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更新日:2020年11月20日

住民監査請求結果(令和2年11月20日)1

浜松市監査委員告示第11号

令和2年9月24日に提出された浜松市職員措置請求書による住民監査請求(以下「本件請求」という。)について、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「自治法」という。)第242条第5項の規定に基づき、監査した結果を次のとおり公表する。

令和2年11月20日

浜松市監査委員 鈴木 利享

浜松市監査委員 佐藤 雅秀

浜松市監査委員 髙林 修

浜松市監査委員 斉藤 晴明

第1 監査の結果

本件請求については、自治法第242条第11項の合議により次のように決定した。

  1. 令和2年4月8日にスズキ株式会社(以下「スズキ」という。)及び株式会社スズキ部品製造(以下「スズキ部品製造」という。)に交付した計34億5,102万8,000円の企業立地促進事業費補助金(以下「本件補助金1」という。)に係る請求については、棄却する。
  2. 平成25年12月25日、平成27年2月25日、平成28年2月24日、平成29年2月22日、平成30年2月28日及び平成31年2月27日にスズキに交付した計9億432万300円の企業立地促進事業費補助金及び企業立地奨励費補助金(以下これらを「本件補助金2」という。) に係る請求については、却下する。

第2 本件請求の内容

1 請求人の住所及び氏名

請求人A(省略)

2 請求書の提出日

令和2年9月24日

3 請求の要旨(請求人の主張)

請求人の請求の要旨は、次のとおりである。

(1) 本件補助金1に係る請求について

  • ア 浜松市企業立地支援事業費補助金交付要綱(平成23年4月1日施行。以下「平成23年要綱」という。)第5条第5号キで補助金の交付要件として「申請時点においてコンプライアンス違反のないこと」を掲げているが、スズキは申請時点においてコンプライアンス違反が継続していた。
  • イ アにより、平成23年要綱に反する本件補助金1の交付は、違法である。
  • ウ さらに、アにより、本件補助金1の交付は、自治法第2条第14項、自治法第232条の2、地方財政法(昭和23年法律第109号)第4条第1項、浜松市補助金交付規則(昭和55年浜松市規則第17号)第3条第1項の規定にも反し、違法である。
  • エ その他、本件補助金1の交付に至る過程において、平成23年要綱で定められた補助額の上限を超える場合の市長特認の適用や事業期間延長申請の認定について、不適正な点がある。

(2) 本件補助金2に係る請求について

  • ア 浜松市企業立地支援事業費補助金交付要綱(平成21年4月1日施行。以下「平成21年要綱」という。)第5条第5号オで補助金の交付要件として「申請時点においてコンプライアンス違反のないこと」を掲げているが、スズキはコンプライアンス違反の真っ只中にあった。
  • イ アにより、平成21年要綱に反する本件補助金2の交付は、違法である。

4 監査委員に求める措置

(1) 本件補助金1に係る請求について

市長に対し、スズキ及びスズキ部品製造に対する補助金の交付決定を取り消してその返還を命じるよう勧告すること。

(2) 本件補助金2に係る請求について

市長に対し、スズキに対する補助金の交付決定を取り消してその返還を命じるよう勧告すること。

第3 請求の要件審査

本件請求については、形式等において自治法第242条第1項に定める要件を満たしている。
また、本件補助金2に係る請求については、自治法第242条第2項に規定する請求の期限について本件補助金2の交付から1年が経過しているが、1年以内に監査請求できなかった理由の記載がある。
そのため、本件補助金2に係る請求に関しての自治法第242条第2項に規定する請求の期限については監査のなかで適否を判断することとしたうえで、本件請求を受理した。

第4 監査の経過

1 監査対象事項

(1) 本件補助金1に係る請求について

本件補助金1の交付について監査対象とした。

(2) 本件補助金2に係る請求について

本件補助金2の交付について監査対象とした。

2 監査対象課

産業部企業立地推進課

3 請求人の証拠の提出及び陳述

自治法第242条第7項の規定に基づき、請求人に対し証拠の提出及び陳述の機会を設けたところ、令和2年10月19日に証拠の提出があり、同月28日に浜松市役所内第3委員会室にて本件請求の趣旨を陳述した。
なお、請求人の陳述の際、自治法第242条第8項の規定に基づき、監査対象課の職員を立ち会わせた。

