緊急情報
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更新日:2016年3月15日
平成27年3月15日発行
芝本遺跡は浜北区於呂に所在します。浜名高校史学部や浜松市などにより、計20回にわたる発掘調査が行われ、弥生時代(2千年ほど前)を中心とした時期の遺跡であることが知られています。
<方形周溝墓と弥生土器出土状況>
平成27年10から11月にかけて浜松市文化財課では、芝本駅から北東へ100mほどのところで発掘調査を行いました。この場所の一部は、かつて浜名高校史学部によって発掘調査を行っています。今回の調査成果と過去の調査成果を合わせると、弥生時代後期(今から約2千年前)のお墓(方形周溝墓)が2基あったことが明らかになりました。方形周溝墓は、四角形の墳丘をも
ち、周囲に溝がめぐらされたお墓です。弥生時代から古墳時代のはじめ頃に、九州地方から東北地方南部に至る広い範囲で造られました。今回発掘した方形周溝墓の周溝幅は1 m以上、深さ50cm以上ありました。
<出土した弥生土器>
周溝の中からは大量の弥生土器が出土しました。葬送儀礼に伴いお供えされた土器もありますが、多くの土器は周溝が20cmほど埋まったころに短期間のうちに集積されたものです。これらの土器は欠けているものやススやコゲのあるものが多く、日常で使われた土器を廃棄した場と推定でき、死者だけでなく、使用済みの土器を送る(供養する)場であったとみられます。
現在、発掘調査の記録をまとめる作業や出土した土器を復元する作業を埋蔵文化財調査事務所(北区引佐町)で進めています。
文化財課では、埋蔵文化財の調査・整理・公開・活用を通して、今後も歴史文化の情報を発信していきます。ご注目ください。
<講座 第1回>
地域で予想される災害に際して文化財の被災の可能性と、防災や減災、さらには救済の必要性をご案内する講座、「文化財防災ボランティア養成講座第5期」が終了しました。この講座は、静岡県文化財等救済支援員制度と連携しながら平成23年度から開催しているもので、全3回の受講後に、ご希望の方には静岡県教育委員会から文化財等救済支援員登録証が送られます。
<修復実技の様子 第2回>
今年度も市内の災害古記録を学んだり、文化財修復の実技で資料の取り扱いを学んだり、東日本大震災における当市被災地派遣職員の事例報告を聴講したり、国内各地で発生した災害の際に、建築調査で現地入りした専門家のお話を豊富な写真とともに伺ったりしました。
平時に文化財を良く知ることが、いざという時に役立つことから、受講の皆様には、今後は楽しく学びながら文化財に親しむ機会をご案内していきたいと思います。
1日(月曜日)、南区高塚町、高塚町村西遺跡本調査
4日(木曜日)、南区増楽町、増楽町村中遺跡予備調査
8日(月曜日)、東区和田町、木船廃寺跡本調査~2月10日
8日(月曜日)、南区若林町、東若林遺跡予備調査
16日(火曜日)、中区森田町、鳥居松遺跡立会調査
17日(水曜日)、北区引佐町、井伊氏居館跡立会調査
20日(土曜日)、博物館、文化財防災ボランティア養成講座第1回参加9人
22日(月曜日)、西区志都呂町、志都呂町中村遺跡予備調査
22日(月曜日)、浜北区於呂、向山1.遺跡予備調査
22日(月曜日)、中区元浜町外、浜松城下町予備調査~2月23日
25日(木曜日)、天竜区水窪町、西浦の田楽伝承状況現地確認
27日(土曜日)、博物館、文化財防災ボランティア養成講座第2回参加9人
1年間のご愛読ありがとうございました。二俣城跡や鳥羽山城跡の調査など、未来の街づくりにつながるような化財保護と活用の準備に力を入れた1年でした。28年度も認定文化財制度
などを通じ皆様と共に地域の誇り、愛着へとつながるような活動にも一層努めてまいります。
<五社神社>
徳川家康の三男で、江戸幕府2代将軍となる秀忠は、天正7年(1579)、浜松で誕生しました。秀忠の生母は家康の側室である西郷局で、誕生地は浜松城下にあった下屋敷説と浜松城内説の2説があります。下屋敷があったのは中区常磐町付近で、江戸時代には誕生屋敷と呼ばれていました。現在、遠州鉄道遠州病院駅に隣接して、秀忠の誕生にかかわる井戸が再現されています。一方、浜松城内における秀忠出生関連地は「御誕生場」と呼ばれ、二ノ丸と本丸の間にありました。現在の元城小学校にあたります。この地には五社大明神という社があり、秀忠の産土神(うぶすなかみ、誕生地にかかわる守護神)として、手厚く祀られました。城内にあった社は利町に遷され、現在も五社神社として信仰を集めています。五社神社には寛永18年(1641)、3代将
軍家光の時に、当時浜松城主だった高力忠房によって壮麗な社殿が築かれました。また、寛永11年(1634)には五社神社の南に諏訪神社が遷され、二社が並ぶことになりました。現在、諏訪神社の跡地(はまホールの敷地)の南には寛永年間に構築されたとみられる見事な石垣が残っています。
<寛永年間の石垣>
日差しの色や、風のにおいに春を感じるようになりました。冬の寒さに縮こまっていたものが、ふっと解放されてゆくのがうれしいです。こんな、のどかで平和なときを、必ず次の世代につないでいかなければと思うこの頃です。(K)
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