更新日:2024年11月26日
令和5年度浜松市国民健康保険佐久間病院の事後評価結果
令和5年度における浜松市国民健康保険佐久間病院の経営強化プランの事後評価については、評価委員会における審査結果を踏まえ、次のとおり公表します。
1.公の施設の名称
浜松市国民健康保険佐久間病院
2.運営方法
市直営
3.事後評価委員会の概要
(1)評価委員会の構成
- 委員長:浅野道雄(あさのクリニック:院長)
- 委員:坂田妃佐恵(坂田妃佐恵公認会計士事務所:公認会計士・税理士)
- 委員:鈴木敦之(遠州鉄道株式会社:取締役常勤監査等委員)
(2)審査日時
- 令和6年8月29日(木曜日)午後2時00分~午後4時00分
(3)評価点
4.評価の内容
評価項目
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配点
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評価点数
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1.当該病院の果たすべき役割と機能
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40
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34.7
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2.経営の視点
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30
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24.0
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3.患者、地域住民への普及啓発
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10
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8.0
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4.前年度指摘項目への対応
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20
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17.3
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合計
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100
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84.0
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6.当該病院の果たすべき役割と機能に対する意見・要望
- 人口減少が続く北遠の僻地において、住民の医療を守るために医療活動を継続している点は高く評価できる。
- 少ない医師により、急性期から慢性期、在宅医療まで幅広く医療活動を行っており、高く評価できる。
- 地域とのかかわりを持つ機会を設け、オンライン診療を活用するなどして効率的な医療を追求していることは評価できる。
- 前年度より医師をはじめとした医療従事者が減っている状況においても、患者の多様な領域の疾患や外傷に対応する総合診療が出来ていること、地域ニーズが高い整形外科、眼科、精神科の専門外来診療が行われていること、救急医療、無医地区等への巡回診療、介護・福祉施設等との連携など、厳しい状況下ながらも北遠地域の医療提供体制の維持に努めていることを確認した。
7.経営の視点に対する意見・要望
- 短期間で入れ替わる医師の、専門分野や人数により、医療活動の内容が変わり、経営にも多く影響する状況であり、医師の確保が最重要課題であることは言うまでもない。
- 職員とりわけ医師確保は最重要課題であり、引き続き様々なチャンネルを利用して継続的に取り組む必要がある。特に、学生へのアプローチを強化し、数年先を見越したスタッフ確保を常に意識する必要がある。
- 補助金が収入の中でも大きな比率を占めており、経営的な浮き沈みは、補助金の額によるところが大きいため、経営に対する意識が低くなりがちであることが予想される。
- 厳しい診療報酬改定の中でも、診療報酬をいかに得るかという観点を常に持ち、医療機関への患者のアクセスの増加(患者数の増加)、単価の向上に対する工夫を常に持つ必要がある。
- 外科・整形外科の嘱託医師の協力により外科手術が再開され、入院患者数が増加、病床使用率が大幅に向上と医療収益向上に寄与していること、一方、外来患者は内科医退職が影響し、患者数が減少したことを確認した。
- 地域ニーズに合った専門医療の提供体制を構築するためにも、常勤医の先生に1年でも長く勤めていただけることが、収益の安定に繋がると感じた。
- 難しい課題となるが、常勤医の継続確保が実現するよう更なる取組みをお願いしたい。
8.来年度の病院運営事業に対する意見・要望
- 市中病院とは異なる医療ニーズのある地域において、自力で黒字を出すことが困難な状況下にあるため、市中病院とは全く異なる尺度で評価される病院であり、事業の評価は容易ではない。
- 持続可能な事業展開のためには、人員の確保は最重要課題であり、引き続き様々な取り組みにより人員確保に努める必要がある。
- 職員のモチベーションをいかに保つかについても、常に留意する必要がある。
- 今後の職員確保についての見通しを判断するために、今後は、職員(医師・看護師・その他専門職・事務職員他)の内訳(地元出身かどうか、年代、将来の予定、家族構成など)や職員の満足度に関する基礎資料があるとよいと思われる。
- 会議内でも質問させていただいたが、中山間地域の地理的な特徴や人口減及び高齢化が著しいことを踏まえると、この地域での公共サービスの提供に関しては共通の課題があると思うし、部署を横断した議論が必要であると考える。もちろん公共サービスなので、民間サービスのように経済的合理性だけで意思決定するわけではないのは理解しているが、バランスは常に考えていかなければならないと考える。すでに会議体が設置されているとのことだったので、そちらの会議の内容もお聞かせいただきたいし、事業計画にも反映していただく必要があると考える。
- 患者満足度調査を今年度より実施すると説明があった。可能であれば職員満足度調査も実施されるのがよいと考える。在籍期間は短くとも働く人の声を聞くことで、事業運営・処遇・施設等に対して改善の気づきになるのではと考える。