4 監査対象課の意見書の提出及び陳述

監査対象課に対し、本件請求に対する意見を求めたところ、浜松市長名で令和2年10月15日付け(浜産企第144号)「住民監査請求に対する意見書について」が提出された。
また、自治法第199条第8項の規定に基づき、監査対象課の職員に対し陳述を求めたところ、令和2年10月28日に浜松市役所内第3委員会室にて本件請求に対する意見を陳述した。
なお、監査対象課の職員の陳述の際、自治法第242条第8項の規定に基づき、請求人を立ち会わせた。

第5 本件補助金1及び本件補助金2の交付手続について

1 本件補助金1の交付までの手続は、以下のとおり行われたことを確認した。

(1) 都田地区工場用地北ブロック分

年月日 事項
平成23年11月11日 スズキが、平成23年要綱第7条第1項の規定により、企業立地促進事業着手届出書を浜松市長に提出。
  • 設置する工場等の名称:(仮称) 浜松技術センター
  • 事業の内容:輸送用機械器具製造業
  • 用地取得契約予定日:平成23年12月16日
  • 建物建築工事請負契約予定日:平成24年7月2日
  • 工場等完成予定年月:平成28年11月
  • 敷地面積:91,166.79平方メートル
  • 用地取得費:25億9,000万円(浜松市市有地を取得)
  • 建物・設備投資予定額:204億800万円(平成23年要綱第4条第15号の大型特例に該当)
平成23年11月11日 スズキが、浜松市都田地区工場用地北ブロックの買受けについて、浜松市と土地売買の仮契約を締結(平成23年12月16日浜松市議会の議決により本契約となる。)。
平成25年5月10日 スズキが、平成23年要綱第7条第2項の規定により、企業立地促進事業着手変更届出書を浜松市長に提出。
  • 設置する工場等の名称:スズキ部品
  • 事業の内容:輸送用機械器具製造業
  • 用地取得契約日:平成23年12月16日
  • 建物建築工事請負契約予定日:平成25年5月15日
  • 工場等完成予定年月:平成28年11月
  • 敷地面積:91,166.79平方メートル
  • 用地取得費:25億9,000万円(浜松市市有地を取得)
  • 建物・設備投資予定額:89億8,600万円(平成23年要綱第4条第15号の大型特例に該当)
平成28年12月15日 スズキが、用地取得契約日から5年以内に業務を開始できないことについて平成23年要綱第5条の規定による承認を受けるため、事業期間延長申請書を浜松市長に提出。浜松市長は、業務開始期限を令和元年6月30日まで延長することについて承認。
平成30年8月27日 スズキが、平成23年要綱第8条の規定により、予算措置依頼書(計7億6,106万5,000円)を浜松市長に提出。
令和元年6月28日 スズキ及びスズキ部品製造が、平成23年要綱第9条第1項の規定により、企業立地促進事業費交付申請書(計11億1,786万7,000円)を浜松市長に提出。
令和2年3月16日 浜松市長が、平成23年要綱第10条第1項の規定により、スズキ及びスズキ部品製造に対し、補助金交付決定(企業立地促進事業費分・計9億2,457万7,000円)。
スズキ分(計5億4,138万8,000円)
  • 用地取得費に係る補助金
    25億9,000万円(用地取得費)×20%(平成23年要綱第6条第1項第1号ア(ア)の取得用地面積20,000平方メートル以上及び(イ)の市有地取得に該当)=5億1,800万円(平成23年要綱第6条第2項の市長特認に該当し、4億円の上限の適用除外)
  • 設備投資費に係る補助金
    2億3,388万320円(設備投資費:補助対象とならない部分を除外)×10%(平成23年要綱第6条第1項第2号オ)=2,338万8,000円(1,000円未満切捨て)
スズキ部品製造分(3億8,318万9,000円)
  • 設備投資費に係る補助金
    88億3,189万1,223円(設備投資費:補助対象とならない部分を除外)×10%(平成23年要綱第6条第1項第2号オ)-5億円(静岡県補助分)=3億8,318万9,000円(1,000円未満切捨て)
令和2年3月17日 浜松市長が、スズキ及びスズキ部品製造から平成23年要綱第13条の規定により提出された実績報告書(企業立地促進事業の完了日:令和元年6月30日)を受け、平成23年要綱第14条の規定により、補助金(企業立地促進事業費分)の額を交付決定額と同額で確定。
令和2年3月24日 浜松市長が、スズキ及びスズキ部品製造から平成23年要綱第15条第2項の規定により提出された請求書を受け、両社に対する補助金(企業立地促進事業費分)について、浜松市会計管理者に対し支出命令を行う。
令和2年4月8日 浜松市会計管理者が、スズキ及びスズキ部品製造に対し、補助金(企業立地促進事業費分)の支払を行う。
スズキ分(計5億4,138万8,000円)
  • 用地取得費に係る補助金 5億1,800万円
  • 設備投資費に係る補助金 2,338万8,000円
スズキ部品製造分(3億8,318万9,000円)
  • 設備投資費に係る補助金 3億8,318万9,000円

