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更新日:2018年11月13日

住民監査請求結果(平成30年11月2日)

浜松市監査委員告示第10号

平成30年9月6日に提出された浜松市住民監査請求書(以下「本件請求」という。)について、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「自治法」という。)第242条第4項の規定に基づき、監査した結果を次のとおり公表する。


平成30年11月2日


浜松市監査委員 鈴木 利享

浜松市監査委員 佐藤 雅秀

浜松市監査委員 髙林 修

浜松市監査委員 渥美 誠

第1 監査の結果

本件請求については、自治法第242条第8項の合議により次のように決定した。
平成30年7月12日に浜松市北区引佐町奥山地内で発生した地すべりによって、里道が崩落したことに関し必要な措置を求める本件請求のうち、「(1)当該地すべりにより崩落した里道の現況調査と復旧。」を求める請求については、棄却する。
また、「(2)採石場敷地境界における里道等私有財産の現状確認と財産保全維持の対策。」及び「(3)隣接地所有者と地元住民への里道復旧と対策について説明会の実施。」については、却下する。

第2 本件請求の内容

1 請求人の住所及び氏名

(省略)

2 請求書の提出日

平成30年9月6日

3 請求の要旨

請求人から提出された請求書及び別紙事実証明書に記載された事項に基づく請求は次のとおりである。(請求人に関する事項を除き、請求書原文のとおり。図表が記載された別紙事実証明書は省略した。)


住民監査請求書
地すべりによる里道及び隣接道路崩落に関する措置請求の要旨

1 請求の要旨
浜松市は別紙里道について財産管理を怠っているので、適正に対処すべきである。
平成30年7月12日の(有)三嶽鉱山北側斜面の土砂災害は、(有)三嶽鉱山の過剰な土石採取行為によって発生した。地すべりの発生箇所については、平成6年「国土基本図」に崩壊地形が記載されており、平成22年に(株)ミダックが提出した「生活環境影響調査報告書」の当該法面に複数の崩壊地形をはじめ断層や破砕帯が詳細に記載されている。また、平成25年の「地すべり調査報告書」に当該法面が境界に接する一部の里道を消滅させ隣地への浸食が既に記載されている。(有)三嶽鉱山「採取計画の変更認可申請書」(平成27年11月)の図面は境界付近の地形情報が不自然に消え現況を反映したものではないばかりか、図5-1で示すように土砂災害防止の安定勾配による切土等の措置は一切為されていない。
市は(有)三嶽鉱山に対して地すべりを防止すべき安全対策を何ら指導しないまま、安全管理を長年に亘って怠りその危険性を放置してきた。その結果、1万立米を超える大規模土砂災害が発生し、里道と隣接する道路が崩落した。
里道の管理責任がある市は里道を回復すべく災害対策を実施し、土砂災害に至った経緯と安全対策の内容を住民に説明する必要がある。


2 請求者

住所
氏名
生年月日
性別

地方自治法第242条第1項の規定により別紙事実証明書を添え必要な措置を請求します。

平成30年9月6日

浜松市監査委員 様

 


補足資料
平成30年7月12日に、愛知県蒲郡市栄町18番地2号の三嶽鉱山(有)が浜松市北区引佐町奥山地内に所有する採石場の北側斜面で発生した地すべりによって、市有財産である里道が約50mに亘って崩壊した。また、当該地すべり箇所以外にも過去に崩落したと思われる里道の崩壊が複数個所で確認できる。
これらの里道の崩壊は、以下に示す理由から財産の管理責任がある浜松市が財産の維持保全に係る管理を怠り、漫然と里道崩壊の危険性を長年に亘り放置してきたことが原因であると考える。


図1は、平成6年に測量された「国土基本図」であり、既に当該地すべり箇所には崩壊地形が記載されている。


図2は、平成22年に(株)ミダックによって浜松市に提出された「廃棄物処理施設設置等事業計画書」に添付された「生活環境影響調査報告書」の地形地質調査結果が記載された図面である。
当報告書は地質調査会社である株ジーベックによって纏められたものであり、「西側法面展開図」の当該地すべり部分に崩壊地形や断層等の亀裂、断層破砕帯が示されており、崩落箇所の下部にあたる部分には浸食によるガリー地形や土砂の崩落による崩積土が記載されている。(図2-2参照)


