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更新日:2025年10月22日
公益に関する重要な事項について、議会としての意思を意見としてまとめ、国などの関係行政庁に対して提出するのが意見書です。
本市の場合、市民や各会派等から提出された意見書案を協議し、全議員の賛成が得られるよう、議会運営委員会において調整し、賛同が得られた場合は議会運営委員会委員の発議で提案します。ただし、出席委員の4分3以上の賛成が得られたものについては、賛成委員の発議で提案できるものとしています。その後、本会議において採決します。
令和7年9月定例会では、以下の6件の意見書を可決しました。
ニホンカモシカは、昭和30年(1955年)に特別天然記念物に指定され、保護措置の実施により全国的に個体群の回復が進展した。昭和50年代に入り、農林業被害の拡大が社会問題化したことから、昭和54年(1979年)に文化庁・環境庁(当時)・林野庁の三庁による合意がなされ、保護管理施策の転換が図られた。
この三庁合意に基づき、種指定から地域指定への移行を目指し、特別天然記念物としての保護を維持しつつ、ニホンカモシカ保護地域の指定が進められ、特別調査および通常調査によるモニタリング体制が整備された。個体群の調整は、文化財保護法に基づく現状変更許可に加え、鳥獣保護法改正により、平成11年(1999年)に創設された特定鳥獣保護管理計画、平成26年(2014年)に新設された第二種特定鳥獣管理計画等により実施されている。
しかしながら、三庁合意から40年以上が経過した現在においても、地域指定への移行は一部で実現しておらず、制度的な停滞が続いている。加えて、全国的に山岳地帯中心部での個体密度の低下や、低標高地・人の生活圏への進出が顕著となっている。
本市においても同様の現象が顕在化しており、新植造林地における幼木の食害、水田等の農業被害が報告されているほか、人の生活圏への侵入事例も増加している。農林業者からは、被害への対応に苦慮しているとの声が多く寄せられており、現場でニホンカモシカに遭遇しても、現行制度下では何ら対応ができないという実情がある。
よって、国においては、以下の事項について措置するよう強く要望する。
1.特別天然記念物であるニホンカモシカについて、三庁合意の履行を図り、早期に地域指定への移行に向けた取組を実施し、適切な保護管理に努めること。
なお、三庁合意の履行が困難な場合には、新たな枠組みを設定し、地域指定への移行に向けた取組を開始すること。
2.ニホンカモシカによる農林業被害に対する補償制度を創設すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年10月22日
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、内閣官房長官、財務大臣、文部科学大臣、農林水産大臣、環境大臣
水道は、市民の生命と暮らしを支える不可欠な社会基盤であり、災害時においても安定的な水の供給を確保することは、水道事業者に課された重要な責務である。
本市においては、能登半島地震の教訓を踏まえ、「浜松市上下水道耐震化計画」を策定し、老朽管路の更新と耐震化を重点的に推進している。こうした取組を着実に進めるためには、国による財政支援の充実が不可欠である。
そうした中、昨年度の国の補正予算では、防災・安全交付金の「水道総合地震対策事業」において、重要施設配水管の補助要件が緩和され、補助率も引き上げられた。一方、「水道管路緊急改善事業」においては、補助率が、3分の1から4分の1に引き下げられ、水道料金や給水収益に占める企業債残高等の指標値も依然として補助要件とするなど、厳しい制度となっている。
また、地方公営企業繰出金に関しても、対象事業費が過年度実績に上乗せした分に限定され、乗率も4分の1(高料金事業者は2分の1)にとどまっており、老朽化や物価高騰に直面する水道事業の持続的運営に支障を来している。
水道事業が維持管理期にある現在、計画的な更新と耐震化を進めるためには、より柔軟かつ実効性のある財政措置が求められる。
よって、国においては、下記の事項について措置されるよう強く要望する。
1.防災・安全交付金において、水道総合地震対策事業のうち重要施設配水管に係る要望額を満額交付できるよう予算を確保するとともに、水道管路緊急改善事業の補助要件を撤廃すること。
2.地方公営企業繰出金において、水道管路耐震化事業の対象事業費を拡充し、乗率を大幅に引き上げること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年10月22日
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、内閣官房長官、総務大臣、財務大臣、国土交通大臣
与党の令和7年度税制改正大綱では、自動車関係諸税について「日本の自動車戦略やインフラ整備の長期展望等を踏まえるとともに、『2050年カーボンニュートラル』目標の実現に積極的に貢献するものでなければならない」とし、中長期的な視点から車体課税・燃料課税を含め総合的に検討し、見直しを行うとされた。その検討において、燃料課税については現在与野党間で議論が進んでいる。
一方、車体課税については、「取得時における負担軽減等課税のあり方を見直すとともに、自動車の重量及び環境性能に応じた保有時の公平・中立・簡素な税負担のあり方等について、関係者の意見を聴取しつつ検討し、令和8年度税制改正において結論を得る」とされている。
さらに、エンジン車とEV間の税負担の公平性の課題に端を発した走行距離課税などを含む「利用に応じた負担」についても、「使途、執行・関係技術等を踏まえ検討し、課税の枠組みについて、令和8年度税制改正において結論を得る」とされた。
対して、現在の日本の自動車産業は、この数年の中国などの海外EVの台頭や、直近ではトランプ関税が来年度以降の賃上げ機運を減退させる影響を及ぼしつつあるなどの激変の最中にあり、国内主要産業として決して盤石ではない状況にある。
また、物価高の続く中、地方の移動を支える生活必需品である自動車の保有負担が増えることは住民生活に大きな影響を与え、特に過疎地域など日常生活で長距離移動を余儀なくされる地域ではその負担が一層重くなり、加えて走行距離課税のような「利用に応じた負担」が導入されれば、地方創生の理念に反し、都市部との不公平感を増幅させるおそれがある。
よって、国においては、令和8年度税制改正に当たって地方創生の大前提に立ち、下記の事項について実現するよう強く要望する。
