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更新日:2022年9月14日

令和3年度 内部統制評価報告書に係る審査意見

第1 審査の基準

この審査は、浜松市監査基準(令和2年浜松市監査委員告示第2号)に準拠して実施した。

第2 審査の対象

この審査は、市長から令和4年6月7日に審査に付された令和3年度浜松市内部統制評価報告書(以下「評価報告書」という。)を対象とした。
なお、評価報告書の《附属資料》のうち、第3「事務ミス等の報告」は、市長が内部統制の評価をしていないことから審査の対象外とした。

第3 審査の期間

令和4年6月7日から同年8月19日まで

第4 審査の着眼点及び実施内容

第2に定める書類について、以下の点を着眼点とし、検証した。

  • 市長による評価が市長が定めた評価手続に沿って適切に実施されているか
  • 内部統制の不備について重大な不備に当たるかどうかの判断が適切に行われているか

審査手続については、「地方公共団体における内部統制制度の導入・実施ガイドライン」(平成31年3月総務省)のV「監査委員による内部統制評価報告書の審査」の趣旨に沿って、必要に応じて関係部区局等に説明を求めた上で、審査を行った。また、その他の監査等において得られた知見を利用した。

第5 審査の結果

1 審査結果

評価報告書について、上記のとおり審査した限りにおいて、評価手続及び評価結果に係る記載は相当である。

2 審査意見

令和2年4月から施行された内部統制制度の2年目となるが、整備上及び運用上の重大な不備と評価された事案があったこと等を踏まえ、全庁的な体制の整備及び推進並びに適正な事務処理の定着のため、次のとおり意見を述べる。

(1) 3年度における内部統制の推進体制等について

市長は、3年度から、内部統制の推進体制の実効性を強化することを目的に、内部統制制度を統括し、制度管理、評価検証等を行う制度統括課に適法性担当を加えるとともに、全庁的に共通する事務について内部統制を行う上で必要な整備・運用を行う制度所管課に区共通業務統括課を追加した。
適法性担当は、法令遵守の強化を図るため、業務の適法性の確認、事務ミス等が発生した際の事後対応及び再発防止策への法的助言などを行うものである。また、区共通業務統括課は、各区役所の窓口業務において事務ミス等が多く発生しやすい傾向にあるという2年度の内部統制における分析結果を踏まえ、事務ミス等が発生した際に、区共通業務統括課と区役所又は区役所間における事後対応の統一や効果的な再発防止策の展開が図られるよう、保健・福祉や住基・戸籍など全区に共通する事務を統括する課を位置付けたものである。
こうした新たな取組については、内部統制制度を運用しながら必要な改善を迅速に行ったものとして評価できるが、制度統括課は、次の点に留意し、内部統制体制の一層の推進に努められたい。

  • 「区共通業務統括課」の明確化
    内部統制事務実施マニュアルや評価報告書には、区共通業務統括課に該当する課名の記載がない。このため、制度所管課でありながら、自課が区共通業務統括課であるとの認識をしていないおそれがある。
    制度所管課であると認識することにより、全区に共通する事務について、条例、規則やマニュアル等の整備、研修の開催などの内部統制活動を一層主体的に行うことが期待できる。また、制度統括課は、区共通業務統括課を明確にすることで、区共通業務統括課が行っている内部統制活動の状況を把握しやすくなり、内部統制制度の統括、制度管理、評価検証等を一層効果的に行うことが期待できる。
    こうしたことから、制度統括課は、区共通業務統括課を明確に示すよう検討されたい。

(2) 整備上の重大な不備、運用上の重大な不備について

 ア 監査委員への重大な不備の報告

  • 市長は、物品管理事務における整備上の重大な不備及び博物館収蔵品管理業務における運用上の重大な不備があったため、本市の内部統制は、その一部が評価基準日(令和4年3月31日)において有効に整備されておらず、評価対象期間(令和3年度)において有効に運用されていないと評価した。
    物品管理事務における整備上の重大な不備は、博物館における物品検査をマニュアルに則った検査時間や人員体制で行った結果、検査対象備品数が多数あり、検査資料による重要物品等の現品検査が十分にできなかったため、紛失を確認することができなかったという、マニュアルの整備に不備があったとしたものである。また、博物館収蔵品管理業務における運用上の重大な不備は、資料管理の不徹底、セキュリティの不備、閉鎖的な組織風土の固着、職員の公務員倫理の意識不足などにより、結果として博物館の収蔵資料の紛失という事案が発生したものである。いずれの不備も、重要物品を始めとした歴史的にも価値の高い資料の紛失により、市及び市民に経済的・社会的不利益をもたらしたということで、重大な不備と評価した。
    このような重大な不備により市民の財産を紛失したことは、重く受け止める必要がある。関係各課は、今後の浜松市博物館資料紛失再調査委員(以下「第三者委員」という。)による再調査に誠実に対応することはもとより、必要な取組等については、その報告を待つことなく適時・適切なタイミングで行うことを検討されたい。

