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更新日:2022年9月6日

令和3年度 浜松市公営企業会計決算審査意見

第1 審査の基準

この審査は、浜松市監査基準(令和2年浜松市監査委員告示第2号)に準拠して実施した。

第2 審査の対象

  • 令和3年度浜松市病院事業会計決算
  • 令和3年度浜松市水道事業会計決算
  • 令和3年度浜松市下水道事業会計決算

上記決算に関する証書類、事業報告書、キャッシュ・フロー計算書、収益費用明細書、固定資産明細書及び企業債明細書

第3 審査の期間

令和4年5月30日から同年8月1日まで

第4 審査の着眼点及び実施内容

3年度浜松市公営企業会計の各事業会計決算について、

  • 決算書とその附属書類が、地方公営企業法その他関係法令に基づいて作成されているか
  • 決算書類に記載された計数は正確であるか
  • 予算は適正に執行されているか
  • 各事業の経営成績及び財政状態を明瞭かつ適正に表示しているか
  • 各事業が企業の経済性を発揮するとともに、公共の福祉を増進するよう運営されているか

を着眼点とし、検証した。

審査手続については、試査を基礎として行い、決算諸表と会計帳簿、預金残高証明書等の証拠書類と照合し、計数の確認のほか、関係職員から説明を聴取し、上記の着眼点に基づき審査を行った。

第5 審査の結果

1 審査結果

各事業会計の決算書とその附属書類は法令に基づき作成されており、決算諸表の計数はいずれも正確で、予算執行状況、経営成績及び財政状態に係る表示並びに事業の運営状況については、おおむね適正であると認められた。

2 決算書を正確に理解するための留意事項

  • (1) 決算報告書は、消費税及び地方消費税相当額を含め収入、支出の総額が記載され、損益計算書等の財務諸表は、消費税及び地方消費税相当額を控除して作成されている。
  • (2) 職員の退職手当の支給に備えるため、年度末における退職手当の要支給額に相当する金額を退職給付引当金として計上しているが、病院事業のうち浜松市国民健康保険佐久間病院(以下「佐久間病院」という。)、水道事業及び下水道事業については会計基準変更時の差異が生じており、平均残余期間内の一定年数にわたり、均等額を費用処理している。
    3年度末における退職手当要支給額、退職給付引当金残高及びその差額は以下のとおりである。

3年度末における退職手当要支給額、退職給付引当金残高

(単位:千円)

区分

病院  

水道

下水道

医療センター

リハビリ病院

佐久間病院

退職手当要支給額 (A) 292,470 9,815 1,130 281,523 1,577,071 696,951
退職給付引当金残高 (B) 253,940 9,815 1,130 242,993 1,453,404 634,298
退職給付引当金不足額 (A)-(B) 38,530 0 0 38,530 123,667 62,652

3 決算の概要

(1) 経営成績

(単位:千円)

区分

病院  

水道

下水道

医療センター

リハビリ病院

佐久間病院

営業収益

4,357,785 279,031 3,580,883 497,871 10,409,846 11,764,589

営業費用

8,766,402 3,804,321 3,873,918 1,088,162 11,042,642 15,603,573

営業損益

△ 4,408,616 △ 3,525,290 △ 293,035 △ 590,290 △ 632,795 △ 3,838,983

営業外収益

6,222,945 5,009,797 435,284 777,863 1,217,878 8,284,793

営業外費用

415,404 278,543 86,227 50,634 346,255 2,279,151
経常損益 1,398,923 1,205,963 56,021 136,938 238,826 2,166,658

特別利益

26,084 25,640 244 199 1,292 15,678

特別損失

14,823 0 14,255 568 10,547 47,257
当年度純損益 1,410,185 1,231,604 42,011 136,569 229,571 2,135,079
当年度未処分利益剰余金
(△未処理欠損金)
6,262,882 6,214,863 △ 209,156 257,174 1,571,458 4,242,832