図3は、平成25年に明治コンサルタント(株)によって調査されたもので、平成26年に「地すべり測量調査・解析及びその防止対策工設計のうちの準備基礎調査・詳細調査・データ解析業務ほか調査業務報告書」として(株)ミダックが浜松市に提出したものである。
当該地すべり箇所の冠頭部にあたる部分は境界まであるいは境界を越えて掘土された場所が大半を占めており、既に里道が崩落している箇所(図3-1の青波線部)が複数示されている。


図4は、平成27年11月に三嶽鉱山(有)が市に提出した「採取計画の変更認可申請書」の添付図面である。
この図面は他の図面と異なり、本来記載されるべきである等高線等の地形情報が当該地すべり箇所付近に限って記載されていない。また、「採取完了区域」と記載される当該法面の切土部分は採石場の敷地内に収まるように記載され里道など隣地との境界付近に保全区域が設けられているように記載されているが、他の図面で示されているようにこの図面は境界付近の現況を記載したものではない。


図5は、図2と同様に平成22年に(株)ミダックが浜松市に提出した「廃棄物処理施設設置等事業計画書」の添付資料「生活環境影響調査報告書」に記載される地形図である。図5-1に示したように、この地形図にはベンチカット状に採掘された上部法面が安定勾配を以って整形された形跡は認められない。


図6は、平成29年9月に(株)ミダックによって市に提出された「産業廃棄物処理施設設置許可申請書」に添付された三嶽鉱山周辺の公図である。
図6-1で示した部分を図1~図3と比較すると、当該地すべり箇所付近が地すべり発生以前から、三嶽鉱山による土石の採取行為が長年に亘って里道等の隣地を侵食していることが判る。


以上に示したように、市はこれまでに三嶽鉱山敷地内の地質地形調査結果の報告書等の提出を受け、当該地すべり箇所周辺の地形地質に関する情報の提供を受けているにも係らず、長年に亘って私有財産保全維持の対策や指導を怠り放置してきた。
当該地すべりは、未曾有の大雨がきっかけとなったとはいえ、起こるべく場所に起こるべくして発生したことを市に提出されたこれらの資料が示している。
また、当該地すべり箇所以外にも採石場の境界を越えて法面が侵食され既に里道が崩れた所があり、当該地すべり箇所の西方にも里道境界の直下が数十メートルに亘って崖状に崩落する箇所が確認でき、今後近い将来に今回同様の大規模な地すべりが発生することが懸念される。
採石場の敷地境界付近には当該地すべり箇所以外にも地すべり発生の危険性を胚胎する現況を鑑みると、早急に採石場周辺の里道に係る原状把握調査を実施して財産保全の対策を図るべきである。


以上のことから、浜松市長に以下の措置を求めます。


(1) 当該地すべりにより崩落した里道の現況調査と復旧。
(2) 採石場敷地境界における里道等私有財産の現状確認と財産保全維持の対策。
(3) 隣接地所有者と地元住民への里道復旧と対策について説明会の実施。

以上

第3 監査対象事項の決定

監査の実施に当たり、本件請求が、自治法第242条第1項の要件に適合しているか否かについて審査を行った。
住民監査請求においては、請求人が違法若しくは不当と主張する財務会計上の行為又は財産の管理を怠る事実について、なぜそれが違法若しくは不当又は怠る事実であるのか、その理由あるいは事実を具体的に示さなければならないと解され、違法若しくは不当又は怠る事実の理由が単に請求人の倫理観や一般論等に照らし違法若しくは不当又は怠る事実であるとの主張にすぎない場合は、その要旨が示された適正な請求とはいえない。
また、「公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実」を対象とする監査請求については、自治法第242条第2項の期間制限を受けないものと解される(最高裁昭和52年(行ツ)第84号同53年6月23日第三小法廷判決)。
この点を踏まえると、本件請求が対象とする市有財産である里道は、昭和58年3月に農地法(昭和27年法律第229号)第74条の2(平成21年法律第57号により削除)の規定に基づき、農林水産省から旧引佐町へ譲与され、現在は浜松市が道路法の適用されない法定外道路として管理している市有財産(以下「本件法定外道路」という。)である。浜松市がその財産の管理を怠る事実があるとして、これを証する書類を添えて文書で請求されたものである。
本件請求のうち、「(1)当該地すべりにより崩落した里道の現況調査と復旧。」及び「(2)採石場敷地境界における里道等私有財産の現状確認と財産保全維持の対策。」に関しては、請求人は、市有財産である本件法定外道路の一部が崩落による影響を受けていることから浜松市が、損害を被っているとしたうえで、怠る事実を改め、又は被ったとされる損害を補填するために必要な措置を講ずべきことを求める内容であると認められることから、自治法第242条第1項の住民監査請求の要件に適合していると考える。
ただし、「(3)隣接地所有者と地元住民への里道復旧と対策について説明会の実施。」については、浜松市が、怠る事実を改め、又は被ったとされる損害を補填するために必要な措置とは認められないことから、自治法第242条第1項の住民監査請求の要件に適合していないと考える。

