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更新日:2021年2月26日
浜松市監査委員告示第2号
令和3年1月4日に収受した浜松市職員措置請求書による住民監査請求(以下「本件請求」という。)について、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「自治法」という。)第242条第5項の規定に基づき、監査した結果を次のとおり公表する。
令和3年2月26日
浜松市監査委員 鈴木 利享
浜松市監査委員 佐藤 雅秀
浜松市監査委員 髙林 修
浜松市監査委員 斉藤 晴明
本件請求については、自治法第242条第11項の合議により次のように決定した。
(省略)
令和3年1月4日
請求人の請求の要旨は、次のとおりである。
市長に対し、浜松市が支出した費用相当額(計31万2,978円)を中日本高速道路株式会社から回収するよう勧告すること。
本件請求については、形式等において自治法第242条第1項に定める要件を満たしている。
また、令和元年度分委託料に係る請求については、自治法第242条第2項に規定する請求の期限について令和元年度分委託料の支出から1年が経過しているが、1年以内に監査請求できなかった理由の記載がある。
そのため、令和元年度分委託料に係る請求に関しての自治法第242条第2項に規定する請求の期限については監査のなかで適否を判断することとしたうえで、本件請求を受理した。
(1) 令和元年度分委託料に係る請求について
令和元年度分委託料の支出について、監査対象とした。
(2) 令和2年度分委託料に係る請求について
令和2年度分委託料の支出について、監査対象とした。
土木部北土木整備事務所
監査委員のうち3人が、令和3年1月20日、本件請求に係る本件赤色範囲等の状況について確認するため、現地調査を実施した。
自治法第242条第7項の規定に基づき、請求人に対し証拠の提出及び陳述の機会を設けたところ、請求人は、令和3年2月3日に浜松市役所内第3委員会室にて本件請求の趣旨を陳述した。
なお、請求人の陳述の際、自治法第242条第8項の規定に基づき、監査対象課等の職員を立ち会わせた。
市長に対し、本件請求に対する意見を求めたところ、意見書が提出された。
1 令和元年度分委託料に係る請求について
自治法第242条第2項は「前項の規定による請求は、当該行為のあった日又は終わった日から1年を経過したときは、これをすることができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない」と定めているが、本件請求の時点で、令和元年度分委託料の支出のあった日から1年を経過している。
請求人は、令和元年7月末に下請けとして実際の除草作業を行った会社に対して除草金額を確認したが拒否され、令和2年9月中旬に北土木整備事務所に対して除草金額の提示を求めたが拒否され、同月15日に北土木整備事務所から除草作業の費用を教えてもらうには、浜松市情報公開条例(平成13年浜松市条例第32号)により公文書開示請求をするよう回答を受けたという経緯により時間を要したため、自治法第242条第2項ただし書に規定する正当な理由があると主張する。
自治法第242条第2項ただし書に規定する正当な理由の有無は、普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査を尽くしても客観的にみて監査請求をするに足りる程度に当該行為の存在又は内容を知ることができなかった場合には、特段の事情のない限り、普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて上記の程度に当該行為の存在及び内容を知ることができたと解される時から相当な期間内に監査請求をしたかどうかによって判断すべきものであると解されている(最高裁第一小法廷平成14年9月12日判決)。
そして、通常の注意力でなく相当の注意力をもってする調査を正当な理由の有無の判断基準としていることの趣旨を考慮すると、住民が相当の注意力をもってする調査については、マスコミ報道や広報誌等によって受動的に知った情報だけに注意を払っていれば足りるものではなく、住民であれば誰でもいつでも閲覧できる情報等については、それが閲覧等をすることができる状態に置かれれば、そのころには住民が相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて知ることができるものというべきであると解されている(東京高裁平成19年2月14日判決)。
請求人は、本件請求において、「令和元年7月末に下請けとして実際の除草作業を行った会社に対して除草金額を確認したが拒否された」と主張し、また、陳述の中で、具体的な日付までの記憶は無いものの、発言内容からして、令和元年7月末の時点では、浜松市が委託により本件赤色範囲の除草を行ったことを知っていたと認められる。
そして、このことを手がかりとして、浜松市情報公開条例により公文書の公開請求を行い、本件請求の添付書類別紙3として提出された「平成31年度北区道路等維持補修(浜松北地区)業務精算書」の公開を受けることにより、客観的にみて監査請求をするに足りる程度に令和元年度分委託料の存在及び内容を知ることができたと言える。
そうすると、遅くとも、令和元年7月末頃には、請求人が相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて監査請求をするに足りる程度に令和元年度分委託料の存在及び内容を知ることができたと認められ、その支出の日から自治法第242条第2項に規定する請求期限である令和2年9月18日までには、1年の期間があることから、当該期限を経過して行われた令和元年度分委託料に係る請求には、同項ただし書に規定する正当な理由がない。
よって、令和元年度分委託料に係る請求は、自治法第242条第2項に規定する請求期限を経過した不適法な請求であるといわざるを得ない。
2 令和2年度分委託料に係る請求について
本件赤色範囲は、浜松市が道路法(昭和27年法律第180号)第16条第1項の規定により道路管理者として管理する市道の区域である。
道路の管理については、道路法第42条第1項で「道路管理者は、道路を常時良好な状態に保つように維持し、修繕し、もって一般交通に支障を及ぼさないように努めなければならない」と定められ、その費用の負担については、同法第49条で「道路の管理に関する費用は、この法律及び公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法並びに他の法律に特別の規定がある場合を除くほか、当該道路の道路管理者の負担とする」と定められており、本件赤色範囲の除草を道路管理者である浜松市が管理のために必要な行為として自らの費用で行ったものである。
また、請求人は、本件赤色範囲を含む本件緑色範囲の除草を中日本高速道路株式会社が行うことを請求人に対し約束したと陳述において主張しているが、本件赤色範囲の除草について、浜松市が実施すべきでないことを証明する根拠資料の提出はなく、浜松市と同社との間において同社が実施するとの合意をしている事実も認められない。
よって、本件赤色範囲の除草の委託に係る費用として令和2年度分委託料を支出したことは、違法又は不当とは言えない。
その他の点においても、令和2年度分委託料の支出について違法又は不当な点は認められない。
以上のとおり、令和元年度分委託料に係る請求については自治法第242条第2項に規定する請求期限を経過した不適法な請求であるため却下し、令和2年度分委託料に係る請求については当該請求に理由がないと認めるため棄却する。
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