(2) 都田地区工場用地南ブロック分

年月日 事項
平成24年4月10日 スズキが、平成23年要綱第7条第1項の規定により、企業立地促進事業着手届出書を浜松市長に提出。
  • 設置する工場等の名称:(仮称) 浜松工場
  • 事業の内容:輸送用機械器具製造業
  • 用地取得契約予定日:平成24年6月15日
  • 建物建築工事請負契約予定日:平成24年7月2日
  • 工場等完成予定年月:平成29年5月
  • 敷地面積:176,824.32平方メートル
  • 用地取得費:49億434万3,000円(浜松市市有地を取得)
  • 建物・設備投資予定額:223億9,500万円(平成23年要綱第4条第15号の大型特例に該当)
平成24年4月10日 スズキが、浜松市都田地区工場用地南ブロックの買受けについて、浜松市と土地売買の仮契約を締結(平成24年6月15日浜松市議会の議決により本契約となる。)。
平成25年5月10日 スズキが、平成23年要綱第7条第2項の規定により、企業立地促進事業着手変更届出書を浜松市長に提出。
  • 設置する工場等の名称:二輪工場・二輪技術センター
  • 事業の内容:輸送用機械器具製造業
  • 用地取得契約日:平成24年6月15日
  • 建物建築工事請負契約予定日:平成25年5月15日
  • 工場等完成予定年月:平成29年5月
  • 敷地面積:176,824.32平方メートル
  • 用地取得費:49億434万3,000円(浜松市市有地を取得)
  • 建物・設備投資予定額:443億4,300万円(平成23年要綱第4条第15号の大型特例に該当)
平成28年12月15日 スズキが、用地取得契約日から5年以内に業務を開始できないことについて平成23年要綱第5条の規定による承認を受けるため、事業期間延長申請書を浜松市長に提出。浜松市長は、業務開始期限を令和元年6月30日まで延長することについて承認。
平成30年8月27日 スズキが、平成23年要綱第8条の規定により、予算措置依頼書(計29億8,086万8,000円)を浜松市長に提出。
令和元年6月28日 スズキが、平成23年要綱第9条第1項の規定により、企業立地促進事業費交付申請書(計28億1,839万6,000円)を浜松市長に提出。
令和2年3月16日 浜松市長が、平成23年要綱第10条第1項の規定により、スズキに対し、補助金交付決定(企業立地促進事業費分・計25億2,645万1,000円)。
  • 用地取得費に係る補助金
    49億434万3,000円(用地取得費)×20%(平成23年要綱第6条第1項第1号ア(ア)の取得用地面積20,000平方メートル以上及び(イ)の市有地取得に該当)=9億8,086万8,000円(1,000円未満切捨て、平成23年要綱第6条第2項の市長特認に該当し、4億円の上限の適用除外)
  • 設備投資費に係る補助金
    254億5,583万5,733円(設備投資費:補助対象とならない部分を除外)×10%(平成23年要綱第6条第1項第2号オ)-10億円(静岡県補助分)=15億4,558万3,000円(1,000円未満切捨て)
令和2年3月17日 浜松市長が、スズキから平成23年要綱第13条の規定により提出された実績報告書(企業立地促進事業の完了日:令和元年6月30日)を受け、平成23年要綱第14条の規定により、補助金(企業立地促進事業費分)の額を交付決定額と同額で確定。
令和2年3月24日 浜松市長が、スズキから平成23年要綱第15条第2項の規定により提出された請求書を受け、同社に対する補助金(企業立地促進事業費分)について、浜松市会計管理者に対し支出命令を行う。
令和2年4月8日 浜松市会計管理者が、スズキに対し、補助金(企業立地促進事業費分)の支払を行う。
計25億2,645万1,000円
  • 用地取得費に係る補助金 9億8,086万8,000円
  • 設備投資費に係る補助金 15億4,558万3,000円

