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更新日:2014年6月3日
Vol.73平成26年2月15日
文化財課では平成25年6月、埋蔵文化財調査事務所の引越しを行い、西区神原町から北区引佐町井伊谷の引佐健康文化センター内に移転しました。さらに1月22日、23日には残りの荷物や土器などを事務所東側の引佐文化財収蔵庫(旧浜松市社会福祉協議会引佐支所)へ移動させ、引越しが完了いたしました。
今後、埋蔵文化財調査事務所は引佐町を拠点として、本格的に市内の遺跡の保護・活用に取り組んでまいります。
引佐町への移転を機に、引佐健康文化センター2階の保存展示コーナーでは「引佐の歴史と文化」の展示を一新しました。以前からセンター内に展示されていた文化財に、近年の発掘調査で見つかった遺物などを加え、展示内容を大幅に変更しています。
展示では、過去に引佐町内の発掘調査で見つかった遺物を数多く紹介しています。北神宮寺(きたじんぐうじ)遺跡をはじめとして、旧石器時代から江戸時代まで、絶えることのない人々の営みの痕跡が見つかっていることから、引佐町内は環境に恵まれた地であったと考えられます。
北神宮寺遺跡や正楽寺(しょうらくじ)遺跡は旧石器時代から弥生時代の遺跡であり、石器や土器が見つかっています。縄文時代の石器には矢じりや網のおもり、祭りの道具など様々なものがあり、当時の生活の様子がうかがえます。
古墳時代には、井伊谷盆地周辺の丘陵に市内屈指の大規模な古墳が築かれました。前方後方墳の北岡大塚古墳(全長46.5m)、前方後円墳の馬場平(ばんばのひら)古墳(全長47.5m)などがあります。そのほか円墳についても、城山2号墳や北岡2号墳など数多くあり、井伊谷盆地周辺には大きな勢力が存在していたと考えられます。渭伊神社境内にある天白磐座(てんぱくいわくら)遺跡では、古墳時代以降、巨石を中心にしたお祭りが続けられていました。
古代以降の様子については、北岡古墓で中世のお墓が見つかっているほか、天白磐座遺跡ではお経を入れていた平安時代から鎌倉時代の外容器が出土しています。
<北神宮寺遺跡出土品>
展示では、遺跡から出土した遺物のほかにも仏像や化石などの文化財や引佐ゆかりの品々を見ることができます。
市指定有形文化財「木造大日如来坐像」「木造十王坐像」「木造葬頭河婆半跏像(もくぞうそうずかばあはんかぞう)」木喰五行(もくじきごぎょう)作
作者と伝わる木喰五行(木喰上人)は、江戸時代に仏像を彫りながら全国を巡った僧です。寛政11年(1799)82歳の時、北区引佐町狩宿に入り木喰仏を彫ったといわれていますが、展示ではその内12体をご覧いただけます。
<(左)木造十王坐像の内、閻魔(えんま)大王坐像、(中)木造葬頭河婆半跏像、(右)木造大日如来坐像>
谷下(やげ)ワニ化石
約34万年前のワニの化石が、昭和43年に引佐町谷下で見つかりました。その後、約40年間にわたり静岡県立浜松北高等学校生を中心に研究調査が続けられました。化石は発見された地名にちなんでヤゲワニと命名されました。
青葉の笛(複製)
井伊谷の領主であった、井伊直親ゆかりの品として地元・寺野地区に伝えられています。全長33cm、黒色漆仕上げの複製品を展示しています。
今後も埋蔵文化財調査事務所では保存展示コーナーを有効に利用し、文化財の公開・活用を進めてまいります。
―浜松市埋蔵財調査事務所のご案内―
〒431-2295浜松市北区引佐町井伊谷616-5
引佐健康文化センター1階電話:053-542-3660
休業日:土・日・祝日、年末年始(12月29日~1月3日)
*2階保存展示コーナーをご覧になる場合はお声かけください。
二本ヶ谷積石塚群は、石で築かれた古墳が谷間に群集している、全国的にも数少ない史跡で、その一部がつみいしづか広場(浜北区染地台)に保存・公開されています。
平成25年3月に静岡県指定史跡に指定された事を記念し、9月~10月にワークショップ「つみいしづかを作ろう」が3回開催され、市内小学生を中心に申し込みのあった19名の参加者が、築かれた当時の姿を想像しながら、実際の半分の大きさの積石塚を作成しました。
第1回は、二本ヶ谷積石塚群の特徴について説明を聞き、現地を観察した後に、鍬などを使って積石塚を作る場所の地ならしをして、土台を作成しました。
第2回は、実際に作成する積石塚の大きさを決め、1段目の石を並べる作業を実施しました。
第3回は、石の積み方について検討した後に、3段まで石を積み上げて積石塚を完成させました。また、同日に開催された「はままつ古墳まつり」において、参加者が古代の衣装を身に着け、積石塚の完成を祝いました。
参加者の方からは、「積石塚を築いた当時の人の苦労がわかった」「近所にある史跡に愛着がわいた」などの声が聞かれました。
なお、作成された積石塚は、つみいしづか広場において展示されていますので、是非ご覧下さい。
1月には、こんな調査活動などを行いました。
1日 |
(水曜日) |
北区滝沢町 |
滝沢のおくない伝承状況現地調査 |
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3日 | (金曜日) | 北区引佐町・天竜区懐山 | 遠江のひよんどりとおくない伝承状況現地調査 |
