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更新日:2023年3月24日

文化財情報vol.7

はままつの文化財

浜松市文化財情報

Vol.07 平成20年11月15日

民俗芸能真っ盛り!

浜松市内に伝承されている無形民俗文化財は、大きく3つの時期に集中して開催されています。正月、お盆、そして農作物の収穫を終えた秋の季節です。
今回は、秋に行われた民俗芸能のうち県指定無形民俗文化財の2件を紹介します。

横尾歌舞伎定期公演

去る10月11日(土曜日)12日(日曜日)の両日、北区引佐町横尾の開明座で県指定無形民俗文化財「横尾歌舞伎」の定期公演が開催されました。

横尾歌舞伎は江戸時代から伝えられている農村歌舞伎で、地元神社の祭礼余興として地域をあげて伝承されています。
寛政年間(1794-1801)の御定書にその記録が残されていることから、200年以上前には上演されていたことが分かっています。
戦中戦後の一時期は衰退しましたが、保存会の結成を機に再び盛り上がり現在に至っています。

寿式三番叟宝の入船

 

横尾歌舞伎では役者、太夫、三味線弾きから、振り付け、大小道具の製作、設置、勘亭流の書体によるポスター作りまで、保存会員の手で賄われています。
さらに、古いものでは江戸時代から伝わる台本・衣裳・鬘等含めて、全てを自分達で管理し、運営しているのが最大の特長です。

菅原伝授手習鑑車引きの場

 

今年は4つの芸題が上演されました。
オープニングを華やかに演出する歌舞伎舞踊「寿式三番叟宝の入船」、保存会による「奥州安達原三段目袖萩祭文の場」のほか、横尾歌舞伎の十八番「絵本太功記十段目尼ヶ崎閑居の場」を少年団が、新十八番「菅原伝授手習鑑車引きの場」を保存会の若手が演じており、確実に後継者が育成されています。

特に菅原伝授手習鑑車引きの場では、3年を1期として若手を育成する仕組みが確立されており、1年目には端役、2年目に主役、3年目に後見として参加しており、様々な視点で横尾歌舞伎を伝承しているのです。その他、太夫や三味線も若手が務めるなど役者以外の部門でも後継者が育成されています。

絵本太功記十段目尼ヶ崎閑居の場

 

また、今年の上演では、横尾歌舞伎の将来を担う少年団の子どもたちの活躍が目立ちました。
例年、舞踊と芝居の二幕に出演していますが、今年はもう一幕「奥州安達原三段目袖萩祭文の場」にも子役として出演し、保存会の大人と一緒に熱演するなど、総勢13人のこども役者が活躍しました。

奥州安達原三段目袖萩祭文の場

 

このように、伝統文化の継承と発展に寄与していることから、11月3日文化の日に教育学術文化スポーツ分野の県知事表彰を受賞し、地域と保存会の伝承意欲はますます高まっています。

川合花の舞

10月25日(土曜日)夕方から26日(日曜日)明け方にかけて、天竜区佐久間町川合の八坂神社で開催されました。

花の舞は鎌倉時代末期頃、修験者によって村人に伝えられたといわれており、寛政11年(1798)の古文書には行われていたことが記されています。現在、県内で伝承されているのは川合を含め佐久間地域の2箇所のみです。

地固め

 

鬼やおかめ等の面を用いた舞や子どもが演じる舞等、夜を徹して22の演目が上演されました。

花の舞の名称は、子どもがかわいい花笠を被って踊る花の舞という演目が強調されたものといわれています。
中世から伝えられた五穀豊穣を感謝し無病息災を神に祈る古典的な湯立神楽です。

金山の二ツ舞

文化財シンポジウム「伊場木簡から古代史をさぐる」を開催しました

浜松は木簡の宝庫だった!

10月26日(日曜日)、浜松科学館にて、「伊場木簡から古代史を探るーいにしえの文字と浜松―」と題した文化財シンポジウムを開催しました。
あいにくの雨で冷え込んだ日でしたが、今回は全国的にも注目される伊場木簡のシンポジウムということもあり、開始前から多くの皆さんが会場に詰め掛けるなど、盛況なシンポジウムとなりました。

参加者は200人を超えました

 

講演では、まず調査担当者から最近の伊場遺跡群内での調査でも注目される新発見が相次いでいることが紹介されました。
続いてお招きした木簡や考古学、祭祀の専門研究者から、古代の都(平城京)と地方(遠江国や敷智郡)の関係や、当時の都や地方のの役所の様子、役人の仕事ぶり、奈良時代の都や地方の役所で行われていた祭祀の内容など貴重なお話がありました。

こうした講演により、木簡や墨書土器が文字資料が少ない古代史研究において欠かせない資料となっていること、また伊場遺跡群から出土した木簡や墨書土器によって、古代における敷智郡や浜松市の地方史が語れるほど、記された内容が豊富であることも示されました。

パネルディスカッション

 

全国的にみてもこれだけの数と質を備えた木簡をもつ地域は、浜松だけであるとのお話もあり、詰め掛けた多くの皆さんも、伊場遺跡出土木簡の重要性を認識するとともに、古代の浜松に思いを寄せていました。

文化財関係イベント

12月16日(火曜日)

有形文化財「秋葉神社神門」・記念物「秋葉神社社叢」
秋葉の火まつり「防火祭:ひぶせのまつり」

午後10時~ 秋葉神社(天竜区春野町領家)

文化財日記抄

10月には、こんな調査活動などを行いました。

◆遺跡現地発掘調査:

梶子遺跡 (7~11月)

◆その他の調査活動等

2日

北区引佐町

井伊谷天白遺跡の試掘調査

9日

東区笠井町

笠井遺跡の工事立会い

9日

天竜区春野町

市指定天然記念物「秋葉神社社叢」の現状確認調査

11日

北区引佐町

県指定無形民俗文化財「横尾歌舞伎」伝承状況調査

14日

中区西伊場町

東山田遺跡の工事立会い

14日

中区森田町

鳥居松遺跡の工事立会い

14日

北区細江町

伊目地区の埋蔵文化財踏査

<編集後記>

今回の取材では、会場で食べた五平餅やおでんの美味しさもさることながら、地域に伝わる民俗芸能を次世代に継承し、発展させていこうとする伝承者の意気込みに圧倒されました。
少子高齢化や地域格差の影響を受けながらも確実に後継者が育成されており、これら市内に伝わる無形民俗文化財が“浜松文化”の基盤となっていることを強く感じました。

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お問い合わせ

浜松市役所市民部文化財課

〒430-8652 浜松市中央区元城町103-2

電話番号:053-457-2466

ファクス番号:053-457-2563

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