2 本件補助金2の交付までの手続は、以下のとおり行われたことを確認した。

年月日 事項
平成21年7月27日 スズキが、平成21年要綱第7条第1項の規定により、企業立地促進事業着手届出書を浜松市長に提出。
  • 設置する工場等の名称:No.5実験棟、No.4動力計棟増築
  • 事業の内容:四輪車開発
  • 建物建築工事請負契約予定日:平成21年7月31日
  • 工場等完成予定年月:平成25年3月
  • 建物・設備投資予定額:112億4,500万円(平成21年要綱第4条第14号の大型特例に該当)
平成21年7月31日 スズキが、No.5実験棟の建設について、工事請負契約を締結。
平成21年9月23日 スズキが、No.4動力計棟の増築について、工事請負契約を締結。
平成24年7月4日 スズキが、平成21年要綱第8条の規定により、予算措置依頼書(6億9,857万2,000円)を浜松市長に提出。
平成25年10月29日 スズキが、平成21年要綱第9条第1項の規定により、企業立地促進事業費補助金交付申請書(6億8,109万円)を浜松市長に提出。
平成25年10月29日 浜松市長が、平成21年要綱第10条第1項の規定により、スズキに対し、補助金交付決定(企業立地促進事業費分・6億8,109万円)。
  • 設備投資費に係る補助金
    68億1,090万3,492円(設備投資費)×10%(平成21年要綱第6条第1項第2号エ)=6億8,109万円(1,000円未満切捨て)
平成25年11月21日 浜松市長が、スズキから平成21年要綱第13条の規定により提出された実績報告書(企業立地促進事業の完了日:平成25年10月31日)を受け、平成21年要綱第14条の規定により、補助金(企業立地促進事業費分)の額を交付決定額と同額で確定。
平成25年12月5日 浜松市長が、スズキから平成21年要綱第15条第2項の規定により提出された請求書を受け、同社に対する補助金(企業立地促進事業費分)について、浜松市会計管理者に対し支出命令を行う。
平成25年12月25日 浜松市会計管理者が、スズキに対し、補助金(企業立地促進事業費分・6億8,109万円)の支払を行う。
平成26年6月11日 スズキが、平成21年要綱第24条の規定により、企業立地奨励費交付申請書(初年度分・6,181万7,500円)を浜松市長に提出。
平成26年6月11日 浜松市長が、平成21年要綱第25条の規定により、スズキに対し、補助金交付決定(企業立地奨励費初年度分・6,181万7,500円)。
  • 固定資産税相当額 5,292万800円
  • 都市計画税相当額 219万8,800円
  • 事業所税(資産割)相当額 669万7,900円
平成27年1月21日 浜松市長が、スズキから平成21年要綱第29条の規定により提出された実績報告書を受け、平成21年要綱第30条の規定により、補助金(企業立地奨励費初年度分)の額を交付決定額と同額で確定。
平成27年2月5日 浜松市長が、スズキから平成21年要綱第31条第2項の規定により提出された請求書を受け、同社に対する補助金(企業立地奨励費初年度分)について、浜松市会計管理者に対し支出命令を行う。
平成27年2月25日 浜松市会計管理者が、スズキに対し、補助金(企業立地奨励費初年度分・6,181万7,500円)の支払を行う。
平成27年12月9日 スズキが、平成21年要綱第24条の規定により、企業立地奨励費交付申請書(2年度分・5,054万6,400円)を浜松市長に提出。
平成27年12月25日 浜松市長が、平成21年要綱第25条の規定により、スズキに対し、補助金交付決定(企業立地奨励費2年度分・5,054万6,400円)。
  • 固定資産税相当額 4,166万7,300円
  • 都市計画税相当額 218万1,200円
  • 事業所税(資産割)相当額 669万7,900円
