緊急情報
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更新日:2025年6月19日
公益に関する重要な事項について、議会としての意思を意見としてまとめ、国などの関係行政庁に対して提出するのが意見書です。
本市の場合、市民や各会派等から提出された意見書案を協議し、全議員の賛成が得られるよう、議会運営委員会において調整し、賛同が得られた場合は議会運営委員会委員の発議で提案します。ただし、出席委員の4分3以上の賛成が得られたものについては、賛成委員の発議で提案できるものとしています。その後、本会議において採決します。
令和7年5月定例会では、以下の5件の意見書を可決しました。
森林は、水源涵養や土砂流出防止などの公益的機能を有しており、市民全体に様々な恩恵をもたらしている。
森の力再生事業は、緊急性や困難性が高い荒廃森林において、強度間伐、災害による風倒木の整理、放置竹林の伐採等により「森の力」の回復を図るものであり、本市では、平成18年度の制度開始から令和6年度末までで約3500ヘクタールの実績を上げている。近年頻発する局地的な集中豪雨を受け、災害に強い強靭な森づくりへの市民意識は高まっており、事業継続への期待感も高まっている。
一方、令和6年度から開始された森林環境税は、森林環境譲与税として地方自治体へ一定のルールにより交付され、森林整備等に必要な地方財源の安定的確保につながるとともに、国内の温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止等への森林・林業分野による環境整備の効果が期待されている。
同譲与税は関連法により、森林整備だけでなく林業関係の人材育成及び市民・企業を含めた木材利用の促進、またそれらの啓発への取組を使途とすることとなっており、所有者が整備できない荒廃森林の再生を目的とした森の力再生事業とは、その目的を異としている。
これらの2つの事業は、まさに両輪の関係であり、それぞれの目的に沿い、その効果を発現することで、森林の公益的機能を最大限に発揮し、住民にその恩恵を与えるものである。
よって、森の力再生事業は令和7年度で第2期計画の最終年度となるが、県においては、事業の重要性に鑑み、次期計画として事業を継続するよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年6月17日
提出先
静岡県知事
自治会・町内会など一定の区域に住所を有する者の地縁に基づいて形成された「地縁による団体」について、地域的な共同活動を円滑に行うため、市町村長の認可を受けたときはその規約に定める目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う制度(以下、「認可地縁団体制度」という。)が平成3年の地方自治法改正により設けられた。
その後の法改正を経て、認可地縁団体制度により、それまで自治会・町内会等の地縁による団体が、不動産等の登記ができなかったことによる様々な問題が解消された効果は大きい。
反面、現場では、運用の煩雑さに起因する問題も生じている。特に、その区域に住所を有する全ての個人をその構成員とすることから、総会ごとに構成員の出席を求めることとなるが、実際に出席することが困難な生後間もない乳幼児や小・中学生等も委任状の提出対象となり、結局のところ、法定代理人の親が表決権を行使することとなる。
自治会・町内会は、原則として、全世帯加入を組織原理とする任意の地縁組織であり、その団体意思はこれまで、世帯単位で1票とする表決により決定してきた。したがって、地域における共同活動を円滑に行うことを目的とする認可地縁団体であっても、表決を世帯単位とすることに一定の合理性がある。
たとえ、地域に住む者全員に構成員としての権利があるとしても、役員の負担はできる限り軽減し、持続可能性を担保する必要があることから、その運営は簡素で効率的であるべきである。
また、地縁団体の目的が公益である性質上、一定の要件を満たせば、不動産の登記に関する登録免許税を減免するなどの措置を講ずるべきである。
よって、国においては、認可地縁団体の運営が簡素化できるよう、以下の点について関係法令の改正を強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
記
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年6月17日
提出先
衆議院議長・参議院議長・内閣総理大臣・内閣官房長官・総務大臣・財務大臣・法務大臣
我が国の被選挙権は、公職選挙法により衆議院議員・地方議会議員については満25歳以上、また、参議院議員については満30歳以上と規定されている。この被選挙権について、最高裁判所においては、被選挙権は選挙権と表裏一体の関係にある重要な権利であり、被選挙権(立候補の自由)は「憲法第15条1項の趣旨に照らし、基本的人権の一つとして、憲法の保障する重要な権利である」(最大判昭和43年12月4日)との見解が示されている。
