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更新日:2022年9月14日

令和3年度 浜松市一般会計及び特別会計歳入歳出決算の審査意見1

第1 審査の基準

この審査は、浜松市監査基準(令和2年浜松市監査委員告示第2号)に準拠して実施した。

第2 審査の対象

  • 令和3年度浜松市一般会計歳入歳出決算
  • 令和3年度浜松市国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算
  • 令和3年度浜松市母子父子寡婦福祉資金貸付事業特別会計歳入歳出決算
  • 令和3年度浜松市介護保険事業特別会計歳入歳出決算
  • 令和3年度浜松市後期高齢者医療事業特別会計歳入歳出決算
  • 令和3年度浜松市と畜場・市場事業特別会計歳入歳出決算
  • 令和3年度浜松市農業集落排水事業特別会計歳入歳出決算
  • 令和3年度浜松市中央卸売市場事業特別会計歳入歳出決算
  • 令和3年度浜松市公共用地取得事業特別会計歳入歳出決算
  • 令和3年度浜松市育英事業特別会計歳入歳出決算
  • 令和3年度浜松市学童等災害共済事業特別会計歳入歳出決算
  • 令和3年度浜松市小型自動車競走事業特別会計歳入歳出決算
  • 令和3年度浜松市駐車場事業特別会計歳入歳出決算
  • 令和3年度浜松市公債管理特別会計歳入歳出決算

上記決算に関する証書類、歳入歳出決算事項別明細書、実質収支に関する調書及び財産に関する調書

第3 審査の期間

令和4年7月1日から同年8月19日まで

第4 審査の着眼点及び実施内容

主に以下の点を着眼点とし、検証した。

  • 審査に付された決算書その他関係書類が適正に作成されているか
  • 決算書類に記載された計数は正確であるか
  • 歳入歳出予算は適正に執行されているか

審査手続については、試査を基礎として行い、会計管理者が所管する諸帳簿と照合し、計数の確認のほか、関係職員から説明を聴取し、予算の執行状況等について審査を行った。

第5 審査の結果

1 審査結果

審査に付された各会計歳入歳出決算書、同事項別明細書、実質収支に関する調書及び財産に関する調書は法令に適合し、かつ、その計数はいずれも正確で、歳入歳出予算の執行はおおむね適正であると認められた。

2 予算の概要

(1) 予算の編成方針等

3年度当初予算は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止と社会経済活動の両立を図りながら、将来に向けた規律ある財政を堅持し、より一層の歳入確保を徹底するとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるよう、以下の考えのもと、歳出の重点化及び事業の廃止、見直し、合理化、効率化によるメリハリを効かせた予算として編成された。

  • 都市の将来像である「市民協働で築く『未来へかがやく創造都市・浜松』」、未来の理想の姿「1ダースの未来」の実現に向け、総合戦略に掲げた諸施策を着実に推進する。
  • 「デジタルファースト宣言」に基づくデジタル化の推進の観点や、「戦略計画2021の基本方針」の重点化テーマ「デュアルモード社会※の構築で未来を“かたち”に」を実現するため、「若者がチャレンジできるまち」、「子育て世代を全力で応援するまち」、「持続可能で創造性あふれるまち」の「3つのまち」を創る施策に重点を置く。
  • 中期財政計画に基づき、持続可能な財政運営に向け、歳入確保を徹底するとともに、各政策・事業、事務事業においても前例にとらわれることなく、廃止、見直し、選択と集中による歳出の重点化を図る。

その後、5月補正予算では、新型コロナウイルス感染症への対応として、低所得のひとり親世帯や、クラスターが発生した二次救急医療機関に対する支援、消費喚起策を通じた経済対策に要する経費、9月補正予算では、新型コロナウイルスワクチン接種の実施体制の整備、低所得の子育て世帯に対する生活支援特別給付金の支給に要する経費、11月補正予算では、ワクチンの3回目接種にかかる実施体制の整備や、市内スタートアップに対する支援に要する経費、令和4年2月補正予算では、国の3年度補正予算(第1号)への対応として防災・減災、国土強靱化や、新型コロナウイルス感染症対策に要する経費のほか、市有施設の維持管理や施設整備に要する経費等が追加された。

デュアルモード社会:経済活動を優先した「経済モード」と、パンデミック襲来等の緊急時には市民の健康と安全を最優先にする「安全モード」の「2つのモード」をあらかじめ備え、社会状態に合わせて混乱なく円滑に切り替えることができる体制のこと

 

(2) 歳入歳出予算額

歳入歳出当初予算額は、一般会計が3,501億円、特別会計が2,209億9,750万円で、これに補正予算額及び前年度繰越額を合わせた予算現額は、一般会計が4,201億2,951万円、特別会計が2,234億5,220万円となっている。

3 決算の概要

(1) 決算規模

総計決算額

(単位 金額:千円、比率:%)

区分 3年度 2年度 増減額 対前年度比
歳入総計決算額  619,844,816 669,936,040 △ 50,091,224 92.5
歳出総計決算額 602,422,051 654,387,576 △ 51,965,525 92.1

(注)本表に関する詳細は27ページ参照

3年度の決算規模は、一般会計、特別会計を合わせた総額で、歳入は6,198億4,481万円、歳出は6,024億2,205万円で、2年度に比べて、歳入が500億9,122万円(7.5%)、歳出が519億6,552万円(7.9%)それぞれ減少している。

(2) 一般会計

一般会計の決算収支状況

(単位 金額:千円、比率:%)

区分 3年度 2年度 増減額 対前年度比
歳入決算額 (A) 394,573,134 451,395,212 △ 56,822,078 87.4
歳出決算額 (B) 383,395,923 440,520,332 △ 57,124,409 87.0
歳入歳出差引額
〔形式収支〕(A)-(B)
(C) 11,177,210 10,874,880 302,330 102.8
翌年度へ繰り越すべき財源 (D) 4,040,032 4,463,416 △ 423,384 90.5
実質収支 (C)-(D) (E) 7,137,178 6,411,463 725,715 111.3
単年度収支 (F) 725,715 522,997 202,718 138.8
積立金 (G) 3,715,066 3,020,715 694,350 123.0
繰上償還金 (H) 0 0 0 -
積立金取崩し額 (I) 0 3,800,000 △ 3,800,000 0.0
実質単年度収支 (F)+(G)+(H)-(I) 4,440,782 △ 256,286 4,697,069 -

