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更新日:2023年3月24日
はままつの文化財
Vol.28 平成22年7月15日
今日もおそらくアカウミガメが産卵のために浜松の海岸に上陸しています。
今年もアカウミガメの産卵シーズンがやってきました。
浜松市では「浜松海岸のアカウミガメ及びその産卵地」を浜松市指定天然記念物として指定しています。
アカウミガメは世界的に絶滅の危機に瀕しているといわれている稀少生物の一つです。
そのアカウミガメが毎年浜松の海岸で産卵をしています。
新しい命を託すにふさわしい場所だということなのでしょう。
とても素敵なことだと思いませんか。
ただ、近い将来、新しい命を託す場所としてアカウミガメに選ばれなくなってしまう日がやってきてしまうかもしれません。
浜松の海岸が産卵場所として選ばれたことは偶然だったのかもしれませんが、選ばれなくなるとしたら・・・
それは必然だと言うと言い過ぎでしょうか。
産卵シーズンに先駆けて、毎年5月上旬(今年は5月9日でした)には「ウェルカメクリーン作戦」が実施され、多くの方々が海岸清掃に参加されます。
また、地域のみなさん、NPOやボランティア団体などのみなさんが、日頃から自主的に海岸清掃などに取り組んでいらっしゃいます。
こうした市民のみなさんの地道な活動が、産卵地の環境維持・改善につながっている一方で、残念ながらゴミの不法投棄はなくなっていません。
また、海岸侵食により砂浜が後退していることも不安です。
もちろん、砂浜の後退に対しても、多くの方々が環境改善に向けて取り組みを始めています。
ただ、ゴミの不法投棄も砂浜の後退も、私たち人間の活動と密接に関連しているものです。
アカウミガメが浜松で見られなくなる日を向かえる前に、私たち一人一人が「できること」「やるべきこと」を考え、行動する必要があると思いませんか。
看板を設置しています。
浜松市では、市民のみなさんといっしょに、文化財であるアカウミガメとその産卵地の保護活動に取り組んでいます。
5月から11月にかけては、アカウミガメとその卵の保護監視と生態調査を行っています。
今年は5月18日に1頭が上陸し、今シーズン初の産卵を確認しました。
また、7月から8月にかけては、親と子のウミガメ教室を開催しています。
毎年たくさんのご家族にご参加いただいていますが、今年は80組の定員に対し174組のご家族から申込みをいただきました。
この教室を通じて、特に子どもたちに、浜松の豊かな自然を直接肌で感じていただき、命を、文化財を大切にする心を育んでいただけることを願っています。
昨年度のウミガメ講座
親と子のウミガメ教室(全3回) |
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1 |
7月24日(土曜日) |
ウミガメ講座(オリエンテーション) |
2 |
7月31日(土曜日) |
ウミガメの産卵調査と海岸ウォッチング |
3 |
8月28日(土曜日) |
ウミガメの放流会 |
ここ数年、アカウミガメの浜松海岸における産卵数・孵化数が増加傾向にあります。
ひとりひとりの、小さな小さな活動の積み重ねが、実を結び始めています。
まもなく孵化のピークを迎えます。
たくさんの小さな命が、大きな海に旅立っていきます。
平成22年度浜松地域人づくり大学講座として「『井の国』講座~奥浜名湖の歴史再発見~」を開催しました。
4月から6月の年度当初で慌しい時期の開講にもかかわらず、延べ400名余の方が参加されました。
今回の「井の国」講座では、引佐健康文化センター等を会場に、
をテーマに全6回実施しました。
パワーポイントを用いた講義のほか、最終回は小雨の降る悪天候の中、井の国のど真ん中(井伊谷)に残る史跡の現地見学会を行いました。
原始・古代から連綿と受け継がれてきた奥浜名湖地域の文化をあらためて見つめ直すことで、受講された方がそれぞれの地域で、文化財をまちづくり・地域活性化に活用していただけるものと期待しています。
