緊急情報

サイト内を検索

ここから本文です。

更新日:2017年2月15日

浜松市文化財情報vol.109

平成29年2月15日発行

笠井西浦遺跡の発掘調査を行いました!

笠井西浦遺跡は、東区笠井町西浦に分布している遺跡です。今まで2回の発掘調査を行いましたが、いずれも明確な遺構は検出されませんでした。しかし昨年7月に行った予備調査で、古代から中世の土器とともに遺構が発見され、今回本発掘調査を行うことになりました。
◆奈良時代からの中世の遺跡を発見
本発掘調査は、昨年11月から12月にかけて行われました。調査の結果、溝や土坑が検出され、多くの土器や陶器が発見されました。溝は長さ約8.5m、幅約40cmのものが2本並んで検出されており、奈良時代の道の側溝や屋敷を区画する溝である可能性が考えられます。また、遺物は奈良~平安時代の土師器(素焼きの土器)、須恵器(陶質の土器)、灰釉陶器(釉薬をかけて焼いた土器)が多く発見されています。
◆獣脚付壺を発見
今回の発掘調査成果で特に注目されるのが、獣脚付壺の一部が発見されたことです。獣脚付壺はその名の通り、獣の足のような形の脚部がついた壺です。集落跡や、古代の役所である官衙の跡から発見されることが多く、官衙の運営に関わる階層が持っていたと推測されています。今回発見されたのは足の部分が一本のみで、大きさは5~6cm程です。今回の調査区周辺の遺跡からも、官衙との関連が考えられる遺物が出土していることから、笠井町から恒武町にかけて、官衙に関する施設が存在していたのかもしれません。

笠井西浦遺跡調査区全景<調査区全計>

笠井西浦遺跡主な出土品<おもな出土遺物(中央上が獣)>

獣脚付短頸壺の例<獣脚付短頚壺の例((財)静岡県埋蔵文化財調査研究所2007『井通遺跡』より転載)>

東海しろあとセミナー「境目の城を考える」開催!

昨年12月17日(土曜日)に東海しろあとセミナー「境目の城を考える」を開催しました。今回は戦国大名の勢力圏の「境目」に築かれた城に焦点を当て、上田市、沼津市、浜松市の発掘調査担当者から城に関する発掘調査成果など報告と、講師の先生から戦国時代における「国衆」の最新研究動向について、講演をいただきました。また、セミナーの後半に発表者全員による討論会を行い、各地域の境目の城の特徴について比較検討と、城主の変遷や地域の動向について意見交換をしました。

昨年の大河ドラマの主役である真田氏、今年の主役である井伊氏ともに、「国衆」と呼ばれる地方の小領主でした。強大な戦国大名の勢力圏に挟まれ、領土の保全と自家の存亡をかけて苦難の道を辿りますが、数々の合戦において戦国武将として活躍し、江戸時代には大名家として大成をします。今回の大河ドラマの主人公である井伊直虎は、井伊谷の国衆であった井伊氏が、国衆の立場から脱却し徳川家康配下の戦国武将として変貌を遂げて行く「繋ぎ」の役割を担ったという視点は大変興味深い内容でした。文化財課では今後も引き続き、城跡に関わる講座や見学会等を企画していきますので、ぜひご注目ください。
東海しろあとセミナー(上田市・和根崎氏の報告)の様子<上田市・和根崎氏の報告の様子>

文化財日記抄 1月

5日(木曜日) 浜北区新原 清水遺跡予備調査
10日(火曜日) 東区役所 旧鈴木家屋敷跡出土遺物展示(1月31日まで)
11日(水曜日) 北区引佐町井伊谷 北神宮寺遺跡工事立会調査
14日(土曜日) 地域遺産センター 地域遺産センター内覧会
15日(日曜日) 地域遺産センター 地域遺産センター開館
16日(月曜日) 南区高塚町 高塚町村西遺跡予備調査(1月18日まで)
17日(火曜日) 南区新橋町 新橋町村東遺跡本発掘調査
23日(月曜日) 北区細江町中川 岡の平遺跡予備調査/北区神宮寺町北神宮寺遺跡工事立会調査
25日(水曜日) 中区南伊場町梶子遺跡工事立会調査/地域遺産センター浜松城下町遺跡速報展(3月5日まで)
28日(土曜日)アクトシティ中ホール 出前講座「史料から浜松の災害を知る」(参加809人)30日(月曜日) 中区森田町畷東遺跡予備調査(1月31日まで)

井伊谷周辺のオススメ文化財スポット 青葉の笛

 時の人、井伊直虎のいいなずけで、井伊家23代当主の直親が愛した笛をご紹介します。
 直親は9歳の時、今川氏の追手から逃れるために龍潭寺の南渓和尚による計らいで、信州伊那谷の松源寺に身を隠しました。それから10年余の歳月を経て、井伊谷に呼び戻される際に、出国の時お世話になった寺野へのお礼として笛1管を氏神に寄進したとされています。それが、浜松市指定文化財「青葉の笛」です。
 以来400年以上にわたり、引佐町寺野地区の住民が大切に保管して、4年に1度4月の第1日曜日に引佐町寺野六所神社で公開してきました。昨年春に公開されましたので、次は東京オリンピックの年ですね。記憶に留めてご覧になってはいかがでしょう。
 さて、あと3年も待てないよと思われた方、御安心下さい。今年1月15日に開館したばかりの浜松市地域遺産センターで「青葉の笛」の複製品が皆さんのお越しをお待ちしています。こちらでは手に取ってご覧頂けますから、武人の笛らしい風格を是非その手でご堪能下さい。

青葉の笛(複製)<青葉の笛(複製)>
【浜松市地域遺産センターへのアクセス】
遠鉄バス「奥山方面」行き「井伊谷」バス停下車5分
引佐協働センター西側

編集後記

冬は空気が乾燥して火事やボヤが起きやすくなっています。もし火が出てしまった際に、文化財を火事から守るためには日ごろからの対策が必須です。今年も文化財防火デーの前後に、中村家住宅などで消火訓練を行いました。(O)

このページのよくある質問

よくある質問の一覧を見る

お問い合わせ

浜松市役所市民部文化財課

〒430-8652 浜松市中央区元城町103-2

電話番号:053-457-2466

ファクス番号:053-457-2563

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?