(注)本表に関する詳細及び注記は36ページ参照

一般会計における決算収支は、形式収支111億7,721万円、実質収支71億3,717万円、単年度収支7億2,571万円、実質単年度収支44億4,078万円のいずれも黒字となっている。
歳入決算額は3,945億7,313万円で、2年度に比べて、568億2,207万円(12.6%) 減少している。
歳出決算額は、3,833億9,592万円で、2年度に比べて、571億2,440万円(13.0%)減少している。

(3) 特別会計

特別会計の決算収支状況

(単位 金額:千円、比率:%)

区分 3年度 2年度 増減額 対前年度比
歳入決算額 (A) 225,271,682 218,540,828 6,730,854 103.1
歳出決算額 (B) 219,026,127 213,867,243 5,158,884 102.4
歳入歳出差引額
〔形式収支〕(A)-(B)
(C) 6,245,554 4,673,584 1,571,970 133.6
翌年度へ繰り越すべき財源 (D) 0 0 0 -
実質収支 (C)-(D) 6,245,554 4,673,584 1,571,970 133.6
単年度収支 1,571,970 1,254,144 317,825 125.3

(注)本表に関する詳細及び注記は64ページ参照

特別会計の歳入決算額は2,252億7,168万円、歳出決算額は2,190億2,612万円で、形式収支、実質収支ともに62億4,555万円、単年度収支15億7,197万円の黒字となっている。

(4) 普通会計

普通会計の決算収支状況

(単位 金額:千円、比率:%)

区分 3年度 2年度 増減額 対前年度比
歳入決算額 (A) 394,601,514 451,429,045 △ 56,827,531 87.4
歳出決算額 (B) 383,252,465 440,426,166 △ 57,173,701 87.0
歳入歳出差引額
〔形式収支〕(A)-(B)
(C) 11,349,049 11,002,879 346,170 103.1
翌年度へ繰り越すべき財源 (D) 4,115,682 4,522,624 △ 406,942 91.0
実質収支 (C)-(D) (E) 7,233,367 6,480,255 753,112 111.6
単年度収支 (F) 753,112 540,996 212,116 139.2
積立金 (G) 3,715,067 3,020,716 694,351 123.0
繰上償還金 (H) 0 0 0 -
積立金取崩し額 (I) 0 3,800,000 △ 3,800,000 0.0
実質単年度収支 (F)+(G)+(H)-(I) 4,468,179 △ 238,288 4,706,467 -

(注)本表に関する詳細及び注記は31ページ参照

普通会計※における決算収支は、形式収支113億4,904万円、実質収支72億3,336万円、単年度収支7億5,311万円、実質単年度収支44億6,817万円の黒字となっている。

普通会計:一般会計など各会計の範囲が地方公共団体ごとに異なるので、財政比較などをするために統一的に用いられる会計で、総務省が地方財政状況調査のため定めた基準によりまとめたもの。本市の場合は、一般会計と特別会計の一部(母子父子寡婦福祉資金貸付事業特別会計、公共用地取得事業特別会計、育英事業特別会計、学童等災害共済事業特別会計及び公債管理特別会計)が含まれる。
なお、普通会計の数値は、各会計間の繰入れ、繰出しによる重複額等を控除した純計で算出している。

4 審査意見

総括

3年度は、2年度に引き続き、規模において新型コロナウイルス感染症の影響が色濃く表れた決算となった。その額(一般会計・歳出決算額)は、2年度に比べると大きく減少したものの、コロナ禍前の元年度より336億円多くなっている。また、通常年と比べ決算規模が増大したことに加え、新型コロナウイルス感染症対策における国の地方支援の手法についても、2年度に引き続き国庫支出金を中心になされたものの、地方交付税法の一部改正に伴い普通交付税が再算定され、国の補正予算により大幅な増額が行われるなど、質においても異例なものとなった。これらにより、決算収支と財政指標の経年比較を行うことが困難となっている。
一般会計決算における実質収支は71億3,717万円、単年度収支は7億2,571万円の黒字となり、また、2年度に比べて積立金が6億9,435万円増加し、取崩しを行わなかったことから、実質単年度収支も44億4,078万円の黒字となった。
歳入は、主として国・県支出金の減少により3,945億7,313万円となり、2年度に比べて、568億2,207万円(12.6%)減少したが、これは、主に2年度に国の新型コロナウイルス感染症緊急経済対策として実施された特別定額給付金の皆減が大きく影響したものである。
歳入の根幹となる市税収入においては、新型コロナウイルス感染症による特例として家屋及び償却資産に係る課税標準が軽減されたことや、評価替えによる既存家屋の減価に伴う固定資産税の減少、また、令和2年中における給与収入の減に伴う個人市民税の減少等により1,450億115万円となり、2年度に比べて、31億7,679万円(2.1%)減少する結果となった。
歳出は、歳入と同様、特別定額給付金支給事業の皆減に伴う民生費の減少等により3,833億9,592万円となり、2年度に比べて、571億2,440万円(13.0%)減少する結果となった。
特別会計決算における実質収支は62億4,555万円、単年度収支は15億7,197万円の黒字となっている。
歳入は、国民健康保険事業等の増加により2,252億7,168万円となり、2年度に比べて、67億3,085万円(3.1%)増加する結果となった。歳出は、国民健康保険給付費等の増加により2,190億2,612万円となり、2年度に比べて、51億5,888万円(2.4%)増加する結果となった。
普通会計決算における財政指標については、経常一般財源比率、経常収支比率及び実質収支比率は改善したものの、財政力指数は悪化した。しかし、冒頭で述べた国の対応により、普通交付税の算定基礎となる基準財政需要額が臨時に大幅に増加したため、これらの数値は単純に前年度比較できないことに注意が必要である。また、28年度に導入された新公会計制度により把握できるようになった有形固定資産減価償却率※が年々上昇を続けている。これは、平成17年の合併により建物、インフラ等多くの資産を所有することになった本市が、全国に先駆けてアセットマネジメント施策を講じながらも、なお資産の老朽化が進んでいることを示している。膨大な資産が将来の負担をもたらす予兆を示す本指標については、細かな分析が必要であるが、引き続き注視する必要がある。
今後も、新清掃工場や新病院等の大規模な公共建築物の建設及び道路、橋りょう等の既存の社会資本の更新、長寿命化のための経費や、高齢化の進行による扶助費の増加等により、引き続き厳しい財政運営が予想されるところである。
市は、このような状況下においても、変化し続ける社会経済情勢や多様な行政課題に対し、「サステナブル(持続可能)な地域社会の創造」を重点化テーマに掲げた戦略計画2022の基本方針に則り、デュアルモード社会への取組やデジタル化の推進等に対しても、迅速かつ的確に対応し、また、将来にわたる安定した財政運営に向け、歳入確保を徹底するとともに、事業の見直しや選択と集中による歳出の重点化についても一層の強化が求められる。
以上の点を踏まえ、次の項目に留意し、継続的な改善と財政運営に取り組まれたい。

