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更新日:2024年12月13日
浜松市監査委員告示第14号
令和6年10月18日に収受した浜松市職員措置請求書による住民監査請求(以下「本件請求」という。)について、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「自治法」という。)第242条第5項の規定に基づき、監査した結果を次のとおり公表する。
令和6年12月13日
浜松市監査委員 川嶋 朗夫
浜松市監査委員 佐藤 雅秀
浜松市監査委員 渥美 誠
浜松市監査委員 斉藤 晴明
本件請求については、自治法第242条第11項の合議により、一部を却下し、その他を棄却するものと決定した。
(省略)
令和6年10月18日
No. | 課名 | 支出日 | 報酬 | 不動産鑑定業者 |
---|---|---|---|---|
1 | 産業部企業立地推進課 | R5.12.27 | 88,000円 | 濱松不動産鑑定株式会社 |
2 | 市民部市民生活課 | R5.11.29 | 690,800円 | 濱松不動産鑑定株式会社 |
3 | 土木部浜名土木整備事務所 | R5.12.13 | 199,100円 | 濱松不動産鑑定株式会社 |
4 | 土木部浜名土木整備事務所 | R5.11.29 | 293,700円 | 濱松不動産鑑定株式会社 |
5 | 土木部浜名土木整備事務所 | R6.1.17 | 338,800円 | 濱松不動産鑑定株式会社 |
6 | 土木部中央土木整備事務所 | R5.11.29 | 228,800円 | 濱松不動産鑑定株式会社 |
7 | 土木部中央土木整備事務所 | R5.11.29 | 345,400円 | 濱松不動産鑑定株式会社 |
8 | 土木部中央土木整備事務所 | R5.12.27 | 228,800円 | 濱松不動産鑑定株式会社 |
9 | 土木部中央土木整備事務所 | R6.2.7 | 177,100円 | 濱松不動産鑑定株式会社 |
10 | 土木部浜名土木整備事務所 | R6.1.4 | 867,900円 | 濱松不動産鑑定株式会社 |
11 | 土木部浜名土木整備事務所 | R5.11.22 | 867,900円 | 濱松不動産鑑定株式会社 |
12 | 財務部アセットマネジメント推進課 | R5.10.11 | 44,000円 | 一般財団法人日本不動産研究所浜松支所 |
13 | 土木部中央土木整備事務所 | R6.2.28 | 676,500円 | 一般財団法人日本不動産研究所浜松支所 |
14 | 土木部浜名土木整備事務所 | R5.11.15 | 191,400円 | 一般財団法人日本不動産研究所浜松支所 |
15 | 都市整備部交通政策課 | R5.10.18 | 950,400円 | 一般財団法人日本不動産研究所浜松支所 |
16 | 天竜区区振興課 | R6.1.31 | 465,520円 | 一般財団法人日本不動産研究所浜松支所 |
17 | 学校教育部教育施設課 | R4.4.6 | 862,400円 | 一般財団法人日本不動産研究所浜松支所 |
本件請求については、自治法第242条第1項に定める要件を満たしている。
また、本件請求については、自治法第242条第2項に定める請求の期限について、本件請求書の収受日である令和6年10月18日において既に1年を経過している令和5年10月17日以前にされた支出が含まれるが、1年以内に請求できなかった正当な理由の記載がない。
そのため、自治法第242条第2項ただし書に定める正当な理由の記載がない点について補正を求め、監査のなかで適否を判断することとしたうえで本件請求を受理した。
本件報酬の支出について監査対象とした。
財務部アセットマネジメント推進課
財務部調達課
市民部市民生活課
産業部産業振興課
産業部企業立地推進課
都市整備部交通政策課
土木部中央土木整備事務所
土木部浜名土木整備事務所
天竜区区振興課
学校教育部教育施設課
請求人から提出された請求書について、その収受日である令和6年10月18日において既に1年を経過している令和5年10月17日以前にされた支出が含まれるが、1年以内に請求できなかった正当な理由の記載がなかったことから、「住民監査請求の補正について(通知)」(令和6年11月1日付け浜監第120号)を同年11月8日を提出期限として送付したところ、同月2日に、請求人から正当な理由を現在持ち合わせていないとの回答が提出された。