※詳細は、「病院事業会計」P23~、「水道事業会計」P79~、「下水道事業会計」P103~参照

参考:経常損益の推移

経常損益の推移

ア 病院事業

  • (ア) 医療センター
    3年度は、主として医業外収益の県支出金7億752万円及び指定管理者負担金6億8,935万円の増により、経常利益が増加している。県支出金は18億4,564万円で、そのうち新型コロナウイルス感染症関連は17億9,716万円である。国庫支出金は9,543万円で、そのうち新型コロナウイルス感染症関連は6,949万円である。
  • (イ) リハビリ病院
    3年度は、主として入院収益6,567万円の増により、経常利益が増加している。
  • (ウ) 佐久間病院
    3年度は、主として医業外収益の一般会計負担金1億735万円及び県支出金1,435万円の増により、経常利益が増加している。

イ 水道事業

3年度は、主として営業収益の給水収益7,256万円の減により、経常利益が減少している。

ウ 下水道事業

3年度は、主として営業収益の下水道使用料4,535万円の増により、経常利益が増加している。

(2) 財政状態

(単位:千円)

区分

病院  

水道

下水道

医療センター

リハビリ病院

佐久間病院

固定資産

27,928,295 19,729,059 6,561,901 1,637,334 110,330,619 330,548,502

流動資産

8,243,270 6,512,202 1,007,407 733,540 12,696,942 9,182,010

(前年度資産合計)

(30,458,579) (20,359,569) (7,739,055) (2,364,481) (123,314,429) (344,613,167)
資産合計 36,171,565 26,241,262 7,569,309 2,370,875 123,027,562 339,730,512

固定負債

15,240,645 10,084,879 4,567,297 588,467 23,810,228 128,134,181

流動負債

5,549,247 4,804,050 563,793 191,284 4,973,703 16,385,480

繰延収益

1,302,865 644,725 110,056 548,083 20,661,198 136,411,323

(前年度負債計)

(17,789,974) (10,883,584) (5,452,904) (1,458,011) (49,961,765) (288,894,883)

負債計

22,092,758 15,533,656 5,241,147 1,327,835 49,445,130 280,930,985

資本金

3,639,993 2,966,080 56,685 617,227 70,639,205 52,833,855

資本剰余金

4,121,273 1,472,003 2,480,631 168,637 19,322 1,722,838

利益剰余金(欠損金)

6,317,541 6,269,522 △ 209,156 257,174 2,923,902 4,242,832

(前年度資本計)

(12,668,605) (9,475,984) (2,286,150) (906,470) (73,352,663) (55,718,284)

資本計

14,078,807 10,707,606 2,328,161 1,043,039 73,582,431 58,799,527

(前年度負債資本合計)

(30,458,579) (20,359,569) (7,739,055) (2,364,481) (123,314,429) (344,613,167)
負債資本合計 36,171,565 26,241,262 7,569,309 2,370,875 123,027,562 339,730,512

(注)病院間の内部取引があるため、各病院の流動資産と流動負債の計は、病院全体の計数と一致しない。 

※詳細は、「病院事業会計」P23~、「水道事業会計」P79~、「下水道事業会計」P103~参照 

資産・負債・資本の構成内訳

資産・負債・資本の構成内訳/医療センター

資産・負債・資本の構成内訳/リハビリ病院

資産・負債・資本の構成内訳/佐久間病院

資産・負債・資本の構成内訳/水道

資産・負債・資本の構成内訳/下水道

(注) 表中の金額は、億円未満を端数調整している。

(3) キャッシュ・フローの状況

(単位:千円)

区分

病院  

水道

下水道

医療センター

リハビリ病院

佐久間病院

業務活動によるキャッシュ・フロー 2,002,137 1,629,270 196,926 175,940 3,911,970 8,975,455

当年度純損益

1,410,185 1,231,604 42,011 136,569 229,571 2,135,079

減価償却費

1,351,222 1,023,079 231,105 97,038 4,697,009 12,479,732

長期前受金戻入額

△ 259,293 △ 107,209 △ 98,116 △ 53,968 △ 1,146,206 △ 5,671,205

その他

△ 499,976 △ 518,204 21,926 △ 3,699 131,594 31,848
投資活動によるキャッシュ・フロー △ 319,513 △ 382,081 79,741 △ 17,173 △ 4,496,021 △ 2,664,873

有形固定資産の取得による支出

△ 603,854 △ 560,455 △ 11,098 △ 32,300 △ 5,328,550 △ 5,131,494

国庫補助金等による収入

119,972 109,962 0 10,010 74,939 2,251,589

一般会計負担金等による収入

169,149 69,832 90,840 8,477 370,587 0

その他

△ 4,780 △ 1,420 0 △ 3,360 387,001 215,031
財務活動によるキャッシュ・フロー 1,666,664 1,934,768 △ 223,797 △ 44,306 △ 388,000 △ 4,587,571

