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更新日:2023年3月24日

文化財情報vol.8

はままつの文化財

浜松市文化財情報

Vol.08 平成20年12月15日

遺跡の整理作業が進んでいます

舞阪町天白遺跡とは

舞阪町天白遺跡の発掘調査は、舞阪小学校の校舎が建設されることになったため、昨年8月~10月にかけて校庭の西側で実施されました。

発掘調査により、飛鳥時代から奈良時代の竪穴住居跡27軒分、掘立柱建物跡(倉庫)2棟分が発見されました。

舞阪天白遺跡全景

天白遺跡から出土したもの

今年度は、発掘で出土した遺物について、整理作業を実施しています。
出土した土器破片を洗った後、接合してもとの形に復元しました。

カマドに掛ける煮炊き具としての甕(かめ)や甑(こしき:蒸し器のこと)、食器としての蓋付の杯身(お茶碗)や皿や鉢、容器としての壺など、多くの須恵器(すえき)や土師器(はじき)が復元されました。

他には、塩を入れて三河から持ち込まれた専用の土器、陶馬(陶器で作られた小型の馬形)や革袋形土製品(革製の水筒を模倣したもの)など祭祀に用いられた土製品、漁業に用いられた網のおもりがあります。
おもりは、形や重さがまちまちなので、いろいろな種類の網を使って魚がとられていたと想像されます。

復元された土器

一方、梶子遺跡も・・・

7月から中区南伊場町で進めてきました梶子遺跡の発掘調査は、11月上旬に現地調査が終了しました。

調査の結果、弥生時代から戦国時代にかけての遺構と遺物が見つかりました。
特に古墳時代後期から奈良時代にかけてのものが多く、竪穴住居跡や掘立柱建物跡などからなる集落跡を確認しました。

引き続き出土品の整理作業を行い、出土した遺物を洗ったところ、奈良時代から平安時代(8世紀~9世紀)の墨で文字が書かれた土器が含まれていることが明らかになりました。
文字は梶子遺跡周辺の古代の地名である「竹田」や、人の名前と思われる「廣勢」などの他に、壷の蓋の裏側に「散仕」と書かれたものが見つかっています。

「散仕」とは奈良時代の郡役所に勤め、文書の逓送などの雑務を行っていた職員のことを指します。
『駿河国正税帳』など奈良時代の古記録にその名が確認されていますが、土器に書かれているものは初めての発見となります。
梶子遺跡周辺は奈良時代の敷智郡の郡役所が置かれていたと考えられていますが、今回の「散仕」墨書土器の発見から、よりその可能性が高まったと言えます。

「散仕」の字が見える

土器の整理作業って、どうやるの?

土器の整理はこんな風に進められます

1.整理作業は、まず出土した土器をきれいに水洗いし、破片の一つずつに出た場所を墨で記入することから始めます。
この作業は、根気のいる仕事です。

土器破片に場所の番号を記入

2.土器の破片を接着剤で接合し、欠けている所には石膏を入れて復元します。
接合は、パズルのようなものですが、全てが埋まるわけではありません。そのため、石膏で補う必要があります。

3.復元した土器は、報告書や冊子に掲載する写真を撮影するため、また博物館などで展示できるように、色を塗って仕上げます。
完全な形に土器を復元できると、達成感で、たいへんうれしくなります。

復元作業のようす

4.また、土器は原寸大で正確な図面を作成し、きれいに清書して報告書に掲載します。
図面の作成は、正確さが要求されますので、根気が要るとともに、緊張する作業です。

図面作成作業のようす

5.発掘調査の所見と、出土品の説明を原稿にし、写真や図面類を加えて、報告書にまとめます。
報告書の刊行で、発掘調査はやっと完了となります。

刊行された報告書の一部
今までに刊行した報告書の一部

文化財関係イベント

1月3日(土曜日)

国指定重要無形民俗文化財「遠江のひよんどりとおくない」のうち『懐山のおくない』
懐山のおくない祭礼

午後1時頃~8時頃 天竜区懐山

1月3日(土曜日)

寺野のひよんどり

国指定重要無形民俗文化財「遠江のひよんどりとおくない」のうち『寺野のひよんどり』
寺野のひよんどり祭礼

午後2時~6時頃 北区引佐町渋川

1月4日(日曜日)

川名のひよんどり

国指定重要無形民俗文化財「遠江のひよんどりとおくない」のうち『川名のひよんどり』
川名のひよんどり祭礼

午後6時~10時頃 北区引佐町川名

1月25日(日曜日)

国指定重要無形民俗文化財「遠江のひよんどりとおくない」、県指定無形民俗文化財「滝沢の放歌踊」
第13回静岡県民俗芸能フェスティバル「はままつの芸能」

午後1時~4時30分 引佐多目的研修センターホール

文化財日記抄

11月には、こんな調査活動などを行いました。

◆遺跡現地発掘調査:

梶子遺跡 (7~11月)

◆その他の調査活動等

4日

浜北区於呂

百々原遺跡の試掘調査

10日

中区・西区

姫街道松並木現状確認調査

11日

西区入野町

文化財保護審議会委員による龍雲寺の調査

13日

東区恒武町

茶ノ木田遺跡の工事立会い

19~20日

東区半田町

半田山古墳群の試掘調査

19日

北区都田町

貴見寺東遺跡の試掘調査

21日

東区丸塚町

五反田遺跡の試掘調査

25~28日

浜北区染地台

辺田平古墳群の試掘調査

◆静岡県指定天然記念物
「浦川のホソバシャクナゲ群落」の現況確認調査(12月2日)

調査のようす

文化財指定地の様子を確認しました。
植物群落、山城跡などの確認調査は、草の生い茂る夏場よりも、この時期が適しています。
今回の調査では、ホソバシャクナゲの生育状況を把握することができました。

<編集後記>

埋蔵文化財調査事務所での出土品整理のようす

神原町にある埋蔵文化財調査事務所では、ただいま、出土品の整理で大忙しです。整理に関わっている方の声を聞いてみました。
「実測する道具に慣れるのが大変で、とにかく難しいです(実測担当)」
「土器片から探すので、珍しい土器が形になったときはうれしい!(復元担当)」
「手が荒れやすいし、取り扱いにも苦労します(石膏担当)」
お疲れ様です!

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お問い合わせ

浜松市役所市民部文化財課

〒430-8652 浜松市中央区元城町103-2

電話番号:053-457-2466

ファクス番号:053-457-2563

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