促す制度とするよう努められたい。
(イ) ホールを有する施設について
【現状及び課題】
- 市内には、平成17年の合併以前に旧市町村が設置したホールを有する施設が存在している。これらの施設は、合併前から生涯学習推進の拠点であるとともに、地域の中心的な役割を担う施設である。
- 令和5年度のホールの稼働率は、下表のとおり、引佐多目的研修センター、三ヶ日文化ホール、春野文化センター、佐久間歴史と民話の郷会館、水窪文化会館及び龍山森林文化会館の6施設で20%を下回る状況である。
- これら6施設では、地域の人口減少に伴う利用者数の減少が続くことで、更なる稼働率の低下が懸念されるが、現状では、利用促進のための十分な対策がとられているとは言えない。
- これら6施設のうち5施設では、地元NPO法人等による管理を行う施設もあるものの、事業の企画・運営までを担う指定管理者制度は導入していない。
【創造都市・文化振興課所管施設のホール稼働率及び運営形態(令和5年度)】
No. |
施設名 |
ホール稼働率 |
施設の運営形態 |
1 |
アクトシティ浜松 大ホール |
71.3% |
指定管理 |
アクトシティ浜松 中ホール |
62.5% |
2 |
市民音楽ホール |
47.9% |
指定管理 |
3 |
文化コミュニティーセンター |
56.2% |
指定管理 |
4 |
雄踏文化センター |
32.1% |
指定管理 |
5 |
みをつくし文化センター |
31.2% |
指定管理 |
6 |
引佐多目的研修センター |
17.0% |
指定管理 |
7 |
三ヶ日文化ホール |
5.1% |
直営 |
8 |
浜北文化センター |
46.3% |
指定管理 |
9 |
なゆた・浜北 |
46.1% |
指定管理 |
10 |
天竜壬生ホール |
50.1% |
指定管理 |
11 |
春野文化センター |
6.2% |
直営(一部管理委託) |
12 |
佐久間歴史と民話の郷会館 |
2.7% |
直営(一部管理委託) |
13 |
水窪文化会館 |
10.4% |
直営(一部管理委託) |
14 |
龍山森林文化会館 |
4.7% |
直営(一部管理委託) |
(注) ホール稼働率が20%を下回る施設を太字で表示した。
【意見】
- 市内には、平成17年の合併以前に旧市町村が設置したホールを有する施設が存在している。これらの施設は、合併前から生涯学習推進の拠点であるとともに、地域の中心的な役割を担う施設であるが、6施設で稼働率が20%を下回る状況である。
- これら6施設のうち5施設では、地元NPO法人等による管理を行う施設もあるものの、事業の企画・運営までを担う指定管理者制度は導入していない。更なる人口減少の進行が見込まれるなか、担い手の確保は一層困難となることが予想される。
- 創造都市・文化振興課は、地域の実情に合った形での担い手確保及び創意工夫の発揮に向けて、担い手となり得る市民団体等の把握に努められたい。
- また、他都市の先進的な取組を積極的に調査・研究し、「いつでも空いている」ことを逆手に取った学校、文化芸術活動団体、更には民間事業者の新たな人流を産み出す長期又は継続的な利用について、使用料の弾力的な取扱いを含めて検討されたい。
- さらに、生涯学習施設としての特長を活かしながらも、観光など地域振興の拠点としての活用可能性について検討されたい。
イ 文化財課
文化財の保存・管理及び活用について
【現状及び課題】
- 市内各地域には合併前から多くの文化財が存在し、令和6年4月現在の指定文化財件数は440件と全国でも上位に位置している。
- また、平成28年度から、市独自に認定文化財制度を導入し、地域に根差した文化財の認定を行っている。その件数は年々増加し、令和6年4月時点で740件に上っている。
- 過疎化・少子高齢化等の社会状況の変化を背景に、平成31年に改正文化財保護法が施行され、文化財を計画的に保存活用したうえで、まちづくりに活かすことが期待されるようになった。
- これを受け、市は、文化財の保存・活用の方針及び10年間で実施する具体的な取組・事業を示した浜松市文化財保存活用地域計画を策定し、令和3年に国の認定を受けた。これにより、市内全域の歴史・文化・自然に関心が向けられる機運を高めることで文化財の保存を万全にし、地域総がかりで後世につなぐ仕組みづくりを進めている。
