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更新日:2025年1月22日

住民監査請求結果(令和7年1月22日)

浜松市監査委員告示第2号

令和6年11月25日に収受した浜松市職員措置請求書による住民監査請求(以下「本件請求」という。)について、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「自治法」という。)第242条第5項の規定に基づき、監査した結果を次のとおり公表する。

令和7年1月22日

浜松市監査委員 川嶋 朗夫

浜松市監査委員 佐藤 雅秀

浜松市監査委員 渥美 誠

浜松市監査委員 斉藤 晴明

第1 監査の結果

本件請求については、自治法第242条第11項の合議により、棄却するものと決定した。

第2 本件請求の内容

1 請求人の住所及び氏名

(省略)

2 請求書の収受日

令和6年11月25日

3 請求の要旨(請求人の主張)

  • (1) 請求の対象
    浜松市長が行った、不動産の鑑定評価に伴う一般財団法人日本不動産研究所浜松支所に対する支払日が令和5年11月29日の404,800円の支出(以下「本件報酬1」という。)及び支払日が令和6年2月21日の695,200円の支出(以下「本件報酬2」という。)
    No. 課等の名称 支出日 報酬
    1 都市整備部公園課 令和5年11月29日 404,800円
    2 中央区西行政センター 令和6年2月21日 695,200円
    • 備考 「課等の名称」の欄は支出日時点の課等の名称とした。
  • (2) 違法又は不当とする理由
    • ア 本件報酬1及び本件報酬2について、違法及び不当な鑑定評価書を受領し、報酬を支払っており、違法及び不当
      • 不動産の鑑定評価に関する法律に反する違法
      • 不動産の鑑定評価に関する法律施行規則に反する違法
      • 不動産の鑑定評価基準・留意事項等に反する違法
      • 民法に反し違法
      • 国土交通省の行政指導に反し違法及び不当
      • 浜松市と締結している契約(鑑定評価基準に則った鑑定評価を行う等)に反し違法及び不当な鑑定評価書を作成・提出し、債務不履行にも関わらず、報酬額を受け取っており、違法
    • イ 一般財団法人日本不動産研究所浜松支所に偏った発注をし続けて、中小企業の育成を怠ってきた浜松市の行為が、調達方針の「基本方針」に反し、違法及び不当
    • ウ 一般財団法人日本不動産研究所浜松支所に偏りの発注をし続けてきたことが、「浜松市中小企業振興基本条例」に反し、違法及び不当
    • エ 本件報酬2は、用対連の申合せ(報酬基準)に従わず、勝手な解釈で依頼書に反する形で報酬額を変更するよう話があり、職員が報酬基準に反し518,100円余計に支払っており、一般財団法人日本不動産研究所という一部の者の奉仕者となっており、地方公務員法違反
  • (3) 市に生じる損害
    違法な鑑定評価書、不当な鑑定評価書の業務の対価として、支出した報酬額全額が損害。なお、本件報酬2について、報酬額のうち518,100円が損害であり、これは必ず返還させなければならない。
  • (4) 監査委員に求める措置
    • ア 報酬額全額の返金を請求せよ。
    • イ 報酬額全額の返金がかなわないなら、その次として518,100円の返還を請求せよ。
    • ウ 報酬基準に従わず、不誠実な鑑定評価業務によって、職員を惑わした不動産鑑定士がいた一般財団法人日本不動産研究所浜松支所に、二度と発注しないこととせよ。
    • エ 浜松市中小企業振興基本条例に従っていない業者に、発注することをやめることとせよ。
    • オ 報酬基準に反し、余計に報酬額を請求してくる業者に発注するなど、浜松市の行為として、絶対にあってはならないことであり、二度と愚かな過ちを繰り返さないよう、胸に、脳裏に、パソコンに、データに、紙の記録に、監査結果に、後輩の職員たちにも絶えることなく継承できるように、あらゆる機会をとらえて刻み付けることとせよ。
    • カ 浜松市中小企業振興基本条例に従い、中小企業者の受注機会の増大に努めた結果がなければ、中小企業者以外にも発注できないよう、浜松市職員に条例遵守を徹底させることとせよ。

