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更新日:2025年4月1日
第2章 第2次浜松市環境基本計画策定後の社会情勢の変化
環境・経済・社会の状況/地球の環境収容力
地球の限界(プラネタリー・バウンダリー)とSDGs
- 国の第6次環境基本計画の冒頭では、「現代社会は、実に50年以上前から先人たちが警鐘を鳴らしていた環境の危機にある」とされています。2023年に行われたG7広島首脳コミュニケでは、気候変動・生物多様性の損失・汚染を3つの世界的危機と位置付け、危機を克服するための取組を推進していくことを確認しています。
- 現在の環境・経済・社会の状況は、地球の環境収容力を超えたものであり持続可能でないことから、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の取組を掲げ、転換を図っています。
- 近年、プラネタリー・バウンダリー(地球の限界)という概念が注目されています。人類が地球上で持続的に生存していくために超えてはならない定量的な限界値(臨界点/ティッピング・ポイント)を設定したもので、地球が持つ資源や調整能力を超えて活動することにより、ある領域を境に地球環境に急激な変化や不可逆的な変化が生じることが示唆されています。気候変動やオゾン層の破壊、生物多様性の損失など、9つの項目が示されています。
気候変動/1.5℃目標と46%目標
気候変動の現状
- 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2023年に公表した第6次報告書では、「気候変動が人間活動の影響であることは明白」、「気候変動により、大気圏・海洋・雪氷圏、生物圏に広範かつ急速な変化が生じたことが観測された」と表現されました。
- 世界気象機関や気象庁の報告によると、2023年も世界各地で様々な気象災害が見られました。また、世界気象機関は、2023年はエルニーニョ現象と気候変動が重なり、6~12月の全てで月間の最高平均気温を更新し、2023年が観測史上最も暑かった年であることを発表しました。
カーボンニュートラルと数値目標
- 2020年、国は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。カーボンニュートラル(炭素中立)とは、温室効果ガスの排出をゼロにすることは現実的に難しいため、排出せざるを得ない分については同量を吸収、または除去することで、差し引きゼロを目指すことを意味します。
- 2015年のパリ協定において、2100年の世界平均気温の上昇を産業革命前に比べて1.5℃以内に抑える国際目標が示されました(1.5℃目標)。これを達成するためには、2030年頃までの10年間に実施する取組が決定的に重要だと言われています(勝負の10年)。2021年に英国・グラスゴーで開催された国連気候変動枠組条約締約国会議(COP26)では、パリ協定の1.5℃目標を改めて強調し、すべての国は、2022年に2030年までの排出目標を再検討し、削減を強化することに合意しました(グラスゴー気候合意)。
- 国は、2021年の気候サミットにおいて、2030年度の温室効果ガス削減目標について、2013年度比46%とし、さらに50%の高みを目指すことを表明しました。また、2025年2月には、2035年度と2040年度の削減目標をそれぞれ2013年度比60%、73%とする新たな「地球温暖化対策計画」を閣議決定しました。
《本市における取組》
- 2050年のカーボンニュートラル実現に向け、企業の脱炭素経営やカーボンニュートラルに資するイノベーション、市民の脱炭素型ライフスタイルへの転換などを推進しています。
- 浜松市域”RE100”を提唱し、2050年までに浜松市内の再生可能エネルギー発電量≧浜松市内の総電力使用量とすることを目指しています。
自然共生/ネイチャーポジティブ(自然再興)
- 2022年にカナダ・モントリオールで開催された生物多様性条約締約国会議(COP15)では、2010年に採択された愛知目標の後継となる、生物多様性の新しい世界的な枠組である昆明・モントリオール生物多様性枠組が採択され、国は、これに対応した新たな戦略として生物多様性国家戦略2023-2030を策定しました。
- 昆明・モントリオール生物多様性枠組では、2050年目標「自然と共生する世界」と、その実現に向けた2030年目標として「自然を回復軌道に乗せるために生物多様性の損失を止め反転させるための緊急の行動をとる」という、ネイチャーポジティブの考え方が示されました。
- ネイチャーポジティブの実現に向けた取組目標として、2030年までに、陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保存することを目指す「30by30(サーティ・バイ・サーティ)目標」が掲げられました。
《本市における取組》
- 国が目指す2050年目標や2030年目標を踏まえ、生物多様性の損失を止め、回復軌道に乗せる取組を進めています。
- 多様な生物のすみかの保全と回復を図るため、特定外来生物(クリハラリス・ヌートリア等)による影響を周知するとともに、防除を実施しています。
- 環境保全活動に関する様々な主体の連携を強化するため、市民活動団体や事業者のパートナーシップ活動の拡大を支援しています。
循環経済(サーキュラーエコノミー)/資源循環
- 国は、天然資源の消費を抑制し、環境への負荷ができるかぎり低減される「循環型社会」の形成を目指すとしています。
- 循環型社会の形成に向けて資源生産性・循環利用率を高めるためには、従来の延長線上の取組を強化するのではなく、循環型の社会経済システムに変えていくことが必要であり、大量生産・大量消費・大量廃棄型の経済・社会様式につながる一方通行型の線形経済(リニアエコノミー)から、持続可能な形で資源を効率的・循環的に利用する循環経済(サーキュラーエコノミー)への移行を推進することが示されました。
- 循環経済への移行を進めることで循環型社会を形成する取組は、気候変動・生物多様性損失・汚染といった問題の対策につながり、それら相互の連携が重要となります。
《本市における取組》
- 廃棄物の減量を進めるため、民間事業者との連携による資源ごみの回収・リサイクル推進や、家庭ごみの減量目標である「Go!みんなで404チャレンジ」の普及啓発などの取組を進めています。
- 適正な廃棄物処理を行うため、天竜清掃工場の建設・稼働など、計画的に施設更新を進めています。
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