- さらに、市は、令和4年に地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律に基づく浜松市歴史的風致維持向上計画を策定した。この計画の目的は、「文化財の保存と活用を通じて、市民の暮らしの質や豊かさの向上を目指すこと」及び「地域の特性に応じた特色ある景観を次代に継承することにより、歴史・文化を活かした個性と魅力ある都市を形成すること」であり、文化財課は、同計画の策定に深く関わるとともに、連携してその推進に取り組んでいる。
【意見】
- 過疎化・少子高齢化等の社会状況の変化を背景に、平成31年に改正文化財保護法が施行された。これにより、文化財に対する考え方は、従来の保存重視から保存と活用の両方を進める方向へと転換された。
- この法改正を受け、市は、浜松市文化財保存活用地域計画を策定し、令和3年に国の認定を受けた。この計画により、市は、文化財の保存を万全にするとともに、地域総がかりで後世につなぐ仕組みづくりを進めている。
- また、市は、令和4年に地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律に基づく浜松市歴史的風致維持向上計画を策定した。この計画の目的は、「文化財の保存と活用を通じて、市民の暮らしの質や豊かさの向上を目指すこと」及び「地域の特性に応じた特色ある景観を次代に継承することにより、歴史・文化を活かした個性と魅力ある都市を形成すること」であり、文化財課は、同計画の策定に深く関わるとともに、連携してその推進に取り組んでいる。
- 地域資源としての文化財が内外の人を呼び集め、地域活性化に資することが文化財に対する市民の理解と関心を高め、それが文化財の適切な保存・管理と更なる活用につながるという好循環が期待されている。
- 文化財課は、文化財の適切な保存・管理を行うとともに、その魅力や重要性を広く市民に伝え、理解と関心を高めるため、効果的な情報発信の手法を検討し、その充実・強化に取り組まれたい。また、学校教育との連携を強化し、児童・生徒の文化財に関する学習機会の拡充に努められたい。
- さらに、地域で活動する市民や事業者、観光、地域振興等の本市他部局との連携により、文化財の積極的な活用を推進されたい。
(2) 環境部
ア 環境部
ごみ処理経費等について
【現状及び課題】
- 令和5年度のごみ処理量は212,257トン、減価償却費も含めたごみ処理経費は66億8千万円であった。処理量は減少しているものの、処理経費は増加傾向であり、令和6年4月に天竜清掃工場が稼働し、今後、減価償却費の増加も見込まれる。
- ごみ処理経費等の推移は以下のとおりである。
(単位 金額:千円・人口:人)
部門 |
令和1年 |
令和2年 |
令和3年 |
令和4年 |
令和5年 |
ごみ |
収集 |
2,296,792 |
2,359,307 |
2,417,973 |
2,404,308 |
2,381,190 |
焼却 |
1,345,595 |
1,559,302 |
1,644,065 |
1,739,955 |
2,114,557 |
破砕 |
185,740 |
239,862 |
280,221 |
300,986 |
300,720 |
埋立 |
445,248 |
431,720 |
406,204 |
438,524 |
457,125 |
計 |
4,273,374 |
4,590,190 |
4,748,462 |
4,883,772 |
5,253,591 |
資源物処理 |
1,250,498 |
1,303,434 |
1,320,053 |
1,259,765 |
1,342,162 |
その他(閉鎖施設等) |
425,209 |
214,167 |
77,520 |
82,667 |
84,404 |
ごみ・資源物 計 ※ |
5,949,080 |
6,107,790 |
6,146,034 |
6,226,202 |
6,680,156 |
住基人口 |
802,856 |
800,760 |
796,829 |
793,615 |
789,822 |
推計人口 |
791,770 |
790,512 |
786,787 |
783,573 |
779,780 |
1人当たりの
処理単価(円/人) |
住基人口 |
7,410 |
7,627 |