有形固定資産減価償却率:有形固定資産のうち建物などの償却資産について、耐用年数に対して資産の取得からの経過度合いを表す指標。比率が高いほど施設の減価償却が進んでいる。市では、28年度の64.5%から、2年度は68.2%まで上昇している。詳細は153ページ参照。

 

(1) 健全な財政運営の推進

 

【現状及び課題】

ア 普通会計における財政状況

  • 歳入は、地方交付税104億7,192万円(42.6%)が増加したものの、国・県支出金562億3,462万円(32.6%)の減及び市税31億7,679万円(2.1%)の減により、2年度に比べて、568億2,753万円(12.6%)減少した。
  • 歳出は、国の新型コロナウイルス感染症緊急経済対策として実施した特別定額給付金の支給に係る補助費等の減により、2年度に比べて、571億7,370万円(13.0%)減少した。
  • 性質別歳出のうち義務的経費は、2年度に比べて、197億5,677万円(10.2%)増加した。主として扶助費197億6,929万円(25.8%)の増加によるものである。
  • 投資的経費は483億1,172万円で、2年度に比べて、102億6,903万円(17.5%)減少した。これは災害復旧事業費3億4,575万円(16.3%)が増加したものの、普通建設事業費106億1,478万円(18.8%)の減少によるものである。
  • その他の経費は1,207億8,990万円で、2年度に比べて、666億6,144万円(35.6%)減少した。これは、主として物件費83億6,861万円(19.2%)及び積立金60億5,075万円(79.1%)が増加したものの、補助費等813億1,222万円(78.8%)の減少によるものである。

普通会計における財政状況

(単位 金額:千円、比率:%)

区分 3年度(A) 2年度(B) 前年度との比較増減
(A)-(B)
対前年度比
(A)/(B)
歳入 394,601,514 451,429,045 △ 56,827,531 87.4

市税

145,001,157 148,177,952 △ 3,176,795 97.9

地方消費税交付金

19,458,501 17,852,882 1,605,619 109.0

地方交付税

35,026,248 24,554,326 10,471,922 142.6

国・県支出金

116,367,179 172,601,808 △ 56,234,629 67.4

繰入金

3,549,129 10,248,178 △ 6,699,049 34.6

繰越金

10,986,714 9,737,381 1,249,333 112.8

市債

29,461,800 38,869,400 △ 9,407,600 75.8

その他

34,750,786 29,387,118 5,363,668 118.3
歳出(性質別) 383,252,465 440,426,166 △ 57,173,701 87.0

義務的経費

214,150,838 194,394,064 19,756,774 110.2

人件費

79,224,912 80,105,738 △ 880,826 98.9

扶助費

96,461,901 76,692,605 19,769,296 125.8

公債費

38,464,025 37,595,721 868,304 102.3

投資的経費

48,311,727 58,580,760 △ 10,269,033 82.5

普通建設事業費

45,842,169 56,456,955 △ 10,614,786 81.2

災害復旧事業費

2,469,558 2,123,805 345,753 116.3

その他の経費

120,789,900 187,451,342 △ 66,661,442 64.4

物件費

52,016,874 43,648,259 8,368,615 119.2

維持補修費

6,908,169 6,903,943 4,226 100.1

補助費等

21,873,789 103,186,015 △ 81,312,226 21.2

積立金

13,703,470 7,652,711 6,050,759 179.1

繰出金

25,101,937 24,818,132 283,805 101.1

その他

1,185,661 1,242,282 △ 56,621 95.4

(注)千円未満を四捨五入して表示した。

イ 財政指標等による分析

(ア) 財政指標

  • 普通会計における財政指標は、前年度比較による評価は困難であるが、2年度に比べて、歳入構造の弾力性の指標である経常一般財源比率が0.8ポイント、財源構造の弾力性の指標である経常収支比率が4.4ポイント、財政運営の健全性を示す指数である実質収支比率が0.2ポイント改善したものの、財政力を把握する指標である財政力指数は0.023ポイント悪化している。

財政指標の状況

(単位 比率:%、比較増減:ポイント)

区分 3年度(A) 2年度(B) 前年度との比較増減
(A)-(B)
財政力指数 0.845 0.868 △ 0.023
経常一般財源比率 91.8 91.0 0.8
経常収支比率 88.1 92.5 △ 4.4
実質収支比率 3.2 3.0 0.2

(注)詳細は32ページ及び33ページ参照

(イ) 健全化判断比率

  • 実質収支及び連結実質収支は黒字である。
  • 実質公債費比率※1は、元利償還金の減や標準財政規模の増等により改善している。
  • 将来負担比率※2は、充当可能財源等が将来負担額を上回っている。
  • これらの健全化判断比率の全てについて、早期健全化基準及び財政再生基準をいずれも下回っている。
※1  実質公債費比率……一般会計等が負担する元利償還金及び準元利償還金の標準財政規模を基本とした額に対する比率の3か年平均
※2  将来負担比率………地方公社や損失補償を行っている出資法人等に係るものも含め、一般会計等が将来負担すべき実質的な負債の標準財政規模を基本とした額に対する比率

 

健全化判断比率

 

(単位:%)

区分 3年度 2年度 早期健全化基準 財政再生基準
実質赤字比率 ※1 - - 11.25 20.00
連結実質赤字比率 ※2 - - 16.25 30.00
実質公債費比率 4.8 5.1 25.0 35.0
将来負担比率 - - 400.0 -

(注) 健全化判断比率に関する詳細は別冊「浜松市財政健全化及び経営健全化審査意見書」参照

※1  実質赤字比率………一般会計等を対象とした実質赤字額の標準財政規模(地方公共団体の標準的な状態で通常収入されるであろう一般財源の規模を示すもの)に対する比率
※2  連結実質赤字比率…公営企業会計を含む全会計を対象とした実質赤字額又は資金の不足額の標準財政規模に対する比率

