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更新日:2024年12月26日
公益に関する重要な事項について、議会としての意思を意見としてまとめ、国などの関係行政庁に対して提出するのが意見書です。
本市の場合、市民や各会派等から提出された意見書案を協議し、全議員の賛成が得られるよう、議会運営委員会において調整し、賛同が得られた場合は議会運営委員会委員の発議で提案します。ただし、出席委員の4分3以上の賛成が得られたものについては、賛成委員の発議で提案できるものとしています。その後、本会議において採決します。
令和6年11月定例会では、以下の2件の意見書を可決しました。
本年9月26日、袴田事件の再審公判において本市在住の袴田巌さんの無罪判決が下され、11月9日に検察官が上訴権を放棄したことで袴田巌さんの無罪が確定した。事件から58年、再審を求めてから43年の歳月を要した。戦後、死刑が確定した事件で再審無罪となった事件は5件であり、いずれも事件発生から再審無罪確定まで29年以上を要している。再審公判の長期化は、えん罪被害者の人生を奪うこととなり、ここまで長期化した原因は刑事訴訟法の不備と断じざるを得ない。
再審が長期化する具体的な原因は、えん罪被害者を救済するための刑事訴訟法第四篇「再審」上の規定は第435条から第453条までの19条しかなく、再審請求手続をどのように行うかは裁判所の広範な裁量に委ねられていることにある。そのため、再審公判が長期化するとともに、再審請求事件の審理の適正さが制度的に担保されず公平性が損なわれるという問題も生じており、再審請求手続における適正な手続規定の整備が強く求められている。
また、過去の多くのえん罪事件では、警察や検察庁といった捜査機関の手元にある証拠が再審段階で明らかになり、えん罪被害者を救済するための大きな原動力となっているが、現状では捜査機関の手元にある証拠を開示させる仕組みについて現行法に明文化された規定がなく、再審請求手続において証拠開示がなされる制度的保障が無い。そのため、裁判官や検察官の対応いかんで証拠開示の範囲に大きな差が生じているのが実情であり、証拠開示のルールを定めた法律の制定が不可欠である。
さらに、再審開始決定がなされても、検察官がこれに不服申立てを行う事例が相次いでおり、えん罪被害者の救済が妨げられている。また、再審開始決定は、あくまで裁判をやり直すことを決定することにとどまり、有罪・無罪の判断は、再審公判において行うため、検察官にも有罪立証をする機会が与えられている。したがって、再審開始決定がなされたのであれば速やかに再審公判に移行すべきであって、再審開始決定に対する検察官の不服申立ては認めるべきではない。
よって、国においては、えん罪被害者の早期救済のため、下記の事項について、刑事訴訟法の再審規定を速やかに改正するよう、強く要望する。
記
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年12月20日
提出先
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、内閣官房長官、総務大臣、法務大臣
2012年に固定価格買取制度(FIT)が創設されて以来、再生可能エネルギーの普及が進み、中でも急速に太陽光発電施設の導入が拡大した。本市は、全国トップクラスの日照時間により、太陽光発電の導入が日本一となっている。
国は、2020年に「2050年カーボンニュートラル宣言」を行い、2021年の「エネルギー基本計画」では、2030年度の電源構成として再エネ導入目標を36~38%としており、そのうち太陽光は14~16%程度とされていることで、今後も積極的な導入が進められる。
一方で、太陽光発電パネルの製品寿命が一般的には20年から30年とされている中、2030年代後半以降、設備の更新や撤去により大量の使用済み太陽光発電パネルが廃棄物として排出されることが見込まれている。
事業用発電にかかる太陽光発電パネルは、発電事業が終了した場合や、事業者が経営破綻した場合に、コストのかかる処理を行わず、放置されたり、悪質な不法投棄につながる可能性が考えられる。また、今後、使用済み太陽光発電パネル排出のピークを迎えるにあたり、埋立て処分では最終処分場がひっ迫することも想定されるため、循環資源として使用済み太陽光発電パネルのリサイクルをより一層推進する必要がある。
国においては、再エネ特措法改正により、2022年7月から、FIT/FIP認定を受けた10kW以上の事業用太陽光発電事業者は廃棄費用の積立を義務化した。また、資源循環の促進のため、2024年9月から、中央環境審議会循環型社会部会に、「太陽光発電設備リサイクル制度小委員会」を設置し、環境省と経済産業省が合同で義務的リサイクル制度の活用を含めた新たな仕組みの構築に向けて検討を開始した。しかしながら、リサイクルに向けた取組には課題が山積しており、その解決に向けた対応を示す必要がある。
よって、太陽光発電事業が地域社会で将来にわたり安定した運営がなされるよう、循環資源としての使用済み太陽光発電パネルについて、使用後の実態を正確に把握し、義務的リサイクル制度の早期実現に向けた課題解決の取組を推進することを強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年12月20日
提出先
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、内閣官房長官、経済産業大臣、環境大臣