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更新日:2026年3月16日
新型インフルエンザ等の発生時期を正確に予知することは困難であり、また、その発生そのものを阻止することは不可能である。また、世界中のどこかで新型インフルエンザ等が発生すれば、我が国、本市への侵入も避けられないと考えられる。
病原性が高くまん延のおそれのある新型インフルエンザ等が発生すれば、市民の生命及び健康、市民生活及び地域経済にも大きな影響を与えかねない。
新型インフルエンザ等については、長期的には、市民の多くがり患するおそれがあるものであるが、患者の発生が一定の期間に偏ってしまった場合は、医療提供体制のキャパシティを超えてしまうということを念頭に置きつつ、新型インフルエンザ等対策を市の危機管理に関わる重要な課題と位置付け、次の2点を主たる目的として対策を講じていく必要がある。[1]
以上の考え方を踏まえた対策イメージを図表3に示す。
図表3 新型インフルエンザ等対策イメージ図

政府行動計画において、新型インフルエンザ等対策の基本的な考え方を次のとおり示しており、市の対策もこの考え方に基づいて行うものとする。
ーーーー以下政府行動計画抜粋ーーーー
新型インフルエンザ等対策は、発生の段階や状況の変化に応じて柔軟に対応していく必要があることを念頭に置かなければならない。過去の新型インフルエンザや新型コロナのパンデミックの経験等を踏まえると、特定の事例に偏重して準備を行うことは、大きなリスクを背負うことになりかねない。政府行動計画は、特定の感染症や過去の事例のみを前提とするのではなく、新型インフルエンザや新型コロナウイルス感染症等以外の新たな呼吸器感染症等が流行する可能性を想定しつつ、発生した新型インフルエンザ等の特性を踏まえ、様々な状況で対応できるよう、対策の選択肢を示すものである。
我が国においては、科学的知見及び各国の対策も踏まえ、我が国の地理的な条件、大都市への人口集中、少子高齢化、交通機関の発達度等の社会状況、医療提供体制、受診行動の特徴等の国民性も考慮しつつ、各種対策を総合的かつ効果的に組み合わせてバランスのとれた戦略を目指すこととする。その上で、新型インフルエンザ等の発生前から流行状況が終息するまでの状況に応じて、次の点を柱とする一連の流れを持った戦略を確立する。
なお、実際に新型インフルエンザ等が発生した際には、感染症の特徴、病原体の性状(病原性、感染性、薬剤感受性[2]等)、流行の状況、地域の実情その他の状況を踏まえ、人権への配慮や、対策の有効性、実行可能性及び対策そのものが国民生活及び国民経済に与える影響等を総合的に勘案し、本政府行動計画等で記載するものの中から、実施すべき対策を選択し決定する。
○ 発生前の段階(準備期)では、水際対策[3]の実施体制の構築、地域における医療提供体制の整備や抗インフルエンザウイルス薬等の備蓄、ワクチンや治療薬等の研究開発と供給体制の整備、国民に対する啓発や政府・企業による事業継続計画等の策定、DXの推進や人材育成、実践的な訓練の実施による対応体制の定期的な点検や改善等、新型インフルエンザ等の発生に備えた事前の準備を周到に行っておくことが重要である。
○ 国内で発生した場合を含め世界で新型インフルエンザ等に位置付けられる可能性がある感染症が発生した段階(初動期)では、直ちに初動対応の体制に切り替える。
新型インフルエンザ等に位置付けられる可能性がある感染症が海外で発生した場合は、病原体の国内への侵入を完全に防ぐことは困難であるということを前提として対策を策定することが必要である。海外で発生している段階で、国内の万全の体制を構築するためには、我が国が島国である特性をいかし、検疫措置の強化等により、病原体の国内侵入や感染拡大のスピードをできる限り遅らせることが重要である。
○ 国内の発生当初の封じ込めを念頭に対応する時期(対応期)では、患者の入院措置や抗インフルエンザウイルス薬等による治療、感染リスクのある者の外出自粛やその者に対する抗インフルエンザウイルス薬の予防投与の検討、病原性に応じて、不要不急の外出の自粛要請や施設の使用制限等を行い、感染拡大のスピードをできる限り抑えることを目的とした各般の対策を講ずる。
