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更新日:2023年3月24日

文化財情報vol.25

はままつの文化財

浜松市文化財情報

Vol.25 平成22年4月15日

二俣城の当時の姿が、徐々に明らかに・・・

二俣城を再度調査しました

天竜区の二俣の街を見下ろす小高い山の上には、戦国時代に築かれた二俣城の跡があります。
二俣城は、徳川氏と武田氏の間で激しい争奪戦が繰り広げられた城として、よく知られています。
また、徳川氏が関東に移ったのち、豊臣秀吉の家臣である堀尾氏によって整備された天守台や石垣などが往時の姿を留めています。

二俣城の発掘調査は、昨年度に引き続き2回目となります。
昨年度は、天守台の下端や本丸中仕切門の北側半分を調査しました。
今年度は本丸中仕切門跡の全容を解明する目的で調査範囲を拡大したほか、二の丸と蔵屋敷と呼ばれる曲輪の間にある堀切の調査を行いました。


中仕切門作業のようす

立派な櫓門(やぐらもん)があったようです

本丸中仕切門の調査では、昨年度確認した北側の礎石を再び掘り出すのと同時に、南側へ調査範囲を広げました。

その結果、想定どおり南側からも礎石とその抜き取り跡が検出され、門が4つの礎石を伴う建物であったことが確認できました。
また、南側の石垣と土塁は大きく崩されていましたが、辛うじて最下段の石垣が残っていました。
北側と南側の石垣の間隔は約3.7mあり、礎石の間は東西が約2.1m、南北が約3.2mありました。

一般的に城の門扉は正方形となるため、礎石の間隔がそのまま門扉の大きさとなります。
本丸中仕切門は櫓門であったと考えられ、当初は立派な門がこの場所に建てられていたと推定されます。


中仕切門

当時の姿がいろいろ分かってきました

門跡の調査と並行して二の丸へと続く通路部分の調査も行い、二の丸と本丸中仕切門との間が、石段ではなく坂道でつながっていることが判明しました。
門跡や通路の周囲からは、屋根に葺かれたと思われる瓦や、食器のかわらけや調理具の擂鉢(すりばち)などが出土しました。
さらに部分的に石垣の下を掘ったところ、弥生土器が数点出土しました。

二俣城の下には、さらに古い時代の遺跡が眠っていると考えられ、城が築かれるはるか昔から、人々が生活の場としていたことが明らかになりました。


戦国時代の出土遺物


弥生時代の土器

 

堀切の調査では、深さと底部の形状確認を目的として、トレンチと呼ばれる試し掘りの溝を設定しました。
発掘の結果、堀切の底は現在の地表面より約1.5m下にあり、底部の形状は平坦であることが確認されました。
二の丸の土塁の頂上から、堀切の底部までは約7.5mの高さがあり、南側の防御を意識していたことがわかります。
また、堀切の底は平坦な形状であることから、通路としても機能していたと考えられます。

二俣城の発掘調査は2回目となり、本丸中仕切門に櫓門が存在したこと、蔵屋敷曲輪の北側堀切が通路として使われていたことが明らかになりました。
発掘調査をすることで、当時のお城の様子が具体的に分かってきます。
今後とも発掘調査を行い、市民のみなさまにも見学できる機会を作っていきたいと考えています。


蔵屋敷の北側堀切

稲荷山古墳が浜松市の指定史跡になりました!

稲荷山古墳は浜松市浜北区内野の内野台にある古墳時代中期(5世紀前半)の古墳です。
墳形は円墳で、規模は直径37m、高さ4.3mです。
2008年に範囲確認・試掘調査が行われ、墳丘は二段築成でその上段に葺石があり、周濠の幅は4~5mであることが確認されました。
埋葬施設については、調査していないため不明です。

三方原台地東縁部の内野古墳群には前期後半(4世紀後半)に築造された天竜川右岸最古の赤門上古墳(前方後円墳・静岡県指定史跡)があります。
稲荷山古墳は、それに続く豪族層の墳墓と推定され、天竜川平野を基盤とする首長墓系列の古墳として、浜松市の古墳時代の歴史を語るには欠くことのできない有力古墳です。
天竜川平野を最も良く眺望できる立地環境にあり、円墳ですが市内では千人塚古墳49m、入野古墳44mに次ぐ第3位の大型円墳(県内では10位の規模)です。