 

ウ 市債の状況

 

  • 3年度においてもプライマリーバランスは維持された。
  • 3年度末における総市債残高は4,317億5,199万円で、2年度に比べて、125億6,439万円(2.8%)減少している。また、中期財政計画(27年度~6年度)の3年度末計画値4,646億円に比べて、328億4,800万円下回っている。市民一人当たりの市債残高も54.4万円で、中期財政計画の計画値である58.5万円以下を達成している。

総市債残高

(単位:千円)

区分 3年度(A) 2年度(B) 前年度との比較増減
(A)-(B)
前年度末総市債残高 (a) 444,316,390 448,362,756 △ 4,046,365
借入額 (b) 46,142,300 53,463,100 △ 7,320,800
元金償還額 (c) 58,706,699 57,509,465 1,197,234
年度末残高 (a)+(b)-(c) 431,751,990 444,316,390 △ 12,564,399
元金償還額ー借入額 (c)-(b) 12,564,399 4,046,365 8,518,034
(注) 年度末総市債残高は、満期時に一括して償還する市場公募債の償還準備のために行う減債基金への積立金を償還したものとみなしている。

 

市民一人当たり市債残高

 

(単位 金額:千円、人口:人)

区分 3年度(A) 3年度末
中期財政計画(B)
中期財政計画との比較増減
(A)-(B)
年度末市債残高 (a) 431,751,990 464,600,000 △ 32,848,009
人口 (b) 793,606 793,557 49
市民一人当たり市債残高 (a)/(b) 544 585 △ 41

【意見】

  • 3年度末の総市債残高は4,317億5,199万円、市民一人当たり市債残高は54.4万円で、ともに中期財政計画の計画値4,646億円、58.5万円以下を達成しており、堅実な財政運営を行っていることは評価できる。
  • 本市のデジタルファースト宣言を踏まえ、3年度当初予算編成において、各課のデジタル経費を見える化し、査定に活用するなど、新たな取組を始めたことは評価できる。今後も、国のデジタル施策の動向を踏まえつつ、市民生活の利便性向上のため、より多くの効果を生み出し続けることができるよう効果的な予算編成に取り組むとともに、市全体で統一感を持ってデジタル化を推進されたい。
  • 建物やインフラの老朽化が課題となるなか、本市の有形固定資産減価償却率は年々増加傾向にある。今後も、地方公会計の情報を活用し、過度な負担を将来に残さないための、適切なアセットマネジメントの推進に努められたい。
  • 新型コロナウイルス感染症や円安、原油高、物価上昇等の影響により社会経済情勢の先行きが不透明ななか、4年度も厳しい財政運営を余儀なくされることが予想される。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大と縮小が繰り返されるなかで、すでに大きな影響を受けた観光、飲食業や中小企業の回復、事業継続が大きな課題となっている。財政課は、このような状況下において、将来の財政需要の見込みの的確な把握に努めるとともに、財政指標に留意しながら、堅実かつ柔軟な財政運営に取り組まれたい。

(2) 市税の決算状況と収入率の向上等について

【現状及び課題】

ア 市税の決算状況

  • 市税総額は1,450億115万円で、2年度に比べて、31億7,679万円減少した。主として2年度の新型コロナウイルス感染症に係る徴収猶予の特例分が収入されたことに伴い滞納繰越分5億5,421万円が増加したものの、固定資産税23億2,959万円及び個人市民税12億9,731万円が減少したことによるものである。
  • 市民税は、企業収益の緩やかな回復や2年度からの徴収猶予分が確実に収入されたことに伴い法人市民税が1億7,802万円増加したものの、令和2年の給与収入が新型コロナウイルス感染症の感染拡大などの影響により減少したことに伴い、個人市民税が12億9,731万円減少した。
  • 固定資産税は、527億3,543万円で、2年度に比べて23億2,959万円減少した。主として、新型コロナウイルス感染症における特例として、地価の上昇分を3年度に限り据え置き下落分のみ反映したことや家屋及び償却資産に係る課税標準が軽減されたこと、また、評価替えにより既存家屋が減価したことによるものである。
  • 長期化する新型コロナウイルス感染症の影響やウクライナ情勢の緊迫化に伴う企業収益の圧迫等の社会情勢により、税収の先行きが不透明である。

市税決算増減状況

(単位 金額:千円、比率:%、比較増減:ポイント)

区分 3年度(A) 2年度(B) 前年度との比較増減
(A)-(B)
現年課税分 143,651,987 147,382,996 △ 3,731,009
滞納繰越分 1,349,169 794,955 554,214
145,001,156 148,177,951 △ 3,176,795

(注)本表に関する詳細及び注記は40ページ参照

市税税目別増減状況

(単位:千円)

区分 3年度(A) 2年度(B) 前年度との比較増減
(A)-(B)
普通税 132,181,932 135,254,760 △ 3,072,827

市民税

72,308,983 73,428,269 △ 1,119,285

個人

64,208,277 65,505,591 △ 1,297,313

法人

8,100,706 7,922,677 178,028

固定資産税

52,735,436 55,065,029 △ 2,329,593

その他

7,137,512 6,761,461 376,051
目的税 12,819,223 12,923,191 △ 103,967
145,001,156 148,177,951 △ 3,176,795

(注)本表に関する詳細及び注記は39ページ参照

イ 第5次市税滞納削減アクションプランの目標達成状況

  • 3年度は、第5次市税滞納削減アクションプラン(元年度から6年度まで)(以下「第5次アクションプラン」という。)の3年目であった。
  • 第5次アクションプランでは、個人市民税の納期内収入率及び累積滞納額について最終目標を設定した上で、計画期間中の年度ごとに成果の指標(目標値)を定めている。また、現年分収入率については、税制改正や景気動向による影響等を踏まえ毎年度目標値を定めている。
  • 個人市民税の納期内収入率は最終年度の目標値である95.63%を上回る95.89%で、2年度に比べて0.26ポイント増加し、3年度の目標値に対して0.41ポイント上回った。
  • 累積滞納額は19.5億円で、2年度に比べて、10.8億円(35.6%)減少した。主として、新型コロナウイルス感染症に係る徴収猶予の特例により3年度へ繰越された滞納分が納付されるとともに、現年分収入率の向上により新規滞納額が抑制されたことによるものである。また、3年度の目標値に対しては、4.4億円上回った。
  • 現年分収入率は99.48%で、2年度に比べて、0.63ポイント上回った。目標値に対しては、0.08ポイント上回った。