建設改良費等の財源に充てるため
の企業債による収入

3,123,000 3,123,000 0 0 1,617,800 6,939,700

建設改良費等の財源に充てるため
の企業債の償還による支出

△ 1,436,893 △ 1,188,231 △ 223,797 △ 24,865 △ 1,886,617 △ 12,572,740

その他

△ 19,441 0 0 △ 19,441 △ 119,183 1,045,469
資金増減額 3,349,288 3,181,958 52,870 114,459 △ 972,052 1,723,010
資金期首残高 2,859,549 1,989,467 358,480 511,602 12,434,653 5,498,946
資金期末残高 6,208,838 5,171,425 411,350 626,061 11,462,601 7,221,957

※詳細は、「病院事業会計」P23~、「水道事業会計」P79~、「下水道事業会計」P103~参照

(4) 企業債

(単位 金額:千円、比率:%)

区分

病院  

水道

下水道

合計

医療センター

リハビリ病院

佐久間病院

借入額 3,123,000 3,123,000 0 0 1,617,800 6,939,700 11,680,500
償還額 1,436,893 1,188,231 223,797 24,865 1,886,617 12,572,740 15,896,251
未償還残高 16,388,139 11,275,574 4,796,794 315,770 24,194,318 139,999,174 180,581,632
支払利息及び企業債取扱諸費 289,458 213,540 70,020 5,897 345,700 2,161,196 2,796,355
利子負担率 1.85 2.07 1.43 1.44 1.41 1.51 1.53

(注)利子負担率=支払利息及び企業債取扱諸費/平均(企業債+借入金+リース債務)×100

企業債未償還残高は、3事業全体で1,805億8,163万円である。
事業別にみると、下水道事業が最も多く1,399億9,917万円、次いで水道事業241億9,431万円、病院事業のうち医療センター112億7,557万円となっている。
借入の主なものは、病院事業の医療センター新病院整備資金31億2,300万円、水道事業の上水道安全対策事業費16億1,780万円、下水道事業の公共下水道事業費36億5,950万円である。

参考:企業債未償還残高の推移

企業債未償還残高の推移

(5) 一般会計繰入金

(単位 金額:千円、比率:%)

区分

病院  

水道

下水道

合計

医療センター

リハビリ病院

佐久間病院

一般会計繰入金 2,787,060 1,694,423 405,905 686,732 544,422 5,518,772 8,850,254

収益的収入

2,600,139 1,624,591 313,343 662,205 173,009 4,572,608 7,345,756

収益に対する繰入率

24.5 30.6 7.8 51.9 1.5 22.8 17.4

資本的収入

186,921 69,832 92,562 24,527 371,413 946,163 1,504,498

(注)この表には、地方公営企業法第17条の2に基づく繰入金のほか、任意による繰入金を含む。
また、水道事業には「飲料水供給施設業務負担金」を、下水道事業には「合併処理浄化槽設置業務負担金」を含む。

一般会計から企業会計への繰入金は、3事業全体で88億5,025万円である。
事業別にみると、下水道事業が最も多く55億1,877万円で、主なものは分流式下水道等に要する経費25億2,638万円となっている。次いで病院事業のうち医療センター16億9,442万円で主なものは公立病院運営経費12億2,897万円、水道事業5億4,442万円で主なものは簡易水道事業統合に伴う企業債元利償還金に要する経費3億4,997万円となっている。
3事業全体で減少傾向であり、主に下水道事業の分流式下水道等に要する経費の減少によるものである。

