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更新日:2023年3月24日
浜松市文化財情報/Vol.62
Vol.62 平成25年3月15日
去る2月23日(土曜日)、NHKホール(東京都渋谷区)で行われた「第13回地域伝統芸能まつり」に本市から遠州大念仏保存会(芝本下組)が出演しました。
地域伝統芸能まつりは、全国を代表する地域伝統芸能及び古典芸能が一堂に会して実演を披露することにより、地域伝統芸能等についての国民の理解を深め、地域伝統芸能等の保存活用及びそのことを通じた地域の活性化に関する国民的機運を盛り上げることを目的に毎年2月頃開催されています。
今回のテーマは「鎮(しずめ)」。 “~この国に安らかな明日を~”を合言葉に、日本各地の伝統のまつりと古典芸能が披露され、日本人の心の原点を訪ねるとともに、東日本大震災からの復興を願い行われたものです。地域伝統芸能まつり実行委員会と財団法人地域創造が主催する本事業は23日(土曜日)から24日(日曜日)の2日間にわたって行われ、全国各地から10の団体と能・狂言等の古典芸能2演目がステージに立ち、それぞれの地域に受け継がれてきた伝統芸能が上演されました。
今回出演された芝本下組の皆さまは、盆時期とは正反対の寒さ厳しいなかを連日連夜練習に励み、本番を迎えました。芝本下組の皆さまは、前日22 日(金曜日)午後、会場のNHKホールに到着、休む間もなく衣裳を付け、夕刻から舞台リハーサルを行いました。段取りから位置合わせ、マイクチェック、照明チェック等々、演出家や舞台監督、司会者と入念に打合せを行いました。翌23日(土曜日)は午前中から出演する全部の団体でオープニングとエンディングのリハーサルを行いました。テレビ放送を前提とした舞台制作となることから、厳しい時間管理のなかで、出演者一同慌しく舞台上を動き回りました。
そしていよいよ本番、松前神楽(北海道小樽市)、伏木一宮の獅子舞(富山県高岡市)に続き3番目に遠州大念仏が披露されました。前の2演目は厳かさの中にも、どこかユーモラスな仕草や豪壮な動きが見られるものでしたが、芝本下組の皆さまが披露した遠州大念仏は、NHKホール内の空気をキリッと引き締め、会場全体が鎮魂の想いで一つになりました。年末の紅白歌合戦でも使われた広い舞台いっぱいに軽快なテンポの太鼓切り、荘厳な双盤の響き、囃子と詠唱が強く観客の心を震わせました。その後、休憩をはさみ大蔵流狂言、佐原囃子(千葉県香取市)、知立の山車文楽(愛知県知立市)が披露され、無事エンディングを迎えました。
この模様は、3月17日(日曜日)午後2時から、NHK Eテレ「まつりの響き~第13回地域伝統芸能まつり」で放送される予定です。本市を代表して出演された芝本下組の皆さまの勇姿を是非ご覧ください。
東日本大震災がおこり、早いもので2年が経過しました。その教訓として浜松市においても防災計画の見直しが行われ、また、文化財についても対応が迫られています。昨年は、文化財の羅災状況や文化財レスキューを紹介しました。今年度は、原因となる地震や津波の発生メカニズムについて、被害を受けた文化財の応急処置と修復の実習、講座の総括として文化財をいかに守り、後世に伝えるかについての講義を受けました。受講生の中には、静岡県教育委員会が勧めている文化財等救済ネットワークの救済支援員に登録された方も多く、今後、文化財の保護に積極的に取り組んでいただけるものと期待されます。3回の講座(2月3日・17・3月3日)には、延べ103名が受講しました。
宿蘆寺大澤家墓所は江戸時代に遠江国堀江(浜松市西区)周辺を領した高禄旗本の大澤家が営んだ墓地です。大澤家墓所は曹洞宗宿蘆寺の境内南西の丘陵上にあり、宝篋印塔3基、五輪塔 8基の合計11基の石塔で構成されています。江戸時代に高家旗本が領地に営んだ墓域の具体像を伝える貴重な事例であることが明確になり、学術的価値が高く評価され、平成24年11月30日に浜松市指定史跡となりました。これを記念して、開催された講座は、専門家から、1回目(2月9日)は墓石の考古学的な評価をいただき、2回目(3月2日)は現地を案内していただきました。「墓塔の見方が変わった」などの意見が寄せられるなど、大変好評でした。述べ95名が受講しました。
2月には、こんな調査活動などを行いました。
1日 |
(金曜日) |