市税滞納削減アクションプランの推移

(単位 金額: 億円、比率:%、比較増減:ポイント)

区分 3年度 2年度実績値
(C)
比較増減
(B)-(C)
目標値
(A)
実績値
(B)
比較増減
(B)-(A)
個人市民税の納期内収入率 95.48 95.89 0.41 95.63 0.26
累積滞納額 23.9 19.5 △ 4.4 30.3 △ 10.8
現年分収入率 99.40 99.48 0.08 98.85 0.63
(注) 1. 表中の金額は、第5次アクションプランの表記に倣い、億円単位で表示している。(本文中も同じ。)
2. 表中の比率は、第5次アクションプランの表記に倣い、小数点第2位まで表示している。

 

ウ 不納欠損額の状況

 

  • 不納欠損額は2億6,462万円で、2年度に比べて、1,205万円(4.4%)減少している。このうち、消滅時効を事由とするものは3,741件、4,755万円で、2年度に比べて、2,134件(36.3%)、2,641万円(35.7%)それぞれ減少している。

市税不納欠損額の推移

(単位 金額:千円、比率・割合:%、件数:件、人数:人)

年度 不納欠損額の推移 うち消滅時効を事由とするもの
件数 実人数 金額 前年度比
(金額)
件数 金額 割合
(金額)
29 20,668 4,697 293,779 59.4 7,539 87,892 29.9
30 14,565 3,865 230,522 78.5 8,776 109,788 47.6
18,790 4,247 273,221 118.5 7,443 92,340 33.8
2 19,737 4,211 276,681 101.3 5,875 73,965 26.7
3 15,956 3,726 264,624 95.6 3,741 47,552 18.0

(注)本表に関する詳細及び注記は40ページ及び41ページ参照

エ 納付手段の多様化と手数料

  • 納税者の利便性向上を図るため、コンビニ納付、クレジット納付等に加え、令和3年4月から電子マネー決済による収納を開始した。電子納付※1による納付件数は増加している一方、金融機関窓口等での納付書払いは減少している。また、電子納付に係る1件当たりの手数料は、口座振替や納付書払いに比べ高額となっている。
  • 地方税共通納税システム※2について、3年度税制改正により、令和5年4月から対象税目として固定資産税、都市計画税、軽自動車税(種別割)の追加が決定された。
※1  電子納付:クレジットカード、インターネットバンキング、電子マネー、共通納税システムによる納付。
※2  地方税共通納税システム:令和元年10月に全国一斉に運用開始した地方税ポータルシステム(eLTAX)を通じて、地方税の納税手続を電子的に行うことできるシステム。3年度末時点の対応税目は、個人市民税(給与所得・退職所得に係る特別徴収)、法人市民税、事業所税となっている。

 

納付手段別の納付実績の推移(現年課税分)

 

(単位 金額:千円、件数:件)

区分 元年度 2年度 3年度
件数 金額 件数 金額 件数 金額
特別徴収 615,776 64,404,385 614,582 63,435,313 614,443 59,995,967
納付書 468,636 48,194,067 451,081 41,418,327 425,927 38,057,111
口座振替 1,103,264 45,277,448 1,094,707 46,832,697 1,083,209 45,966,288
コンビニエンスストア 494,487 8,223,030 498,851 8,335,381 488,806 8,122,477
クレジットカード 198 5,600 16,703 407,650 13,061 363,390
インターネットバンキング 52 788 4,800 152,174 2,781 88,824
電子マネー - - - - 41,701 864,464
共通納税システム 1,701 502,990 11,148 2,976,558 22,014 5,853,661
その他 4,369 68,228 4,294 73,462 4,880 101,914
合計 2,688,483 166,676,539 2,696,166 163,631,565 2,696,822 159,414,101
(注) 1. 表中の数値は、県民税を含む。
2. 元年度のクレジットカード決済及びインターネットバンキングは、令和2年4月1日から同年5月31日までの出納整理期間中に納付された元年度課税分である。

 

【意見】

 

  • 3年度については、2年度に引き続き新型コロナウイルス感染症の影響によるマイナス要因が大きいなか、市税の現年分収入率を大きく上昇させるなど、一定の成果を上げたことは評価できる。
  • 第5次アクションプランについては、全項目で目標値を上回った。特に、新型コロナウイルス感染症の影響による徴収猶予の特例で2年度に大幅に増加した累積滞納額については、3年度においても引き続き新型コロナウイルス感染症の影響があるなか、個々の状況に応じ柔軟に対応し滞納額を減らしたことは評価できる。第5次アクションプラン最終年度における目標達成に向け、税収の確保に適切かつ着実に取り組まれたい。
  • 納税者の利便性及び収入率の向上のため、3年度から電子マネー決済を開始するなど、納付手段の多様化を進めている。今後も引き続き納税者の利便性向上に努める中で、それぞれの手段の効果を分析・検証するとともに、市の手数料の負担増とのバランスに配慮されたい。また、本市が市民税と併せて賦課徴収を行う県民税については、本市の取組により利益を受けることとなる県の徴収取扱費で、応分の負担が得られるよう、制度要望も視野に検討されたい。
  • 令和5年4月の地方税共通納税システムの税目拡大に伴うシステム改修経費や7年度末までに全市町村が移行する標準準拠システムに関する経費など、国の方針により実施する業務については、国の予算編成や国庫負担の状況などを注視し、移行時だけでなく、移行後においても市の負担が過大にならないようシステム構築を進められたい。

(3) 新型コロナウイルス感染症対応及び業務継続計画の取組について

【現状及び課題】

ア 職員勤務体制及び時間外勤務の状況

  • 人事課は、市職員の新型コロナウイルス感染症の感染リスク低減の取組として、時差出勤、週休日・休日の振替、在宅勤務等による出勤者削減に引き続き取り組むとともに、3年度に新たにサテライトオフィスを設置した。3年度においては、職員の中に感染者は出たものの、職場でのクラスターは発生しなかった。
  • 3年度は、新型コロナウイルス感染症対応として患者発生対応、ワクチン集団接種等の業務を行ったことから、生活衛生課、健康増進課、保健所浜北支所などで、合計57,743時間の時間外勤務が発生し、2年度に比べて、27,685時間(92.1%)増加する結果となった。