浜北市内野台には、稲荷山・赤門上古墳のほか、全国的にも珍しい中期(5世紀)の積石塚古墳群、後期(6世紀)の山の神古墳が整備されていますので、ぜひ一度見学にお越しください。


墳丘上段の葺石

文化財日記抄

3月には、こんな調査活動などを行いました。

1日

天竜区二俣

二俣城跡試掘(~12日)

6日

天竜区二俣

二俣城現地説明会

9日

西区入野町

角江遺跡立会

18日

東区笠井町

笠井遺跡試掘踏査

23日

浜北区宮口

新屋遺跡試掘

17日

浜北区根堅

岩水寺所有彫刻現地調査

23日

 

天浜線鉄道遺産現地調査(~24日)

26日

浜北区於呂

芝本遺跡試掘

29日

西区馬郡町

殿道東遺跡試掘

楠木遺跡現地見学会のようす

楠木遺跡現地見学会
4月4日(日曜日)に開催しました。
午前・午後合わせて98人の市民の方にご来場いただきました。
出土品については、今後も展示をしていきます(下記事参照)

文化財イベント

『井の国』歴史講座

※いずれも午前10時~正午

第2回 都田流域の古墳群と王者の墓の系譜
4月25日(日曜日)/引佐健康文化センター

第3回 奥浜名湖の古代のムラと役所・寺院跡
5月16日(日曜日)/細江みをつくし文化センター

第4回 奥浜名湖の南北朝の城と戦国の城
5月30日(日曜日)/引佐健康文化センター

第5回 奥浜名湖の中世・近世芸能
6月13日(日曜日)/引佐健康文化センター

第6回 『井の国』ど真ん中
6月27日(日曜日)/現地見学会

5月5日(水・祝)

市指定無形民俗文化財「犬居つなん曳」
犬居つなん曳
午後6時~/天竜区春野町堀之内

5月中旬~

県指定天然記念物「シブカワツツジ群落」
渋川つつじまつり
北区引佐町渋川(渋川つつじ公園)

楠木遺跡の出土品を展示しています

楠木遺跡では以前から古代の瓦片が採集されていますが、どのような遺跡なのかはっきりしたことはわかっていませんでした。そこで、遺跡の年代や実態をあきらかにするために本年2月に発掘調査をおこないました。
発掘調査では、奈良・平安時代の瓦が大量に出土し、この周辺に古代の寺院があったことがほぼ確実となったほか、文様の施された軒平瓦、軒丸瓦からは三ヶ日地域と東三河地域との交流がうかがえる等、多大な成果が得られました。
これらの調査成果を広くみなさんに知っていただくために、出土品展示を企画しましたので、ぜひこの機会にご覧下さい。

三ヶ日図書館

期間:平成22年4月6日(日曜日)~25日(日曜日) ※月曜休館

会場:三ヶ日図書館 ギャラリーコーナー

開館:
午前9時半~午後6時[火~土曜日]
午前9時 ~午後5時[日曜日]

交通:
天竜浜名湖鉄道三ヶ日駅下車徒歩15分
遠鉄バス気賀三ケ日線「三ヶ日地域自治センター」下車徒歩15分

博物館

期間:平成22年4月28日(水曜日)~5月23日(日曜日)※月曜休館

会場:浜松市博物館 メインエントランス

開館:午前9時半~午後5時
交通:遠鉄バス「蜆塚・佐鳴台」方面行「博物館」下車、徒歩1分

<編集後記>

新しい年度を迎え、「生涯学習課文化財担当」は「文化財課」となりました。
市内には先人達が残したすばらしい文化財が数多くあります。
こうした文化財を次世代に継承していく環境づくりを、まちづくり資源として活用していただけるよう、職員一同で取り組んでまいります。
一新した「文化財課」を、今後ともよろしくお願いいたします。

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お問い合わせ

浜松市役所市民部文化財課

〒430-8652 浜松市中央区元城町103-2

電話番号:053-457-2466

ファクス番号:053-457-2563

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