平成28年2月8日 浜松市長が、スズキから平成21年要綱第29条の規定により提出された実績報告書を受け、平成21年要綱第30条の規定により、補助金(企業立地奨励費2年度分)の額を交付決定額と同額で確定。
平成28年2月9日 浜松市長が、スズキから平成21年要綱第31条第2項の規定により提出された請求書を受け、同社に対する補助金(企業立地奨励費2年度分)について、浜松市会計管理者に対し支出命令を行う。
平成28年2月24日 浜松市会計管理者が、スズキに対し、補助金(企業立地奨励費2年度分・5,054万6,400円)の支払を行う。
平成28年12月7日 スズキが、平成21年要綱第24条の規定により、企業立地奨励費交付申請書(3年度分・4,247万3,200円)を浜松市長に提出。
平成28年12月9日 浜松市長が、平成21年要綱第25条の規定により、スズキに対し、補助金交付決定(企業立地奨励費3年度分・4,247万3,200円)。
  • 固定資産税相当額 3,359万4,100円
  • 都市計画税相当額 218万1,200円
  • 事業所税(資産割)相当額 669万7,900円
平成29年2月2日 浜松市長が、スズキから平成21年要綱第29条の規定により提出された実績報告書を受け、平成21年要綱第30条の規定により、補助金(企業立地奨励費3年度分)の額を交付決定額と同額で確定。
平成29年2月13日 浜松市長が、スズキから平成21年要綱第31条第2項の規定により提出された請求書を受け、同社に対する補助金(企業立地奨励費3年度分)について、浜松市会計管理者に対し支出命令を行う。
平成29年2月22日 浜松市会計管理者が、スズキに対し、補助金(企業立地奨励費3年度分・4,247万3,200円)の支払を行う。
平成29年6月19日 スズキが、平成21年要綱第24条の規定により、企業立地奨励費交付申請書(4年度分・3,653万1,300円)を浜松市長に提出。
平成29年6月21日 浜松市長が、平成21年要綱第25条の規定により、スズキに対し、補助金交付決定(企業立地奨励費4年度分・3,653万1,300円)。
  • 固定資産税相当額 2,765万2,200円
  • 都市計画税相当額 218万1,200円
  • 事業所税(資産割)相当額 669万7,900円
平成30年1月30日 浜松市長が、スズキから平成21年要綱第29条の規定により提出された実績報告書を受け、平成21年要綱第30条の規定により、補助金(企業立地奨励費4年度分)の額を交付決定額と同額で確定。
平成30年2月9日 浜松市長が、スズキから平成21年要綱第31条第2項の規定により提出された請求書を受け、同社に対する補助金(企業立地奨励費4年度分)について、浜松市会計管理者に対し支出命令を行う。
平成30年2月28日 浜松市会計管理者が、スズキに対し、補助金(企業立地奨励費4年度分・3,653万1,300円)の支払を行う。
平成30年6月21日 スズキが、平成21年要綱第24条の規定により、企業立地奨励費交付申請書(5年度分・3,186万1,900円)を浜松市長に提出。
平成30年7月3日 浜松市長が、平成21年要綱第25条の規定により、スズキに対し、補助金交付決定(企業立地奨励費5年度分・3,186万1,900円)。
  • 固定資産税相当額 2,298万7,200円
  • 都市計画税相当額 217万6,800円
  • 事業所税(資産割)相当額 669万7,900円
平成31年1月30日 浜松市長が、スズキから平成21年要綱第29条の規定により提出された実績報告書を受け、平成21年要綱第30条の規定により、補助金(企業立地奨励費5年度分)の額を交付決定額と同額で確定。
平成31年2月12日 浜松市長が、スズキから平成21年要綱第31条第2項の規定により提出された請求書を受け、同社に対する補助金(企業立地奨励費5年度分)について、浜松市会計管理者に対し支出命令を行う。
平成31年2月27日 浜松市会計管理者が、スズキに対し、補助金(企業立地奨励費5年度分・3,186万1,900円)の支払を行う。

