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更新日:2021年9月14日

令和2年度 浜松市公営企業会計決算審査意見1

第1 審査の基準

この審査は、浜松市監査基準(令和2年浜松市監査委員告示第2号)に準拠して実施した。

第2 審査の対象

  • 令和2年度浜松市病院事業会計決算
  • 令和2年度浜松市水道事業会計決算
  • 令和2年度浜松市下水道事業会計決算

上記決算に関する証書類、事業報告書、キャッシュ・フロー計算書、収益費用明細書、固定資産明細書及び企業債明細書

第3 審査の期間

令和3年5月31日から同年8月2日まで

第4 審査の着眼点及び実施内容

2年度浜松市公営企業会計の各事業会計決算について、

  • 決算書とその附属書類が、地方公営企業法その他関係法令に基づいて作成されているか
  • 決算書類に記載された計数は正確であるか
  • 予算は適正に執行されているか
  • 各事業の経営成績及び財政状態を明瞭かつ適正に表示しているか
  • 各事業が企業の経済性を発揮するとともに、公共の福祉を増進するよう運営されているか

を着眼点とし、検証した。

審査手続については、試査を基礎として行い、決算諸表と会計帳簿、預金残高証明書等の証拠書類と照合し、計数の確認のほか、関係職員から説明を聴取し、上記の着眼点に基づき審査を行った。

第5 審査の結果

1 審査結果

各事業会計の決算書とその附属書類は法令に基づき作成されており、決算諸表の計数はいずれも正確で、予算執行状況、経営成績及び財政状態に係る表示並びに事業の運営状況については、おおむね適正であると認められた。

2 決算書を正確に理解するための留意事項

  • (1) 決算報告書は、消費税及び地方消費税相当額を含め収入、支出の総額が記載され、損益計算書等の財務諸表は、消費税及び地方消費税相当額を控除して作成されている。
  • (2) 職員の退職手当の支給に備えるため、年度末における退職手当の要支給額に相当する金額を退職給付引当金として計上しているが、病院事業のうち浜松市国民健康保険佐久間病院(以下「佐久間病院」という。)、水道事業及び下水道事業については会計基準変更時の差異が生じており、平均残余期間内の一定年数にわたり、均等額を費用処理している。
    2年度末における退職手当要支給額、退職給付引当金残高及びその差額は以下のとおりである。

2年度末における退職手当要支給額、退職給付引当金残高

(単位 : 千円)

区分

病院  

水道

下水道

医療センター

リハビリ病院

佐久間病院

退職手当要支給額 (A) 287,724 8,078 949 278,695 1,555,566 843,073
退職給付引当金残高 (B) 229,928 8,078 949 220,899 1,308,231 717,767
退職給付引当金不足額 (A)-(B) 57,795 0 0 57,795 247,334 125,305

3 決算の概要

(1) 経営成績

(単位 : 千円)

区分

病院  

水道

下水道

医療センター

リハビリ病院

佐久間病院

営業収益

4,278,405 275,735 3,503,815 498,854 10,471,878 11,761,747

営業費用

8,027,566 3,108,423 3,800,776 1,118,366 10,926,093 16,125,624

営業損益

△ 3,749,161 △ 2,832,688 △ 296,960 △ 619,511 △ 454,215 △ 4,363,876

営業外収益

4,804,158 3,692,939 427,655 683,562 1,242,616 9,028,738

営業外費用

441,883 291,792 91,313 58,778 383,303 2,525,082
経常損益 613,113 568,458 39,381 5,272 405,097 2,139,778

特別利益

31,315 1,857 451 29,006 3,387 13,177

特別損失

407,815 366,501 16,625 24,688 7,408 45,753
当年度純損益 236,613 203,814 23,208 9,589 401,076 2,107,203
当年度未処分利益剰余金
(△未処理欠損金)
4,294,231 4,424,793 △ 251,167 120,605 1,701,886 4,437,753