○ なお、国内外の発生当初等の病原性や感染性等に関する情報が限られている場合には、過去の知見等も踏まえ、病原性や感染性等が高い場合のリスクを想定し、封じ込めを念頭に強力な対策を実施するが、常に新しい情報を収集・分析し、対策の必要性を評価し、更なる情報が得られ次第、感染拡大のスピードを抑制し、可能な限り感染者数等を減少させるための対策等、適切な対策へと切り替えることとする。また、状況の進展に応じて、必要性の低下した対策についてはその縮小や中止を図る等の見直しを行うこととする。
○ 国内で感染が拡大し、病原体の性状等に応じて対応する時期(対応期)では、国、地方公共団体、事業者等は相互に連携して、医療提供体制の確保や国民生活及び国民経済の維持のために最大限の努力を行う必要があるが、社会の緊張が高まり、変化する状況に対策が必ずしも適合しなくなることも含め様々な事態が生じることが想定される。したがって、あらかじめ想定したとおりにいかないことが考えられ、社会の状況を把握し、状況に応じて臨機応変に対処していくことが求められる。
○ 地域の実情等に応じて、都道府県や関係省庁が政府対策本部と協議の上、柔軟に対策を講ずることができるようにし、医療機関を含めた現場が動きやすくなるような配慮や工夫を行う。
○ その後、ワクチンや治療薬等により対応力が高まる時期(対応期)では、科学的知見の集積、検査体制や医療提供体制の整備、ワクチンや治療薬の普及等の状況の変化等に合わせて、適切なタイミングで、柔軟かつ機動的に対策を切り替える。
○ 最終的には、流行状況が収束[4]し、特措法によらない基本的な感染症対策に移行する時期を迎える。国民の生命及び健康に著しく重大な被害を与えるおそれがある新型インフルエンザ等への対策は、不要不急の外出の自粛要請、施設の使用制限等の要請、各事業者における業務縮小等による接触機会の抑制等の医療対応以外の感染対策と、ワクチンや治療薬等を含めた医療対応を組み合わせて総合的に行うことが必要である。
特に医療対応以外の感染対策については、社会全体で取り組むことにより効果が期待されるものであり、全ての事業者が自発的に職場における感染予防に取り組むことはもちろん、感染拡大を防止する観点から、継続する重要業務を絞り込む等の対策を実施することについて積極的に検討することが重要である。
事業者の従業員のり患等により、一定期間、事業者のサービス提供水準が相当程度低下する可能性があることについて周知し、国民の理解を得るための呼び掛けを行うことも必要である。
また、新型インフルエンザ等のまん延による医療提供体制の限界や社会的混乱を回避するためには、国、都道府県、市町村(特別区を含む。以下同じ。)及び指定(地方)公共機関による対策だけでは限界があり、事業者や国民一人一人が、感染予防や感染拡大防止のための適切な行動や備蓄等の準備を行うことが必要である。新型インフルエンザ等対策は、日頃からの手洗いやマスク着用等の咳エチケット等の季節性インフルエンザ等の呼吸器感染症に対する対策が基本となる。特にワクチンや治療薬がない可能性が高い新興感染症等が発生した場合は、公衆衛生対策がより重要である。
ーーーー以上ーーーー
出典:「新型インフルエンザ等対策政府行動計画(令和6(2024)年7月2日)」
過去に流行した新型インフルエンザや新型コロナウイルス感染症等以外の呼吸器感染症も念頭に、中長期的に複数の感染の波が生じることも想定し、幅広く対応できるシナリオとするため、以下の(1)から(4)までの考え方を踏まえて、有事のシナリオを想定する。
(1) 特定の感染症や過去の事例のみを前提とするのではなく、新型インフルエンザや新型コロナウイルス感染症等以外の新たな呼吸器感染症等が流行する可能性を想定しつつ、病原体の性状に応じた対策等についても考慮する。
(2) 病原体について限られた知見しか明らかになっていない発生初期には、感染拡大防止を徹底し、流行状況の早期の収束を目標とする。
(3) 科学的知見の集積による病原体の性状の把握、検査体制や医療提供体制の整備、ワクチンや治療薬の普及等の状況の変化や社会経済等の状況に合わせて、適切なタイミングで、柔軟かつ機動的に対策を切り替えることを基本とする。
(4) 病原体の変異による病原性や感染性の変化及びこれらに伴う感染拡大の繰り返しや対策の長期化の場合も織り込んだ想定とする。
