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更新日:2024年1月1日
「目には見えないモノを描く」ことに挑戦し続ける浜松市出身の日本画家・仲山計介(なかやまけいすけ)(1948~)。40年以上に渡り描き続けている「エオンタシリーズ」(「エオンタ」はギリシャ語で「存在するモノ達」の意)はまさにその象徴であり、仲山の代名詞となっている。
仲山は、日本画家でありながら、その制作工程の中で下絵や大下図を描くことはほとんどない。アクリル樹脂を接着剤代わりに用いた絵の具を、手のひらや板等でそのまま画面に乗せていく。そうした手や体全体の動きから偶発的に生じた色や形、模様等をもとに、そこに思い浮かんだ風景を絵筆で丁寧に描いていく。
本作≪春陽山水(しゅんようさんすい)≫もそうして生まれた作品の一つ。「手仕事」によって生み出された絵の具のマチエールを、鮮やかな青で描かれた海に浮かぶ「島」として残し、その周囲に深い緑が印象的な山々や春を感じさせる桜を配する。
仲山は、「島」をテーマとした風景を俯瞰する構図で描くことが多く、本作にもその特徴が垣間見える。また、日本画の伝統的なテーマと言える「四季」を感じさせる作品も数多く発表しており、その意味で本作は仲山の画歴を象徴する1枚と言えよう。
仲山の描く「島シリーズ」、「四季シリーズ」の風景の中には、不思議とどこかで見たことがある風景だと錯覚するものが多くある。仲山の言葉をかりて言えば、その錯覚は、私たち自身の中に眠る「日本人として受け継がれてきたDNA」によって呼び起こされていることなのかもしれない。
浜松市美術館 「仲山計介展 エオンタ 存在するモノ達 」6月14日(日曜日)まで開催
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