イ 新型コロナウイルス感染症対応の取組

  • 人事課は、新型コロナウイルス感染症患者の対応等でひっ迫する保健所職員の負担軽減を図るため、部局を超えた業務応援や人員配置等を行い、3年度は、延べ1,373人が応援職員として従事した。
  • 保健所では、新型コロナウイルス感染症の対応に係る期間の長期化や感染拡大状況の変化に伴い、国からの通知や相談者への対応等に関し、業務量が増大、複雑化しているが、マンパワーには限りがあることから、更なる業務の効率化やアウトソーシングが必要な状況となっている。

ウ 業務継続計画に基づく対応

  • 市は、29年度に「浜松市業務継続計画【新型インフルエンザ等対策編】」(以下「BCP」という。)を策定し、新型コロナウイルス感染症の対応に備えるとともに、必要に応じて活用している。
  • BCPは、各課計画の集合体であることから、各課業務における優先度は示されているものの市全体レベルでの優先度ははっきりしておらず、また、統括部局や指揮命令系統も明確になっていないなど、実効性に課題があると考えられる。
  • 市は、令和4年1月頃から急激に新型コロナウイルス感染症の感染者数が増加するなかで、浜松市新型コロナウイルス感染症対策本部会議を踏まえたBCPの発動では迅速に対応できないと判断し、対策本部長によるBCPの発動によらず、関係部長等の連名による職員への通知により、同年2月3日から3月31日までBCPを実行した。同通知では、職員に感染者が出た場合の体制の確保や、感染対策等に係る人員配置のため、可能な限り業務の中断や先送りをするよう各所属に求めたが、市民等の生活に影響を与えるおそれはないとの判断のもと、市民等への情報提供は行わなかった。

【意見】

  • 人事課は、市職員の新型コロナウイルス感染症の感染リスク低減のため、サテライトオフィスの設置、時差出勤、週休日・休日の振替、在宅勤務等による出勤者削減に取り組むとともに、部局を超えた業務応援や人員配置等を適時、適切に実施することで、新型コロナウイルス感染症患者の対応等でひっ迫する保健所職員の負担軽減に取り組んだことは評価できる。
  • 保健所は、新型コロナウイルス感染症の発生以来、長期間にわたり感染者対応に取り組み、業務量が増大、複雑化するなか、職員増員、部局を超えた業務応援等により保健所の体制を維持していることに敬意を表する。今後においても、新型コロナウイルス感染症の収束が見通せないなか、これまでの対応に加え、デジタル技術を活用した業務の更なる効率化、アウトソーシングの推進に努めるとともに、常に変化する状況や相談者に適切に対応することで、持続可能な体制の構築に引き続き努められたい。
  • 新型コロナウイルス感染症の感染拡大期において、課を超えた人員の移転につながる業務の継続、縮小、休止の判断を、その責任者である所属長だけに担わせることは困難であると考えられる。このため、感染拡大の状況に応じて、市全体として最適な職員体制を確保できるよう、あらかじめ具体的なBCPの作成基準等を示すとともに、部区局内部における検討を踏まえ、市全体で調整を行うことで、市としての統一性、実効性を確保した計画となるよう、必要な見直しを検討されたい。
  • 関係課において、浜松市新型インフルエンザ等対策行動計画(平成26年3月)に基づき、必要な時に遅滞なくBCPが発動されるよう、その手続を標準化するとともに、統括部局や指揮命令系統を明確化されたい。また、BCPの発動を市民、関係する事業者・団体等に周知・広報し、市民等の生活に影響を与えることについての理解や協力を求めるなかで、市が一体感をもって新型コロナウイルス感染症の対応に注力する体制づくりに努められたい。

(4) 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会関連事業(スポーツ振興課所管分)の総括

【現状及び課題】

  • 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下「東京大会」という。)の開催にあたり、スポーツ振興課では、ブラジルホストタウン交流事業(ブラジルオリンピック・パラリンピック選手団事前合宿受入業務、ブラジルパラリンピック選手団サポートボランティアセンター運営業務等)及び大型スポーツイベント等誘致事業(オリンピック・パラリンピック聖火リレー業務等)を実施した。(決算額総額(30年度~3年度):9億7,063万円、うち、一般財源:5億2,531万円)
  • 平成28年6月、市は、国が定めるホストタウン制度にブラジル連邦共和国のホストタウンとして登録し、令和元年7月にブラジルオリンピック委員会(以下「COB」という。)及びブラジルパラリンピック委員会(以下「CPB」という。)と事前合宿受入れに関する協定書を締結した。
  • 新型コロナウイルス感染症の影響により大会開催が1年延期となったため、事前合宿の受入れが令和3年7月から8月までとなった。ホストタウン登録以降、平成28年から令和3年まで多くの代表選手を受け入れ、外国人も障がいのある人も誰もが隔たりなく、仕事に、スポーツに、学習に打ち込める共生社会の深化を図った。

ブラジルオリンピック・パラリンピック選手団事前合宿受入状況

オリンピック選手団 パラリンピック選手団
競技 選手人数 受入期間 競技 選手人数 受入期間
新体操 7人 7月25日~7月31日 陸上競技 99人 8月8日~8月20日
柔道 49人 7月10日~7月29日 水泳 56人 8月6日~8月18日
卓球 13人 7月13日~7月20日 シッティングバレーボール 32人 8月9日~8月20日
- - - その他 156人 8月6日~8月26日
COB 7人 7月8日~8月1日 CPB 45人 8月6日~8月26日
計3競技 76人 - 計14競技 388人 -

(注)パラリンピック選手団における「その他」については、競技ごとに受入期間が異なる。

  • 市民ボランティア「Torcida BRASIL」(トルシーダ ブラジル)をはじめ、市内の大学連携組織として「オリパラ教育浜松市内大学連携協議会」、事前合宿における宿泊場所、輸送、スタッフ配置等の関係団体で構成される「東京2020ブラジルホストタウン推進浜松市民会議」等の官民連携組織を立ち上げ、オール浜松の体制づくりを推進し、機運醸成を図った。
  • 「Torcida BRASIL」は、目標登録者数1,000人のところ最大1,545人の登録となったが、新型コロナウイルス感染症の影響により延べ517人が練習会場で距離を保ちながらの応援業務を行うにとどまった。また、その他文化交流なども含めたブラジルホストタウン交流人数は、目標13,300人(30年度~3年度)のところ、6,555人となった。
  • 事業に係る報告書や文書による総括などの記録が作成されていない。