また、有事の対応の想定に当たっては、病原体の性状(病原性、感染性、薬剤感受性等)のリスク評価の大括りの分類を設け、それぞれのケースにおける対応の典型的な考え方を示す。その上で、柔軟な対応が可能となるよう、対策の切替えについては第3部の「新型インフルエンザ等対策の各対策項目の考え方及び取組」で具体的な記載を行う。
新型インフルエンザ等への対策は、患者発生の状況に応じて講ずべき対応が異なることから、事前の準備を進め、状況の変化に即応した意思決定を迅速に行うことができるよう、あらかじめ発生の段階を設け、各段階において想定される状況に応じた対応方針を定めておく必要がある。
発生段階は、政府行動計画と同様に、予防や準備等の事前準備の部分(準備期)と発生後の対応のための部分(初動期及び対応期)とに大きく分けた構成とする。各段階の概要については、図表4に示すとおり。
○準備期
新型インフルエンザ等の発生前の段階では、水際対策の実施体制の構築、地域における医療提供体制の整備や抗インフルエンザウイルス薬等の備蓄、ワクチンや治療薬等の研究開発と供給体制の整備、市民に対する啓発や市・企業による業務継続計画等の策定、DXの推進や人材育成、実践的な訓練の実施による対応体制の定期的な点検や改善等、新型インフルエンザ等の発生に備えた事前の準備を周到に行う。
○初動期(A)
感染症の急速なまん延及びその可能性のある事態を探知して以降、政府対策本部が設置されて基本的対処方針が定められ、これが実行されるまでの間、感染症の特徴や病原体の性状(病原性、感染性、薬剤感受性等)を明らかにしつつ、感染拡大のスピードをできる限り抑えて、感染拡大に対する準備を行う時間を確保するため、新型インフルエンザ等の特徴や事態の推移に応じて迅速かつ柔軟に対応する。
○対応期
対応期については、以下の4つの時期(B、C-1、C-2、D)に区分する。
「病原体の性状等に応じて対応する時期」(C-1)においては、病原性や感染性等の観点からリスク評価の大括りの分類を行った上で、それぞれの分類に応じ各対策項目の具体的な内容を定める。また、病原性や感染性等の観点からのリスク評価の大まかな分類に応じた対策を定めるに当たっては、複数の感染の波への対応や対策の長期化、病原性や感染性の変化の可能性を考慮する。
「ワクチンや治療薬等により対応力が高まる時期」(C-2)については、ワクチンや治療薬の有無や開発の状況等によっては、こうした時期が到来せずに、対応期の「特措法によらない基本的な感染症対策に移行する時期」(D)を迎えることも想定される。
さらに、感染や重症化しやすいグループが特にこども[5]や若者、高齢者の場合に必要な措置等については、社会や医療提供体制等に与える影響が異なることから、準備や介入の在り方も変化することに留意しつつ対策を定める。
図表4 発生段階及び各段階の概要
| 段階 | 区分 | 区分の説明 | 概要 |
| 準備期 | ― | 発生前の段階 | 水際対策の実施体制の構築、地域における医療提供体制の整備や抗インフルエンザウイルス薬等の備蓄、ワクチンや治療薬等の研究開発と供給体制の整備、国民に対する啓発や政府・企業による事業継続計画等の策定、DXの推進や人材育成、実践的な訓練の実施による対応体制の定期的な点検や改善等、新型インフルエンザ等の発生に備えた事前の準備を周到に行っておくことが重要である。 |
| 初動期 | A | 新型インフルエンザ等に位置付けられる可能性がある感染症が発生した段階 | 感染症の急速なまん延及びその可能性のある事態を探知して以降、政府対策本部が設置されて基本的対処方針が定められ、これが実行されるまでの間、感染症の特徴や病原体の性状(病原性、感染性、薬剤感受性等)を明らかにしつつ、感染拡大のスピードをできる限り抑えて、感染拡大に対する準備を行う時間を確保するため、新型インフルエンザ等の特徴や事態の推移に応じて迅速かつ柔軟に対応する。 |
| 対応期 | B | 封じ込めを念頭に対応する時期 | 政府対策本部の設置後、国内での新型インフルエンザ等の発生の初期段階では、病原体の性状について限られた知見しか得られていない中で、諸外国における感染動向等も考慮しつつ、まずは封じ込めを念頭に対応する(この段階で新型インフルエンザであることが判明した場合は、抗インフルエンザウイルス薬やプレパンデミックワクチン等の対応を開始し、検査・診療により感染拡大防止を図ることができる可能性があることに留意)。 |