市長に対し、本件請求に対する意見を求めたところ、「住民監査請求に対する意見書について」(令和6年11月12日付け浜土道企第162号)が提出された。
自治法第242条第7項の規定に基づき、請求人に対し証拠の提出及び陳述の機会を設けたところ、令和6年10月28日、11月11日、同月15日、同月20日、同月25日、同月29日、12月4日に証拠等の提出があった。
請求人の陳述は、11月28日に浜松市役所内第3委員会室にて行われた。
なお、請求人の陳述の際、自治法第242条第8項の規定に基づき、監査対象課の職員を立ち会わせた。
自治法第199条第8項の規定に基づき、監査対象課の職員に対し陳述を求めたところ、令和6年11月28日に浜松市役所内第3委員会室にて本件請求に対する意見を陳述した。
なお、監査対象課の職員の陳述の際、自治法第242条第8項の規定に基づき、請求人を立ち会わせた。
本件請求の対象としている行為は、不動産の鑑定評価に伴う報酬の支出日が、令和4年4月6日から令和6年2月28日までの 17件の報酬の支出である。
また、本件請求の対象としている行為には、本件請求書の収受日である令和6年10月18日において既に1年を経過している令和5年10月17日以前にされた報酬の支出が含まれている。
以上の点を考慮し、これらの報酬の支出までの手続については、不動産鑑定依頼書に基づく契約により、以下のとおり行われたことを確認した。
なお、本件請求人の主張する「報酬」の支出は、本市の財務会計上は「手数料」の支出であるが、請求人の主張に倣い「報酬」と読み替えて記載している。
全2件、総額906,400円について、別表第1のとおり。
全15件、総額6,610,120円について、別表第2のとおり。
自治法第242条第2項本文では、同条第1項の請求の対象とされるもののうち、財務会計上の行為については、「当該行為のあった日又は終わった日から1年を経過したときは、これをすることができない」旨が規定されており、同項ただし書において「正当な理由があるときは、この限りでない。」と規定されている。
「第5 報酬の支出手続について」で確認したとおり、本件請求には当該請求書の収受日である令和6年10月18日において既に1年を経過している令和5年10月17日以前にされた報酬の支出が含まれているが、これらについて、請求人から、請求書及びその収受日以後に提出された書面において1年を経過した後に請求できる正当な理由の主張もなく、「正当な理由」は認められなかった。
よって、本件請求書の収受日において既に1年を経過している令和5年10月17日以前にされた別表第1に掲げる報酬の支出に係る請求は、自治法第242条第2項の要件を満たさず、不適法である。
(1) 鑑定評価書の記載事項について
請求人は、不動産の鑑定評価に関する法律及び同法施行規則について、鑑定評価額の決定の理由の要旨が記載されていない(理由の要旨として掲げられている記載項目が欠けている)鑑定評価書が提出されており、違法と主張している。
鑑定評価書の記載事項については、不動産の鑑定評価に関する法律や、同法施行規則、国土交通省「不動産鑑定評価基準」(以下「鑑定評価基準」という。)に規定されている。
鑑定評価基準においては、「鑑定評価報告書は、鑑定評価の基本的事項及び鑑定評価額を表し、鑑定評価額を決定した理由を説明し、その不動産の鑑定評価に関与した不動産鑑定士の責任の所在を示すことを主旨とするものである」とされており、鑑定評価の過程において採用した価格形成要因や鑑定評価の手法の適用の判断等に関する事項を明確にすることを目的として、記載事項のひとつとして、鑑定評価額の決定の理由の要旨が掲げられている。
この点、別表第2のうち2から11までについては、鑑定評価基準に理由の要旨として掲げられた記載項目どおりの記載の形式にはなっていないものの、類似の記載や、基準、留意事項の趣旨に沿った記載がされており、理由の要旨としての内容は充足されている。また、鑑定評価の過程において採用した価格形成要因や鑑定評価の手法の適用の判断等の結果、業務に支障は生じていない。
以上より、鑑定評価書の記載事項が鑑定評価基準記載の形式に沿っていない案件があるものの、鑑定評価書作成の主旨は満たされており、違法又は不当であるとまでは言えない。
(2) 国土交通省ガイドラインに定める確認書の交付について
請求人は、国土交通省「不動産鑑定士が不動産に関する価格等調査を行う場合の業務の目的と範囲等の確定及び成果報告書の記載事項に関するガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)に反し、鑑定評価業務締結前の確認書等の交付を行っていない事案があり、違法と主張している。