第6 監査委員の判断

1 本件補助金1に係る請求について

(1) 本件補助金1の交付は、自治法第232条の2、浜松市補助金交付規則第3条第1項及び平成23年要綱第5条第5号キの規定に反し、違法であるか

  • ア 自治法第232条の2の規定について
    自治法第232条の2は「普通地方公共団体は、その公益上必要がある場合においては、寄附又は補助をすることができる」と定めている。
    そして、補助の要否についての決定は、事柄の性質上、当該地方公共団体の地理的・社会的・経済的事情及び各種の行政施策の在り方等の諸般の事情を総合的に考慮した上での政策的判断を要するものであるから、公益上の必要性に関する判断に当たっては、補助の要否を決定する地方公共団体の長に一定の裁量権があるものと解されている(広島高裁平成13年5月29日判決)。
    他方で、自治法第232条の2が地方公共団体による補助金等の交付について公益上の必要性という要件を課した趣旨は、恣意的な補助金等の交付によって当該地方公共団体の財政秩序を乱すことを防止することにあると解される以上、裁量権の範囲には一定の限界があり、当該地方公共団体の長による公益上の必要性に関する判断に裁量権の逸脱又は濫用があったと認められる場合には、当該補助金の交付は違法と評価されることになるものと解されている(広島高裁平成13年5月29日判決)。
    そして、浜松市補助金交付規則第3条第1項で「市長は、補助金に係る予算の執行に当たっては、補助金が市税その他の貴重な財源でまかなわれるものであることに特に留意し、補助金の交付の目的に従って公正かつ効率的に行わなければならない」と、本件補助金1に係る平成23年要綱第1条で「浜松市企業立地支援事業費補助金の交付については、浜松市補助金交付規則(昭和55年浜松市規則第17号。以下「規則」という。)及びその他の法令の定めによるほか、この要綱の定めるところによる」と定めているなか、平成23年要綱に反して本件補助金1を交付した場合には、市長の裁量権の逸脱又は濫用があったものとして、自治法第232条の2に反し、違法と評価され得る。
  • イ 本件補助金1の公益上の必要性について
    企業立地促進事業費補助金及び企業立地奨励費補助金は、地元産業の空洞化が懸念されていた浜松市の重要な産業経済政策の1つとして位置付けられ、「市内において工場等を設置する企業等に対し、予算の範囲内において補助金を交付することにより、市内の企業立地の促進及び雇用機会の拡大を図り、もって地域産業の振興及び経済の発展に資すること」(平成23年要綱第2条)をその交付目的として、これまで、税収、設備投資、新規雇用等において実績を挙げ、地域産業の振興及び経済の発展に寄与してきたものと認められることから、その交付について、公益上の必要性が認められる。
    また、本件補助金1は、スズキ及びスズキ部品製造の市内への工場立地により、雇用の拡大、製造品出荷額等の拡大その他地域経済への波及効果と税収の拡大を見込むことができ、平成23年要綱第2条に規定する補助金の交付目的を十分に達成できるものとして交付されたものであり、その交付について、公益上の必要性が認められる。
  • ウ 平成23年要綱第5条第5号キ「申請時点においてコンプライアンス違反のないこと」の規定について
    平成23年要綱第5条第5号キでは、企業立地促進事業費補助金の交付要件として「申請時点においてコンプライアンス違反のないこと」を掲げている。
    コンプライアンスの一般的意味には様々なものがあるが、企業立地促進事業費補助金は、上記の公益上の必要性により、平成23年要綱第2条に規定する補助金の交付目的を達成するために交付するものであるため、平成23年要綱第5条第5号キの「コンプライアンス違反」は、補助金の交付目的を達成することができないような重大な法令違反と解するのが相当である。
    また、平成23年要綱第5条第5号キの「申請」は、請求人の主張する平成23年要綱第7条第1項による事業着手の「届出」や平成23年要綱第8条による予算措置の「依頼」とは異なり、平成23年要綱第9条第1項による交付の「申請」のみを指すものと解するが、平成23年要綱第2条に規定する補助金の交付目的を達成するために、申請日当日の事由のみではなく、申請後、平成23年要綱第10条第1項による交付決定をするまでの間に生じた事由も含むと解するのが相当である。
  • エ 平成23年要綱第5条第5号キ「申請時点においてコンプライアンス違反のないこと」に該当するかどうかについて
    請求人は、国土交通大臣による令和元年6月7日付け(国自審第236号)「完成検査の不適切事案の再発防止に関する勧告等について」、国土交通省自動車局審査・リコール課による同日付けプレスリリース「スズキ(株)に対する完成検査の不適切事案の再発防止に関する勧告等について」等に記載されたスズキによる道路運送車両法(昭和26年法律第185号)違反その他の完成検査に係る事案について、平成23年要綱第5条第5号キの「コンプライアンス違反」に該当すると主張する。
    しかし、当該事案によって、申請時点において平成23年要綱第2条に規定する補助金の交付目的を達成することができなくなる事態が発生しているとは認められないことから、当該事案は補助金の交付目的を達成することができないような重大な法令違反とは言えず、平成23年要綱第5条第5号キの「コンプライアンス違反」に該当するとは認められない。
    また、平成23年要綱第9条第1項による交付の申請が行われた令和元年6月28日以後において、平成23年要綱第2条に規定する補助金の交付目的を達成することができないような事実も認められないことから、平成23年要綱第5条第5号キの「申請時点において」にも該当するとは認められない。
  • オ 小括
    以上により、本件補助金1の交付が自治法第232条の2、浜松市補助金交付規則第3条第1項及び平成23年要綱第5条第5項キの規定に反し、違法であるとは認められない。