1.自動車が生活必需品である地方の住民負担を増やさないこと。
2.国産EVなどの環境性能の高い車両の普及を促進させ、利用者だけでなく、地方の雇用を支える自動車産業の双方にメリットのある制度設計を行うこと。
3.自動車税制の見直しにあっては、自動車関係諸税の国税部分を地方へ税源移譲するなど、地域交通のインフラ維持などの原資となる地方税収を確保する措置を行うこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年10月22日
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、内閣官房長官、財務大臣、経済産業大臣、国土交通大臣、環境大臣
消費者被害を防ぐためには、相談体制の確保や消費者教育・啓発など、地方消費者行政の充実・強化が図られなければならないが、地方消費者行政の下支えとなってきた、国の地方消費者行政推進交付金(強化交付金)は、令和7年度末には多くの地方公共団体で活用期間が終わるため、交付金を活用してきた相談体制の維持や、消費者教育・啓発に係る事業の継続が困難となるなど、地方消費者行政の後退・縮小が懸念される。
また、被害の防止・救済の根幹である消費生活相談においては、相談員の高齢化等による担い手不足が深刻な問題となっている。相談員の担い手を確保し、安定的に業務を継続できるよう、雇用形態や処遇等の改善が求められており、国の主導により速やかな制度設計と予算措置を行うことが必要である。
さらに、消費生活相談のデジタル化に向け、国は全国消費生活情報ネットワークシステム(PIO-NET)に代わる新たなシステムの整備を予定しているが、端末のリース費用やセキュリティ対策の継続的な更新費用などは地方公共団体の負担とされており、これらの経常的経費も国の責任で措置すべきである。
よって、国においては、以下の措置を行うよう強く要望する。
1.地方公共団体の財政事情によることなく、地方消費者行政を安定的に推進するための恒久的な財源を措置すること。
2.消費生活相談員の安定的な確保と処遇改善に係る制度設計に必要な予算措置を講じること。
3.国が進める消費生活相談デジタル化に係る予算を国の責任で措置すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年10月22日
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、内閣官房長官、総務大臣、財務大臣、内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)、消費者庁長官
我が国の下水道や農業集落排水施設等による汚水処理人口普及率は9割を超え、多くの国民が衛生的で快適な生活環境を享受するに至っている。
本市においても、広大な市域において下水道等が整備され、市民生活と産業活動を支える基盤となっている。
一方で、昭和40年代から昭和60年代に集中的に整備された下水道施設は標準耐用年数50年を経過し、今後急速に老朽化が進行することが見込まれている。本市は市域が広大であることから、山間部や沿岸部に点在する施設も多く、維持管理の効率化や長寿命化の取組が一層重要となっている。持続可能な下水道機能を確保するためには、計画的な維持管理や改築事業の着実な推進が不可欠である。
下水道は地下に埋設されたインフラであり、点検が困難な箇所を多く抱えるとともに、構造物本体だけでなく地震等の影響も考慮する必要がある。特に南海トラフ巨大地震の切迫性が指摘される本市にとっては、災害時における管路の被害や二次的被害を最小化する観点からも更新・改築は喫緊の課題である。
令和7年1月に埼玉県で発生した下水道管の破損に起因する大規模道路陥没事故は、下水道管の老朽化が市民生活や経済活動に深刻な影響を及ぼすことを改めて浮き彫りにした。
本市においても、既に更新需要が増大している一方で、技術職員の不足や使用料収入の減少など、限られた人員・財源の中で適切なインフラマネジメントを進めることが困難となりつつある。
よって、国においては、下水道管のインフラマネジメントの推進に向け、下水道DX技術を活用した新技術の開発・普及などによる技術的支援の強化とともに、地方公共団体が計画的に更新・改築を進められるよう、補助対象事業の拡充など、さらなる財政措置を講ずるよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年10月22日
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、内閣官房長官、財務大臣、国土交通大臣
全国の市区町村では、これまで、特別定額給付金をはじめ、住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金等の国の給付金事業において、極めて過大な負担がかかっており、国が一元的な給付制度を創設した上で、国の責任で給付事務を実施することについて強く求めているところである。
令和7年7月現在、マイナンバーカードの保有枚数は、約9852万枚に及び、人口に対する保有枚数率も約79.2%となっている。
また、マイナンバーカード保有枚数に対する公金受取口座登録率は、全国平均約64.8%であり、本市においては、保有枚数率約81.2%、公金受取口座登録率約67.2%の高いひもづけ率となっている。
給付金事業においては、現行の公金受取口座登録が十分に活用されないまま非効率な運用となっており、自治体の限られた行政資源が地域の実情に沿った真に必要な住民サービスの遂行に支障を来すことになりかねない。
今後、全国的な給付金事業を実施する場合においては、迅速かつ公平な給付と国全体での行政事務の最適化・効率化を確実に実現するため、国が一元的に給付金事務の仕組みを構築した上で、実施主体となり、自らの責任において実施するべきである。
よって、国においては、以下の措置を行うよう強く要望する。
1.給付に際しては、公金受取口座を活用するとともに、当該給付金について贈与契約上の受領の意思確認に関する法的整理を行うことで、より迅速に業務を遂行できるようにすること。
2.マイナンバーカードの保有及び公金受取口座登録のさらなる推進を図る施策を行うこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年10月22日
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、内閣官房長官、総務大臣、デジタル大臣