| C-1 | 病原体の性状等に応じて対応する時期 | 感染の封じ込めが困難な場合は、知見の集積により明らかになる病原体の性状等を踏まえたリスク評価に基づき、感染拡大のスピードや潜伏期間等を考慮しつつ、確保された医療提供体制で対応できるレベルに感染拡大の波(スピードやピーク等)を抑制するべく、感染拡大防止措置等を講ずることを検討する。 | |
| C-2 | ワクチンや治療薬等により対応力が高まる時期 | ワクチンや治療薬の普及等により、新型インフルエンザ等への対応力が高まることを踏まえて、科学的知見に基づき対策を柔軟かつ機動的に切り替える(ただし、病原体の変異により対策を強化させる必要が生じる可能性も考慮する。)。 | |
| D | 特措法によらない基本的な感染症対策に移行する時期 | 最終的に、ワクチン等により免疫の獲得が進むこと、病原体の変異により病原性や感染性等が低下すること及び新型インフルエンザ等への対応力が一定水準を上回ることにより特措法によらない基本的な感染症対策(出口)に移行する。 |
市は、新型インフルエンザ等の発生時やその準備段階に、特措法その他の法令、政府行動計画、新型インフルエンザ等対策政府行動計画ガイドライン(以下「政府行動計画ガイドライン」という。)、県行動計画及び市行動計画に基づき、国、県、市、指定(地方)公共機関等と相互に連携協力し、新型インフルエンザ等対策の的確かつ迅速な実施に万全を期す。この場合において、次の点に留意する。
感染症危機への対応には平時からの体制作りが重要である。このため、以下の(1)から(5)までの取組により、平時の備えの充実を進め、訓練により迅速な初動体制を確立することを可能とするとともに、迅速かつ効率的な情報収集・共有、分析のための基盤となるDXの推進等を行う。
将来に高い確率で起こり得る新型インフルエンザ等の発生時に行うべき対策を関係者間で共有しながら、その実施のために必要となる準備を行う。
初動対応については、未知の感染症や新型インフルエンザ等が国内で発生した場合も含め様々なシナリオを想定し、初発の探知能力を向上させるとともに、初発の感染事例を探知した後速やかに初動対応に動き出せるように体制整備を進める。
感染症危機は必ず起こり得るものであるとの認識を広く感染症対策に携わる関係者や市民等に持ってもらうとともに、次の感染症危機への備えをより万全なものとするために、多様なシナリオや実施主体による訓練の実施等を通じて、平時の備えについて不断の点検や改善を行う。
感染症法や医療法等の制度改正による医療提供体制等の平時からの備えの充実をはじめ、有事の際の速やかな対応が可能となるよう、検査体制の整備、リスクコミュニケーション等について平時からの取組を進める。
保健所等の負担軽減、医療関連情報の有効活用、国、県との連携の円滑化等を図るためのDXの推進や人材育成を進める。
なお、DXの推進のほか、人材育成、国との連携、研究開発への支援、国際的な連携等の複数の対策項目に共通する横断的な視点を念頭に取組を進める。
感染拡大防止対策に当たっては、社会経済活動とのバランスを踏まえた対策と適切な情報提供・共有とにより市民生活及び地域経済への影響を軽減させるとともに、市民が身体的、精神的及び社会的に健康であることを確保することが重要である。このため、以下の(1)から(5)までの取組により、感染状況等に応じ感染拡大防止と社会経済活動のバランスを踏まえた対策の切替えとを円滑に行い、市民の生命及び健康の保護と市民生活及び地域経済に及ぼす影響が最小となるよう対策を講ずる。
対策の切替えに当たっては、感染症の特徴、病原体の性状、感染症の発生状況等も含めたリスク評価を考慮し、可能な限り科学的な根拠に基づき対応するため、平時からそのためのデータ収集の仕組みや適時適切なリスク評価の仕組みを構築する。
有事には市予防計画及び県保健医療計画に基づき医療提供体制の速やかな拡充を図りつつ、各段階における医療提供体制で対応できるレベルに感染規模を収めるべく感染拡大のスピードやピークを抑制することが重要である。注意深く実施するリスク評価に基づき、このレベルを超える可能性がある場合等には、適時適切に感染拡大防止措置等を講ずる。その際、影響を受ける市民や事業者を含め、市民生活や社会経済等に与える影響にも十分留意する。