4日 | (土曜日) | 北区引佐町 | 遠江のひよんどりとおくない伝承状況現地調査 |
天竜区神沢 | 神沢のおくない伝承状況現地調査 | ||
8日 | (水曜日) | 中区松城町 | 国県指定文化財所在確認調査 |
東区中郡町 | 万斛西遺跡予備調査 | ||
9日 | (木曜日) | 浜松市博物館 | 牡牝鹿形埴輪速報展示[~2月9日] |
中区神明町 |
浜松宿工事立会い |
||
13日 | (月曜日) | 東区大蒲町 | 国県指定文化財所在確認調査 |
北区細江町 |
百万遍念仏伝承状況現地調査 |
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14日 |
(火曜日) |
北区三ヶ日町 |
安形伊賀守屋敷跡予備調査 |
15日 | (水曜日) | 中区元城町 | 浜松城跡工事立会い |
北区引佐町 | 木造釈迦如来及両脇侍像現状調査 | ||
17日 | (金曜日) | 西区雄踏町 | 農村歌舞伎活性化プラン映像作成立会い[~19日] |
20日 |
(月曜日) |
中区連尺町 |
浜松宿工事立会い |
北区細江町 | 上平遺跡予備調査 | ||
北区三ヶ日町 | 国県指定文化財所在確認調査 | ||
21日 |
(火曜日) |
積志協働センター |
出前講座「積志の古代遺跡」参加21人 |
22日 | (水曜日) | 西区雄踏町 | 中村家住宅文化財防火デー防災訓練 |
24日 | (金曜日) | 天竜区二俣町 | 歴史的建造物現状調査 |
25日 | (土曜日) | 中区田町 | 国県指定文化財所在確認調査 |
26日 | (日曜日) | 浜北区堀谷 | 徳泉寺文化財防火デー防災訓練 |
27日 | (月曜日) | 天竜区春野町 | 瑞雲院山門保存修理委員会 |
29日 | (水曜日) | 東区豊町 | 上石原遺跡工事立会い |
西区舞阪町 | 旧舞坂脇本陣文化財防火デー防災訓練 |
市指定有形文化財「東林寺山門」 |
東林寺山門保存修理現場特別公開 平成26年2月23日(日曜日) |
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文化財講座 |
文化財防災ボランティア養成講座(全3回) 日時:平成26年3月2日(日曜日)、9日(日曜日)、16日(日曜日) 各日、午後2時~午後4時 場所:浜松市博物館講座室 対象:3回とも受講できる人 費用:初回のみ材料費実費(1,000円程度)必要 申込:往復はがきに住所、氏名、年齢、電話番号、「文化財防災ボランティア養成講座申込」と書いて文化財課へ(〒430-8652中区元城町103-2) |
文化財特別講座「浜松の文化財と魅力」 日時:平成26年3月16日(日曜日)午前10時~午前11時30分 場所:浜松市博物館講座室 申込:電話で文化財課まで(電話053-457-2466) |
~この記事は、浜松市メールマガジンとリンクしています~
東日本大震災からの復興のキーワードとして“絆”という言葉が使われ、震災を乗り越える切り札であるかのごとく頻繁にマスコミでも取り上げられています。このような流れのなかで民俗芸能や祭礼は、地域や人々を結びつけるのに必要不可欠な存在であることが再認識され、地域の復興の一翼を担いました。
本市でも、震災後はじめての盆時期を迎える平成23年8月、遠州大念仏保存会が慰問団を結成し、岩手県宮古市と山田町の被災地を訪れ念仏供養してきました。民俗芸能が多く残る東北地方の方々を励ましたいという思いから、現地で遠州大念仏を披露し、被災者を供養・鎮魂するとともに復興への祈りをささげました。その後、平成25年2月には、「鎮(しずめ)」をテーマにした第13回地域伝統芸能まつり(会場:NHKホール)に出演し、全国放送を通して被災者への供養・鎮魂と復興への思いを披露しました。
さて、市内の民俗芸能・祭礼にも、自然災害がその起源となっているものがあります。天竜区春野町に伝承されている市指定無形民俗文化財「犬居つなん曳」は、洪水へのおそれから祭礼がはじまったといわれています。気田川の洪水で村の堤防が決壊寸前のとき、氏神である諏訪の祭神が大蛇となって横たわり、村を守ったとの言い伝えが残されています。主な行事としては、気田川流域に生息している柳・笹竹・ヨシ・レンゲで作られた巨大な蛇体を街道沿いにひき回し、最後は橋上から気田川に投げ入れます。自然災害という地域の危機的状況に対応する姿勢が、地域の“絆”を一層強固なものとし、現在まで祭礼というかたちで伝承されています。
<「犬居つなん曳」は毎年5月5日の夜、春野町堀之内の犬居地内で行われます。>
寒い日が続く中、我が家の庭先では椿の花が満開を迎え、私の目を楽しませてくれます。また、いつの間にか水仙のつぼみもほころび始め、淋しかった庭先が一段と活気を帯びてきました。旅先の東京でも紅白の梅花が咲き・・・。
春はもう近くまで来ています。「春よ、来い」私の心も華やぎます。(友洋)
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