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更新日:2023年3月24日
浜松市文化財情報/Vol.46
Vol.46 平成23年12月15日
人と人との絆を強く感じた激動の平成23年もあと半月を残すところとなりましたが、今月に入り、文化財の新指定&新登録という大きなニュースが飛び込んできました。
去る12月2日、北区細江町中川の宝林寺仏殿内に安置されている諸像29?が県指定有形文化財の指定を受けました。
仏殿中央に安置されている「木造釈迦如来坐像及び両脇侍像 3躯」、その左右に配されている「木造達磨大師坐像・伝武帝倚像 2躯」、仏殿東西壁に並ぶ「木造二十四善神立像 24躯」の計29躯が新たに指定されました。
木造釈迦如来坐像の背面には、仏殿が建立された寛文7(1667)年に仏師康祐によって造立されたことがわかる銘があります。
その他の像も、作風と造像技法などからほぼ同時期に康祐(または康祐工房)によって造立されたものと考えられます。
当時の新しい様式(中国明代末の様式)を取り入れ、極めて整った造形を堅実な造像技法によって表現したものであり、江戸時代初期の優れた彫刻といえます。
造像の背景や制作年、作者が確認できるとともに、仏殿内安置の29躯が一体として今日まで伝えられてきた意義は大きく、江戸時代以降に作られた彫刻としては初の県指定となります。
宝林寺諸像県指定から1週間後の12月9日、国の文化審議会は本市の水道施設7件を登録するよう文部科学大臣に答申を行いました。
市内では昨年度の天竜浜名湖鉄道関係建造物に続き2年続けての文化財登録となり、この結果、市内の登録有形文化財は37件になります。
□地方都市の近代化を支えてきた産業遺産
今回登録されるのは、旧浜松市水道施設として昭和6(1931)年に建設された7施設です。
水源地(東区常光町)、浄水場(中区住吉五丁目)ともほぼ一連で残されており、当時の浜松市が天竜川右岸の扇状低地と三方原台地で構成されていた地理的要素と、工業都市として発展するための産業基盤、防災基盤として位置づけられたことなど、都市システムとしての特徴があらわされています。
都市の地勢及び産業と密接に関連しつつ、地方都市の近代化を支えてきた貴重な建造物群としてとらえることができます。
特に、浜松市水道施設のランドマークとして位置づけられる旧住吉浄水場ポンプ室は、当時の最先端の建築技術を取り入れながらも、モダンなデザインが随所に配されているなど、かかわった技術者の近代化へかける想いが色濃く反映されています。
□今回登録一覧
名称 |
員数 |
備考 |
---|---|---|
旧住吉浄水場着水井 |
1基 |
鉄筋コンクリート造 |
旧住吉浄水場接合井 |
1基 |
鉄筋コンクリート造 |
旧住吉浄水場配水池 |
1基 |
鉄筋コンクリート造 |
旧住吉浄水場直送ポンプ井 |
1基 |
鉄筋コンクリート造 |
旧住吉浄水場ポンプ室 |
1棟 |
鉄筋コンクリート造平屋建 |
旧住吉浄水場正門 |
1基 |
鉄筋コンクリート造、左右脇門付属 |
旧常光水源地ポンプ室 |
1棟 |
鉄筋コンクリート造平屋建一部2階建 |
11月には、こんな調査活動などを行いました。
1日 |
(火曜日) |
北区引佐町 |
台風15号被害建造物災害復旧状況調査 |
---|---|---|---|
5日 |
(土曜日) |
北区三ヶ日町 |
千頭峯城と三ヶ日の文化財めぐり |
7日 |
(月曜日) |
東区中郡町 |
橋爪遺跡試掘調査 |
8日 |
(火曜日) |
西区伊左地町 |
河岸遺跡工事立会 |
9日 |
(水曜日) |
浜北区根堅 |
百々原遺跡工事立会 |
13日 |
(日曜日) |
なゆた浜北 |
春風亭昇太落語&トーク |
14日 |
(月曜日) |
北区引佐町 |
方広寺七尊菩薩堂土砂崩れ状況調査 |
15日 |
(火曜日) |
中区曳馬 |
阿弥陀遺跡試掘調査 |
16日 |
(水曜日) |
北区引佐町 |
方広寺七尊菩薩堂土砂崩れ状況調査 |
17日 |
(木曜日) |
天竜区水窪町 |
西浦田楽保存会との意見交換 |
19日 |
(土曜日) |
アクトシティ浜松 |
山城サミット |
20日 |
(日曜日) |
二俣城・鳥羽山城 |
山城サミット(現地見学会) |
21日 |
(月曜日) |
東区下石田町 |
下石田町村前遺跡試掘調査 |
24日 |
(木曜日) |
北区都田町 |
一色遺跡工事立会 |
26日 |
(土曜日) |
北区細江町 |
片町遺跡試掘調査 |
27日 |
(日曜日) |
北区細江町 |
遠江のひよんどりとおくない連絡協議会参加 |
28日 |
(月曜日) |
中区蜆塚 |
歌謡遺跡試掘調査 |
□無形民俗文化財
滝沢のシシウチ神事、シートー祭り
1月1日(日曜日)午前9時~/四所神社(北区滝沢町)
寺野のひよんどり
1月3日(火曜日)午後2時~午後6時/三日堂(北区引佐町渋川寺野)
懐山のおくない
1月3日(火曜日)午後1時頃~午後8時頃/泰蔵院(天竜区懐山)
もみ飯祭り、平治祭り
1月4日(水曜日)午前10時~/林慶寺(北区滝沢町)
川名のひよんどり
1月4日(水曜日)午後6時~午後10時頃/八日堂(北区引佐町川名)
□1月8日(日曜日)
市指定史跡「興覚寺後古墳」ほか
遠州山辺の道ウオーク「初庚申祭と宮口めぐり」
午前10時~午後0時30分/庚申寺(浜北区宮口)集合・解散
去る11月22日(火曜日)、総理大臣官邸にて平成23年度「子ども若者育成・子育て支援功労者表彰」受賞式典が行われ、北区引佐町の横尾歌舞伎保存会が内閣府特命担当大臣表彰を受賞しました。
横尾歌舞伎保存会は、県指定無形民俗文化財「横尾歌舞伎」の伝承活動を通じて世代間交流、地域活性化を図りながら、子どもや若者の健全育成に取り組んできたことが評価されました。
昭和49年の文化財指定直後から少年団活動が開始されており、当時少年団を指導していた世代が祖父母になり、少年団で活動した世代が親となり、その子どもが少年団で活動しています。
3世代にわたり伝承活動に取り組んでいる世帯もあり、活動の独創性のみならず、文化遺産を活用した子ども若者の健全育成事業としての先駆性が評価されました。
このほか、伝承活動と地域とのかかわりが非常に強く、活動を通じて子ども若者を含めた地域の様々な世代の人たちが交流することで、コミュニティが活性化することも評価されました。
来年2月5日(日曜日)には、少年団出演演目を中心とした特別公演が予定されています。
この機会に、文化財の伝承を支える子どもたちの心意気に、惜しみないご声援をお送りください。
今年は激動の一年でした。
文化財課でも、台風15号の直撃や2大イベント(伝統芸能フェスティバル・全国山城サミット)の成功など、さまざまな出来事がありましたが、1年の最後を宝林寺彫刻群県指定&水道施設国登録と、横尾歌舞伎保存会の表彰という、嬉しいニュースで締めくくることができました。
来る2012年が、いい年になりますように。
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