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更新日:2024年6月20日
公益に関する重要な事項について、議会としての意思を意見としてまとめ、国などの関係行政庁に対して提出するのが意見書です。
本市の場合、市民や各会派等から提出された意見書案を協議し、全議員の賛成が得られるよう、議会運営委員会において調整し、賛同が得られた場合は議会運営委員会委員の発議で提案します。ただし、出席委員の4分3以上の賛成が得られたものについては、賛成委員の発議で提案できるものとしています。その後、本会議において採決します。
令和6年5月定例会では、以下の4件の意見書を可決しました。
現在、企業や個人事業主が取得した少額の減価償却資産について、その取得価格や企業の規模に応じて取扱い方法が混在している。10万円未満は全額一時損金算入、10万円以上20万円未満は一括償却資産として、10万円以上30万円未満は中小企業等であれば少額減価償却資産として全額損金処理ができるが、そうでない場合は個別に法定耐用年数に応じ減価償却する必要がある。さらに、損金算入資産と一括償却資産は償却資産税の対象外、少額減価償却資産と10万円以上の個別減価償却は償却資産税の対象となるなど、取扱いが複雑である。
また、昨今の物価高及び人件費の上昇により、企業等が購入する減価償却資産の価格も上昇している。特にDX化に伴う設備投資は、電子機器の単価のみならず周辺機器の価格や初期設定費用も含めるため、上記のような上限金額の設定により、本来必要な機能を備えた機器ではなく、上限金額に合わせて購入する機器を決めるケースも多々ある。
加えて、消費税の適格請求書等保存方式が導入され、各企業や個人事業主における経理の事務負担が増加している中、このような状況は税制度の三原則である公平・中立・簡素のうち簡素という点において実現されていないと言える。
よって、国においては、少額の減価償却資産の取扱いの簡素化等を図るよう、下記の点に早急に取り組むよう、強く要望する。
記
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する
令和6年6月17日
提出先
衆議院議長・参議院議長・内閣総理大臣・内閣官房長官・財務大臣
内閣府の調査によると、ひきこもり状態にある人は、全国で15歳から64歳までの年齢層において約146万人、50人に1人と推計され、ひきこもりの長期化、高年齢化が進む中、80代の親と50代のひきこもりの子が孤立・困窮する「8050問題」や、親が亡くなった後の50代のひきこもりの子(以下「本人」という。)の支援等の課題が大きな社会問題となっている。
ひきこもりの原因は多様かつ複合的であることから、本人一人一人の状態・状況に応じたきめ細かで切れ目のない支援が必要であるが、現状では福祉制度のはざまで適切な支援を受けられない事例も少なくない。
NPO法人「KHJ全国ひきこもり家族会連合会」が、本年1月から3月まで会員らを対象に実施した調査では、本人の約85%、家族の約78%が「何らかのサポートが必要」と回答している。
しかし、実際に支援が継続されているのは本人約27%、家族約39%のみだったという。報道によると、当該NPO法人共同代表は、「自治体に相談しても『その先』が見えず、諦めて足を運ばなくなったのでは」と分析している。
そうした中、本年4月29日に厚生労働省は、自治体向けに「ひきこもり支援指針」の骨子を公表した。そこでは、自治体の支援は従来の就労といった「問題解決型」から「寄り添い型」への転換が求められており、2024年度中に策定する指針に具体的な支援ポイントを盛り込み、自治体の後押しをしたい考えのようである。
こうした現状を踏まえ、さらに適切な支援を進めていくためには、指針との両輪として基本法の制定が必要と考える。
よって、国においては、「本人や家族の意思を尊重し、生きがいや希望を持って自律的に暮らせること」などを基本理念とする「ひきこもり支援基本法」の制定を強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年6月17日
提出先
衆議院議長・参議院議長・内閣総理大臣・内閣官房長官・厚生労働大臣
政府は、2023年10月よりいわゆる「106万円の壁」対策として年収が106万円を超えても手取り額が減少しないように「社会保険適用促進手当」を標準報酬算定除外とした。また「130万円の壁」対策として、一時的に年収が130万円を超えても事業主の証明発行により2年間は扶養内とすることとした。いずれも第3号被保険者の就業調整対策である。
第3号被保険者の分類は1986年施行の年金改正で作られた。それまでは専業主婦は国民年金に任意加入であったことから、第3号被保険者制度は国民「皆」年金を目指した国策であった。
現制度では、自営業世帯の夫婦それぞれが保険料(令和6年度:16980円/月)を納め、基礎年金(令和6年度(満額):6万8000円/月)を受給する。第3号被保険者は同額を受給するが保険料負担はない。この仕組みは年金保険料納付者にとっては不公平であり、かつ年金の拠出原則に反している。また最近、国民年金保険料の納付を65歳まで延長し、支給額を100万円増やす案が浮上していると聞く。これを第3号被保険者に当てはめるとさらに不公平が生じることとなる。
1985年当時は専業主婦世帯が936万世帯であったが、2022年には430万世帯に半減し、共働き世帯は、718万世帯から1191万世帯に増えており、年金を受給できない専業主婦のための1986年の年金改正であったが、第3号被保険者は減少し続けている。
第3号被保険者は減少しているものの、2022年3月末時点で、第3号被保険者は推定763万人という。年額保険料20万3760円に763万人を乗ずれば最大で1兆5500億円余の財源が生まれる。社会保障において、1990年には国民5.8人の負担で一人の高齢者を支えたが、2025年には2人で一人を支えるといわれている。この負担感は少子高齢化、人口減少の一因でもある。
なお、やむを得ない事情で納付できない場合は、既に第1号被保険者において免除等の優遇措置が図られている。
よって、国においては、就業調整対策が不要となり、女性の社会進出を促進することにもつながるため、第3号被保険者制度を廃止するよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年6月17日
提出先
衆議院議長・参議院議長・内閣総理大臣・内閣官房長官・厚生労働大臣
近年、ドローンは機体の進化やAIを用いた映像技術の進歩に伴い、橋梁や砂防の各施設の点検、河川巡視などインフラ設備の維持管理、河川上空を利用した医薬品等の輸送、さらには自律飛行による火山活動の観測、UAV(無人航空機)レーザ計測による3次元測量など日常的に多方面で利活用され、本市においても、中山間地における医薬品の運搬、水管橋の点検などでの活用が期待されている。
そして本年1月1日に発生した能登半島地震では、道路の損壊や倒壊家屋内の被災状況の調査、土砂ダムの定期的監視、孤立集落への調査医薬品の運搬などに利用されるなど、ドローンの持つ機動性は今後の災害発生時においても大いに役立つものとなっている。
2015年9月に改正された航空法ではドローンを無人航空機として定義し、飛行禁止空域や飛行の方法がルール化され、その後、同法第132条の92に災害時における人命の捜索・救助を目的とした特例措置が設けられるなど、ドローン活用に向けた法整備もされてきているところである。
しかし、実際の能登半島地震の災害現場では、現地の状況確認など多岐にわたるニーズがある一方、そのニーズが同法第132条の92の特例措置に該当するか否かの判断に迷う事例も多くあったとされ、このままでは今後の災害時にドローンが十分に活用できない可能性がある。
よって、国においては、災害時のドローン利活用を迅速かつ有効に進めるため、利用可能なユースケースの解釈を明示するガイドラインの内容の充実などの措置を取ることを強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年6月17日
提出先
衆議院議長・参議院議長・内閣総理大臣・内閣官房長官・国土交通大臣・内閣府特命担当大臣(防災)