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更新日:2023年3月24日

文化財情報vol.11

はままつの文化財

Vol.10 平成21年3月16日

新しく指定された文化財を紹介します

浜松市教育委員会は、浜松市文化財保護審議会(会長:高松良幸静岡大学情報学部教授)からの建議を受け、浜松市指定文化財の新指定2件と追加指定1件について決定し、3月2日に告示しました。
この結果、市内の指定文化財は426件(国指定:24件、県指定:79件、市指定:323件)となりました。
今月号では、これら新しく指定した文化財について紹介します。

新しく指定したもの

浜松市指定有形文化財(彫刻)

木造阿弥陀如来坐像(もくぞうあみだにょらいざぞう) 1躯

<所有:宗教法人 龍雲寺>

西区入野町の龍雲寺に伝来する木造阿弥陀如来坐像は、卵型の輪郭、切れ長の眼で優美な微笑をたたえる顔貌や、前後に薄い体部の肉取り、彫りの浅い衣褶表現など、11世紀の仏師定朝の様式に倣っています。

平安時代後期における京の典型的な様式を示していますが、顔貌や衣褶の表現は様式化が見られ12世紀の制作と考えられます。
像高約60センチ(二尺二分)とやや小ぶりな像ですが、保存状態も比較的良好で、浜松市内に現存する数少ない平安仏として貴重です。

また、本像が、京で制作されたものか、当地で制作されたものかは即断できませんが、当時の京と浜松の文化交流を示す文化財としても貴重です。

木造阿弥陀如来坐像
木造阿弥陀如来坐像

正面
正面

頭部拡大
頭部拡大

浜松市指定有形文化財(建造物)
旧浜松銀行協会(きゅうはままつぎんこうきょうかい) 1棟

<所在:中区栄町3-1/所有:浜松市>

旧浜松銀行協会は、昭和5(1930)年に浜松銀行集会所として建てられました。設計は浜松市出身の建築家中村與資平が主宰する中村工務所、施工は大林組です。

機能的には、手形交換等の事務所、集会所、及び銀行関係者の交流を目的としたクラブから構成されています。
外観はスペイン風の意匠によってまとめられており、平滑な白い外壁のなかに、講堂の3連のアーチ窓等が配され、屋上の立上りは東側がロンバルディアバンド(ロマネスクの意匠)、西側が緑釉のスペイン瓦となっています。内部の材料、仕上は、外部から玄関、広間、階段と続くスクラッチタイル、玄関の床のモザイクタイル、各部ドアや講堂の腰壁の輸入木材等が、工業製品や輸入木材が多く流通し始めた時代を反映しています。玄関のステンドグラス等には、アールデコ風の幾何学的なデザインが見られます。

旧浜松銀行協会は、内部の機能と相関しつつ市民に良好な景観を示してきた外観、及び建設当時の材料、仕上、建具等に見られる内部において顕著な特色がある建造物として貴重です。

なお、中村與資平設計の建造物では、平成17(2005)年に静岡銀行浜松営業部本館(旧遠州銀行本店)が市指定となっており、市内では2件目の指定となります。

旧浜松銀行協会
旧浜松銀行協会

玄関

広間

(左)玄関
(上)広間

範囲が拡大したもの

浜松市指定天然記念物
浜松海岸のアカウミガメ及びその産卵地

浜松市では、平成2年にアカウミガメの産卵地として馬込川から旧舞阪町との境までの範囲を文化財として指定し、自然保護団体のみなさんにご協力いただき、その保護に取り組んできました。

このたび、新たに市域となった旧舞阪の海岸と前回指定範囲外であった五島海岸を指定範囲に追加しました。
これで浜松市域の海岸はすべて、私たち市民にとって大切な文化財として指定されたことになります。

浜松でアカウミガメの保護活動が始まって20年が過ぎ、昨年はこれまでの最高記録に迫る多くの上陸・産卵が確認されました。
いつまでもこの豊かな自然環境が保たれるよう「文化財」である海岸を大切に守りましょう。

浜松海岸のアカウミガメ及びその産卵地
浜松海岸のアカウミガメ及びその産卵地

鳥羽山城跡の現地説明会を行いました

県内最大級の大手道を見学

3月7日(土曜日)に天竜区二俣町にある鳥羽山城の発掘調査現地見学会を開催しました。

鳥羽山城は天正3年(1575)、当時、武田方にあった二俣城を攻略するため、徳川家康が陣を構えた城として著名です。
家康が江戸に移った後は、豊臣秀吉の配下である堀尾氏が支配し、石垣をもった本格的な城郭に姿を変えていきます。

発掘調査では、主に、堀尾氏が構築したとみられる遺構が確認できました。
とくに大手道は幅が6mをこえる大規模なもので、県内最大級のものとして注目できます。

見学会では、350人の市民の皆様が、担当職員の説明のもと、安土桃山時代に築かれた石垣のようすや、建物跡、出土遺物などを熱心に見学しました。

見学のようす
見学のようす

文化財日記抄

2月には、こんな調査活動などを行いました。

◆遺跡現地発掘調査:

笠井遺跡(東区笠井町): 1月~2月27日
辺田平古墳群(浜北区平口): 9日~27日
二俣城跡(天竜区二俣町): 23日~27日

◆その他の調査活動等

10日

天竜区二俣町

二俣城・鳥羽山城の踏査

17日

東区中郡町

万斛遺跡の試掘調査

26日

東区宮竹町

宮竹野際遺跡の試掘調査

文化財関係イベント

4月12日(日曜日)

重要文化財「宝林寺仏殿・方丈」
宝林寺龍文坊大祭

午前10時30分~午後3時30分/北区細江町中川

◆お花見シーズンです!

今年も桜の季節が巡ってきました。
鳥羽山城・二俣城・浜松城など、文化財スポットにも桜の名所はたくさんあります。
ぜひお出かけください!

二俣城天守台
二俣城天守台

ガイドブック「浜松の遺跡2」新発売!

浜松市には古くから多くの人が暮らしており、約820箇所の遺跡があります。
この冊子は、2003年から2008年にかけて行われた発掘調査について、遺跡の様子や出土した遺物を中心に、カラーで分かりやすく紹介しています。

  • 掲載している遺跡:北神宮寺遺跡・鳥居松遺跡・二本ヶ谷積石塚群ほか
  • 価格:300円
  • サイズ等:A4判・本文45ページ・カラー
  • 販売:下記窓口にて取り扱い
    浜松市役所生涯学習課文化財担当(浜松市役所本館6階)・浜松市博物館ほか

「浜松の遺跡2」表紙

<編集後記>

平成20年度には今回報告した市指定3件を含め、市内に所在する4件の文化財が指定を受けました。
天然記念物一つを見ても、北遠のカモシカから太平洋を望む浜松海岸のアカウミガメまで、浜松市全域が文化財の宝庫であることをあらためて実感しました。

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お問い合わせ

浜松市役所市民部文化財課

〒430-8652 浜松市中央区元城町103-2

電話番号:053-457-2466

ファクス番号:053-457-2563

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