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更新日:2013年10月15日

文化財情報vol.69

浜松市文化財情報/Vol.69

浜松市文化財情報

Vol.69平成25年10月15日

鳥羽山城跡の発掘調査を行いました

鳥羽山城跡は天竜区二俣町二俣に所在し、現在は鳥羽山公園となっています。文化財課では、9月2日から9月30日まで発掘調査を実施しました。

写真:鳥羽山城石垣1

鳥羽山城とはどんなお城?

戦国時代(約400年前)、浜松周辺は遠江国と呼ばれ、徳川氏と甲斐国(山梨県)の武田氏が領有権を巡り争っていました。鳥羽山城跡の北に位置する二俣城は、徳川・武田の争奪戦の舞台となりました。武田方であった二俣城を
攻めるため、徳川氏は周辺にいくつもの付城を築きます。その付城(注1)の一つが鳥羽山城であり、家康が本陣を置いたと言われています。

徳川・武田の攻防戦の後も鳥羽山城は使用されます。天正18年(1590)に徳川氏が関東へ移った後、豊臣秀吉の直臣である堀尾吉晴が浜松城へ入城し、浜松周辺を治めることとなります。鳥羽山城は、二俣城とともに堀尾領北
方の要として再整備され、大規模な石垣が築かれたと考えられます。慶長5年(1600)の関ヶ原の戦いの後、堀尾氏は出雲国(島根県)へ移り、鳥羽山城も使われなくなりました。現在みられる石垣の多くは当時期のものと考えられ
ます。

鳥羽山城と二俣城は「別郭一城」と呼ばれ、一連の城として機能しました。枯山水の庭園や直線的で広い大手道を持つ鳥羽山城は領主の日常生活や儀式の場として使われました。一方、二俣城は天守や大規模な堀切を設けて防御を固めるなど実戦的であり、両者の対照的な姿をうかがうことができます。
(注1:城を包囲するための拠点とする城砦)

写真:庭園遺構

庭園遺構

発掘調査からわかったこと

今年度の調査では、大手道で3箇所の掘削を行うとともに、本丸周辺で大規模な草刈りを行い、石垣の様子を観察しました。

写真:鳥羽山城石垣2

その結果、本丸周辺の2段の石垣の総延長が約170mにも及ぶことが確認されました。石垣は自然石を積み重ね、大型石の間に小礫を詰めた野面積み(のづらづみ)と呼ばれる古い技法で積まれています。江戸時代の城でみられる高い石垣とは異なり、自然地形に応じて「折れ」や「張り出し」を取り入れて作られており、安土桃山時代の技術を見ることができます。大手周辺の石垣は大石を使用しており、見るものに対し権威を示そうとする意図がうかがえます。
一方、本丸西側及び北側には2段の石垣が巡ります。西側には天竜川が、北側には旧二俣川が流れていることから、これらの川を使って往来した人々の、目を意識して作られたと考えられます。

このように鳥羽山城は、土づくりの実戦的な中世城郭から、政治的性格を帯びた高い石垣を持つ江戸時代の城郭へ移り変わる過渡期の姿を良好に残していることが明らかとなりました。

 

写真:野面積み

野面積み(のづらづみ)

写真:発掘調査の様子

浜松戦国山城まつり開催します!

浜松戦国山城まつりは「山城(文化財)の再評価と地域振興・活性化」を目的として開催するもので、次の3点に主眼を置いています。

  1. 「徳川・武田争奪の城」として知られる天竜川流域の戦国時代城郭群をはじめとする浜松の山城を、魅力ある歴史・文化資源として有効に活用する。
  2. 市内のみならず全国に浜松の山城の魅力を発信し、認知度の向上を図る。
  3. 郷土愛の醸成及び地域振興・活性化を図る。

二回目となる今回の舞台は、浜松市天竜区水窪町にある浜松市指定史跡「高根城跡」。「高根城 戦国仮装 秋の陣」と題して、「仮装」をテーマに開催します。

なぜ仮装か?

それは、水窪町には仮装の歴史・文化があるからです。(「みさくぼ祭り」は仮装パレードが有名です。)

その水窪の文化である仮装をイベントの重要な要素として取り入れ、地域文化を発信する意味も持たせました。もちろん、仮装をしなくてもご参加いただけます。

みなさん、ぜひお越しいただき、浜松の文化・歴史に触れて感じてください!お待ちしてます!