第3 請求の要件審査

本件請求については、形式等において自治法第242条第1項及び第2項に定める要件を満たしているとして受理した。

第4 監査の経過

1 監査対象事項

本件報酬1及び本件報酬2について監査対象とした。

2 監査対象課

財務部アセットマネジメント推進課
財務部調達課
産業部産業振興課
都市整備部公園課
中央区西行政センター

3 市長の意見書の提出

市長に対し、本件請求に対する意見を求めたところ、「住民監査請求に対する意見書について」(令和6年12月13日付け浜中西行第630号)が提出された。

4 請求人の証拠等の提出及び陳述

自治法第242条第7項の規定に基づき、請求人に対し証拠の提出及び陳述の機会を設けたところ、証拠等は、令和6年12月15日、同月23日、令和7年1月7日に提出があった。陳述は、請求人の意向により行わなかった。

5 監査対象課職員の陳述

自治法第199条第8項の規定に基づき、監査対象課の職員に対し陳述を求めたところ、令和7年1月7日に浜松市役所内第4委員会室にて本件請求に対する意見を陳述した。

第5 報酬の支出手続について

本件請求人の主張する「報酬」の支出は、本市の財務会計上は「手数料」の支出であるが、請求人の主張にならい「報酬」と読み替えて記載している。

第6 監査委員の判断

1 鑑定評価書について

請求人は、本件各鑑定評価書が不動産の鑑定評価に関する法律、不動産の鑑定評価に関する法律施行規則、不動産鑑定評価基準・留意事項等、民法及び国土交通省の行政指導に違反しており、違法及び不当と主張している。
さらに、請求人は、浜松市と締結している鑑定評価基準に則った鑑定評価を行うこと等を定める契約に反し、違法及び不当な鑑定評価書を作成・提出し、債務不履行にも関わらず、報酬を支出しており、違法と主張している。
この点、国土交通省「不動産鑑定評価基準」においては、「鑑定評価報告書は、鑑定評価の基本的事項及び鑑定評価額を表し、鑑定評価額を決定した理由を説明し、その不動産の鑑定評価に関与した不動産鑑定士の責任の所在を示すことを主旨とするものである」とされていることから、鑑定評価書の記載内容に鑑みて鑑定評価の基本的事項や鑑定評価額を決定した理由等が明確であると判断できれば、仮に不動産鑑定書の記載の一部に不備があったとしても、それをもって直ちに債務不履行ということはできない。
また、本件各鑑定評価書は、市の依頼に応じて、不動産鑑定評価に係る国家資格を有する不動産鑑定士が、その知識及び技能を用いて作成しているものであり、その記載内容に契約の目的を達することができないような重大な不適合がない以上、違法又は不当であるとは言えない。