7,713 |
7,845 |
8,458 |
推計人口 |
7,514 |
7,726 |
7,812 |
7,946 |
8,567 |
処理量(トン) |
235,382 |
228,310 |
226,630 |
222,592 |
212,257 |
1トン当たりの処理単価(円/トン) |
25,274 |
26,752 |
27,119 |
27,971 |
31,472 |
※ 人件費、物件費、減価償却費について算出を行い、歳入は差し引いている。(「令和5年度清掃事業概要」一部加工)
- ごみ処理経費の最も大きな割合を占める収集においては、搬入先の清掃工場を固定する区域と清掃工場の運転計画とごみの排出量によって搬入調整を行う区域を設定することで効率的な収集業務体制としている。令和6年4月の天竜清掃工場の稼働に伴い、旧浜北区及び旧天竜区は南部清掃工場から天竜清掃工場へ変更するなど搬入先の調整が行われた。また、直営による収集・自己搬入の拠点は、南部清掃センター(中央区堤町)と天竜清掃事業所(天竜区青谷)へそれぞれ変更された。
- ごみ処理経費には、人件費や減価償却費など、ごみの発生量に関わらず必要となる費用(固定費)が含まれる。固定費は、令和元年度の包括外部監査人の試算で91.6%とされたように、ごみ処理経費の大半を占めており、ごみ減量の効果がそのままごみ処理経費の削減につながりにくいという構造的な課題がある。一般廃棄物に係る収集運搬を所管する一般廃棄物対策課、廃棄物処理施設課、平和清掃事業所、天竜清掃事業所においては、このことを踏まえた取組が必要となる。
- 平成5年度に竣工した水窪・佐久間クリーンセンターは、現在、水窪地区のごみ収集運搬の拠点として使用されている。施設敷地及び国道152号からのアクセス道路の一部が土砂災害警戒区域となっており、土砂崩れ等で年10回程度当該道路が通行不能となることが課題である。
【意見】
- 令和6年4月の天竜清掃工場の稼働により、市内の可燃ごみ処理施設の配置が改善され、より効率的な収集が可能となった。一般廃棄物対策課は、平和清掃事業所及び天竜清掃事業所とともに、ごみ処理経費で最大の割合を占める収集経費について、破砕処理施設の位置の変更に伴う影響を含めた検証を行い、あわせて直営による収集拠点の最適な配置についても速やかに検討し、収集経費の削減を図られたい。
- 直営の収集拠点の一つである水窪・佐久間クリーンセンター及び施設へのアクセス道路の一部は土砂災害警戒区域となっており、土砂崩れ等で通行不能となることが課題となっている。平成18年に焼却施設が廃止された同センターは、現在は水窪地区のごみ収集運搬の拠点であり、より効率的な業務の遂行が求められるなか、通行不能期間が長期化した場合は、市民生活に多大な影響を及ぼすことが懸念されることから、天竜清掃事業所は、移転について早急に取り組まれたい。
イ 一般廃棄物対策課
家庭ごみの減量及び資源化の推進について
【現状及び課題】
- 一般廃棄物対策課は、令和10年度までに家庭ごみの排出量一人1日あたり404グラム以下とするという目標の達成に向け、生ごみ堆肥化容器配付事業、家庭用生ごみ処理機購入費補助事業などの生ごみ減量推進事業、資源物集団回収団体活動促進事業、古紙等の資源物や草木の拠点回収を行うみどり等リサイクル推進事業などを実施している。また、実証事業を経て令和6年度に木製家具資源化事業を事業化したほか、新たにトートバック型コンポストモニター事業やみどりのリサイクルフレコンバッグ配付事業にも取り組んでいる。
- 家庭用生ごみ処理機購入費補助事業等について、費用対効果を試算した結果(令和5年度)は、以下のとおりである。
事業名 |
事業経費
A |
回収(減量)量
B |
経費1万円に対する回収(減量)量
B/A |
生ごみ堆肥化容器配付事業 |
688.1万円 |
695トン |
1.01トン |
家庭用生ごみ処理機購入費補助事業 |
253.5万円 |
174トン |
0.69トン |
資源物集団回収団体活動促進事業 |
2,945.6万円 |
5,235.4トン |
1.78トン |
(注) 1 家庭用生ごみ処理機使用によるごみ減量:29トン(108キログラム×269世帯)×耐用年数6年
2 生ごみ堆肥化容器使用による減量:139トン×耐用年数5年
3 経費1万円に対する減量量は、小数点第3位を四捨五入して表示した