本年度、文化財課では文化財保護に関する情報提供や歴史ボランティアガイドとしての活躍を期待して、4種類の講座を開講する予定です。
他の3講座については、今後人づくり大学パンフレットや広報はままつ等でご案内しますので、興味のある方は、ぜひ受講してみてください。
6月には、こんな調査活動などを行いました。
1日(火曜日) |
南区若林町 |
増楽遺跡試掘調査 |
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4日(金曜日) |
南区東若林町 |
村東遺跡試掘調査 |
7日(月曜日) |
中区南伊場町 |
梶子遺跡発掘調査開始 |
10日(木曜日) |
東区恒武町 |
恒武遺跡群試掘調査 |
11日(金曜日) |
中区松城町 |
浜松城跡工事立会 |
15日(火曜日) |
北区細江町 |
気賀高校職場体験(17日までの3日間) |
17日(木曜日) |
西区庄内町 |
宿蘆寺大沢氏墓所測量 |
21日(月曜日) |
浜北区根堅 |
中屋遺跡工事立会 |
24日(木曜日) |
北区三ヶ日町 |
高栖寺踏査 |
25日(金曜日) |
東区半田山 |
半田山D16E9号墳遺物展示 ~3月31日(浜松医大図書館) |
28日(月曜日) |
浜北区根堅 |
中屋遺跡試掘調査 |
30日(水曜日) |
北区引佐町 |
北神宮寺遺跡工事立会 |
市指定名勝「新宮池」
新宮池夏祭り
7月24日は午後6時~、7月25日は午前9時~
天竜区春野町新宮神社
親子文化財めぐり(浜北区)
午前9時~正午/集合場所:なゆた・浜北正面ロータリー
バスに乗って、浜北区内の文化財を見学します。
北浜の大カヤノキ・赤門上古墳・根堅遺跡・庚申寺など
対 象:小学3~6年生及び中学生とその保護者(先着30人)
県指定無形民俗文化財「滝沢の放歌踊」
滝沢の放歌踊
午後6時ごろ~/林慶寺(北区滝沢町)
県指定無形民俗文化財「呉松の大念仏」
呉松の大念仏
午後1時ごろ~/宿盧寺(西区庄内町)
高根城は、北遠の国人領主奥山氏によって15世紀前半に築かれた山城です。
奥山氏は今川氏配下の武将でしたが、桶狭間の戦いで今川義元が敗死すると武田方に付きました。
元亀年間の武田信玄の遠江侵攻にあたっては武田方の武将として活躍し、高根城は三遠国境の街道をおさえ、国境の警備を担う武田方の城として重要な役目を担いました。
その後、武田氏が没落すると、その役目を終え、廃城となりました。
現在、山の尾根上に並ぶ本曲輪、二の曲輪、三の曲輪が平成5年から11年にかけて実施された発掘調査の成果に基づいて復元・整備されています。
本曲輪には井楼櫓(物見櫓)・倉庫・門・柵などが復元され、二の曲輪から三の曲輪にかけては柵、木橋、城内道などが整備されています。
城跡からは眼下に水窪町の町並みや信州街道を一望でき、遠信国境の山々を遠望できます。
武田信玄も青崩峠を越え、高根城眼下の信州街道を通って遠江へと侵攻していきました。
城跡に立つと、戦国時代の時空へと迷い込むような感じを受けます。
高根城跡へは、三角山西麓の高根城公園駐車場から山道を約20分登ります。
またJR飯田線向市場駅からは、徒歩30分の道のりです。
山道は急坂ですが、たどり着いた頂上の眺望は格別のものです。
ぜひ一度、お越しください。
なお、高根城跡からの出土品は、水窪民俗資料館に展示しています。
<編集後記>
みなさん、「山城」と聞いてどんなイメージを思い浮かべますか?
浜松城や名古屋城のような天守閣を思い浮かべた方、残念ながら少し違います。
山城は有事の際に使われたことから、どちらかというと「要塞」に近かったと考えられます。
高根城も、訪れてみると二重堀切や城門、櫓などの遺構から、厳しい「戦場」であったことがよく分かります。
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