 イ 評価基準日以降の記載

  • 「「地方公共団体における内部統制制度導入・実施ガイドライン」に関するQ&A」(令和元年10月総務省自治行政局)において、「長が、評価基準日後から内部統制評価報告書の提出日までの間に実施した整備上の重大な不備に係る是正措置がある場合は、説明責任を果たす観点などから、長の判断により、その内容を内部統制評価報告書の「4不備の是正に関する事項」等に記載することは可能」とされている。
    市長は、令和4年4月28日に、物品管理マニュアルに基づき各課が運用している物品管理業務を厳格化するため、浜松市物品管理規則の一部改正を行った。また、同年5月26日に、博物館資料紛失に係る市の調査、報告等に対する再調査及び再発防止策の提言のため、第三者委員を委嘱した。しかし、評価基準日以降において行った重大な不備の是正に向けたこれらの取組について、評価報告書への記載はなかった。
    市民への説明責任を果たすため、評価基準日以降において行った重大な不備の是正に向けた取組等の措置について、評価報告書に記載するよう留意されたい。

 ウ 重大な不備の発生防止

  • 市では、「業務全般の執行状況の確認と改善のためのチェックリスト」を活用することで、事務が法令等に基づき適正に執行されているか等について確認している。
    また、「事務ミス等」の概要やその対応について、公表するとともに、その情報を全庁的に共有している。
    特に不祥事や重大な事務ミス等については、他の自治体における事例に学ぶことも有益である。他都市等で起きた事案は、本市でも起こり得ると想定し、制度統括課は、制度所管課と連携し、市と契約する通信社が提供する全国の地方行政ニュース等を注視し、関係部区局に対して、調査分析や自らの制度や運用の検証を促し、不備の発生防止につなげることで、今後、重大な不備により不適切な事案を発生させないよう努められたい。

(3) 文書事務について

 ア 文書及び文書事務の重要性

  • 意思決定、事務事業の実施等における行政の諸活動を文書等で記録することは、行政において最も基本的かつ重要な事項であり、内部統制制度を支える基盤である。文書の作成については、公文書等の管理に関する法律第4条で、国の「行政機関の職員は(略)当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう(略)文書を作成しなければならない。」と定めるとともに、同法第34条で地方公共団体に対しても努力義務を課しているが、浜松市文書規則等本市の条例、規則において同様の規定はない。
    文書行政課は、同法の趣旨を踏まえ、市として文書を正しく作成、保管するとともに、容易に検索することのできる文書事務に関する仕組みについて検証を行い、あわせて条例、規則の整備についても検討されたい。この場合においては、DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展により、紙文書からデジタル文書に変化することを前提に、デジタル化のメリットを活用するとともにシステム障害による文書の毀損等のデメリットにも留意されたい。
    また、制度統括課は、文書事務の制度所管課である文書行政課の役割を明確に位置付けられたい。

 イ 内部統制に係る文書の周知

  • 制度所管課は、全庁に共通する事務について、各課において、統一的、効率的に執行されるよう、各種通知、依頼、マニュアル等を作成し、発信している。
    内部統制が有効に機能するためには、これらの通知等の内容が、必要な職員に正しく伝わることが必要である。しかし、これらの通知等の発信の頻度等についての定めがないため、重要な通知であっても数年前に発信したままとなることも起こり得る。行政経営基幹システム(以下「コアら」という。)へ格納し、いつでも閲覧が可能な状態にすることは必要ではあるが、格納場所が分かりにくい通知等もあり、職員の人事異動に伴う事務引継を前提とした場合は、十分な方法とは言えない。
    制度所管課は、全庁的な内部統制として作成し、発信している重要な通知等について、その内容に変更がない場合であっても、少なくとも年1回、各職員に伝えるよう発信をし、その周知徹底に努められたい。併せて、制度統括課は、制度所管課と連携し、こうした通知等も評価報告書に記載することを検討するとともに、全職員がコアらで通知等の所在を容易に検索できる環境の構築に努められたい。

第6 備考

評価報告書の「3評価結果」に記載のとおり、物品管理事務における整備上の重大な不備及び博物館収蔵品管理業務における運用上の重大な不備があったため、本市の内部統制は、その一部が評価基準日において有効に整備されておらず、評価対象期間において有効に運用されていなかった。
これらの不備については、博物館資料紛失に係る市の調査、報告等に対する再調査及び再発防止策の提言のため、令和4年5月26日に第三者委員を委嘱し、当該提言を受けて是正していく方針であることを確認した。

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