緊急情報
ここから本文です。
更新日:2023年2月15日
この監査は、浜松市監査基準(令和2年浜松市監査委員告示第2号)に準拠して実施した。
次のとおりである。
対象とする部 | 対象とする課等 | |
---|---|---|
1 市民部 |
市民生活課 | 市民協働・地域政策課 |
UD・男女共同参画課 | 創造都市・文化振興課 | |
スポーツ振興課 | 美術館 | |
中央図書館 | - | |
2 環境部 | 環境政策課 | 環境保全課 |
ごみ減量推進課 | 廃棄物処理課 | |
南清掃事業所 | 平和清掃事業所 | |
浜北環境事業所 | 天竜環境事業所 | |
産業廃棄物対策課 | - | |
3 都市整備部 | 都市計画課 | 北部都市整備事務所 |
土地政策課 | 交通政策課 | |
市街地整備課 | 建築行政課 | |
住宅課 | 緑政課 | |
動物園 | 公園課 | |
公園管理事務所 | - | |
4 上下水道部 | 上下水道総務課 | お客さまサービス課 |
水道工事課 | 下水道工事課 | |
浄水課 | 下水道施設課 | |
北部上下水道課 | 天竜上下水道課 |
令和4年8月1日から同年11月24日まで
事務の執行及び経営に係る事業の管理について、合規性、正確性、経済性、効率性及び有効性の観点から適正に行われているかを着眼点とし、検証した。
監査手続については、監査対象部局から提出された資料及び諸帳簿等関係書類を抽出調査するとともに、関係職員から説明を聴取し、関係法令等に基づき適正に執行されているかについて監査を行った。
(1) 結果
事務の執行及び経営に係る事業の管理について、令和3年度及び令和4年度に関する収入事務、業務委託契約事務、補助金・負担金等交付事務、減免措置事務及び物品管理事務を主眼に合規性、正確性、経済性、効率性及び有効性の観点から調査した結果、(2)に掲げるものを除き、これらの事務及び事業はおおむね適正に処理されていると認められた。
(2) 指摘
一部において次のとおり是正・改善を要する事項が見受けられたので、所管課は、適切な是正措置を講じられたい。
公園管理事務所
令和3年度都市公園の駐車場占用について
令和3年10月28日から同年12月31日までの間、都市公園の敷地のうち1,160平方メートルを駐車場として占用させる許可及び当該許可に係る使用料を免除する決定を都市公園法及び浜松市都市公園条例の規定に基づき行った。
しかし、これは根拠法令を誤ったもので、地方自治法の行政財産の使用許可によって行うべきものであった。
地方自治法第199条第10項の規定に基づき、監査の結果に関する報告に添えて、意見を次のとおり提出する。
(1) 市民部
市民生活課は、所有者による空家等の自主的な除却を促進することを目的として、令和2年度に浜松市空家等除却促進事業費補助金を創設した。令和3年度は、交付申請が年間上限の20件を超えたため抽選を行ったが、他都市においては、補助対象を危険度が高い特定空家等に限定している例もある。市民生活課は、補助制度創設後3年が経過するなか、補助制度が適切であったか等について検証を行い、市民の生命に関わる特に危険な空家等の除去について速やかに措置が行えるよう必要な検討をされたい。
また、現状では、空家等の解体により住宅用地に対する固定資産税軽減の特例措置の適用を受けられなくなることから、売買や活用の予定がない場合に申請をためらう事例が見受けられる。こうした税制上の課題等については、国等の制度改正の動きについて注視するとともに、必要に応じ他自治体等とともに意見を述べるなど、調査、研究されたい。
併せて、個人の資産に係る問題に行政が関与する所有者不明土地対策、ごみ屋敷対策は、民法、行政代執行などの知識とノウハウ、不動産に関わる公民の連携など、多くの点で空家等対策と共通点を有する。市民生活課は、空家等対策のみならず、これら関連施策も含めた業務の執行体制と福祉、環境などを含む関係各課の連携が最適なものとなるよう、改めて検討されたい。
創造都市・文化振興課は、「創造都市・浜松」推進のための基本方針等に基づき、「創造都市・浜松」の実現に取り組むための各種事業を、公益財団法人浜松市文化振興財団(以下「財団」という。)に業務委託し、又は財団との共催により実施している。
市では、地域の市民活動団体を支援する浜松版アーツカウンシル事業などを通じて、ものづくり、音楽、芸術、文化などの創造的な活動の推進に取り組んでいる。創造都市・文化振興課は、引き続き関係部署のみならず、関連する団体や地域の人材とも、適切な連携、役割分担のもと、取組を推進されたい。ユネスコ創造都市ネットワークの音楽分野に加盟している本市は、こうした創造都市への活動により、新しい価値や文化、産業の創出につながり、市民の暮らしの質や豊かさを高めることが期待される。
