更新日:2024年2月16日
定期監査(学校監査)・行政監査結果に関する報告(令和6年2月16日)
第1 監査の基準
この監査は、浜松市監査基準(令和2年浜松市監査委員告示第2号)に準拠して実施した。
第2 監査の対象
次のとおりである。
対象とする部等 |
対象とする学校 |
教育委員会
|
広沢小学校 |
与進小学校 |
花川小学校 |
泉小学校 |
中郡小学校 |
初生小学校 |
西都台小学校 |
可美小学校 |
赤佐小学校 |
二俣小学校 |
井伊谷小学校 |
平山小学校 |
尾奈小学校 |
双葉小学校 |
引佐北部小学校 |
庄内小学校 |
南部中学校 |
北部中学校 |
新津中学校 |
積志中学校 |
篠原中学校 |
庄内中学校 |
細江中学校 |
引佐北部中学校 |
第3 監査の期間
令和5年8月1日から令和5年11月22日まで
第4 監査の着眼点及び実施内容
監査の対象として抽出した小学校16校、中学校8校の主要歳出予算及び教職員が関与する学年会計等の私費会計に係る事務の執行について、合規性、正確性、経済性、効率性及び有効性の観点から適正に行われているかを着眼点とし、検証した。
監査手続については、監査対象部局から提出された資料及び諸帳簿等関係書類を抽出調査するとともに、関係職員から説明を聴取し、関係法令等に基づき適正に執行されているかについて監査を行った。
第5 監査の結果等
1 監査の結果
(1) 結果
学校の事務の執行について、令和4年度に関する学年会計等の私費会計等の事務を主眼に合規性、正確性、経済性、効率性及び有効性の観点から調査した結果、(2)に掲げるものを除き、これらの事務はおおむね適正に処理されていると認められた。
(2) 指摘
一部において次のとおり是正・改善を要する事項が見受けられたので、所管課は、適切な是正措置を講じられたい。
- ア 教育施設課、広沢小学校、花川小学校、泉小学校、中郡小学校、二俣小学校、井伊谷小学校、尾奈小学校、積志中学校、篠原中学校
- 学校敷地の一部占用に係る行政財産使用許可について
利用団体による器具庫等設置のための学校敷地の一部占用について、浜松市公有財産管理規則に規定する行政財産使用許可申請書を提出させておらず、許可手続を行っていない。
- イ 教育施設課、中郡小学校、西都台小学校
- 学校施設の一部占用に係る行政財産使用許可について
利用団体による私物保管のための学校施設の一部占用について、浜松市公有財産管理規則に規定する行政財産使用許可申請書を提出させておらず、許可手続を行っていない。
2 監査の結果に基づく意見
地方自治法第199条第10項の規定に基づき、監査の結果に関する報告に添えて、意見を次のとおり提出する。
教育委員会
(1) 教職員課
学校管理運営システムによる教職員の出退勤管理について
【現状及び課題】
- 労働安全衛生法等の改正により、平成31年1月、国から「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」が示され、教職員の在校時間について、ICTの活用やタイムカード等による客観的な計測が求められることとなった。これを受け、本市では、令和元年12月から、学校管理運営システムにおいて出退勤管理機能が導入され、教職員の時間外在校等時間※を把握することとなった。
- 教育委員会は、令和2年3月に「学校における働き方改革のための業務改善方針」を策定し、令和6年度末までに時間外在校等時間を「原則月45時間以内、年360時間以内」に削減することを目標としている。
- これまで、組織や時間管理等のマネジメント研修の実施や勤務時間を意識した登下校、部活動の時間設定など、教職員の時間外在校等時間の削減に向けた各種取組の推進により、タイムマネジメントを意識した働き方への意識が高まり、教職員の時間外在校等時間は減少傾向にある。しかし、令和4年度において、目標値である「年360時間以内」を超えた教職員の割合は、小学校においては66.5%、中学校においては76.0%と依然として高い水準にあり、令和6年度末までの目標値の達成は多くの学校で困難と想定されている。
- 教育委員会は、小中学校の教員の業務を可視化・分析することで改善が必要な業務を把握し、デジタル化による業務改善を進めるため、令和4年度に、民間事業者との連携協定により、業務量調査の結果を生かしたデジタル化による業務改善策の効果検証を行った。
- 現行システムには、教育委員会や学校間でのグループウェア機能や教職員の出退勤時刻の管理機能はあるものの、服務管理の機能が無いことから、教職員の休暇申請、出勤簿への記録などを依然として紙媒体で行っており、事務処理が煩雑で、非効率となっている。
