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更新日:2024年1月1日

校長会議講話(令和5年7月5日)

1.はじめに

こんにちは。子供たちの生活と心に大きな影響を与えてきたコロナウイルス感染症が、感染症法上の5類に位置づけられ、コロナ前の生活が少しずつ戻ってまいりました。
残り試合がわずかとなった中体連浜松・湖西大会でも、昨年度までなかった声援や上級生を応援する下級生の姿があり、そのことに胸が熱くなるという話を聞きました。
また、6月の第一週、二週は、大雨への対応をありがとうございました。市内では亡くなられた方もあり、本当に痛ましいことでしたが、休日を返上しての学校環境の整備、道路の通行止め等の影響に対する登校方法の変更やタブレット端末の活用など、適切な対応により、子供たちの学びを止めることがないようにしていただきました。感謝申し上げます。
そして天竜川の増水への対応として、急遽、それも真夜中に校舎2階以上の開放をお願いした学校が22校ありました。事務局職員から校長先生方の携帯に連絡を入れさせていただきましたが、市民の安全のための対応とはいえ、時間も天候も厳しい中でのお願いは大変心苦しいものでした。しかし、どの校長先生にも快く対応していただいたと聞き、ありがたく思っています。

2.最近の報道から

最近、いくつか気になる報道があったので、紹介します。

(1)生成AIについて
最初は、生成AIの学校での取り扱いについてです。
昨日、文部科学省は、暫定的なガイドラインを公表しました。注目された方も多かったかと思います。
それによると、生成AIは、個人情報の流出や著作権侵害などリスクも懸念される一方、使いこなす力を育てていく姿勢も重要だとして、活用が有効な場面を一部の学校で検証しつつ、限定的な利用から始めることが適切だとしています。
今後必要なこととして、情報の真偽を確かめるファクトチェックなどの教育活動を一層充実させることや、教員のAIリテラシーを向上させることなどを挙げています。
現代は、加速度的に変化する社会、将来の予測が困難なVUCAの時代を実感し、学び続ける必要性を痛感します。

(2)埼玉県川口市15歳男子生徒のいじめ自殺に関する第三者委員会の報告書
次に、「埼玉県川口市で起きた15歳の男子生徒のいじめ自殺について、第三者委員会が公表した調査報告書」の件です。
本報告書では、「亡くなった男子生徒が訴えてきたいじめに対する学校の調査といじめ対策が不適切であったこと、この不適切な対応で生徒の精神的苦痛が数年間にわたって続いたこと等が二次被害となり、生徒を自殺に追い込んだ」と、書かれています。
いじめの問題が、被害と加害の問題ではなく、学校の対応の適切、不適切になっていく。浜松市でも同様のことが起きています。
指導課が作成した『いじめ対応の手引き』には、「いじめの事実と対応の方針を説明するときには、子供の気持ちに寄り添い、安心を保障する。」と示しています。また、「共感的な態度」や「十分に話を聴く」ことについても、示してあります。
いじめの問題は、丁寧かつ迅速な初期対応がすべてである、と言っても過言ではありません。
自校の児童等がいじめを受けていると思われた時には、まず、関係するすべての児童生徒や保護者から丁寧に話を聴きましょう。
話を聴くのは、もちろん事実の全容解明のためですが、その話の中には、子供や保護者の思いがあります。その思いに真摯に向き合い、聴く中で、信頼関係を築いていくことが大切です。
新任校長研修の折にも、話をしたことですが、かつて、教員を指導するときに、「教師の五者」という言葉が使われました。「教師には、学び探究する学者、悩みを診断する医者、未来を示す易者、心を引きつける役者、学びを楽しくする芸者のように、5つの側面がある。」と。今は、それぞれに高いレベルが求められます。校長は、なおさらです。
教育者として、プロとして、いかに、信頼関係を築けるかが、校長としての役割だと思います。
皆さんの学校の子供たちは、どの子も、我が子同様です。
誰一人取り残すことがないよう、できる限りのことを、誠実に対応することを期待しています。
本市では、いじめの積極的な認知を図っています。
9月から、「はままついじめリスクアセスメントアンケート」を導入します。
これは、タブレット端末を使った入力と、支援が必要な児童生徒に、アラートが立つことが特徴です。
現在モデル校で検証を行っていますが、紙媒体よりも回答しやすいためか、リスクアラートが、多い学校で7割、少ない学校でも3割立つそうです。
たくさんアラートが立つことに、「対応しきれない。大変だ。」と思うか、それとも、「こんなに多くの子供が支援を求めていたのか。全職員で、初期のうちに早く対応しよう。」思うのか。御自分の学校の風土は、どちらでしょうか。
昨年度よりお願いしている「いじめ見逃し0」につながる、温かい風土をもった学校であってほしいものです。
「短期的長期的展望を持ち、組織を動かす。」「子供を第一に考え、大切にする。」「どんな小さな表れも見逃さない。」などの風土をつくるのは、校長先生のリーダーシップです。
検証していただいた学校は、すべて後者の反応だったと聞き、ありがたく思いました。引き続き、温かい学校の風土づくりと組織的な対応をお願いします。
なお、このアンケートは、
職員全員が、入力直後から、回答状況を見られる、そうです。
報・連・相が不十分で、担任や部活顧問等が、いじめに関する情報を抱え込んだり、重要な情報が途中で消えてしまったりする課題も減ります。生徒指導でのタブレット端末の有効活用もできます。
データは、アプリ運営会社が保存します。このデータは暗号化されており、個人情報データ管理については心配ありません。
2,214万9千円の新規事業です。9月以降、早めのトライと有効活用をお願いします。