また、市は、財団に対し、その設立以来、指定管理者、受託者、実行委員会による共同実施者として、事業連携を図ってきた。創造都市・文化振興課は、財団設立30周年が近づくなか、市と財団との連携のあり方に関し、委託料、負担金、補助金など、どのような関与の方法が財団の持つ知識、経験とノウハウを最大限に引き出し、かつ市民への説明責任を果たせるものであるか改めて検討を行い、「創造都市・浜松」が、より効果的に推進されるよう取り組まれたい。
スポーツ振興課は、地域で活動する体育振興会等の団体との連携による各種スポーツ大会の開催や地域スポーツの普及活動事業の展開、活動団体への支援を通じて、地域スポーツの普及・振興を図っている。これまでは合併前の旧市町村の方式が踏襲され、事業内容、委託先等に差異があり、所管も本庁と区役所等に分かれていたが、令和4年度からは委託先を公益財団法人浜松市スポーツ協会(以下「スポーツ協会」という。)に一本化し、スポーツ振興課が全市分の委託契約を一括して行うこととしている。
委託契約の見直しを進めていることは公平性、効率性等の観点からは評価できるが、全市統一の委託事業として実施するうえで、各地域間の事業実施の有無、内容、頻度などに関して納得性のある説明が求められる。スポーツ振興課は、見直すにあたり、地域スポーツの普及・振興事業について、関係者の意見、要望を聞きながら、事業目的がより効果的に達成されるよう検討されたい。さらに、体育振興会の活動には差異が大きいことから、実施主体について、体育振興会、自治会等の関係団体との関わりや民間事業者の活用なども含め、地域スポーツの振興のあり方そのものについても検討されたい。
また、市及びスポーツ協会は、体育振興会が行うスポーツ大会参加者等の保険加入状況について十分に把握していない。委託者である市は、参加する市民及び業務従事者が安心して活動を行うことができるよう、スポーツ協会及びその構成員である体育振興会に対し、保険加入を徹底させ、その状況を確認するとともに、事故等に対する市、スポーツ協会、体育振興会等の団体のそれぞれの責任を業務委託契約において明確にするよう検討されたい。
(2) 環境部
特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律では、特定外来生物による生態系等に係る被害の発生を防止するための防除について、国が主な実施主体とされている。また、地方公共団体も、防除を行う際には、防除実施計画書を作成し、主務大臣の確認を受けることができるとされている。
環境政策課では、クリハラリス、アライグマ及びヌートリアに関して防除実施計画を策定し、防除を行っている。これは、これらの生物による生態系、生活環境及び農林業被害への深刻な影響が懸念されることから、市が自ら実施主体となり早期発見、早期防除することにより、低コストで短期間での防除に効果があるとの判断によるものである。
こうしたなか、令和4年5月に同法の一部改正が行われ、日本における定着が既に確認されている特定外来生物による被害防止が、都道府県の責務であることが明確化されるとともに、市町村においては都道府県に準じて行う努力義務とされた。市は、県に対して、これまで以上に主導的な対応を行うよう意見を伝えられたい。
特定外来生物の防除については、対象生物ごとに、その生息状況、被害状況等の実態把握を行ったうえで、できる限り広域的な対策を行うことが重要と考えられる。環境政策課は、法の規定どおりに県が主体となって被害防止のために必要な措置を講ずることを基本に、やむを得ず市が防除を行う場合、計画等で要件、期間等について定めたうえで、関係市町と連携し、本市の農林業部局とも調整を行い、効果的かつ効率的に事務を進められたい。
市は、ごみ減量が必要な理由として「地球環境を守るため」、「現在の最終処分場を長期間使うため」、「将来世代の負担軽減のため」の3つを掲げており、経費の削減を直接の理由とはしていない。
一般廃棄物のごみ処理量は減少傾向にあるものの、減量分がそのまま処理コストの削減にはつながっていない。これは、ごみ処理にかかる人件費や委託料などの固定費が9割以上を占めるため、ごみ減量に応じて削減されるのは残る変動費の一部となるためである。
ごみ減量推進課及び廃棄物処理課は、今後の施設整備に向け、整備費の圧縮はもとより、ごみ減量の効果がごみ処理コストの削減に結びつくような契約方法について検討し、コストのさらなる変動費化に取り組むとともに、ランニングコストに占める割合が最も大きい収集経費を見直すことで、一層のコスト削減に努められたい。また、ごみ処理量や処理コストのシミュレーションを的確に行い、ごみ削減の効果を数値化し、市民へ分かりやすく示すことによりごみ減量の行動につなげられるよう努められたい。
(3) 都市整備部
交通政策課は、存廃を含めた市営駐車場の今後のあり方について市の方向性を決定するため、各種調査を行い、浜松市駐車場経営戦略(以下「経営戦略」という。)を策定しており、現在、次期経営戦略に向け、市営駐車場の収支見込みや役割について改めて総合的な検証を行っている。そのなかで、平成26年度浜松市駐車場経営計画における個別方針において「廃止」とした浜松市新川北駐車場及び「売却」とした浜松市駅北駐車場のいずれについても、「継続」とする方針で検討されていることから、変更理由等、本市が駐車場を経営し続ける必要性について説明責任を果たすことが求められる。