(2) 本件補助金1の交付が自治法第2条第14項、地方財政法第4条第1項の規定に反し、違法であるか

上記(1)により、本件補助金1の交付が自治法第2条第14項、地方財政法第4条第1項の規定に反し、違法であるとは認められない。

(3) 本件補助金1の交付に至る過程において、平成23年要綱で定められた補助額の上限を超える場合の市長特認の適用について、不適正な点があるか

「市長特認」は、平成23年要綱第6条第2項により「市長が本市の産業の活性化及び市内における雇用の創出及び拡大に特に資すると認めるとき」に同条第1項に定める企業立地促進事業費補助金の補助額の上限等の特例を設けることを可能とする制度である。
本件補助金1の交付については、平成23年要綱第6条第1項第1号ウにより用地取得費に係る補助額の上限額が4億円となるところ、「市長特認」の適用により上限額が撤廃され、同号ア(ア)及び(イ)による補助率100分の20をそのまま適用させている。
本件補助金1の交付への「市長特認」の適用は、都田地区工場用地分譲の際の募集要件として、あらかじめパンフレットへの記載により公にされていたものであり、工場用地周辺にサプライチェーンが立地されるなどの地域経済への波及効果をより大きく見込める大規模工場の設置を計画する企業にインセンティブを与えるために決定されたものである。
よって、「市長特認」の適用について、請求人の主張する税金の適正・公正・公平な運用と透明性に欠けるといった不適正な点は認められない。