確認書等の交付については、ガイドラインにおいて、不動産鑑定士は業務の目的と範囲等を依頼者に確認した上で確定させ、不動産鑑定業者は契約の締結までに、ガイドラインに定める事項を明記した文書等を依頼者に交付するものとされている。
この点、別表第2のうち3から8までについては、確認書が交付されていないことが確認されたが、確認書が交付されていないという理由のみで当該鑑定評価書が無効となるものではない。そもそも確認書を交付させる趣旨は、依頼者と不動産鑑定士の間で業務の目的や範囲等について確定して認識を一致させることにあるが、鑑定評価依頼書の交付や口頭での確認により、市と不動産鑑定士の間で、確認書に記載すべき業務の目的や範囲等の確定はされており、結果として、その後の鑑定評価書作成においても支障は生じていないことが認められた。
したがって、確認書が交付されていないこれらの案件についても、違法又は不当であるとまでは言えない。
(3) 鑑定評価基準に則った鑑定評価について
請求人は、浜松市と締結している鑑定評価基準に則った鑑定評価を行うことを定める契約に反し、違法及び不当な鑑定評価書を作成・提出し、債務不履行にも関わらず、報酬を支出しており、違法と主張している。
この点、別表第2の15件の中には、鑑定評価基準が定める記載事項について軽微な不備が確認された案件はあるものの、上述のとおり、「鑑定評価報告書は、鑑定評価の基本的事項及び鑑定評価額を表し、鑑定評価額を決定した理由を説明し、その不動産の鑑定評価に関与した不動産鑑定士の責任の所在を示すことを主旨とするものである」とされていることから、鑑定評価書の記載内容に鑑みて鑑定評価の基本的事項や鑑定評価額を決定した理由等が明確であると判断できれば、たとえ軽微な不備があったとしても、それをもって直ちに債務不履行ということはできない。
また、軽微な不備が確認された案件についても、鑑定評価書の記載内容に鑑みれば、鑑定評価の基本的事項や鑑定評価額を決定した理由は明確であるといえる。また、実質的に業務への支障及び損害も発生していない。
鑑定評価書は、市の依頼に応じて、不動産鑑定評価に係る国家資格を有する不動産鑑定士が、その知識及び技能を用いて作成しているものであり、その記載内容に契約の目的を達することができないような重大な不適合がない以上、違法又は不当であるとは言えない。
(4) 不動産鑑定の報酬額について
請求人は、不動産鑑定の報酬額算定について、用対連の申し合わせに従わず、報酬額を決定しており、違法と主張している。
報酬額は、「公共事業に係る不動産鑑定報酬基準について」(令和2年3月17日付け中央用対第13 号)の別紙「公共事業に係る不動産鑑定報酬基準」(以下「報酬基準」という。)に基づいて算出することが、中央用地対策連絡協議会事務局長からの申し合わせ事項として、各地区用地対策連絡協議会に通知されている。
本市は、中部地区用地対策連絡協議会の会員であり、市が契約に臨む際の報酬額の算出は、報酬基準に基づくことを通例としている。
この点、別表第2のうち1、2、4、5、6、8、10、11及び16については、基本的には報酬基準に基づいて報酬額が算定されているものの、一部で報酬基準に具体的に定めのない調整や割引の不適用(以下「調整等」という。)が行われている例が認められた。
しかしながら、調整等は、市と相手方との合意により決められたものであり、合意により決定した報酬額の支出についても市の規定に則り決裁を受けている。また、調整等により違法又は不当な鑑定評価書が作成・提出されたというわけではないことから、報酬基準に具体的に定めのない調整等が行われたとしても、そのことをもって、直ちに違法又は不当であるとは言えない。
(5) 業務上の支障及び損害について
本件報酬の別表第2の15件について、提出された鑑定評価書により、現に業務に支障は発生しておらず、損害も発生していないことが認められた。
(6)発注先の選定について
請求人は、濱松不動産鑑定株式会社を優遇し、圧倒的な偏りの発注を続けており、浜松市中小企業振興基本条例(以下「条例」という。)に反し違法及び不当であるとし、また、優遇や偏りに加え、中小企業の育成を怠ってきた浜松市の行為が、財務部調達課の調達方針(以下「調達方針」という。)の基本方針に反し、違法及び不当と主張している。
さらに、請求人は、一般財団法人日本不動産研究所が中小企業ではないにもかかわらず、中小企業者の受注機会の増大に努めることなく発注を行っており、条例違反であると主張している。