また、駐車場の利用形態は、市営駐車場が有する公共性の観点からは誰もが利用できる時間貸利用を原則としながらも、いわゆる使い放題契約である定期券利用や、指定管理者の提案により立地等を理由として利用頻度が低い駐車場において月極利用の設定も認めている。定期券利用や月極利用によって時間貸利用が妨げられることがないようにするとともに、民業圧迫により民間駐車場の撤退を招いて中心市街地の駐車場供給がひっ迫することがないよう、市営駐車場の利用状況や料金設定の適正性について定期的な検証が望まれる。
市営駐車場は、これまで中心市街地における駐車場需要に対応するとともに、商業・オフィス進出の活性化や道路交通の円滑化に資するものとして整備されてきた。近年は少子高齢化や自動車利用の意識の変化等も相まって全国的には自動車の保有台数の伸びが鈍化する一方、駐車場の過剰な供給が、まちの魅力の低下や市街地への投資減退を引き起こす等、駐車場施策は転換期を迎えている。交通政策課は、市内の公共交通機関の利用促進施策や渋滞対策など総合的な交通施策の観点から、民間事業者の動向も踏まえ、存廃を含めた市営駐車場の今後のあり方について、引き続き検討されたい。
建築行政課では、がけ地の危険住宅を除却し、移転する費用の一部を補助する、がけ地近接等危険住宅移転事業を実施している。本事業は、工事の実施により多くの時間と予算を要する急傾斜地崩壊対策事業に比べ、経済的な事業であるが、平成24年度から申請実績がない状況が続いている。要因として、事業が周知されていないことに加え、申請の際に測量士等による測量図や設計図の作成が必要なこと、多額の自己負担が必要となること等の課題が制度利用の障壁となっていることが考えられる。
自然災害が多発するなか、危険区域等に居住する市民の生命を守るため、建築行政課は、申請手続の簡略化を図ることはもとより、関係部局と連携し、より効率的な執行体制を構築するとともに、自己負担の軽減につながる公営住宅の活用など移転先の選択肢の拡大等についても検討を進められたい。
動物園は、平成28年に浜松市動物園再生基本計画(以下「基本計画」という。)を策定し、運営の改善に向けての取組、飼育と展示のあり方及び施設整備の方針を定め、浜松市動物園の再生に取り組んでいる。基本計画では、早急な実施を目指す「イマスグPJ(プロジェクト)」とおおむね10年での実施を目指す「チャレンジPJ」の区分を設けているものの、計画期間自体の定めがない。さらにハード整備の進捗率が低いとの自己評価をしているにもかかわらず、年度単位での具体的なスケジュール等に関する記述がない。
また、近年、動物を苦痛やストレスの少ない環境や方法で飼育する動物福祉が大きく注目されるなか、本市においても設備、飼育頭数等において、新たな対応が求められている。
動物園は、動物福祉への対応を含めた公立動物園としての今後のあり方を明確にし、施設整備や動物購入等に係る予算規模とスケジュールが明らかとなるよう、基本計画の見直し等を検討されたい。なお、見直しに当たっては、浜松市動物園の効果的な運営及び魅力向上に資するため、来園者の年齢、市内・市外など居住地等の属性情報について把握、分析し、その活用を図られたい。
公園管理事務所は、令和3年10月28日から同年12月31日までの間、誤った根拠法令に基づく占用許可に係る使用料減免決定により、都市公園の敷地の一部を駐車場として占用させ、その使用料を全額免除した。
当該使用料減免決定は、あらかじめ定めている減免基準に該当する項目はないものの、減免する特別の理由があると認めて行われたものであるが、関係部局との協議を行うなど十分な検討のうえで行われたものではない。また、当該占用許可及び当該使用料減免決定に係る決裁において、浜松市専決規程に規定する専決者による決裁及び指定合議が行われていないほか、決裁文書に根拠条文及び決定理由が明記されていない。
使用料の減免については、受益者負担の原則及び公平性の観点から、より慎重な判断が求められる。公園管理事務所は、当該占用許可及び当該使用料減免決定について是正措置を講じる場合を含め、特別の理由があると認めて使用料を減免しようとする場合には、減免する公益上の必要性や本市の他の施策との関連等について関係部局と協議するなど、慎重かつ十分な検討を行ったうえで判断をされたい。また、適法かつ適正な事務の執行を担保するため、浜松市専決規程に規定する専決者による決裁及び指定合議が正しく行われるようにするとともに、根拠条文及び決定理由を決裁文書に明記するよう事務を見直されたい。
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください