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更新日:2026年1月9日

令和7年11月定例会で可決した意見書

公益に関する重要な事項について、議会としての意思を意見としてまとめ、国などの関係行政庁に対して提出するのが意見書です。

本市の場合、市民や各会派等から提出された意見書案を協議し、全議員の賛成が得られるよう、議会運営委員会において調整し、賛同が得られた場合は議会運営委員会委員の発議で提案します。ただし、出席委員の4分3以上の賛成が得られたものについては、賛成委員の発議で提案できるものとしています。その後、本会議において採決します。

令和7年11月定例会では、以下の4件の意見書を可決しました。

主食用米の需給安定と農業者所得対策の明確化を求める意見書

主食用米の需給緩和の懸念が強まっている。政府は本年6月、米不足による価格高騰を受けて「増産への転換」を打ち出し、8月にもその方針を再確認した。その結果、2025年産は前年比10%増の748万トンに達する見込みとなった。ところが、10月に農林水産省は2026年産の適正生産量を711万トンに設定し、2025年産の748万トンから大幅に下げた。政府自らが「増産」と「抑制」を短期間で繰り返す形となり、現場に混乱を与えている。実際、2027年6月末の民間在庫量は最大245万トンに達する見通しで、需給安定の目安とされる180万から200万トンを大きく上回り、過去最多水準となる。需給緩和と米価下落の懸念は、2015年の米価低迷時を想起させる深刻な状況である。

特に問題となるのは、増産に伴う米価下落時の農業者所得対策が依然として明示されていない点である。主食用米は国民生活に直結する基幹作物であり、価格の大きな変動は農業経営の持続性を脅かすとともに、地域経済や食料安全保障にも深刻な影響を及ぼす。また、米価の大きな変動は、消費者にとっても家計を直撃する。農業者と消費者双方にとって、安定供給の確保は不可欠である。

さらに、安易な主食用米の増産は、加工用米・飼料用米・麦・大豆など他作物の作付けにも影響を及ぼし、多様な作物体系の維持を困難にするおそれがある。需給と価格の安定を最優先とした政策運営が不可欠である。

加えて、国内需給の安定と併せて、海外市場への販路拡大も重要である。特に個人農家や小規模事業者による輸出を後押しする仕組みを整えることで、国際的な需要を取り込み、農業経営の安定化につなげることが求められる。

よって、国においては、以下の事項に取り組むよう、強く要望する。

1,需給の安定化と情報発信

主食用米の需給見通しや在庫状況を正確かつ分かりやすく迅速に発信し、「需要に応じた生産」の原則を堅持して過剰生産や混乱を防ぐこと。

2,農業者所得と多様な作物体系の確保

米価下落時に農業者の所得を確実に下支えする仕組みを明示するとともに、加工用米・飼料用米・麦・大豆など多様な作物体系を維持できるよう総合的な支援策を講じること。

3,輸出促進と販路拡大

個人農家や小規模事業者による米輸出を後押しするため、制度整備・物流支援・販路開拓を一体的に推進すること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和7年12月17日

衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、内閣官房長官、農林水産大臣

介護保険制度の持続可能性確保と地域介護体制強化を求める意見書

介護保険制度は、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けるための基盤であり、本市を含む全国の自治体において、その重要性は一層高まっている。

しかし、急速な高齢化に伴う要介護認定者の増加、介護人材の不足、事業所の休止・廃止、介護給付費の増大など、制度の持続可能性を揺るがす課題が顕在化している。

厚生労働省の令和6年度「介護報酬改定の効果検証及び調査研究」では、介護人材の確保が極めて困難であることや事業所の休止・廃止が増加している実態が示されており、制度の持続可能性を著しく損なうことが懸念されている。加えて、2024年に報道機関が東海4県の自治体を対象に実施した調査では、半数以上が人材確保の困難さを訴え、中山間地域ではサービス空白地の拡大が報じられている。

本市では、第9期介護保険事業計画に基づき、2023年度末時点で約51億8000万円の介護給付費準備基金のうち、30億円を2024年度から2026年度に取り崩すことで、保険料の上昇を一時的に抑制している。しかし、これは短期的措置に過ぎず、2040年まで続くとされる人材不足や財政逼迫への対応には限界がある。

よって、国においては、下記の事項について措置するよう強く要望する。

1,財政基盤の強化と制度安定化

介護保険制度の持続可能性を確保するため、国庫負担割合を引き上げるとともに、介護給付費財政安定化基金を拡充し、交付・貸付条件を緩和して、市町村基金と併用できる仕組みを整備すること。

2,介護人材と事業所の確保・維持

処遇改善加算のさらなる拡充に加え、地域特性に応じた人材確保支援(奨学金・家賃補助等)を講じるとともに、小規模事業所の経営支援や存続支援等の体制整備を推進すること。

3,ICTの活用と地域包括ケアの推進

介護従事者の業務負担を軽減し、利用者へのサービス水準を高めるために、ICTの導入支援を一層強化するとともに、地域の実情に即した包括ケアのモデルを開発・普及し、持続可能な介護提供体制を構築すること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和7年12月17日

衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、内閣官房長官、財務大臣、厚生労働大臣、経済産業大臣

自動車整備士不足解消を求める意見書

自動車産業を支える自動車整備士の人材不足が深刻化しており、報道によると、現在の有効求人倍率は5倍を超える状況となっている。

これは単に自動車整備業界の問題にとどまらず、整備士不足により車検が受けられなくなれば、自動車に移動を依存する地方生活者や、交通インフラの維持に支障を来す。このことから、自動車整備士の確保や育成は喫緊の課題である。

現在、自動車整備業界は高齢化と若年層の減少に伴う平均年齢の上昇が続き、事業承継が困難となり、2024年度には休業・廃業や解散・倒産件数が全国で445件と過去最多を更新し、特に地方においてはその傾向が顕著になっている。その理由として自動車整備士の労働環境や処遇の厳しさが挙げられており、他業種との比較上、魅力に欠ける点が指摘されている。

また、自動車整備士には、増加するEV(電気自動車)、HV(ハイブリッド車)及び自動運転技術など新技術への対応が求められ、必要なスキルや資格の取得負担が増しても、整備技能の高度化に対する賃金への反映が十分ではなく、加えて事業者にとっても新技術への設備投資と同時に、自動車整備士への教育に対するコストの増大が大きな負担となるなど、自動車整備業界への支援は中小事業者を中心に必要不可欠な状況である。

この状況に対し、国土交通省は、課題解決に向けて整備事業規制の緩和をするとしているが、雇用に直結する見直しとなっていない現状がある。

よって、国においては、自動車整備業界の持続可能性を確保するため、中小事業者への人材確保支援等を強化し、EV・自動運転など新技術へ対応するスキル取得への支援、若年層への広報活動を展開するなど、早急な対応を強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和7年12月17日

衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、内閣官房長官、経済産業大臣、国土交通大臣

学校給食施設の空調・衛生環境整備に係る財政支援を求める意見書

学校給食は児童・生徒の健全な心身の発達を図る上で欠くことのできない教育活動の一環であり、学校給食法第9条第2項において、学校給食を実施する義務教育諸学校の設置者が自らの責任において、給食施設の適切な衛生管理に努めることとなっている。

近年の気候変動に伴う夏季の高温環境の恒常化により、給食施設では食品衛生上の観点や調理従事者の熱中症リスクなどの課題が深刻化している中、徐々に空調設備の整備が進み、昨年、文部科学省が公表した全国の公立学校施設の給食調理場の空調設備の設置状況は、共同調理場で91.4%となっている。

単独調理場の調理室についても83.6%と、2020年調査時より約17%増加しているものの、作業区域ごとに見ると、下処理・洗浄室等は55.8%と、6割に届かない状況が続いており、衛生管理の面から早急な改善が必要である。また、空調設置率が100%の自治体がある一方で、50%に満たない自治体があるなど、自治体によってばらつきがあるのが実態である。

こうした状況を早急に改善しなければならないが、自治体の財政状況に加え、特に単独調理場は校舎と併設されている形態が大半で、校舎全体の老朽化対策として建て替え等の計画に組み込まれるため、調理室単独での環境改善が進まない状況となっている。

よって、国においては、児童・生徒の食の安全と調理従事者の健康を守る観点から、地方自治体が行う空調設備の設置等、調理場の衛生環境整備を促進するため、下記の措置を講ずるよう強く要望する。

1,学校給食施設における空調設備の整備及び更新に要する経費について補助制度を拡充するほか、学校給食衛生管理基準の遵守に向けた施設改修・更新等に関し、国が主体的に実効性のある支援策を講じること。

2,調理従事者の安全確保及び労働環境改善を図るため、関係省庁が連携し、給食施設の労働環境基準の明確化を図ること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和7年12月17日

衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、内閣官房長官、財務大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣

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