購入備品一覧

備品名称 品目、数量 設置場所 決算額総額
(30年度~3年度)
柔道畳 IJF公認柔道畳256枚
畳運搬車13台
浜松市雄踏総合体育館 15,515,280円
パワーリフティングセット IPC用公認ベンチ台4台、
ダンベル12個他
浜松市新橋体育センター、
四ツ池公園陸上競技場、
古橋廣之進記念浜松市総合水泳場
9,994,600円
5人制サッカー
ゴール・フェンス
コート周囲サイドフェンス42台、
ゴール・ゴールネット4台
浜松市浜北平口サッカー場 7,150,000円
その他 - 浜松アリーナ、
浜松市引佐総合体育館他
6,845,080円
合計 - - 39,504,960円

(注)財源はすべて一般財源

  • 事前合宿での使用を目的とした備品については、事業終了後の使用可能性を検討したうえで、COB及びCPBと調整し、必要なもののみ購入した。東京大会終了後は市内の各市有体育施設に設置しているが、備品によっては具体的な今後の活用方針が定まっていない。

【意見】

  • 新型コロナウイルス感染症の影響により、開催が1年延期になるなか、市民ボランティアによる選手団との交流をはじめ、事業全体を通して、規模、内容ともに当初目指していた活動とは異なるものとなった。しかしながら、感染症対策を盛り込んだマニュアルに基づく選手団の受入れや選手団とのリモート交流など、最大限の工夫により事業を完了できたことは評価できる。
  • ブラジルホストタウン交流事業に参加した市民ボランティアや官民連携組織のメンバーは本市にとって貴重な人的財産であり、これら市民等とのつながりや事業を通じて得た経験、ノウハウを、今後、共生社会の実現に向けたスポーツ振興やスポーツ交流に効果的に活用されたい。
  • 選手団受入業務やボランティア活動等本事業を通じて培ったノウハウを、今後のスポーツ振興及びスポーツ交流に活かしていくためには、報告書などの記録を残すことが重要となる。事業全体を総括し、「東京2020ブラジルホストタウン推進浜松市民会議」等庁外組織も含めた事業の成果を報告書として取りまとめ、目に見える形で残すことで、今後の同種、類似の事業にも活用できるよう努められたい。
  • 物理的なレガシーとなる購入備品については、一時的な利用にとどまることなく、幅広く市民に還元していく必要がある。今後の活用方針を定め、市民はもとより学校、関係団体等への周知を図り、積極的な活用を図られたい。

(5) スタートアップ推進事業について

【現状及び課題】

  • 本市は、「はままつ産業イノベーション構想(平成29年3月改訂)」や「浜松市スタートアップ戦略(令和2年2月)」などに基づき、スタートアップが生まれ育つスタートアップ・エコシステム「浜松バレー」の実現に向けた取組を関係機関とともに推進してきた。
  • 令和2年7月には、全国で4つだけが認定された「スタートアップ・エコシステムグローバル拠点都市※1」のうちの1つに愛知・名古屋・浜松地域が認定された。
  • 令和3年4月、スタートアップの誘致や支援を更に促進するため、産業振興課からベンチャー関連業務を分離し、「スタートアップ推進課」を設置した。
  • 3年度は、ファンドサポート事業※2において11社に対し3億9,676万円の交付金を交付するとともに既認定事業の進捗管理や支援を行うほか、実証実験サポート事業※3において5社を採択し前年度採択分も合わせ12の実証実験を支援した。また、Next Innovator育成事業※4を開始し、新たなスタートアップ育成に取り組んだ。
  • 3年度の実績は、スタートアップの創業数を始め、政策指標の全てにおいて目標値を上回る結果となった。
※1  スタートアップ・エコシステム グローバル拠点都市:産学官連携により、スタートアップ支援に取り組んでいる都市を内閣府が指定。起業家教育やアクセラレーター機能の強化等を通じて、我が国において世界に伍するスタートアップ・エコシステム拠点の形成を支援する。
※2  ファンドサポート事業:市内スタートアップの資金調達手段を増やし、市内におけるスタートアップ投資を活性化するため、ベンチャーキャピタル等が市内のスタートアップに投資しやすい環境整備を行う。浜松市認定ベンチャーキャピタルが市内企業に投資した場合、同額のファンドサポート事業費交付金を交付している。
※3  実証実験サポート事業:本市の社会的課題の解決及び市民サービスの向上のための技術・サービス等の実用化に向けた実験・実証を支援する。
※4  Next Innovator育成事業:本市で起業を志す人材を対象にインキュベーションプログラムを提供し、起業を支援する。

 

ファンドサポート事業費交付金交付実績

 

区分 元年度 2年度 3年度 合計
採択数 3社 10社 11社 24社
交付数 0社 13社 11社 24社
交付金額 0円 574,700,000円 396,764,000円 971,464,000円

(注)2年度の交付数、交付金額のうち3社、1億5,000万円は元年度採択事業者分

 

実証実験サポート事業実績

 

区分 元年度 2年度 3年度 合計
採択数 5社 7社 5社 17社

(注)実証実験の期間は、採択から1年間

 

Next Innovator育成事業実績

 

区分 元年度 2年度 3年度 合計
起業サポート人数 - - 10人 10人

 

政策事業シートにおける政策指標

 

(単位 創業数・誘致数:社/年、金額:百万円)

政策指標   元年度 2年度 3年度 4年度 5年度 6年度
スタートアップの創業数 目標 - 10 15 20 25 30
実績 16 31 19 - - -
市内スタートアップに対する
ファンドの年間投資額
目標 190 500 1,000 1,500 2,000 3,000
実績 2,980 5,616 4,615 - - -
スタートアップの誘致数 目標 1 4 6 8 10 12
実績 4 25 18 - - -
  • 3年度は、事業フェーズに対応した支援策の体系付けを行い、費用対効果の検証を行ったうえで4年度事業を構築するなど、積極的な事業見直しを行った。
  • スタートアップへの支援は、廃業等のリスクも想定されることから、各スタートアップのモニタリングと併せ、事業効果の確認・検証を行いながら、今後も事業見直しを継続する必要がある。

