ここから本文です。

更新日:2014年5月15日

浜松市文化財情報vol.76

平成26年5月15日発行

梶子遺跡(かじこいせき)は弥生時代の大集落

伊場遺跡群を代表する梶子遺跡

 

写真:集落の周りにめぐらされた環濠跡(中央の溝が環濠<集落の周りにめぐらされた環濠跡(中央の溝が環濠)>

梶子遺跡はJR東海浜松工場の一帯に広がっている遺跡です。これまでの発掘調査で弥生時代の環濠集落(かんごうしゅうらく)、奈良・平安時代の郡役所である敷智郡家(ふちぐんけ)の跡などがみつかり、隣接する伊場遺跡や城山遺跡などとともに伊場遺跡群と呼ばれています。伊場遺跡群は、遺跡の規模や出土品の量など、浜松市内において最大規模の遺跡であり、梶子遺跡はその中核となる遺跡といえます。

JR東海浜松工場内では、平成23年から工場の建替工事に伴う発掘調査が継続して行われており、平成25年度末までに約11,000平方メートルが調査されています。昨年度は平成24年度に発掘調査した、梶子遺跡15次調査の整理作業を行い、発掘調査報告書を刊行しました。

水田に囲まれた集落か 多量の土器 柱穴もみつかる

写真:弥生土器<弥生土器>

梶子遺跡の発掘調査では、弥生時代後期(約1,900年前)の集落跡から大量の弥生土器が出土しています。これまでの発掘調査で、梶子遺跡の弥生時代の集落は、環濠(かんごう)と呼ばれる幅1.5m~2mほどの溝で囲まれていると考えられています。発掘調査箇所は、遺跡内の各所に分散しているため、環濠がどのように集落の周囲をめぐっているのか明らかではない場所もありましたが、調査の進展とともに徐々に環濠の方向や形が判明してきています。環濠の内部には、おびただしい数の柱穴の跡がみつかっており、多数の建物が建て替えを繰り返しながら作られていたと考えられます。その一方で環濠の外側では、建物跡は全くみつからず、主に水田として利用されていたと推定されます。集落の内と外で明確に土地が区分されていたことが発掘調査の結果からうかがえます。

壺には鹿の絵がみられます

写真:装飾高坏<装飾高坏(そうしょくたかつき)>写真:鹿の線刻画がみられる土器片<鹿の線刻画がみられる土器片>

弥生時代の建物跡の周辺や、環濠の中からはコンテナ数百箱にも及ぶ大量の弥生土器が出土しました。その中から、鹿の絵が描かれた壺の破片が出土しました。環濠に埋まっていた弥生土器の中からみつかった縦5cm、横8cmほどの小さな破片ですが、線刻画で鹿の絵が描かれていることが確認できます。鹿は豊かな実りと関係した神聖な動物と考えられ、銅鐸の表面に描かれることもあります。鹿を描いた壺は、収穫した稲籾を入れ儀式に使うなど、特別な用途に用いられたと考えられます。また、梶子遺跡では装飾高坏と呼ばれる、独特の飾りが施された高坏(たかつき)が多数出土しています。装飾高坏のような特殊な土器も日常生活ではなく、祭祀などの特別な用途に用いられたと考えられ、今回発掘調査した場所の周辺で弥生時代にムラの祭りが執り行われていたと推定されます。大量の弥生土器とこれらの特殊な土器は、梶子遺跡に実り豊かな大きなムラが存在した証拠といえるでしょう。梶子遺跡の発掘調査は、現在も継続して行われており、今後も浜松市の歴史を紐解く新たな発見があると予想できます。今後の調査成果が期待されます。

浜松市文化財ブックレット8『東海道を歩く』新発売!!

写真:東海道を歩く<浜松市文化財ブックレット8『東海道を歩く』価格500円>

五街道の一つ、東海道は交通・流通の大動脈として古代から現代に至るまで重要な役割を担ってきました。浜松市内についても重要な東西交通・流通路として、かつて浜松宿、舞坂宿が置かれるなど街道としての整備がなされました。本書では、市内に残っている185ヶ所の東海道沿線史跡や文化財などについて、道中記や旅日記、地誌など古記録のほか、絵図や浮世絵、絵はがきなどを交え紹介しています。充実の160ページ、オールカラー(絵図を見開き掲載!)、A5判ハンディサイズで、持ち歩きにも便利なマップつきです。いにしえの旅人が辿った道を、その名残を見つけながら旅してみてはいかがでしょうか?本を片手に東海道めぐりをぜひお楽しみください!