第4 監査の経過

1 監査対象事項

本件法定外道路への影響に関する経緯を調査するとともに、財産の管理を怠る事実について、監査対象とした。

2 監査対象課

土木部道路保全課、土木部北土木整備事務所、産業部農地整備課

3 現地調査の実施

監査委員4人が、平成30年9月20日、浜松市北区引佐町奥山背山1397番151の一部を含む本件法定外道路の管理状況等について確認するため、現地調査を実施した。

4 請求人の証拠の提出及び陳述

自治法第242条第6項の規定に基づき、請求人に対し証拠の提出及び陳述の機会を設けたところ、平成30年10月3日、浜松市役所内第3委員会室にて、請求人は、補足資料を提出し、同日、本件請求の趣旨を陳述した。
なお、請求人の陳述の際、自治法第242条第7項の規定に基づき、監査対象課の一部の職員を立ち会わせた。

5 請求人の主張

請求人は、「市はこれまでに三嶽鉱山敷地内の地質地形調査結果の報告書等の提出を受け、当該地すべり箇所周辺の地形地質に関する情報の提供を受けているにも係らず、長年に亘って私有財産保全維持の対策や指導を怠り放置してきた。当該地すべりは、未曾有の大雨がきっかけとなったとはいえ、起こるべく場所に起こるべくして発生したことを市に提出されたこれらの資料が示している。
また、当該地すべり箇所以外にも採石場の境界を越えて法面が侵食され既に里道が崩れた所があり、当該地すべり箇所の西方にも里道境界の直下が数十メートルに亘って崖状に崩落する箇所が確認でき、今後近い将来に今回同様の大規模な地すべりが発生することが懸念される。採石場の敷地境界付近には当該地すべり箇所以外にも地すべり発生の危険性を胚胎する現況を鑑みると、早急に採石場周辺の里道に係る原状把握調査を実施して財産保全の対策を図るべきである。」と主張している。
本件請求において、浜松市長に求める措置は次のとおりである。
(1)当該地すべりにより崩落した里道の現況調査と復旧。
(2)採石場敷地境界における里道等私有財産の現状確認と財産保全維持の対策。
(3)隣接地所有者と地元住民への里道復旧と対策について説明会の実施。

第5 監査委員の判断

1 求める措置「(1)当該地すべりにより崩落した里道の現況調査と復旧。」について

(1) 法定道路と法定外道路

浜松市では、道路法の適用される道路である場合には、道路としての機能、効用を保つため、道路法で規定された管理を行うための予算を確保し、必要な維持管理を実施することとしている。
しかし、本件のような道路法の適用のない法定外道路は、管理するための法令がないことから、道路法の適用される道路と同じ水準での管理は行っておらず、財産管理と機能管理のみを行う運用をしている。

(2) 本件法定外道路の現状

ア 地目

本件法定外道路は、昭和58年3月、農林水産省から旧引佐町へ譲与され、市町村合併を経て浜松市の市有財産となり、登記地目は「公衆用道路」である。
また、隣接又は近接する民有地は、登記地目「畑」、「山林」、「原野」、「雑種地」として登記され、複数の地権者の所有するところとなっていることが、浜松市税条例(昭和29年浜松市条例第38号)における土地台帳に記載されている。本件法定外道路は、その間を折れながら縫うように一本に走っていることが、同条例における地籍図にて確認できる。

イ 周辺の状況

本件法定外道路の周辺の状況は、都市計画法(昭和43年法律第100号)に基づく都市計画区域外の山中に位置しており、北側隣接民有地一帯は、農業振興地域の整備に関する法律(昭和44年法律第58号)に基づく、農用地区域として指定された地域であり、北は山林、南は岩石採取場、山の中低層部である西端には樹園地、山頂付近に至る東端は山林等が広がっている。
現地調査(前述第4の3の現地調査をいう。以下同じ。)の結果では、本件法定外道路は東西方向に伸びており、西方面の樹園地も休耕または耕作終了とされた土地が一部見られ、東方面は、耕作中の樹園地は見当たらず、見渡す限り山林となっていた。また、周辺に住居は確認できないが、近接する民有地内の通路が山頂付近に続いていることを確認した。

ウ 本件法定外道路の状況

現地調査の結果では、隣接民有地に挟まれた、人がどうにか歩行可能な幅程度で周辺の山林と一体化した状況となっている。日常的に通行している人も不明であり、かつては通路として利用されていた可能性はあるものの、現況では未舗装の路面上からも樹木が伸びるなど、人が円滑に通行するには支障があることから、道路として機能しているとは言い難い状況であった。
しかし、崩壊箇所周辺の本件法定外道路敷地には、隣接地との境界を示す国土調査法(昭和26年法律第180号)に基づく地籍調査の成果による境界標が設置されていることを確認した。
本件法定外道路の周辺では、平成30年7月6日及び12日に異常降雨が記録され、原因は明らかではないが、その一部が崩落の影響を受けている状況であった。

(3) 法定外道路の管理方法

浜松市は、法定外道路の管理は、財産管理と機能管理とにより行っている。

ア 財産管理

財産管理については、「不動産所有者としての財産的管理」であり、その手法としては、「隣接する民有地との境界を確定する行為、すなわち境界確定協議はその典型である」(實金敏明著「里道・水路・海浜」)。
現地調査では、前述(2)のとおり、崩壊箇所周辺の本件法定外道路敷地には、隣接地との境界を示す国土調査法に基づく地籍調査の成果による境界標が確認され、損傷前と変わらず設置されているのが認められた。本件法定外道路の一部に崩落があったとしても、その周辺で境界が確認できる以上、境界標をたどれば浜松市の所有権の及ぶ範囲は客観的に識別可能であることから、本件法定外道路の財産管理としては、現状で足りると判断する。
したがって、浜松市が本件法定外道路の財産管理を怠ったという事実は認められない。

イ 機能管理

浜松市では、機能管理については、必要性の度合いと予算状況に応じて対応することとしており、利用が稀である里道をはじめとする法定外道路についてなんらかの不具合が発生した場合には、法定外道路隣接地所有者などからの連絡などを契機として調査等を行い、従前の機能を復旧する等必要に応じた対応を行うこととしている。
これを本件法定外道路について当てはめてみると、本件法定外道路の現況は、人がどうにか歩行可能な幅程度で、周辺の山林と一体化した状況となっており、日常的に通行している人も不明であり、崩落箇所以外の部分についても同様であった。
一方、崩壊箇所の復旧には、多額の費用がかかることが予想される。
そうである以上、浜松市が、通行の用に供する必要性が認められない道路について、その一部の崩落があったとしても、当該崩落部分の復旧を行わないことをもって、機能管理を怠っているとは評価できない。
したがって、浜松市が本件法定外道路の機能管理を怠ったという事実は認められない。
なお、浜松市は、本件法定外道路周辺部の崩落の影響に伴い、その隣接地所有者と協議をし、崩落の影響がある本件法定外道路の財産管理及び機能復旧のための検討を行っているところである。

2 求める措置「(2)採石場敷地境界における里道等私有財産の現状確認と財産保全維持の対策。」について

(1) 請求人の求める「(2)採石場敷地境界における里道等私有財産の現状確認と財産保全維持の対策。」の内容の補足説明(陳述(前述第4の4の陳述をいう。)による)

ア 静岡県に対して

請求人は、「本里道の崩壊は、(中略)里道付近における採石部分の崩壊防止措置ができていないことに由来するのであるが、静岡県は同防止措置について許認可権者として採石法上の管理責任が存在する。すなわち、崩壊箇所の採石終了時に災害等防止措置について適切に検査するべきところ、これを怠り、全く防止措置がない状況を容認する結果となった。里道崩壊は静岡県の権限が適切に行使されない結果生じたものであるから、里道所有者である浜松市は静岡県に対し、国家賠償法上の損害賠償請求権を有する。浜松市は里道そのものの崩壊による里道所有権の価値の減少並びに里道回復措置に伴う費用について、静岡県に対し賠償請求を有するところ、その請求を怠っている。この点、適切に監査され市長が県に対して賠償請求させるべきである」と主張している。