参考:一般会計繰入金の推移

一般会計繰入金の推移

4 審査意見

(1) 総括

長引く新型コロナウイルス感染症の影響により、公営企業は依然として厳しい経営環境に置かれている。また、世界的な原材料価格の上昇などを背景とした物価上昇は、公営企業にもエネルギーコスト増加などの影響を与えている。このような経営環境の中、病院事業、水道事業、下水道事業の各企業は、市民生活に極力影響を及ぼさないよう対策を講じながら、堅実に業務を継続している。
病院事業においては、受診控えなどにより、コロナ禍前に比べて患者数が減少するなど、経営面での影響を受けたが、経営改善の取組や国・県補助金の活用により、収益確保に努めた。また、消耗品の確保に向け機敏に行動した。更に、感染症拡大時における公立病院の果たす役割として、市内医療機関の中で感染症への対応において中核的な役割を果たすことで、その重要性が改めて認識された。
医療センターにおいては、2年度以降、新型コロナウイルス感染症重点医療機関として専用病床を確保するなど積極的に感染症対応に取り組むとともに、脳卒中センターや総合アレルギー外来を開設するなど、質の高い医療の提供に努め、地域医療に大きく貢献した。コロナ禍前に比べて入院・外来とも患者数が減少した一方で、新型コロナウイルス感染症関連の補助金の増や、新病院開院を見据えた高度・専門医療の推進による診療単価上昇などにより、収益は増加した。
リハビリ病院においては、2年度に引き続き、発熱等診療医療機関の指定を受け、発熱外来診療を行った。リハビリテーションの一部受入制限などの新型コロナウイルス感染症対策を余儀なくされ外来患者数が減少したが、ボツリヌス療法の増加などにより、外来収益はコロナ禍前の水準を維持した。また、医師の減少に対応した病棟再編を行ったほか、綿密な入退院管理により高い病床利用率を維持し、コロナ禍においても入院収益は増加した。
佐久間病院においては、佐久間・水窪地域の人口減少への対応を検討し、静岡県地域医療構想を踏まえて3年度から療養病床20床を廃止し、病院の効率的な運営と医療サービスの充実を図った。また、2年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症患者等の専用病床を確保し、発熱等診療医療機関の指定を受け、発熱外来診療、新型コロナウイルス抗原定性検査及び新型コロナウイルス感染症予防接種を実施し、天竜区北部にある唯一の公立病院として新型コロナウイルス感染症対策に取り組んだ。
3病院においては、新型コロナウイルス感染症による受診控えの継続による経営への影響が懸念されるなか、コロナ禍で明らかとなった新興感染症への対策、医師の働き方改革への対応、人口減少下での患者数の確保などが今後の経営的な課題となっている。一方で、総務省は、令和4年3月に示した「持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドライン」において、公立病院の経営を強化していくため、全国の公立病院に経営強化プランの策定を求めている。3病院は、地域に不可欠な公立病院として、中長期的な観点から更なる経営強化を図り、持続可能な病院経営の推進を図られたい。
水道事業においては、給水人口の減少などにより、有収水量は減少傾向である。損益計算において、収益及び純利益は2年度に比べ減少したものの、損益は黒字となっている。今後は、資金残高の減少が見込まれており、現段階から将来の料金改定を見据えた準備が必要である。また、浜松市水道事業アセットマネジメント計画を改定し、基幹管路耐震化を優先的に実施するとしている。計画を着実に推進するとともに進捗状況の検証や見直しを適宜行う中で、引き続き安定した事業運営に努められたい。
下水道事業においては、使用料単価の高い大口事業者の使用水量の増加や営業費用の減少、浜松市公共下水道終末処理場(西遠処理区)のコンセッション方式による運営などの経営改善に努め、損益は黒字となっている。また、今後50年間の投資計画などの概要を定めた浜松市下水道事業アセットマネジメント計画を策定した。計画の目標達成に向け、進捗状況の検証や見直しをする中で、引き続き安定した事業運営に努められたい。
公営企業を取り巻く経営環境は、長引く新型コロナウイルス感染症による影響、物価上昇やエネルギー価格の高騰、少子高齢化の進展による人口減少などの社会環境の変化の中で先行きが不透明な状況であり、今後更に厳しさを増すことが懸念される。こうした経営環境において、各企業はその本来の役割である公共の福祉増進のため、経営努力を重ねている。各企業は、求められるサービスを将来にわたり安定的に提供するため、果たすべき役割を自覚し、持続可能な経営基盤の確立に向けてより一層努められたい。
なお、事業会計ごとに意見を述べる。

