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更新日:2023年3月24日
浜松市文化財情報/Vol.50
Vol.50 平成24年3月15日
行方不明者を含め1万9千人を越える人的被害を受けた東日本大震災の発生から、早いものでこの3月11日をもって1年が過ぎました。
3月11日には各地で追悼式が行われ、また新聞やテレビ番組などでは、被災当時の状況や、復旧復興に関わる特集が組まれ、報道されました。
あらためて、被災の大きさに驚愕し、危機感が甦るとともに、地震が発生した日のことを思い出した方も多いものと思います。
1年が過ぎたとはいえ、東日本大震災での繰り返す地震と津波の情報は、東海地域の人びとにも衝撃をあたえ、今でも、浜松市民にはたいへん関心の高いところです。
浜松市には、江戸時代以前のこの地域でおこった災害を記録した絵図や古文書があり、また市内の遺跡発掘調査でも遠い過去におこった災害の痕跡が見つかっています。
これらの中には、まさに今回の大震災の惨状と共通する場面が多々あります。
1回目の講座では、過去の被災状況を受講者のみなさまにご紹介しました。
今回の大震災では、東日本各地の文化財の多くも被災しました。
倒壊した建造物、泥土に浸かってしまった文化財も多く、これらは、そのまま放置すれば、朽ち果てて滅失し、貴重な文化財の価値が損なわれてしまいます。
そこで、東日本大震災で被災した文化財を救うために文化財レスキューの活動を実施した岩手歴史民俗ネットワークの実例、文化財ボランティアの活動を実践しているNPO文化財を守る会の組織や活動状況を、当事者から2回目と3回目にそれぞれ紹介いただきました。
3回の講座を受講された皆さんからは、
「地域の貴重な文化財を災害から守り、次世代に伝えることが、大切。
浜松でも文化財を守るためのNPOやボランティア組織が必要。
いざ災害が起こってしまうとパニックになってしまうので、文化財レスキューについては心構えが必要。
被災時に文化財が捨てられてしまわないように、所有者にも文化財の価値を理解してもらう努力が日頃から必要。
浜松で文化財の保存・修復の取り組みに参加したい。」
など、今後の文化財保護に対して、積極的な意見が多く寄せられました。
文化財課・博物館ともに、東日本大震災の教訓を忘れることなく、古文書の調査や遺跡の発掘調査を通して過去の被災資料を保全し、自然災害のメカニズムを解明するために貢献するとともに、地域にととっての宝物である文化財を、地域の方々、ボランティアの方々といっしょに、いざと言う時に救済できる体制づくりを考えていきたいと思います。
去る3月4日(日曜日)、浜北区内で「遠州山辺の道ウォーク~金刀比羅神社春まつりお神楽見学~」が行なわれ、48名の参加者が散策を楽しみました。
まず、岩水寺さくらの里を出発し、根堅遺跡(浜北人出土地)、竜泉寺、高根神社などを見学しながら金刀比羅神社に到着して、巫女神楽を観賞しました。
この神楽は江戸時代から行なわれているもので、地元の女子小学生による舞いが披露されていました。
また、ここでは甘酒が振舞われ、小雨の中を歩いてきた参加者を暖めてくれました。
帰りは、森林公園内を歩きながら田村神社や将軍塚古墳などを見学して、岩水寺さくらの里へ戻りました。
このイベントでは、地元の方を中心に組織されている「遠州山辺の道の会」の皆さんが、ガイド役をはじめとする運営スタッフを務めました。
この会は行政と協力しながら、こうしたイベントの企画・運営や、現地の環境整備などに取り組んでいる団体です。
年間に数回のイベントのほか、ボランティアガイドや勉強会なども行なっていますので、ガイドを依頼したい方、会の活動に興味のある方は下記までお問合せください。
【連絡先:浜北区まちづくり推進課 TEL:586-6201】
2月には、こんな調査活動などを行いました。
1日 |
(水曜日) |
北区引佐町・細江町 |
農村舞台現況調査 |
---|---|---|---|
3日 |
(金曜日) |
北区細江町 |
葭本遺跡工事立会 |
8日 |
(水曜日) |
北区都田町 |
郷ヶ平古墳群試掘調査(~20日) |
9日 |
(木曜日) |
天竜区水窪町 |
西浦の田楽伝承状況確認 |
10日 |
(金曜日) |
北区三ヶ日町 |
東井遺跡試掘調査 |
15日 |
(水曜日) |
中区元城町 |
第3回文化財保護審議会 |
21日 |
(火曜日) |
埋文事務所 |
指定文化財候補物件調査(山城出土品) |
23日 |
(木曜日) |
北区引佐町 |
方広寺近代和風建築現地調査 |
27日 |
(月曜日) |
北区引佐町 |
三岳城跡現況調査 |
29日 |
(水曜日) |
埋文事務所 |
資料調査受入(梶子遺跡出土墨書土器) |
3月18日(日曜日)
県指定無形民俗文化財「滝沢の放歌踊」
北区Deまつり出演
午後1時40分~午後2時10分/都田総合公園(北区新都田)
4月7日(土曜日)・8日(日曜日)
国登録有形文化財「旧住吉浄水場ポンプ室」ほか
旧住吉浄水場文化財ツアー
午前9時30分~午後3時/上下水道部住吉庁舎(中区住吉五丁目)
世界でも有数の人形王国・日本には、様々な人形が存在しますが、そのなかで「お雛様」と敬称をつけて呼ばれるのは雛人形だけです。
それは雛人形の遠い祖先が、厄払いの儀式に使用される人形(ヒトガタ)であることに由来します。
人間の身代りとなり、厄とともに水に流される古いタイプの雛人形は、紙で作られたものが多く、「紙雛=神雛」として、人間と神をつなぐ媒介の役割も果たしていました。
雛人形は時代を経るにつれ、より豪華に、より大きく形態を変化させていきますが、人を護る身代り人形としての役目は、今も変わりありません。
浜松市博物館では1000年以上に及ぶ雛人形の歴史を、4月8日(日曜日)まで、ご紹介しております。ぜひご来館ください。
おかげさまで、この文化財情報も2008年の創刊以来、めでたく50号を発行することができました。
この間、国民文化祭や市制100周年記念事業などの大型イベントや、台風・地震などの自然災害を通じて、文化財保護について考える機会が多々ありました。
これからも、市内の文化財に関する旬の話題や情報をお伝えしていきますので、お楽しみに!
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