2年度の経営成績は、浜松医療センター(以下、「医療センター」という。)、浜松市リハビリテーション病院(以下、「リハビリ病院」という。)、佐久間病院、水道事業及び下水道事業で純利益を計上している。

  • ア 病院事業全体では、37億4,916万円の営業損失が生じたものの、6億1,311万円の経常利益が生じている。
    経常損益を病院別にみると、医療センターで5億6,845万円、リハビリ病院で3,938万円及び佐久間病院で527万円の利益が生じている。
    損益全体では2億3,661万円の純利益が生じ、当年度未処分利益剰余金は42億9,423万円となっている。
  • イ 水道事業は、4億5,421万円の営業損失が生じたものの、4億509万円の経常利益が生じている。損益全体では4億107万円の純利益が生じ、当年度未処分利益剰余金は17億188万円となっている。
  • ウ 下水道事業は、43億6,387万円の営業損失が生じたものの、21億3,977万円の経常利益が生じている。損益全体では21億720万円の純利益が生じ、当年度未処分利益剰余金は44億3,775万円となっている。

経常損益の推移

経常損益の推移

ア 病院事業

  • (ア) 医療センター
    2年度は、主として医業外収益の県支出金10億9,037万円及び国庫支出金1億7,592万円の増により、経常利益が増加している。
  • (イ) リハビリ病院
    2年度は、主として医業収益の入院収益8,600万円の増により、経常利益が増加している。
  • (ウ) 佐久間病院
    2年度は、主として医業外収益の県支出金7,660万円及び国庫支出金3,996万円の増により、経常利益が増加している。

イ 水道事業

2年度は、主として営業外収益の長期前受金戻入9,268万円の減により、経常利益が減少している。

ウ 下水道事業

2年度は、主として営業収益の下水道使用料6,813万円の減により、経常利益が減少している。

(2) 財政状態

(単位:千円)

区分

病院  

水道

下水道

医療センター

リハビリ病院

佐久間病院

固定資産

26,148,830 17,641,158 6,784,020 1,723,651 109,619,524 336,842,568

流動資産

4,309,748 2,718,410 955,034 640,829 13,694,905 7,770,598

(前年度資産合計)

(30,427,561) (20,245,476) (7,878,482) (2,303,602) (123,422,650) (351,710,055)
資産合計 30,458,579 20,359,569 7,739,055 2,364,481 123,314,429 344,613,167

固定負債

13,565,667 8,160,653 4,797,744 607,269 24,030,860 133,860,261

流動負債

2,862,858 2,055,444 538,491 273,448 5,236,988 15,268,722

繰延収益

1,361,448 667,486 116,668 577,292 20,693,916 139,765,898

(前年度負債計)

(17,995,569) (10,973,306) (5,615,540) (1,406,721) (50,471,256) (299,075,852)

負債計

17,789,974 10,883,584 5,452,904 1,458,011 49,961,765 288,894,883

資本金

3,639,993 2,966,080 56,685 617,227 69,339,205 49,557,692

資本剰余金

4,121,255 1,471,986 2,480,631 168,637 19,126 1,722,838

利益剰余金(欠損金)

4,907,356 5,037,918 △ 251,167 120,605 3,994,331 4,437,753

(前年度資本計)

(12,431,992) (9,272,169) (2,262,942) (896,880) (72,951,394) (52,634,203)

資本計

12,668,605 9,475,984 2,286,150 906,470 73,352,663 55,718,284

(前年度負債資本合計)

(30,427,561) (20,245,476) (7,878,482) (2,303,602) (123,422,650) (351,710,055)
負債資本合計 30,458,579 20,359,569 7,739,055 2,364,481 123,314,429 344,613,167

(注)病院間の内部取引があるため、各病院の流動資産と流動負債の計は、病院全体の計数と一致しない。

ア 病院事業

資産の総額は304億5,857万円で、元年度に比べて、3,101万円(0.1%)増加している。
負債の総額は177億8,997万円で、元年度に比べて、2億559万円(1.1%)減少し、資本の総額は126億6,860万円で、元年度に比べて、2億3,661万円(1.9%)増加している。