3.これからの「はままつの教育」

さて、今年度から「第4次浜松市教育総合計画策定委員会」がスタートします。現在、担当が、検討に必要なデータを準備しています。
そのデータを、少し紹介します。
まずは、令和10年度の児童生徒数の推計値です。
平成30年度、5年前の児童生徒数を100としたとき、5年後の令和10年度に、児童生徒数が75%を下回る区が2つあります。
それはどこだと思いますか。天竜区と西区です。
減少が最も緩やかな中区でも、10%減少します。
児童生徒数の著しい減少は、本市全体の問題であり、ずっと先の話でもないことが分かります。
第4次教育総合計画は、令和7年度からの10年計画ですから、私たちは、児童生徒数の減少と向き合わなければなりません。
次に、保護者、市民の意識です。
今後の浜松の教育に重要だと考える取組のうち、もっとも高いのは、「確かな学力の育成」で約6割、次いで「夢と希望をもって自分らしく学んでいくことができるキャリア教育の充実」が約5割です。
今後、浜松市が取り組む教育施策で重要だと思うものは、「心を育む道徳教育や多様性を認める人権教育」と「理解や興味が深まる授業の実施」で、どちらも4割強となっています。
はままつの子供にとって課題だと思う点は、大人が「ルールやモラルを守る規範意識」だと思うのに対し、若者は「いじめ問題」と回答しています。
そして私は、第4次教育総合計画に向けて大切にしてほしい視点を、教育委員会事務局に6点伝えました。
1.子供を第一に考えること
2.先を見通すこと
3.子供の「生きる力」を育むこと
4.ICTの可能性を追求すること
5.人材を育成すること
6.浜松市の特色を生かすこと
です。
本市は、国土縮図型都市であり、多様な外国人児童生徒、不登校児童生徒の増加、発達支援教育のニーズ、いじめ認知件数の増加等から、多様性の尊重と包摂性の実現が求められると思います。
また、これからは、AIに使われる人間ではなく、AIを使いこなす人間でなければならず、子供も教職員も、主体的に学び続け、物事を自分事として捉え、課題の解決や目指す未来の実現に向けて粘り強く取り組む主体性の醸成も必要となります。
そして、令和4年度の「はままつ人づくり未来プラン」の評価・検証では、「先生が自分のよいところを認めてくれると思う子供の割合が、約9割。保護者が学校に相談しやすいと感じている保護者は約7割。」という結果から、人や組織に信頼を置き、協働したり相互に作用したりして、よりよい関係性を今後一層、構築していくことが大切であると思います。
まだまだ、第4次に向けては、今後、いろいろと協議を交わしながら、本市らしい計画を作成していきたいと思います。

4.学び続ける教師を支える校長としての役割

最後に「学び続ける教師を支えるために校長先生方にお願いしたいこと」をお話します。
1つ目は、「主体的な姿勢で学び続ける」教師を支えるために、各校の先生方が、新たな学びに参加しやすくなる資源を獲得できるような環境整備、業務の調整、「協働的な職場づくり」をお願いします。
2つ目は、「個別最適な学びと協働的な学び」のために、特に「協働的な学び」の機会の設定をお願いします。
直近では、夏季休業中の校内研修の充実をよろしくお願いします。
3つ目は、「学びの成果の可視化」です。学校全体の教育力の向上と、協力し合う体制をつくるために、是非、先生方の学びの成果を、先生同士が共有できる機会を作ってください。小グループで行った研修の成果を、タブレット端末を活用して共有している学校の事例も聞いています。様々な工夫をお願いします。
4つ目は、「育てる」という視点です。
「この教師をこう育てたい」という校長先生方の思いを実現するには、先生方との「対話」が欠かせません。先生方の意欲を喚起し、適切な成長支援をするために、「対話」による、学びの契機と機会の確実な提供をお願いします。
本日は、管理職登用にかかわる内容が中心となりますが、これからの管理職には、「育てる」ことが、今まで以上に求められます。
評論家の坂東眞理子氏は、「いい人材を育てるには、3つの『き』が必要。
まず『期待する』。それから『機会を与える』。そして『鍛える』。
人というのは、期待されて、機会を与えられて、鍛えられることで育っていく。」と述べています。
近い将来、浜松の教育を担う管理職やミドルリーダーとして活躍する先生方が、浜松市校長育成指標に示したような4つの力を身に付けられるよう、御指導ください。この後、河合次長から詳細があると思いますが、よろしくお願いします。

5.結び

冒頭、「コロナ前の生活が少しずつ戻ってきた」という話をしましたが、その影響が、これから出て来るとの覚悟が必要です。
生徒指導上の課題も増えて来ることでしょう。
その時に忘れないでいただきたいことは、「教育の原点は子供」ということ、そして「誰一人取り残さない」ということです。
「学校に来られない子供」「問題行動を起こす子供」「学力に課題がある子供」「自分の気持ちがコントロールできない子供」等々、様々な子供がいるでしょう。
是非、子供たちの声に、耳を傾け、受け止めてください。そして、何よりも、校長先生方には、適切な決断と行動をしていただきたいと思います。
多くの情報を収集し、断片的な判断や感情論ではなく、長期的な視野に立り、最終的にはこうするという見通しを持った対応をお願いします。
我慢をしなければならない対応を求められることもあるかもしれません。
校長先生方の姿勢や考え方が、学校の風土を決めます。
校長先生方には、「はままつの教育」を支えるリーダーとして、大いに活躍されることを期待しています。
そして、先生方にとっても子供たちにとっても、幸せな夏季休業を迎えていただきたくことをお願いして、本日の話を終わります。

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