我が国では、成人年齢及び選挙権年齢である満18歳になると、親の同意なしに会社を設立し代表取締役に就任することが可能となり、また裁判員や検察審査員として重大な刑事事件等にも関与することができるにもかかわらず、被選挙権年齢は満25歳以上となっている。
一方でOECD加盟国では、下院での被選挙権年齢は満18歳以上が23か国、60.5%と最も多くなっており、我が国の衆議院議員のように25歳以上というのは、5か国、13.2%と少数派となっているのが現状である。また、選挙権年齢と被選挙権年齢を18歳以上と統一している国も過半数を超えている。
よって、国においては、様々な権利が得られると同時に相応の義務を負うことになる成人年齢との均衡や、選挙権年齢と被選挙権年齢を一致させている国際的な潮流を踏まえ、被選挙権年齢については、引下げを行うとともに、若者の政治参画を促進するため、供託金の在り方や主権者教育の拡充など、必要な支援等について、抜本的な改革を行うことを強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年6月17日
提出先
衆議院議長・参議院議長・内閣総理大臣・内閣官房長官・総務大臣
令和6年12月24日に成立した情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律の一部改正により、ガバメントクラウドの導入が推進されている。しかし、現状では海外のクラウドサービス提供事業者(以下、「CSP」という。)への依存度が高く、データ主権及び経済安全保障の観点から、以下の懸念が生じている。
まずは、データ主権の確保の問題である。海外CSPに依存することで、我が国の重要なデータが外国政府の法的要求により開示されるリスクが存在する。これは、国民のプライバシー保護や国家の主権に関わる重大な問題である。併せて、一度、特定のCSPを選択すると、他のCSPへの移行が難しくなるクラウドロックインの問題もデータ主権に関しての課題となる。
さらに、現在国内データセンターにデータ保管する国内のCSPは限られており、地方自治体がガバメントクラウドへ移行する際に実質的な選択肢が乏しい状況である。そのため、国内CSPを育成し、地方自治体が安心して利用できる環境を整備することが急務と考える。併せて、現在の移行スケジュールについては、全国の地方自治体が同時期にガバメントクラウドへ移行することを目指しており、ベンダーの対応力不足やデジタル人材の不足、価格の高騰などの問題が懸念される。
よって、国においては、データ主権の確保と経済安全保障の観点から、地方自治体が安心してガバメントクラウドを活用できる環境整備に向け、国内CSPの育成支援を強力に進めるとともに、クラウドロックインの課題を解消するため必要な財政措置を講じることを強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年6月17日
提出先
衆議院議長・参議院議長・内閣総理大臣・内閣官房長官・総務大臣・デジタル大臣
リハビリテーションの目的は、事故やけがによる身体機能不全の回復に加え、高齢や脳の病気による心身機能低下を改善させることである。
昨今では、高齢者はもとより認知症の方や障害者への支援、子供の発達支援、メンタルヘルスケアなど多くの分野で必要とされており、クオリティー・オブ・ライフ(QOL)の向上についても期待されている。
リハビリテーションには、理学療法や作業療法、言語聴覚療法があり、それぞれ理学療法士、作業療法士、言語聴覚士(以下、「リハビリテーション専門職」という。)が行っているが、その給与額は長年変化がなく、他職種と比較して伸び率が劣っている。低賃金構造は優秀な人材の流出や担い手不足を招き、リハビリテーションの質の低下にもつながりかねない。
国においては、令和6年度診療報酬改定において、リハビリテーション専門職の賃上げ措置を決定したところであるが、リハビリテーション専門職団体協議会が令和6年9月に実施した「リハビリテーション専門職の処遇改善に関する実態調査」において、医療施設では約3割、介護・福祉施設では約4割の施設で給与の引上げが行われていない実態が明らかとなった。
リハビリテーション専門職の処遇改善は喫緊の課題であることから、今後は給与水準の底上げや継続的な昇給に向けた抜本的な対策が必要である。
よって、国においては、リハビリテーション専門職の給与引上げが確実に行われる措置と地域におけるリハビリテーション専門職の確保や処遇改善に向けた取組を推進するよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年6月17日
提出先
衆議院議長・参議院議長・内閣総理大臣・内閣官房長官・厚生労働大臣・経済産業大臣