イ 水道事業

資産の総額は1,233億1,442万円で、元年度に比べて、1億822万円(0.1%)減少している。
負債の総額は499億6,176万円で、元年度に比べて、5億949万円(1.0%)減少し、資本の総額は733億5,266万円で、元年度に比べて、4億126万円(0.6%)増加している。

ウ 下水道事業

資産の総額は3,446億1,316万円で、元年度に比べて、70億9,688万円(2.0%)減少している。
負債の総額は2,888億9,488万円で、元年度に比べて、101億8,096万円(3.4%)減少し、資本の総額は557億1,828万円で、元年度に比べて、30億8,408万円(5.9%)増加している。

資産・負債・資本の構成内訳

資産・負債・資本の構成内訳/医療センター

資産・負債・資本の構成内訳/リハビリ病院

資産・負債・資本の構成内訳/佐久間病院

資産・負債・資本の構成内訳/水道

資産・負債・資本の構成内訳/下水道

(注) 表中の金額は、億円未満を端数調整している。

(3) キャッシュ・フローの状況

(単位:千円)

区分

病院  

水道

下水道

医療センター

リハビリ病院

佐久間病院

業務活動によるキャッシュ・フロー 1,429,726 1,168,876 197,984 62,864 4,269,375 9,275,143

当年度純損益

236,613 203,814 23,208 9,589 401,076 2,107,203

減価償却費

1,371,264 1,042,610 239,359 89,295 4,709,936 12,518,895

長期前受金戻入額

△ 192,286 △ 50,926 △ 94,377 △ 46,982 △ 1,167,178 △ 6,063,843

その他

14,134 △ 26,622 29,794 10,962 325,541 712,887
投資活動によるキャッシュ・フロー △ 995,316 △ 1,032,139 26,024 10,798 △ 5,403,929 △ 5,107,717

有形固定資産の取得による支出

△ 1,284,298 △ 1,175,449 △ 58,935 △ 49,913 △ 6,173,158 △ 7,566,505

国庫補助金等による収入

117,547 117,547 0 0 16,370 2,234,884

一般会計負担金等による収入

175,415 25,431 86,332 63,652 389,224 0

その他

△ 3,980 332 △ 1,372 △ 2,940 363,634 223,904
財務活動によるキャッシュ・フロー △ 363,612 △ 171,512 △ 146,096 △ 46,002 △ 308,044 △ 4,262,115

建設改良費等の財源に充てるため
の企業債による収入

978,200 908,900 69,300 0 1,633,100 7,277,700

建設改良費等の財源に充てるため
の企業債の償還による支出

△ 1,326,767 △ 1,080,412 △ 215,396 △ 30,957 △ 1,808,634 △ 12,615,999

その他

△ 15,044 0 0 △ 15,044 △ 132,509 1,076,183
資金増減額 70,797 △ 34,775 77,912 27,659 △ 1,442,598 △ 94,689
資金期首残高 2,788,752 2,024,242 280,567 483,942 13,877,251 5,593,636
資金期末残高 2,859,549 1,989,467 358,480 511,602 12,434,653 5,498,946

ア 病院事業

業務活動で14億2,972万円の資金を生み出しているものの、投資活動で9億9,531万円、財務活動で3億6,361万円の資金を費消している。この結果、2年度は7,079万円の資金が増加し、資金の期末残高は、28億5,954万円となっている。
資金の増減額を病院別にみると、リハビリ病院で7,791万円、佐久間病院で2,765万円増加しているものの、医療センターで3,477万円減少している。

イ 水道事業

業務活動で42億6,937万円の資金を生み出しているものの、投資活動で54億392万円、財務活動で3億804万円の資金を費消している。この結果、2年度は14億4,259万円の資金が減少し、資金の期末残高は、124億3,465万円となっている。