イ 事業者に対して
(ア) 採石業者に対して

請求人は、採石業者は、「過剰な採石、及び採石後の処理として「採石技術指導基準」に反して、保全区域が設置されていないこと、同じく土砂崩壊防止のための適切な勾配が確保されず、小段が設けられず安全な斜面崩壊防止措置が講じられないことが原因している」として、浜松市に対し、「里道所有者として」採石業者に「里道回復措置を請求すること」及び「里道崩壊によって里道所有権自体が侵害され相当額の損害が生じているので、同損害について」採石業者に対し「里道そのものの崩壊による里道所有権の価値の減少並びに里道回復措置に伴う費用について、損害賠償請求すること。なお、浜松市長は違法にこの賠償請求を怠っている」と主張している。

(イ) 敷地購入予定者に対して

請求人は、「里道の回復については」、採石業者に「責任があるところ、同社は採石場を」別事業者に「売却された場合には責任追及が困難になる可能性があるため、浜松市は里道の管理を全うする為」、その購入予定者に対し、「採石場敷地の購入を断念するよう勧告すること」及び「市は、法面崩壊の危険があることから森林法、廃掃法上あらゆる許可を出さないこと」を主張している。

(2) 住民監査請求の対象となる財産の「管理」について(自治法第242条第1項)

住民監査請求の目的は、普通地方公共団体の住民が、納税者の立場から、当該普通地方公共団体がその執行機関や職員の違法又は不当な財務会計上の行為又は財産の管理を怠る事実によって損害を被ることを防止し、あるいは被った損害を回復する手段を設け、これによって当該普通地方公共団体が適正な財務会計処理を行うことを保障することである。
すなわち、住民監査請求は、普通地方公共団体の行政全般を対象とする制度ではなく、職員の具体的な財務会計上の行為又は財産の管理を怠る事実に限って、その違法又は不当を是正し、又は防止することに着目した制度である。
したがって、住民監査請求の要件について定めた自治法第242条第1項「財産の管理を怠る事実」にいう「管理」とは、当該財産的価値の低下を防ぎ良好な状態に維持・保全する財務的処理を直接の目的とする財産の管理に限られると解するのが相当である。

(3) 請求人の主張が自治法第242条第1項の財産の「管理」に該当するか

本件法定外道路の一部崩落は、平成30年7月6日及び12日の異常降雨もあり、その原因については不明である。すなわち、予期しないような自然災害であって責任を誰にも追及できない事案であるのか、あるいは、誰かの違法行為が崩落を発生させる原因となったのかは不明である。
一方、崩落が発生していてもなお、浜松市の法定外道路としての財産管理、機能管理上は、問題がないことについては、第5の「1 求める措置「(1)当該地すべりにより崩落した里道の現況調査と復旧。」」で検討したとおりである。
請求人が主張するのは、静岡県及び採石業者の違法行為の指摘と、当該違法行為の責任追及を浜松市が怠っているという指摘である。これらの指摘の前提として、浜松市には、静岡県及び採石業者に対する権限が存するとの主張であるが、仮にこれらの権限を行使したとしても、そのことによって本件法定外道路の財産的価値それ自体に直接影響、変動を生じさせるものではないと判断する。
したがって、請求人のいう、浜松市は損害賠償及び里道回復措置を請求すべきとの主張については、本件法定外道路の財産的価値に着目し、当該財産的価値の低下を防ぎ良好な状態に維持・保全する財務的処理を直接の目的とする財産の管理に該当しないことは明らかである。
そうすると、請求人の主張する各「措置」は、自治法第242条第1項にいう財産の「管理」には該当しないことから、住民監査請求の対象ではない。
また、敷地購入予定者に対する権限の行使は、その実質は、浜松市から私企業に対する公権力の発動による規制を促すものであり、その具体的内容としては、法令に根拠のない行政指導を求め、又は法令の趣旨を逸脱することを求めるものである。
したがって、請求人の求める当該措置は住民監査請求の対象ではない。

3 求める措置「(3)隣接地所有者と地元住民への里道復旧と対策について説明会の実施。」について

請求人の求める「隣接地所有者と地元住民への里道復旧と対策について説明会の実施」については、浜松市が怠る事実を改め、又は浜松市が被ったとされる損害を補填するために必要な措置とは認められない。

第6 結論

以上のとおり、平成30年7月12日に浜松市北区引佐町奥山地内で発生した地すべりによって、里道が崩落したことに関し必要な措置を求める本件請求のうち、「(1)当該地すべりにより崩落した里道の現況調査と復旧。」を求める請求については、棄却する。
「(2)採石場敷地境界における里道等私有財産の現状確認と財産保全維持の対策。」及び「(3)隣接地所有者と地元住民への里道復旧と対策について説明会の実施。」については、却下する。


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