不動産鑑定評価については、契約の対価である報酬額を、当該契約の履行後に算出される鑑定評価額を報酬基準に当てはめて決定するという特性があることから、契約の性質が価格競争に適しないものであり、自治法施行令第167条の2第1項第2号の規定に基づく随意契約により行っている。
条例及び調達方針には中小企業者の受注機会の増大に関する努力義務等はあるものの、受注実績に対する義務規定は存在せず、経済合理性や公平性などに反しない範囲で取り組むべきものである。
不動産鑑定評価に係る相手方の選定においては、信用、技術、経験など相手方の能力等を熟知のうえ選定することができるという随意契約の長所の発揮と所期の目的達成を第一義とし、条例及び調達方針についても適宜配慮したうえで個々に判断するものである。
こうした判断の一つとして、公共事業の用地買収を目的とした不動産鑑定業務については、地権者の公平性確保の目的のため、同一路線において同一の不動産鑑定業者に依頼し、その他については、鑑定評価の実績を考慮し、適正な履行が見込める不動産鑑定業者に依頼するということもあり、かかる判断に基づく発注は不当ではない。
こうしたことから、特定の不動産鑑定業者への発注結果のみを捉えて、条例及び調達方針に反し違法又は不当であるとは言えない。
その他の点においても、報酬の支出について違法又は不当な点は認められない。
以上のとおり、本件請求のうち別表第1に掲げるものについては、報酬の支出が1年を経過していることから、自治法第242条第2項の要件を満たさず、不適法であると認めるため却下する。
また、別表第2に掲げる報酬の支出が1年を経過していないものについては、理由がないと認めるため棄却する。
No. | 課名 | 支出日 | 報酬 | 不動産鑑定業者 |
---|---|---|---|---|
12 | 財務部アセットマネジメント推進課 | R5.10.11 | 44,000円 | 一般財団法人日本不動産研究所浜松支所 |
17 | 学校教育部教育施設課 | R4.4.6 | 862,400円 | 一般財団法人日本不動産研究所浜松支所 |
計 2件 | 906,400円 |
No. | 課名 | 支出日 | 報酬 | 不動産鑑定業者 |
---|---|---|---|---|
1 | 産業部企業立地推進課 | R5.12.27 | 88,000円 | 濱松不動産鑑定株式会社 |
2 | 市民部市民生活課 | R5.11.29 | 690,800円 | 濱松不動産鑑定株式会社 |
3 | 土木部浜名土木整備事務所 | R5.12.13 | 199,100円 | 濱松不動産鑑定株式会社 |
4 | 土木部浜名土木整備事務所 | R5.11.29 | 293,700円 | 濱松不動産鑑定株式会社 |
5 | 土木部浜名土木整備事務所 | R6.1.17 | 338,800円 | 濱松不動産鑑定株式会社 |
6 | 土木部中央土木整備事務所 | R5.11.29 | 228,800円 | 濱松不動産鑑定株式会社 |
7 | 土木部中央土木整備事務所 | R5.11.29 | 345,400円 | 濱松不動産鑑定株式会社 |
8 | 土木部中央土木整備事務所 | R5.12.27 | 228,800円 | 濱松不動産鑑定株式会社 |
9 | 土木部中央土木整備事務所 | R6.2.7 | 177,100円 | 濱松不動産鑑定株式会社 |
10 | 土木部浜名土木整備事務所 | R6.1.4 | 867,900円 | 濱松不動産鑑定株式会社 |
11 | 土木部浜名土木整備事務所 | R5.11.22 | 867,900円 | 濱松不動産鑑定株式会社 |
13 | 土木部中央土木整備事務所 | R6.2.28 | 676,500円 | 一般財団法人日本不動産研究所浜松支所 |
14 | 土木部浜名土木整備事務所 | R5.11.15 | 191,400円 | 一般財団法人日本不動産研究所浜松支所 |
15 | 都市整備部交通政策課 | R5.10.18 | 950,400円 | 一般財団法人日本不動産研究所浜松支所 |
16 | 天竜区区振興課 | R6.1.31 | 465,520円 | 一般財団法人日本不動産研究所浜松支所 |
計 15件 | 6,610,120円 |
備考 上記に掲げる財務会計上の行為が1年を経過しているかについては、支出日を基準として判断した。
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