北区細江町 |
東久留女木の万歳楽伝承状況現地調査 |
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北区都田町 |
郷ヶ平古墳群工事立会い |
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3日 |
(日曜日) |
博物館 |
文化財ボランティア養成講座第1回 |
4日 |
(月曜日) |
北区細江町 |
郷ヶ平古墳群予備調査[~8日] |
天竜区二俣町 |
鳥羽山城跡庭園遺構評価(高瀬要一氏) |
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9日 |
(土曜日) |
北区引佐町 |
文化財講座「宿蘆寺大澤家墓所をめぐる」(庄内公民館) |
12日 |
(火曜日) |
市役所本館 |
平成24年度第3回文化財保護審議会 |
13日 |
(水曜日) |
北区三ケ日町 |
西山古墳予備調査[~22日] |
15日 |
(金曜日) |
北区引佐町 |
方広寺七尊菩薩堂覆屋現状調査 |
16日 |
(土曜日) |
西区舞阪文化センター |
東海地区ウミガメ情報交換会 |
17日 |
(日曜日) |
博物館 |
文化財ボランティア養成講座第2回 |
19日 |
(火曜日) |
北区三ヶ日町 |
西山古墳現地調査指導(向坂鋼二氏) |
20日 |
(水曜日) |
天竜区水窪町 |
西浦の田楽衣裳整備状況確認調査 |
25日 |
(月曜日) |
浜北区根堅 |
将軍塚古墳予備調査[~28日] |
西区入野町 |
浜地遺跡工事立会 |
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26日 |
(火曜日) |
天竜区佐久間町 |
農村歌舞伎活性化プラン映像作成立会い |
27日 |
(水曜日) |
東区笠井町 |
歴史的建造物現地調査 |
北区細江町 |
近代和風建築現地調査 |
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天竜区水窪町 |
西浦の田楽伝承状況現地調査 |
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28日 |
(木曜日) |
天竜区水窪町 |
西浦の田楽伝承状況現地調査 |
(この記事は、浜松市メールマガジンとリンクしています)
徳川家康はいわずと知れた日本史上、最も有名な戦国武将の一人です。浜松城で29~45歳までの壮年期を過ごしていることから、当地との関連も数多く見られます。その代表が浜松城です。今も残る野面積みの石垣が往時の様子を伝えていますが、この石垣、最近の学説では徳川家康が築いたものではなく、家康よりも後の時代に積まれたものであるといわれています。では、家康が築いた浜松城とは一体どのような姿であったのでしょうか。この問題を考える上で最近、重要な発見がありました。
平成23年12月、浜松市中区の元城小学校校庭で小規模な発掘調査を実施しました。発掘調査を行った地は、江戸幕府二代将軍、徳川秀忠が誕生したと伝わる地、「御誕生場」付近と想定できます。調査に入る前は、浜松城にかかわる痕跡は既に失われていると予想していましたが、直径1.6 mほどの井戸が発見され、関係者を驚かせました。井戸の中からは儀式用の皿(かわらけ)や、中国製の高級食器(青磁・白磁)が出土し、おおよそ1570年頃に使われていたことが判明したのです。この年代は、徳川家康の浜松在城の時期に重なります。この発見によって、家康の頃の浜松城の痕跡は、まだまだ地下に埋もれていると考えられるようになりました。今後の調査の進展によって、徳川家康が築いた初期の浜松城の姿がさらに明確になると期待できます。
発見された井戸
井戸からの出土品
まさに三寒四温の天気が続いていますが、家の近くの花梨(カリン)の花が七部咲きになりました。濃いピンク色の花がとてもきれいです。さて、松東遺跡から市内で初めて古代の銅印が出土しました。ただ今、浜松市博物館で速報展示中です(4月7日まで)。桜の季節ももう間もなく!お花見がてら、この機会にぜひ博物館へお越しください!
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