(4) 本件補助金1の交付に至る過程において、平成23年要綱で定められた事業期間延長申請の認定について、不適正な点があるか

本件補助金1は、平成23年要綱第4条第15号の大型特例(製造業において設備投資額50億円以上)に該当し、平成23年要綱第5条第1号エ本文に掲げる「用地取得契約日から5年以内に業務を開始すること」及び同条第4号エ本文に掲げる「用地取得契約日…(中略)…から5年以内に業務を開始すること」という企業立地促進事業費補助金の交付の要件が適用される。
「事業期間延長申請の認定」は、平成23年要綱第5条第1号エただし書及び同条第4号エただし書により、5年以内に業務を開始できないことに合理的な理由があると市長が認める場合に、その期間の延長を認めるものである。
請求人は「事業期間延長申請の認定」の申請日と認定日が同日で不自然かつ不適切、2年半も延長する根拠が不透明、建屋が完成しているのに土壌汚染及び建築廃棄物等の処理を延長理由に挙げるのは時系列的に矛盾していると主張する。
しかし、事前に協議を行った上での手続であるため、「事業期間延長申請の認定」の申請日と認定日が同日であっても不自然かつ不適切ではない。また、事業期間延長申請書記載の理由を検討して合理的な理由があると認めて相当な期間の延長を認めたものであるため、2年半も延長する根拠が不透明とは言えない。さらに、延長を求める期間が確定した段階でないと申請することが困難なために期限間際での申請となったものであり、土壌汚染及び建築廃棄物等の処理を延長の理由に挙げることは、時系列的に矛盾するものではない。
よって、「事業期間延長申請の認定」について不適正な点は認められない。

(5) その他

その他の点においても、本件補助金1の交付について違法又は不当な点は認められない。

2 本件補助金2に係る請求について

自治法第242条第2項は「前項の規定による請求は、当該行為のあった日又は終わった日から1年を経過したときは、これをすることができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない」と定めているが、本件請求の時点で、本件補助金2の交付のあった日からいずれも1年を経過している。
請求人は、最高裁第一小法廷平成14年9月12日判決を参照し、本件補助金2の交付当時は、一般市民が本件補助金2の交付等の存在や内容を知る由もなかったが、令和2年2月20日に企業立地推進課で知ることとなり、浜松市の情報公開制度により同年5月7日に公文書を受領して事実を知ることとなったので、自治法第242条第2項ただし書に規定する正当な理由があると主張する。
請求人が参照する最高裁第一小法廷平成14年9月12日判決は、自治法第242条第2項ただし書に規定する正当な理由の有無は、普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査を尽くしても客観的にみて監査請求をするに足りる程度に当該行為の存在又は内容を知ることができなかった場合には、特段の事情のない限り、普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて上記の程度に当該行為の存在及び内容を知ることができたと解される時から相当な期間内に監査請求をしたかどうかによって判断すべきものであるとしている。
また、上記の「相当な期間」については、概ね3か月を経過すると相当な期間内とは言えないと解されている(最高裁第二小法廷昭和63年4月22日判決、最高裁第一小法廷平成14年9月12日判決ほか)。
本件補助金2の交付については、平成26年10月7日の市議会環境経済委員会における平成25年度一般会計歳入歳出決算審査において、スズキ本社工場内に新たに増設した研究施設の設備投資に対する補助金を支出したことが説明され、その議事録が公表されている。
また、請求人の主張する完成検査に係る事案については、スズキが令和元年4月12日に完成検査における不適切な取扱いに関する調査結果を公表し、その翌日に新聞報道がされ、さらに国土交通省自動車局審査・リコール課が令和元年6月7日に「スズキ(株)に対する完成検査の不適切事案の再発防止に関する勧告等について」をプレスリリースし、その翌日に新聞報道がされている。
そうすると、遅くとも、令和元年6月8日までには、住民が相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて監査請求をするに足りる程度に本件補助金2の交付の存在及び内容を知ることができたと認められ、その日から15か月以上経過して行われた本件補助金2に係る請求には、自治法第242条第2項ただし書に規定する正当な理由がなく、同項に規定する請求期限を経過した不適法な請求であると認められる。

第7 結論

以上のとおり、本件補助金1に係る請求については当該請求に理由がないと認めるため棄却し、本件補助金2に係る請求については自治法第242条第2項に規定する請求期限を経過した不適法な請求であるため却下する。

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