ウ 下水道事業

業務活動で92億7,514万円の資金を生み出しているものの、投資活動で51億771万円、財務活動で42億6,211万円の資金を費消している。この結果、2年度は9,468万円の資金が減少し、資金の期末残高は、54億9,894万円となっている。

(4) 企業債

(単位 金額:千円、比率:%)

区分

病院  

水道

下水道

合計

医療センター

リハビリ病院

佐久間病院

借入額 656,900 615,100 41,800 0 1,633,100 7,277,700 9,567,700
償還額 1,326,767 1,080,412 215,396 30,957 1,808,634 12,615,999 15,751,401
未償還残高 14,702,033 9,340,805 5,020,591 340,635 24,463,136 145,632,215 184,797,384
支払利息及び企業債取扱諸費 325,714 246,027 73,325 6,361 382,197 2,407,705 3,115,617
利子負担率 2.15 2.57 1.44 1.44 1.54 1.62 1.65

(注)利子負担率=支払利息及び企業債取扱諸費/平均(企業債+借入金+リース債務)×100

企業債未償還残高は、3事業全体で1,847億9,738万円である。
事業別にみると、下水道事業が最も多く1,456億3,221万円、次いで水道事業244億6,313万円、病院事業のうち医療センター93億4,080万円となっている。
企業債未償還残高の削減に向けて企業債発行を抑制する取組を推進しており、3事業全体で企業債残高が減少している。

企業債未償還残高の推移

企業債未償還残高の推移

(5) 一般会計繰入金

(単位 金額:千円、比率:%)

区分

病院  

水道

下水道

合計

医療センター

リハビリ病院

佐久間病院

一般会計繰入金 2,688,903 1,679,374 405,492 604,037 567,849 5,938,411 9,195,164

収益的収入

2,525,464 1,653,943 316,673 554,848 193,858 4,961,534 7,680,856

収益に対する繰入率

27.7 41.7 8.1 45.8 1.7 23.8 18.4

資本的収入

163,439 25,431 88,819 49,189 373,991 976,877 1,514,308

(注)この表には、地方公営企業法第17条の2に基づく繰入金のほか、任意による繰入金を含む。
また、水道事業には「飲料水供給施設業務負担金」を、下水道事業には「合併処理浄化槽設置業務負担金」を含む。

一般会計から企業会計への繰入金は、3事業全体で91億9,516万円である。
事業別にみると、下水道事業が最も多く59億3,841万円、次いで病院事業のうち医療センター16億7,937万円、佐久間病院が6億403万円となっている。
収益的収入に対する繰入率は、病院事業のうち佐久間病院が最も高く45.8%、次いで病院事業のうち医療センター41.7%、下水道事業23.8%となっている。