 


 

徳川家康公顕彰400年記念事業プレイベント
浜松戦国山城まつり「高根城 戦国仮装 秋の陣」
日時:11月9日(土曜日)/午前10時~午後3時
会場:高根城跡・水窪総合体育館(浜松市天竜区水窪町)
詳細は、★浜松戦国山城まつり公式Facebookページ
https://www.facebook.com/1059hamamatsu
をご覧ください。

文化財日記抄

9月には、こんな調査活動などを行いました。

2日

(月曜日)

北区細江町

長楽寺木造馬頭観音坐像現状確認調査

4日

(水曜日)

西区馬郡町

柳ノ内遺跡予備調査

6日

(金曜日)

中区中央・地域情報センター

歴史的建造物の保全・活用とまちづくりシンポジウム参加

北区引佐町 金指陣屋跡工事立会

7日

(土曜日)

天竜区春野町

瑞雲院山門保存修理現場説明会

8日

(日曜日)

中区元城町

家康の軌跡講座2「徹底攻略浜松城」参加38人

9日

(月曜日)

西区雄踏町

雄踏歌舞伎保存会万人講との意見交換

天竜区二俣町 鳥羽山城跡発掘調査[~30日]
11日 (水曜日) 南区高塚町 高塚遺跡工事立会

12日

(木曜日)

中区田町

静岡県建築士会との意見交換

17日

(火曜日)

中区元城町

出前講座「浜松城の見どころ」参加54人

天竜区春野町 瑞雲院山門保存修理委員会

20日

(金曜日)

北区内

台風被害状況現地確認調査

24日

(火曜日)

北区三ヶ日町

村上遺跡発掘調査[~10月4日]

25日

(水曜日)

天竜区・天竜壬生ホール

山城速報展示[~29日]

京都市

重要文化財(美術工芸品)保存修理進捗状況調査

26日

(木曜日)

北区引佐町

城山古墳群工事立会

北区引佐町

金指陣屋跡工事立会

28日

(土曜日)

天竜区・天竜壬生ホール

三遠南信しろあとセミナー参加45人

天竜区佐久間町 浦川歌舞伎伝承状況現地調査
29日 (日曜日) 天竜区二俣町 鳥羽山城跡現地説明会参加269人

30日

(月曜日)

北区細江町

東林寺山門保存修理現場説明会

文化財イベント

平成25年10月26日(土曜日)
午後3時~翌朝/八坂神社(天竜区佐久間町川合)
川合花の舞

県指定無形民俗文化財「川合花の舞」

平成25年10月27日(日曜日)

正午~午後2時ごろ/八幡神社・清水神社(天竜区春野町豊岡)
勝坂神楽

市指定無形民俗文化財「勝坂神楽」

平成25年11月9日(土曜日)
午後2時~午後6時/京都芸術センター(京都市中京区)
日本伝統音楽研究センター公開事業特別公演

国指定重要無形民俗文化財「西浦の田楽」

平成25年11月9日(土曜日)
正午~午後2時/シェラトン都ホテル大阪ホール(大阪市天王寺区)
大阪静岡県人会創立100周年記念行事出演

県指定無形民俗文化財「横尾歌舞伎」

浜松の自然災害史(7)天竜川の氾濫と治水

(この記事は、浜松市メールマガジンとリンクしています)

浜松市を南北に流れる天竜川は、長野県の諏訪湖を源とし、太平洋に注ぐ全長222kmの大河川です。現在は河口部まで立派な堤防が築かれていますが、この堤防が築かれる以前は天竜川がたびたび氾濫し、大きな被害を出しました。

最も古い天竜川の氾濫の記録としては、『続日本紀』に霊亀元年(715年)5月25日「遠江国に地震があり、山崩れで麁玉河(天竜川)が塞がれてしまったために水が流れず、数十日後にたまった水が一気に流れ敷智、長下、石田の三郡の民家170戸あまりが水没し、苗も大きな被害を受けた」とあります。また同じく『続日本紀』天平宝字5年(761年)7月19日の記述には「麁玉河の堤が三百余丈(1km)に渡って決壊し、延べ303,700人の人を動員して修築した」と、天竜川の堤防が決壊した最古の記録が書かれています。古代において、すでに我々の祖先は天竜川の氾濫と戦いながら、堤防を築く治水事業を行っていたという驚くべき事実です。このときに修築された堤防の一部が、現在も浜北区道本の県立浜名高等学校の西側に「天宝堤」として残っています。

江戸時代に描かれた『青山領分絵図』(浜松市博物館蔵)を見ると、天竜川は平野の中を網目状に縦横無尽に流れていたことが判かります。そのため大雨が降るとたびたび氾濫し、洪水により流されてしまった村も少なくありませんでした。人々は築堤や修築を繰り返し、村を守るために天竜川と戦いました。浜北区内には、天竜川から離れた場所に古い堤防が残っているところがあります。「彦助堤」(浜北区新原)と呼ばれる堤防は、延宝2年(1674年)に大がかりな築堤工事により築かれました。この堤防は松野彦助所有の土地に築かれたためその名がつきましたが、堤防が築かれた際、彦助が人柱の犠牲になったとの伝説も残されています。

私たちは古代から天竜川と切っても切れない関係にあったことを、氾濫と治水の歴史が物語っています。

写真:彦助堤

彦助堤

編集後記

先月9月29日(日曜日)に行われました鳥羽山城跡発掘調査現地説明会は、晴天にも恵まれ、269人という多くの皆様に足を運んでいただき誠にありがとうございました。文化財課では、引き続き調査及び研究を進め、皆様に情報を発信していきます。今後も鳥羽山城跡にご注目していただけましたら幸いです。

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浜松市役所市民部文化財課

〒430-8652 浜松市中央区元城町103-2

電話番号:053-457-2466

ファクス番号:053-457-2563

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