2 不動産鑑定の報酬額について

本件報酬1については、鑑定評価依頼書において、鑑定評価報酬の額及び支払条件等は「公共事業に係る不動産鑑定報酬基準による」こととされ、これに従って算定されたものであり、違法又は不当ではない。
本件報酬2については、請求人は、市の職員は、用対連の申し合わせに従わず、勝手な解釈で報酬額を決定し、報酬基準に反し518,100円余計に支払っており、適法ではないと主張し、地方公務員法違反と主張している。
本件報酬2に係る鑑定評価の対象不動産4筆(浜松市中央区篠原町字東脇131番2ほか)は、浜松市中央区篠原町字東脇118番ほか34筆のうち中央部分を中心に位置する幅1.2メートル・長さ約250メートル・地積302.72平方メートルの帯状地であるところ、鑑定評価依頼書には、依頼目的「市有地売却のため」、価格・賃料の種類「正常価格(売買価格)」、その他の依頼条件等「⑶ 評価対象地を取得することにより、隣接地所有者が評価対象地を含む周辺土地を一体的に利用することができるものとして、価格を求めること。」と記載されている。また、「業務の目的と範囲等の確定についての確認書」においては、対象不動産を浜松市中央区篠原町字東脇118番ほか34筆のうち中央部分を中心に位置する幅1.2メートル・長さ約250メートル・地積302.72平方メートルの帯状地としたうえで、鑑定評価の条件「対象確定条件」として、「地番118番ほか34筆の一体利用を前提とした一体利用地の平均単価による対象部分の鑑定評価」及び「一部の土地は、登記簿上の所有者名が異なるが、同一所有者に帰属するものとしての併合鑑定評価」とする旨が付されている。
これらの条件を踏まえ、本件報酬2に係る鑑定評価は、対象不動産4筆の鑑定評価額の算定に当たり、まず浜松市中央区篠原町字東脇118番ほか34筆の一体利用地の取引事例比較法による比準価格を求め、当該試算価格を調整のうえ一体利用地の価格を査定した上で、一体利用地の平均単価に対象不動産4筆の数量を乗じて鑑定評価額が決定されている。
そして、報酬額については、前述の評価条件を付したことにより、一体利用地の価格の査定が必要となることを踏まえ、一体利用地の鑑定評価を依頼した場合と同等以上の業務量が発生していることを考慮し、一体利用地の査定価格をもって、「公共事業に係る不動産鑑定報酬基準について」(令和2年3月17日付け事務連絡)の別紙「公共事業に係る不動産鑑定報酬基準」(以下「報酬基準」という。)に当てはめる「評価額」として算出がなされている。これは、報酬基準では、一体利用地の平均単価による対象地部分の鑑定評価を依頼した場合に「評価額」をいくらとみて報酬額を算定すべきかが必ずしも明らかではないところ、鑑定評価依頼書の「15特記事項」では、「この依頼書の内容について疑義が生じたとき又はこの依頼書に定めのない事項については、相互協議の上、決定するものとする。」とされていることから、当該特記事項に基づき、本件鑑定評価の実態も踏まえて相互協議が行われた結果であり、これに係る報酬額の支出について、違法又は不当であるとは言えない。
したがって、本件報酬2について、職員が勝手な解釈で報酬額を決定し、報酬基準に反し518,100円余計に支払ったとは認められず、職員の行為は地方公務員法に違反するものではない。

3 業務上の支障及び損害について

本件報酬1及び本件報酬2について、提出された鑑定評価書により、現に業務に支障は発生しておらず、損害も発生していないことが認められた。

4 発注先の選定について

請求人は、一般財団法人日本不動産研究所浜松支所に偏りの発注をし続けており、浜松市中小企業振興基本条例(以下「条例」という。)に反し違法及び不当であるとし、また、偏った発注に加え、中小企業の育成を怠ってきた浜松市の行為が、調達方針の基本方針に反し、違法及び不当と主張している。
さらに、請求人は、一般財団法人日本不動産研究所が中小企業ではないにもかかわらず、中小企業者の受注機会の増大に努めることなく発注を行っており、条例違反であると主張している。
不動産鑑定評価については、契約の対価である報酬額を、当該契約の履行後に算出される鑑定評価額を報酬基準に当てはめて決定するという特性があることから、契約の性質が価格競争に適しないものであり、地方自治法施行令(昭和22年政令第16号)第167条の2第1項第2号の規定に基づく随意契約により行っている。
条例及び調達方針には中小企業者の受注機会の増大に関する努力義務等はあるものの、受注実績に対する義務規定は存在せず、公正性及び適正履行の確保などに反しない範囲で取り組むべきものである。
不動産鑑定評価に係る相手方の選定においては、信用、技術、経験など相手方の能力等を熟知のうえ選定することができるという随意契約の長所の発揮と所期の目的達成を第一義とし、条例及び調達方針についても適宜配慮したうえで個々に判断するものである。
こうした判断の一つとして、公共事業の用地買収を目的とした不動産鑑定業務については、地権者の公平性確保の目的のため、同一の公園において同一の不動産鑑定業者に依頼し、その他については、鑑定評価の実績を考慮し、適正な履行が見込める不動産鑑定業者に依頼するということもあり、かかる判断に基づく発注は不当ではない。
こうしたことから、特定の不動産鑑定業者への発注結果のみを捉えて、条例及び調達方針に反し違法又は不当であるとは言えない。

5 その他

その他の点においても、報酬の支出について違法又は不当な点は認められない。

第7 結論

以上のとおり、本件請求については理由がないと認めるため棄却する。

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