一般会計繰入金の推移

一般会計繰入金の推移

4 審査意見

(1) 総括

人口減少・超高齢社会、インフラ等の老朽化、激甚化する自然災害などの課題に追い打ちをかけるように新型コロナウイルス感染症は、市民生活と本市行財政に大きなインパクトを与えている。公営企業は、このような状況下においても市民の福祉を増進するため、常に継続性、安定性を維持したサービスを市民に提供していくことが求められている。
病院事業においては、新型コロナウイルス感染症への対応に伴う感染症患者の受入れや、病棟・外来診療の一部閉鎖などの状況は損益に影響を及ぼし、厳しい経営状態が続いた。
医療センターにおいては、地域医療機関との連携及び役割分担のもと、質の高い救急医療、小児・周産期医療、感染症医療、災害その他の緊急時における医療等の政策的医療やがん診療等の高度医療を提供することに加え、重点医療機関として新型コロナウイルス感染症患者の治療へ積極的に対応した。
リハビリ病院においては、地域のリハビリテーション医療の中核を担う病院として、職場・社会への早期復帰、在宅復帰を目指した専門的かつ高度なリハビリテーション医療を提供してきた。また歩行リハビリテーション訓練支援ロボット「ウェルウォーク」などの先進医療を導入し効率良く運用することにより、高いリハビリテーション効果が得られた。
佐久間病院においては、老朽化した設備を更新するなど医療体制の整備に努めるとともに、コロナ禍においても安心して医療を受けられるよう保健や福祉と連携して地域住民の健康維持に取り組んだ。
3病院においては、入院・外来患者数ともに前年度実績を下回ったが、新型コロナウイルス感染症対策関係の国・県支出金を利用することで、経常収支比率が100%を超える等経営の安定を保つことができた。今後、新たな新公立病院改革プランを策定する際、それに基づく取組を着実に推進するとともに、新型コロナウイルス感染症の影響も注視しつつ、的確な予算編成と適切かつ効率的な予算執行に意を用いながら、資金計画の適切な進捗管理を絶えず行い、引き続き健全な病院経営に努められたい。
水道事業においては、新型コロナウイルス感染症の影響により在宅時間が増えたことなどから、一般用の有収水量は増加し、業務用等の有収水量は減少した。損益計算において、収益、費用及び純利益は元年度に比べ減少したものの、損益は黒字となっている。今後は、資金残高の減少が見込まれており、健全経営に向けた収支の検証が必要である。また、水道事業中期財政計画や浜松市水道事業アセットマネジメント計画等の進捗状況の検証や見直しをするなかで、引き続き安定した事業を運営するよう努められたい。
下水道事業においては、下水道使用料の減少や営業費用の増加などにより経常利益及び純利益は元年度に比べ減少しているものの、浜松市公共下水道終末処理場(西遠処理区)をコンセッション方式により運営するなど経営改善に努め損益は黒字となっている。今後は下水道接続率の向上による使用料の収入増加など更なる経営努力が必要である。また、浜松市下水道事業経営プラン2020-2024の施策目標達成に向け、進捗状況の検証や見直しをするなかで、引き続き安定した事業を運営するよう努められたい。

なお、地方公営企業法の改正により26年度から導入されたセグメント情報の開示は、経営分析のツールとしても、市民への説明責任を果たす上でも有効であることは既に述べたところであり、水道事業及び下水道事業においては、セグメント情報の開示に向け、着実に取り組まれたい。
公営企業では、人口減少に伴う需要の減少や、施設等の老朽化に伴う更新需要、地震や集中豪雨による災害への対応などにより、中長期的に経営は厳しさを増すものと考えられる。加えて、20年のリーマンショック、今回の新型コロナウイルス感染症と同程度の影響を及ぼす新たな災禍も想定しておく必要がある。このような厳しい経営環境のなか、市民の日常を支える各企業にあっては、求められるサービスを将来にわたり安定的に提供できるよう、各企業で定めている中期的な計画を基に更なる改革・改善に取り組み、持続可能な経営基盤の確立に引き続き努められたい。
なお、事業会計ごとに意見を述べる。

(2) 病院事業会計

患者数及び医師の確保について(佐久間病院)

【現状及び課題】

  • 三遠南信自動車道の整備の進捗は、隣接地域との移動時間の短縮という利便性の向上をもたらす一方、人流を大きく変えてしまうことも懸念される。現在の主な医療圏である佐久間・水窪地域の人口減少による患者数の減少は今後も続くものと見込まれ、このままでは更なる収益の低下が予想される。
  • 病院経営を行っていくためには、医療提供体制の維持が必要であり、医師の確保が最重要課題となっている。県派遣医師の継続要請はもとより医師の確保に向けなお一層の取組が求められる。

【意見】

  • 今後も患者数の減少が続けば病院経営は一層厳しさを増すことが予想される。また、県派遣医師を含めた常勤医師が減少する一方で、市内医療機関等との連携や医師受入体制の強化などの医師確保に取り組み、地域医療への影響は最小限に抑えられている。佐久間病院は、今後も医療提供体制の維持に向けて医師確保に最善を尽くすとともに、医療圏域の拡大も視野に入れながら、患者数の確保についても対策を検討されたい。