科学的知見の集積による病原体の性状の把握、検査体制や医療提供体制の整備、ワクチンや治療薬の普及等の状況の変化や社会経済等の状況に合わせて、適切なタイミングで、柔軟かつ機動的に対策を切り替えることを基本として対応する。あわせて、対策の切替えの判断の指標や考慮要素について可能な範囲で具体的に事前に定める。
柔軟な対応が可能となるよう、対策の切替え時期については、リスク評価等に応じて、個別の対策項目ごとに具体的な対策内容を記載し、必要に応じて個々の対策の切替えのタイミングの目安等を示す。
対策に当たっては、市民等の理解や協力が最も重要である。このため、平時から感染症や感染対策の基本的な知識を、学校教育の現場を始め様々な場面を活用して普及し、こどもを含め様々な年代の市民等の理解を深めるための分かりやすい情報提供・共有が必要である。こうした取組を通じ、可能な限り科学的根拠に基づいた情報提供・共有により、適切な判断や行動を促せるようにする。特にまん延防止等重点措置や緊急事態措置等の強い行動制限を伴う対策を講ずる場合には、対策の影響を受ける市民等や事業者の状況も踏まえ、対策の内容とその科学的根拠を分かりやすく発信し、説明する。
市は、新型インフルエンザ等対策の実施に当たっては、基本的人権を尊重し、多様性を認め合う、差別のない社会づくりを前提とし、特措法による要請や行動制限等の実施に当たって、市民の自由と権利に制限を加える場合は、その制限は当該新型インフルエンザ等対策を実施するため必要最小限のものとする[6]。
新型インフルエンザ等対策の実施に当たって、法令の根拠があることを前提として、リスクコミュニケーションの観点からも、市民等に対して十分説明し、理解を得ることを基本とする。
また、感染者やその家族、医療関係者に対する誹謗中傷等の新型インフルエンザ等についての偏見・差別は、これらの方々への人権侵害であり、あってはならないものである。これらの偏見・差別は、患者の受診行動を妨げ、感染拡大の抑制を遅らせる原因となる可能性がある。また、新型インフルエンザ等に対応する医療従事者等の人員の士気の維持の観点等からも、防止すべき課題である。
さらに、新型インフルエンザ等対策の実施に当たっては、より影響を受けがちである社会的弱者への配慮に留意する。感染症危機に当たっても市民の安心を確保し、新型インフルエンザ等による社会の分断が生じないよう取り組む。
特措法は、感染症有事における危機管理のための制度であって、緊急事態に備えて様々な措置を講ずることができるよう制度設計されている。
しかし、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症や新感染症が発生したとしても、病原性の程度や、ワクチンや治療薬等の対策が有効であること等により、まん延防止等重点措置や緊急事態措置を講ずる必要がないこともあり得ると考えられ、どのような場合にもこれらの措置を講ずるものではないことに留意する。
政府対策本部、県対策本部[7]及び市対策本部[8]は相互に緊密な連携を図りつつ、新型インフルエンザ等対策を総合的に推進する。
市は、市の区域に係る新型インフルエンザ等緊急事態措置を的確かつ迅速に実施するために必要があると認めるときは、県に対して新型インフルエンザ等対策に関する総合調整を行うよう要請することができる。[9]
感染症危機における高齢者施設や障害者施設等の社会福祉施設等において必要となる医療提供体制等について、平時から検討し、有事に備えた準備を行う。
市は、感染症危機下の災害対応についても想定し、平時から防災備蓄や避難所施設の確保等を進めるとともに、県及び市において、自宅療養者等の避難のための情報共有等の連携体制を整えること等を進める。感染症危機下で地震等の災害が発生した場合には、市は県及び国と連携し、発生地域における状況を適切に把握するとともに、必要に応じ、避難所における感染症対策の強化や、自宅療養者等への情報共有、避難の支援等を速やかに行う。
国、県及び市は、新型インフルエンザ等が発生した段階で、政府対策本部、県対策本部及び市対策本部における新型インフルエンザ等対策の実施に係る記録を作成し、保存し、公表する。
国は、新型インフルエンザ等が発生した場合は、自ら新型インフルエンザ等対策を的確かつ迅速に実施し、地方公共団体及び指定(地方)公共機関が実施する新型インフルエンザ等対策を的確かつ迅速に支援することにより、国全体として万全の態勢を整備する責務を有する[10]。また、国は、世界保健機関(WHO)(以下「WHO」という。)等の国際機関や諸外国との国際的な連携を確保し、対策に取り組む。
また、国は、新型インフルエンザ等及びこれに係るワクチンその他の医薬品の調査や研究の推進に努める[11]とともに、新型インフルエンザ等に関する調査及び研究に係る国際協力の推進に努める[12]。国は、こうした取組等を通じ、新型インフルエンザ等の発生時におけるワクチンや診断薬、治療薬等の早期の開発や確保に向けた対策を推進する。
国は、新型インフルエンザ等の発生前は、政府行動計画に基づき、準備期に位置付けられた新型インフルエンザ等対策を着実に実施するとともに、定期的な訓練等により新型インフルエンザ等対策の点検及び改善に努める。
また、国は、新型インフルエンザ等対策閣僚会議[13](以下「閣僚会議」という。)及び閣僚会議を補佐する新型インフルエンザ等に関する関係省庁対策会議[14](以下「関係省庁対策会議」という。)の枠組みを通じ、政府一体となった取組を総合的に推進する。
指定行政機関は、政府行動計画等を踏まえ、相互に連携を図りつつ、新型インフルエンザ等が発生した場合の所管行政分野における発生段階に応じた具体的な対応をあらかじめ決定しておく。
国は、新型インフルエンザ等の発生時に、政府対策本部で基本的対処方針を決定し、対策を強力に推進する。その際、国は、推進会議[15]等の意見を聴きつつ、対策を進める。また、国民等や事業者等の理解や協力を得て対策を行うため、感染症や感染対策に関する基本的な情報の提供・共有を行う。
地方公共団体は、新型インフルエンザ等が発生した場合は、基本的対処方針に基づき、自らの区域に係る新型インフルエンザ等対策を的確かつ迅速に実施し、その区域において関係機関が実施する新型インフルエンザ等対策を総合的に推進する責務を有する[16]
【県の役割】
県は、特措法及び感染症法に基づく措置の実施主体としての中心的な役割を担っており、基本的対処方針に基づき、地域における医療提供体制の確保やまん延防止に関し的確な判断と対応が求められる。
このため、平時において医療機関との間で病床確保、発熱外来、自宅療養者等への医療の提供、後方支援又は医療人材の派遣に関する医療措置協定を締結し、医療提供体制を整備することや、民間検査機関又は医療機関と平時に検査等措置協定を締結し、検査体制を構築する等、医療提供体制、保健所、検査体制、宿泊療養等の対応能力について、計画的に準備を行う。これにより、感染症有事の際には、迅速に体制を移行し、感染症対策を実行する。
こうした取組においては、県は、保健所を設置する市、感染症指定医療機関等で構成される県連携協議会等を通じ、静岡県感染症予防計画(以下「県予防計画」という。)や県保健医療計画等について協議を行うことが重要である。また、県予防計画に基づく取組状況を毎年度国に報告し、進捗確認を行う。これらにより、平時から関係者が一体となって、医療提供体制の整備や新型インフルエンザ等のまん延を防止していくための取組を実施し、PDCA[17]サイクルに基づき改善を図る。
【市の役割】
市は、市民に最も近い行政単位であり、市民に対するワクチンの接種や、市民の生活支援、新型インフルエンザ等の発生時の要配慮者への支援に関し、基本的対処方針に基づき、的確に対策を実施することが求められる。対策の実施に当たっては、県や近隣の市町村と緊密な連携を図る。
なお、市については、感染症法においては、まん延防止に関し、県に準じた役割を果たすことが求められていることから、保健所や検査体制等の対応能力について計画的に準備を行うとともに、市予防計画に基づく取組状況を毎年度国に報告し、進捗確認を行う。また、感染症有事の際には、迅速に体制を移行し、感染症対策を実行する。
県及び市は、まん延防止等に関する協議を行い、新型インフルエンザ等の発生前から連携を図っておく。
新型インフルエンザ等による健康被害を最小限にとどめる観点から、医療機関は、新型インフルエンザ等の発生前から、地域における医療提供体制の確保のため、県と医療措置協定を締結し、院内感染対策の研修、訓練や個人防護具を始めとした必要となる感染症対策物資等の確保等を推進することが求められる。また、新型インフルエンザ等の患者の診療体制を含めた、業務継続計画の策定及び県連携協議会等を活用した地域の関係機関との連携を進めることが重要である。
新型インフルエンザ等の発生時には、感染症医療及び通常医療の提供体制を確保するため、医療機関は、医療措置協定に基づき、県からの要請に応じて、病床確保、発熱外来、自宅療養者等への医療の提供、後方支援又は医療人材の派遣を行う。
指定(地方)公共機関は、新型インフルエンザ等が発生した場合は、特措法に基づき[18]、新型インフルエンザ等対策を実施する責務を有する。
特措法第28条に規定する特定接種の対象となる医療の提供の業務又は市民生活及び地域経済の安定に寄与する業務を行う事業者については、新型インフルエンザ等の発生時においても最低限の市民生活を維持する観点から、それぞれの社会的使命を果たすことができるよう、新型インフルエンザ等の発生前から、職場における感染対策の実施や重要業務の事業継続等の準備を積極的に行うことが重要である。
新型インフルエンザ等の発生時には、その業務を継続的に実施するよう努める[19]。
事業者については、新型インフルエンザ等の発生時に備えて、職場における感染対策を行うことが求められる。
市民の生命及び健康に著しく重大な被害を与えるおそれのある新型インフルエンザ等の発生時には、感染防止の観点から、一部の事業を縮小することが必要な場合も想定される。特に多数の者が集まる事業を行う者については、感染防止のための措置の徹底が求められる[20]ため、平時からマスクや消毒薬等の衛生用品等の備蓄を行うように努める等、対策を行う必要がある。
新型インフルエンザ等の発生前から、新型インフルエンザ等に関する情報や発生時にとるべき行動等、その対策に関する知識を得るとともに、平素からの健康管理に加え、基本的な感染対策(換気、マスク着用等の咳エチケット、手洗い、人混みを避ける等)等を個人レベルで実践するよう努める。また、新型インフルエンザ等の発生時に備えて、個人レベルにおいてもマスクや消毒薬等の衛生用品、食料品や生活必需品等の備蓄を行うよう努める。
新型インフルエンザ等の発生時には、発生の状況や予防接種等の実施されている対策等についての情報を得て、感染拡大を抑えるための個人レベルでの対策を実施するよう努める[21]。
[1] 特措法第1条
[2] 薬剤感受性とは、感染症の治療に有効な抗微生物薬に対する感受性(有効性又は抵抗性)をいう。
[3] 水際対策は、あくまでも国内への病原体の侵入をできる限り遅らせる効果を期待して行われるものであり、病原体の国内侵入を完全に防ぐための対策ではない。
[4] 患者が国内で発生しているが、特措法に基づく対策を必要としない流行状況にあること。
[5] 政府行動計画にならい、「こども政策の新たな推進体制に関する基本方針~こどもまんなか社会を目指すこども家庭庁の創設~」(2021年12月21日閣議決定)に倣い、法令上の用語等を除き、「こども」という表記を使用する。
[6] 特措法第5条
[7] 特措法第22条に基づく静岡県新型インフルエンザ等対策本部
[8] 特措法第34条に基づく浜松市新型インフルエンザ等対策本部
[9] 特措法第36条第2項
[10] 特措法第3条第1項
[11] 特措法第3条第2項
[12] 特措法第3条第3項
[13] 「新型インフルエンザ等対策閣僚会議の開催について」(平成23(2011)年9月20日閣議口頭了解)に基づき開催。
[14] 「新型インフルエンザ等に関する関係省庁対策会議の設置について」(平成16(2004)年3月2日関係省庁申合せ)に基づき開催。
[15] 新型インフルエンザ等対策推進会議。政府における新型インフルエンザ等対策の推進を図るため、内閣に置かれる会議
[16] 特措法第3条第4項
[17] Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)という一連のプロセスを繰り返し行うことで、業務の改善や効率化を図る手法の一つ。
[18] 特措法第3条第5項
[19] 特措法第4条第3項
[20] 特措法第4条第1項及び第2項
[21] 特措法第4条第1項
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