【意見】

  • 本市では、3年度からスタートアップ推進課を設置し、「スタートアップ・エコシステム グローバル拠点都市」や「浜松バレー」の推進による浜松独自の「スタートアップ・エコシステム」の構築に向けた取組を強化している。
  • 本市独自のスタートアップ推進施策に取り組んだ結果、3年度中の市内スタートアップに対するファンドの投資額は約46億円と目標を大きく上回り、スタートアップの資金調達環境の向上を図ったほか、政策指標の全てにおいて目標を達成したことは評価できる。また、先行事例の乏しいスタートアップ推進分野において、スタートアップを取り巻く環境や事業の成果を考慮し、最大3年を目途に各事業の見直しを行っていることは評価できる。
  • ファンドサポート事業では、3年度の3億9,676万円など、これまでに9億7,146万円を交付してきた。交付金が最大限に活用されるよう、引き続き採択事業者の支援に適切に取り組むとともに、業務委託により実施する採択事業者に対するモニタリングのみならず、市においても収益状況等を確認・検証する取組を強化し、廃業等により交付金の目的が達成されないリスクの回避に努められたい。また、浜松市というブランドを最大限活用し、市が保有するネットワークや情報を利活用することで、スタートアップと企業や大学等のつなぎ役としての役割を強化されたい。
  • 実証実験サポート事業については、引き続き本市の社会課題の解決や市民サービスの向上に向け取り組むとともに、開発・検証した新製品等の活用可能性の拡大に向けて関係課や地元企業との連携を図られたい。
  • 「スタートアップ・エコシステム グローバル拠点都市」に認定された愛知・名古屋・浜松地域のそれぞれの強みを互いに活かし相乗効果を高めることで、世界に伍するスタートアップ・エコシステムの拠点となるよう引き続き取り組まれたい。また、市の経費負担が過大にならないよう、リスク軽減も念頭に事業の効果を検証し、不断の見直しを行いながら、スタートアップの推進を図られたい。

(6) 浜松オートレース場での取組について

【現状及び課題】

ア 本市オートレース場の状況

  • 新型コロナウイルス感染症の影響があった2年度に引き続き、売上額全体が増加した。その中でもインターネットによる電話投票の売上額は、直近5年間増加し続けている。
  • 2年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のための無観客での開催及び他場(川口、伊勢崎、飯塚、山陽)における場外販売の一時休止に伴い、本場及び場外の売上額が元年度を下回ったままである。
  • 近年、本場では電話投票売上額の大幅増加を始めとして売上額全体も増加しているなど状況の変化が顕著であるにも関わらず、産業振興課公営競技室では、その要因等について調査・分析を行っていない。また、本場及び他場のオートレース業界全体を取り巻く状況について、一般財団法人JKAや一般財団法人オートレース振興協会に対し、情報提供や調査・分析の要請を行っていない。
  • 老朽化したメインスタンド棟は、設置から50年以上経過し耐震基準を満たしておらず、倒壊により大きな被害を受ける危険性が想定されたため、安全で快適な開催や集客の増加を目的に2年度から改築工事が行われたことから、3年度中はメインスタンド棟が使用できなかった。

勝車投票券売上状況(金額と割合)

(単位 金額:百万円、比率:%)

年度 29年度 30年度 元年度 2年度 3年度
本場売上額 1,806
(16.5)
1,635
(14.6)
1,385
(12.7)
927
(7.8)
1,057
(7.8)
電話投票売上額 4,531
(41.4)
5,176
(46.2)
5,934
(54.5)
8,734
(73.4)
9,643
(71.1)
場外売上額 4,615
(42.1)
4,388
(39.2)
3,576
(32.8)
2,242
(18.8)
2,861
(21.1)
合計 10,953 11,201 10,897 11,905 13,561

(注)括弧内は合計(勝車投票券売上額)に対する割合

イ アーリーレースの取組

  • 他場では、売上増に向けた取組として27年度からナイターやミッドナイトのレースを導入しているが、本市では、騒音問題及び第一種風致地区の制限(ナイター照明の高さ8メートル以下)から導入できない。
  • 売上増加に向け、通常の時間帯より早く開催するレースを「アーリーレース」と銘打って、3年度に試行実施した。
  • 12日間開催し、他の公営競技も含め競合が少ない朝の時間帯でのレース開催により9億693万円を売り上げる成果を得るとともに、4年度からの本格実施に向け知見を集積した。

ウ 浜松市小型自動車競走事業包括的委託業務の状況

  • 本市では、18年度から随意契約(1者特命)により日本トーター株式会社と包括的委託契約をしており、受託者の同社から本市に対し収益保証※がされている。
  • 収益保証率は、下表のとおり前契約(25年度~29年度)では売上額の2%としていたが、現契約(30年度~4年度)では売上額に応じた変動制としたことから、収益保証として基金に積み立てる金額が減っている。

※ 収益保証:勝車投票券売上額の一部を委託者(市)の収益として保証するもの。

収益保証の推移(アーリーレースを除く)

区分 前契約(25年度~29年度) 現契約(30年度~4年度)
収益保証 売上額の2%+施設整備分の2億円※ ~110億円未満 売上額の1.4%
110~120億円未満 売上額の1.6%
120~130億円未満 売上額の1.8%
130億円以上~ 売上額の2.0%

※ 2億円は予定されていた新メインスタンド棟の整備に備えるもの

【意見】

  • 産業振興課公営競技室では、売上増に向けた新たな取組として、3年度に他の公営競技も含めて競合が少ない朝の時間帯に開催するアーリーレースを試行実施し、売上増加の努力をしたことは評価できる。なお、競輪では、朝の時間帯に開催するレースの売上げが導入当初の3倍に成長した事例もあることから、本場においてアーリーレースの運営状況を検証・分析し、更なる収益確保につなげるよう努められたい。
  • 小型自動車競走事業の持続的発展のためには、既存のファンを繋ぎ止めるとともに、女性や家族連れなども新たに獲得する必要があることから、完成した新メインスタンド棟をその拡大と維持のため、最大限に利活用するよう努められたい。また、近年売上げが大きく伸びている電話投票については、購入者の年代、性別等の属性と購入金額、時間帯などの投票行動の結果を分析することで、新たなファン層の開拓と売上増のためのマーケティングに活用することが期待できる。本場だけでなくすべてのオートレース場におけるデータの収集と分析をオートレース振興協会などの全国組織に要請し、一層の効果的な運営に努められたい。
  • 現在、1者特命の随意契約を締結している包括的業務委託について、現在の受託者のほか、他場において包括的業務委託を受託している事業者も見られることから、随意契約の理由についての説明責任を果たすとともに、他場の事例について、その状況を調査・研究した上で、競争性の高い事業者選定方法についても検討されたい。

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