(3) 水道事業会計

水道料金と有収率について

【現状及び課題】

  • 被災後の断水リスクの軽減を図ることを目的として、浜松市水道事業経営プラン2020-2024では、最終年度である6年度末における基幹管路耐震適合率100%を目標数値に掲げている。2年度においては、実績は76.9%で、目標数値75.0%を上回っている。
  • 有収率は、配水量に対する有収水量の割合で算出される。28年度には94.1%であったが、29年度の簡易水道事業の経営統合以降低下し、元年度は90.5%となった。2年度は91.0%と0.5ポイント改善したものの、28年度に比べ3.1ポイント低下している。その主な要因は漏水によるものと分析し、漏水調査を前倒しして有収率向上に取り組んでいるなか、目標値を定め、計画的に実施することが必要である。
  • 水道料金は、定額の基本料金と、使用量の増加に伴い単価が高くなる従量料金からなっている。近年、給水戸数は増加しているものの、一世帯当たりの人数は減少傾向にあることから、戸数の増加により基本料金は増加するものの、世帯における使用水量は減少し従量料金単価の高い区分の世帯が減少している。世帯構成の変化を長期的に見ても、単身世帯や2人世帯は増加傾向にある。このため、今後、従量料金の減少分を基本料金の増加分で賄いきれない状況が懸念される。
  • 29年度以降、営業収益は減少傾向にある。2年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により有収水量が増加したことに伴い営業収益は増加した。この増加は一時的なものか分析し、注視していく必要がある。
  • 料金回収率は、給水原価に対する供給単価の割合で算出される。2年度は給水原価125.36円、供給単価124.25円、料金回収率は99.1%となっており、元年度に引き続き100%を下回っている。これは、独立採算を旨とする水道事業において、その費用を水道料金で賄えていないことを示しており、現在の料金体系では料金回収率が大きく好転することは厳しい状況である。

【意見】

  • 災害対策等のための基幹管路の整備、老朽化した管路の更新、有収率向上に向けた漏水対策を進めるなか、資金残高の減少が見込まれている。また、給水戸数は増加しているものの、一世帯当たりの人数が減少傾向にあることから、安定した営業収益を確保し続けるためには現在の料金体系の見直しが避けられない状況にある。今後、将来負担の増加とならないよう財務状況の検証をし、安定した事業運営の継続に向け、適切な時期に、目標値の設定による計画的な有収率の向上や料金改定等について取り組まれたい。

(4) 下水道事業会計

下水道接続率の向上について

【現状及び課題】

  • 市民生活における良好な環境の創造を目的として、浜松市下水道事業経営プラン2020-2024では、最終年度である6年度末における下水道接続率97.0%を目標数値に掲げている。2年度においては、実績、目標数値ともに96.4%である。
  • 接続率の目標達成に向けては、未接続世帯の分析を行ったうえで訪問や郵送による接続勧奨に効果的に取り組んでいる。また、市民を対象とした助成制度として、浜松市水洗便所改造資金貸付あっ旋及び利子補給を設けているほか、下水道への接続勧奨を行う下水道指定工事人に対する、浜松市下水道接続勧奨の成果報奨金により、接続率の向上に努めている。
  • 接続率は、2年度の目標数値に達しているものの、下水道が整備されても下水道に接続しない限り本来の機能を発揮することができないため、市民に分かりやすく下水道接続の大切さを伝える努力が必要である。また、接続率の更なる向上は、下水道使用料の収入増に直結するものであり、安定した事業運営の観点においても重要である。

【意見】

  • 下水道接続率の向上に向けて、職員による未接続世帯への訪問等の様々な取組を行い、収益の改善において成果を上げていることは評価できる。接続率の向上は、市民生活の良好な環境の創造に資するものであり、下水道への接続について市民の理解を得ることが重要である。今後においても効果的な取組や助成制度について検討し、引き続き接続率の向上を図ることにより、下水道事業の堅実な運営に努められたい。

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