下記窓口にて好評発売中

  • 浜松市文化財課(浜松市役所本館3F)
  • 浜松市博物館
  • 姫街道と銅鐸の歴史民俗資料館
  • 東区役所(区民生活課)
  • 西区役所(まちづくり推進課)
  • 南区役所(区民生活課)
  • 北区役所(まちづくり推進課)
  • 浜北区役所(まちづくり推進課)
  • 天竜区役所(まちづくり推進課)
  • 引佐協働センター
  • 三ヶ日協働センター

郵送ご希望の場合の購入方法

住所・氏名・電話番号・冊子名・部数を記入のうえ、【郵便小為替(代金500円)・送付用切手(1部の場合300円、複数の場合は送料をお問い合わせください)】を封入し、下記あて先までお送りください。

【あて先・問い合わせ先】
〒430-8652 浜松市中区元城町103-2 浜松市役所文化財課あて
電話 053-457-2466

文化財日記抄

4月には、次のような調査活動等を行いました。

  • 2日(水曜日) 東区笠井町笠井西浦遺跡工事立会
  • 3日(木曜日) 中区南伊場町梶子遺跡工事立会(~24日)
  • 18日(金曜日) 北区細江町百万遍念仏観音堂現状確認調査
  • 18日(金曜日) 北区都田町都田小放歌踊り倶楽部との意見交換
  • 19日(土曜日) 北区細江町東林寺山門保存修理委員会
  • 19日(土曜日) 神戸市北区全国地芝居サミットin神戸参加(~20日)
  • 22日(火曜日) 天竜区佐久間町川合花の舞保存会との意見交換
  • 23日(水曜日) 北区細江町百万遍念仏伝承組織検討会
  • 25日(金曜日) 西区志都呂町妙相寺のイヌマキ現状調査
  • 26日(土曜日) 天竜区春野町犬居つなん曳映像作成立会
  • 24日(木曜日) 天竜区水窪町樹木現状確認調査
  • 24日(木曜日) 中区松城町浜松城跡工事立合

文化財イベント

  • 家康の軌跡講座「浜松城と引馬城の構造」、5月24日(土曜日)午前9時30分~11時30分、博物館講座室、5月19日から電話で文化財課まで
  • 家康の軌跡講座「見学会・浜松城の門をまちなかで探検する」、5月25日(日曜日)午前9時30分~11時30分/浜松城公園ほか、5月19日から電話で文化財課まで
  • 浜名湖花博2014浜松市の日イベント出演国指定重要無形民俗文化財「遠江のひよんどりとおくない」のうち『寺野のひよんどり』『川名のひよんどり』、6月1日(日曜日)、フラワーパーク
  • 文化財防災講演会「東日本大震災と文化財レスキュー」、6月28日(土曜日)午後2時~4時、博物館講座室、5月15日から電話で文化財課へ
  • 渋川つつじまつり、5月17日(土曜日)~6月1日(日曜日)、渋川つつじ公園、県指定天然記念物「シブカワツツジ群落」

奥山線をめぐる1.~廃線から50年現在も残る奥山線の痕跡

~この記事は、浜松市メールマガジンとリンクしています~

写真:天竜浜名湖線金指駅西方に残る跨線橋(立体交差の跡)<天竜浜名湖線金指駅西方に残る跨線橋(こせんきょう、立体交差の跡)>

写真:奥山駅付近に残る奥山線の橋脚と橋桁<奥山駅付近に残る奥山線の橋脚と橋桁>

奥山線は、現在のクリエート浜松付近から引佐町奥山までの約25.8kmを走行していた軽便鉄道です。その歴史を振り返ると、明治44年(1911年)5月に浜松町を起点として引佐郡気賀・奥山に達する軽便鉄道の発起人会が多くの出席者を集め開かれたことにはじまります。大正元年(1912年)10月には浜松軽便鉄道株式会社の創立総会が浜松で開かれ、伊東要蔵を社長に同株式会社が創立されました。この浜松軽便鉄道株式会社では、大正3年(1914年)11月に元城-金指間の約15kmが開通し、翌大正4年(1915年)に社名を浜松鉄道株式会社に変更、同年9月には、板屋-元城間の約0.8kmが開通しました。以降、順次路線を延長し、大正12年(1923年)4月に奥山までの全線が開通しました。そして、昭和22年(1947年)5月に、遠州鉄道株式会社と合併、遠州鉄道奥山線となり、昭和39年10月31日限りで全線廃線となりました。廃線より50年となる現在も、この奥山線の痕跡が見られる場所が浜松市内にあります。例えば、当時の奥山駅(遠鉄バス奥山車庫付近とされる)より東側の神宮寺川に架かっていた橋梁のうち、橋脚と橋桁の一部が現在も残っていて、見ることができます。他にも、奥山駅付近より位置が離れますが、天竜浜名湖線金指駅の西方に奥山線の跨線橋(こせんきょう、立体交差跡)が残っています。この金指駅付近の奥山線の様子として、現在の天竜浜名湖鉄道の路線と並走する形で線路が築かれていて、この跨線橋によって奥山線が国鉄二俣線を跨いでいた時期がありました。また、国鉄二俣線の金指駅は、奥山線の金指駅と共同の駅で駅の中に二俣線のホームと奥山線のホームがありました。

編集後記

4月に新規採用職員として文化財課に配属され、一月が経ちました。4月1日に辞令をいただいたのが昨日のことのようで、あっという間でした。浜松には、北の長野県境から南の遠州灘まで文化財が数多くあります。ブックレット8『東海道を歩く』も発売されました。文化財をめぐってみるのもこれからの季節楽しいかも知れません。(め)

→ページの先頭へ戻る

「文化財情報」バックナンバーに戻る
文化財トップに戻る

このページのよくある質問

よくある質問の一覧を見る

お問い合わせ

浜松市役所市民部文化財課

〒430-8652 浜松市中区元城町103-2

電話番号:053-457-2466

ファクス番号:053-457-2563

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?