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更新日:2025年12月5日

《地の祈り》1987(昭和62)年
浜松市秋野不矩美術館寄託
所蔵品展 創造の眼Ⅳ~天眼~より
本作は1984(昭和59)年~1988(昭和63)年代に描かれた作品群の一つである。《七母神》や《三菩薩像》での群像の造形的な組立を継承し、《地の祈り》では「抜き差し」表現を随所に使って描いている。抜き差しとは、ネガの視点で対象の形態を捉える方法で、描く対象よりも周りの余白の形状を的確に捉えることで、人物や対象の存在感などを一層印象付ける描法でもある。これにより、画面全体に無駄のない心地よい緊張感が生まれ、着衣の優雅な表情や花の存在、女性たちのリズミカルな姿態が、生き生きとした律動感を醸し出すことに役立っている。これらの取組が翌年の《女人群像》でより造形性を高めた表現につながっていったと考えられる。
余談ではあるが、作家は作品内に自己を投影させることがある。本作右端の女性だけが他の女性の髪型や表情、骨格などの表現と少し異なっている。そこに作家自身の作品に込めた思いが投影されているように感じられる。
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