更新日：2021年12月5日

紙上美術館No.175

「ルーアンのセーヌ川」 油彩画
1872年　クロード・モネ　作～浜松市美術館　 「静岡県立美術館超名品展」より～

ルーアンはフランス北部ノルマンディー地方の中心都市。現在パリから特急で約1時間の距離にあり、車窓からセーヌ河の美しい眺めを楽しむことができます。19世紀後半から20世紀にかけて、モネをはじめとする印象派の画家たちも、首都パリからセーヌ河沿いに広がる自然豊かでのどかな風景に魅了され、ルーアンや河口のル・アーヴルなどで絵画制作を行いました。
停泊する船を画面中央に配し、明るく淡い色彩と軽快な筆さばきによって描かれた広大な青空と、船やくいの影が戯れる水面が調和する本作は、モネの初期のスタイルの確立と、印象派時代の幕開けを告げる秀作の一つです。晩年のモネが繰り返し描いた主題の一つにルーアンの大聖堂があることから、この街が終生画家に与えた影響の大きさが推測されます。
浜松市美術館では、12月19日（日曜日）まで「静岡県立美術館超名品展 風景と人間」を開催しています。本作をはじめ、日本画や日本洋画、現代美術の名品をお楽しみください。