※時間外在校等時間…教職員が校内に在校している時間及び校外での勤務時間を合算し、そこから休憩時間、自己研さんの時間等を除いたもの。
【意見】
- 教育委員会が策定した「学校における働き方改革のための業務改善方針」に基づく、時間外在校等時間削減のための各種取組の推進により、時間外在校等時間は減少傾向にある。しかし、学習指導に加え、時間外における生徒指導や保護者対応、部活動などにより、依然として時間外在校等時間は高い水準にあり、令和6年度末までの目標値である「原則月45時間以内、年360時間以内」は、多くの学校で達成困難な状況にある。教職員課は、時間外在校等時間の削減に向け、これまでの取組に加え、令和4年度に実施した民間事業者との連携協定による業務量調査の結果を生かして行った、デジタル化による業務改善策の効果検証の成果も活用し、より一層の取組を推進されたい。
- 学校では、休暇申請、出勤簿への記録などの服務管理が依然として紙媒体により行われているが、学校服務管理のデジタル化は、業務効率の向上、情報共有の円滑化などメリットが多い。教職員課は、デジタル・スマートシティ推進部と連携し、学校服務管理のデジタル化等により、効率的な事務処理が可能となるよう、早急に検討を進められたい。
(2) 健康安全課
豪雨時における学校の災害対応及び非常食、飲料水の備蓄について
【現状及び課題】
- 近年、台風など予測可能な風水害に加え、局地的豪雨など事前の予測が困難な風水害が頻発していることから、児童生徒が在校中に災害対応が必要とされるケースが増えている。
- 令和4年9月及び令和5年6月の豪雨において、避難指示や緊急安全確保が発令された際、保護者の帰宅状況が確認されないまま、集団下校や児童生徒の引渡し等を行った学校が見られた。
- 健康安全課は、災害発生時に学校の危機管理が有効に機能するよう「浜松市立小中学校・幼稚園 防災対策基準」を学校に示しており、各学校は、この基準をひな型とし、学校が所在する地域の災害特性等の情報を加え、学校の危機管理マニュアルを作成・更新している。
- 危機管理マニュアルにおいて、災害時対応に係る一定の基準はあるものの、最終的な対応は、学校の実情に応じた学校長の判断に委ねられている。そのため、結果として、児童生徒にとって自宅と学校のどちらが安全なのかが判断されたうえでの対応とはならない場合もある。
- 地域の避難所となっている学校には、本市の危機管理課が配備した非常食、飲料水等が備蓄されている一方で、これとは別に、独自に児童生徒用の非常食等を備蓄している学校もある。健康安全課は、学校が行う児童生徒用の非常食等の備蓄について、防災対策基準や通知等において一定の方針を示しておらず、学校の実情に応じて配備するとしているため、各学校における配備の考え方は様々な状況である。
- 学校が行う児童生徒用の非常食等の備蓄に関する基準がないことについては、学校が、災害時に迅速に児童生徒の下校や保護者への引渡しにより帰宅させることを前提としていたことによるものとも考えられる。
【意見】
- 市内の各学校においては、健康安全課が作成した防災対策基準を基に、地域の災害特性等を加味した危機管理マニュアルを作成、運用している。災害時に、情報把握が困難な中で児童生徒の下校のタイミング等について適時・適切な判断を行うという重い責務を校長が負う中で、通学路や自宅の災害リスクの把握、災害特性に応じた留め置き対象者の事前把握などにおいて学校間でばらつきが見られた。
- また、児童生徒の引渡し時に学校周辺に交通渋滞が起きた例や、安全確保のため教職員を通学路に立たせた例など、保護者、教職員のリスク及び負担も課題となっている。
- 健康安全課は、共働き世帯、ひとり親世帯が増える中、児童生徒の安全が確保できない場合における学校への留め置きについて防災対策基準の改正等の検討を行い、児童生徒のみならず、教職員、保護者等の安全確保にも努められたい。
- 児童生徒を留め置く場合には、非常食、飲料水等の備蓄品が必要となる。現在、地域等の協力により備蓄品を配置している独自の取組も見られるが、全市的な取組としていく場合には、健康安全課が一定の配備方針を示していく必要がある。備蓄品の配備においては、避難所用備蓄品の活用も視野に入れながら適正な量や内容を示すとともに、経費の負担者、配備方法等を検討されたい。
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