- 平成13年度から実施している家庭用生ごみ処理機購入費補助事業では、現在、市内に住所を有し、過去に本補助金の交付を受けていない者等に対し1万円を上限に補助金を交付している。交付対象は市内全世帯としながら、令和5年度の交付実績は269世帯であった。また、申請件数の上位3社の主要な機器の平均価格は、約7万7千円であった。
- 平成4年度から実施している資源物集団回収団体活動促進事業は、令和5年度は565団体に対し協力金を交付し、回収実績は5,235.4tであった。回収団体の活動縮小、民間の回収拠点の増加等により、近年、団体数及び回収量が減少傾向にある。
【意見】
- 一般廃棄物の処理においては、先に述べたとおり、定期的に大規模な焼却施設等の整備が必要で、かつ、委託費の割合が高いため、ごみ処理経費の大部分が固定費で変動費の割合は非常に少ないという課題がある。令和元年度の包括外部監査の指摘において「8.4%」※とされた変動費の割合は、南部清掃工場の廃止と天竜清掃工場の稼働により更に低下していると考えられる。
- ごみ減量に対し、一般廃棄物対策課では、これまでの生ごみ堆肥化容器配付事業、家庭用生ごみ処理機購入費補助事業、資源物集団回収団体活動促進事業などに加え、令和6年度からトートバッグ型コンポストモニター事業を新規実施するとともに、実証事業を経て木製家具資源化事業を事業化するなど、新たな事業にも取り組んでいる。
- 家庭用生ごみ処理機購入費補助事業では、令和5年度は269世帯に対し2,535千円の補助金を交付した。機器の耐用年数を考慮すると、174トンのごみが減量されることとなる。同様に市民との協働により実施する資源物集団回収団体活動促進事業では、565団体に対し29,456千円の協力金を交付し、5,235.4トンの資源物を回収した。回収品目が異なり単純比較は難しいものの、家庭用生ごみ処理機購入費補助事業の費用対効果は、資源物集団回収団体活動促進事業の約4割であった。
- ごみ減量については、ごみ処理経費に占める固定費の割合が高く、ごみ減量のための事業の支出額を上回る経費削減が期待できないという構造的な課題を抱えながらも、循環型社会の構築、SDGsの推進等に向け、本市として取り組むべき重要課題である。このような中では、関係事業の費用対効果の検証が特に重要である。
- 一般廃棄物対策課は、各事業について費用対効果を検証するとともに、効果の少ない事業については、事業の公平性、ごみ削減量、啓発効果などの検証を行ったうえで事業のスクラップ・アンド・ビルドを検討されたい。
- 特に、家庭用生ごみ処理機購入費補助事業については、費用対効果の課題に加え、機器が高額で電気料の負担も生じるため、受益者が限定されているおそれもあることから、対象者の条件の変更や、より効率の高い事業への集約を含めた事業の見直しについて検討されたい。
※ 令和元年度浜松市包括外部監査結果報告書「清掃事業に係る事務の執行について」浜松市包括外部監査人 鈴木實 令和2年3月 P43
(3) 都市整備部
住宅課
市営住宅について
【現状及び課題】
- 令和6年4月現在の市営住宅は74団地、5,729戸、建替及び用途廃止等を円滑に進めるため募集を停止している「政策空家」を除いた入居率は、73.12%である。近年、入居率は70%台前半が続いており、令和4年度末では政令指定都市の中で最も低い状況である。
- 市営住宅は、一般世帯を対象とする一般住宅のほか、政策的観点のもと一定の枠を確保している特定目的住宅があるが、福祉・心身障害者・老人ペア・シルバーの4区分で総計79戸と戸数も少なく、入居率も老人ペア住宅は42%と低い。
- 令和3年3月に制定した浜松市公営住宅等長寿命化計画に基づき、団地については「継続管理・用途廃止」、住棟については「集約建替・団地内集約・維持管理・用途廃止」※を定め、適正な管理戸数へ縮小するとともに、維持管理していく住棟は予防保全により長寿命化を図る取組を行っている。
- 同計画の策定により、団地内集約等を進めるうえで、全ての入居者の移転が完了しなければ住棟を廃止できないため、令和2年度に486戸だった政策空家は、令和6年度には1,120戸に大きく増加した。令和6年11月時点では、取組の途中とはいえ、30戸の住棟に2戸しか入居者がいない例もある。
- 団地内集約の入居者の移転に際しては、移転費用を市が負担するとともに、応募を受け付けている他の団地への入居申込みを可能とし、集約先住棟へエレベーターを設置することで、移転を促進している。
※集約建替…建替えをした住棟に入居者を集約し規模を縮小するもの。
団地内集約…同一団地の特定の棟に入居者を集約し規模を縮小するもの。
維持管理…継続して使用するもの。
用途廃止…解体予定のもの。
【意見】
- 令和6年度の市営住宅の入居率は73.12%で、近年は70%台前半が続いており、令和4年度末では政令指定都市の中で最も低い状況である。
- 市営住宅には、セーフティネットとしての役割から、政策的観点のもと一定の枠を確保している特定目的住宅があるが、福祉・心身障害者・老人ペア・シルバーの4区分で総計79戸と戸数も少なく、入居率も老人ペア住宅は42%と低い。
- 特定目的住宅をはじめ市営住宅の供給に際しては、人口推計等により将来のニーズを見込んだうえで、社会経済情勢の変化等にも対応した供給が可能となるよう区分及び供給戸数の不断の見直しを行われたい。
- また、市は、浜松市公営住宅等長寿命化計画に基づき、団地内集約等を進め、適正な管理戸数への縮小を図っているが、全ての入居者の移転が完了しなければ住棟を廃止できないため、令和2年度に486戸だった政策空家は、令和6年度には1,120戸に大きく増加した。
- 団地内集約に対する入居者の移転費用は市が負担しているものの、移転には大きな労力や環境の変化などが伴うため、高齢者や障害者など入居者への負担にも配慮が必要となる。一方で、取組の途中とはいえ、30戸の住棟に2戸しか入居者がいない例もある。こうした取組により入居者の大半が移転した住棟は、遊休資産に準じたものと捉えるべきである。
- これらにつき迅速な移転を進めることで、維持管理費用の削減、他の行政目的での使用、民間への売払いによる収入と固定資産税の収入などのメリットの享受が早まることから、より積極的な移転促進策を検討されたい。
(4) 消防局
消防局
令和6年能登半島地震への緊急消防援助隊の派遣について
【現状及び課題】
- 令和6年1月1日に発生した能登半島地震に際し、電気、上下水道等のライフラインに甚大な被害が生じた厳冬、積雪期の被災地に、消防局は緊急消防援助隊として陸上部隊及び航空部隊を合わせて21日間延べ235人の隊員を派遣した。
- 隊員は、被災地での捜索、救助、搬送、後方支援活動等に従事し、消防局内に設置した派遣本部が現地との連絡調整を行った。
- 当該派遣期間中、残留した職員は、消防署間での人員調整や事務担当職員の災害対応要員への臨時配置などの実施により、市内消防体制の維持に努めた。
- 発災直後の出動要請により、陸上部隊の第1次派遣隊は迅速に出動したが、道路の寸断等による被災地への長時間の移動、テント泊をはじめとする疲労回復が困難な滞在環境など、全派遣期間を通じて厳しい条件下での活動となった。
- 派遣隊は、緊急消防援助隊応援計画に基づく資機材等を携行したほか、現地報告を受け暖房器具や防寒装備を追加配備し改善を図ったが、宿営用寝袋の不足、トイレの確保など衛生上の課題が生じた。加えて、携帯情報端末や電源の不足などの通信手段の確保に関する課題も明らかになった。
【意見】
- 令和6年1月1日に発生した能登半島地震に際し、電気、上下水道等のライフラインに甚大な被害が生じた厳冬、積雪期の被災地に、消防局は発災直後から21日間延べ235人の隊員を派遣し、捜索・救助等の活動に従事した。また、この間本市に残留した職員は、効率的な人員配置により市内消防体制の維持に努めた。これらの迅速かつ適切な対応は、日頃の備えや訓練の成果であり、高く評価される。
- 当該派遣においては、緊急消防援助隊応援計画に基づく資機材携行に加え、現地の状況に応じて暖房器具等を追加配備するなど柔軟な改善を図った。この一方で、宿営用寝袋の不足、トイレの確保などの衛生上の課題と、携帯情報端末や電源の不足などの通信手段の確保に関する課題も明らかになった。
- 消防局は、今回の経験を踏まえ、隊員の安全と健康の確保及び円滑な任務遂行のため、資機材及び装備品の充実・強化に早急に取り組まれたい。
- また、今回の経験を本市が被災した場合の受援体制の充実にも活かせるよう検討されたい。
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