(2) 病院事業会計

ア 新型コロナウイルス感染症感染拡大及び物価上昇による企業経営への影響及び今後の見通しについて

【現状及び課題】

  • 医療センターでは、長引く新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響によりコロナ禍前と比べて患者数が減少したものの、脳卒中センターの開設など、高度・専門医療の推進による診療単価の上昇により収益の回復がみられた。
  • リハビリ病院では、リハビリテーションの一部受入制限などの新型コロナウイルス感染症対策を実施したことから、外来患者数の減少がみられたが、綿密な入退院管理による高い病床利用率の維持や外来診療単価の上昇により、入院・外来収益ともコロナ禍前から横ばいとなっている。
  • 佐久間病院では、療養病床の廃止により入院患者数は減少したが、コロナ禍により低下していた病床利用率は62.4%と回復した。しかし、公立病院経営強化ガイドラインの指標である病床利用率は2年連続で70%未満となり、今後の動向に注視が必要である。
  • 今後の課題としては、医療センター及びリハビリ病院では、受診控え、新興感染症への対応、医師の働き方改革などが挙げられる。また、佐久間病院では、これらに加え、佐久間・水窪地域の人口減少、令和5年度以後の常勤医師の確保、療養病床廃止に伴う県補助金の皆減見込みによる一般会計負担金への影響などが挙げられる。
  • 医療センター、リハビリ病院とも世界的な原材料価格の上昇などを背景とした物価上昇の影響を受け、下半期における電気、ガス代などの光熱水費が前年度に比べて増加したほか、防護具、手指消毒剤などの医療業務に必要な物資の調達に影響があった。佐久間病院では、物価上昇の影響を受け、12月以降、電気、重油代などの光熱水費が前年度に比べて増加している。使い捨て手袋などの消耗品については、価格上昇前に在庫を増量確保するなど機敏に行動した。

【意見】

  • 新型コロナウイルス感染症感染拡大の収束の兆しがみられないなか、病院事業は収益を確保できた。これは新型コロナウイルス感染症関連の補助金等によるところが大きい。今後も患者の受診控えが続くことが想定されるなか、3病院においては、引き続き収益の確保に努め、アフターコロナに向けて安定的な医療サービスの提供に取り組まれたい。
  • 今後も世界的な原材料価格の上昇や材料不足などを背景に、光熱水費の増加、医療業務の継続に不可欠な物資の確保への影響が長期化することも懸念される。3病院においては、収入の増と支出の削減に努めるとともに、必要な対策を検討しておくことで、引き続き安定した医療提供体制の確保に努められたい。

イ 持続可能な病院経営について(佐久間病院)

【現状及び課題】

  • 佐久間・水窪地域の人口減少が続いているなか、3年度から療養病床20床を廃止した。
  • 2年度に健康福祉部で立ち上げた浜松市中山間地域医療検討会議では、県及び市内医療機関の長等を委員とし、中山間地域の医師確保などに取り組んでいる。
  • 県から派遣される常勤医師の任期が単年度であるため、次年度以降も派遣を受けられるか不確実な状況である。また、派遣医師の専門分野によっては、使用する機器更新時期の見極めも必要となる。
  • 看護師についても、退職や産前・産後休暇、育児休業の取得に備え、突発的な事象にも対応できるよう、安定した体制維持が重要となる。

【意見】

  • 医師の確保について、単年度の任期とはいえ、4年度に派遣による常勤医師の増員を実現させた努力は評価できる。県等から常勤医師及び非常勤医師の応援体制を安定的に継続して受けられるよう、引き続き取り組まれたい。また、看護師等のスタッフについても退職や産前・産後休暇、育児休業の取得に備え、突発的な事象に対応できるよう、人材確保や就業環境の維持にも取り組まれたい。

(3) 水道事業会計

ア 浜松市水道事業アセットマネジメント計画について

【現状及び課題】

  • 令和3年12月に浜松市水道事業アセットマネジメント計画(27年度からの50年計画)を改定した。改定内容の主なものは、基幹管路耐震化完了を6年度から10年度に延長するとともに、人口減少、物価上昇、デジタル技術の進化等を踏まえて、整備方針と投資額を見直すものとなっている。
  • 現在は、地震発生後の断水期間を短縮するため、10年度完了を目標に、漏水や断水等の事故時の被害リスクが高い口径400ミリメートル以上の基幹管路の耐震化を優先的に実施している。
  • 水道施設の老朽化度合を表す有形固定資産減価償却率は年々悪化し、法定耐用年数を超えた管路延長の割合を示す管路経年化率及び当該年度に更新した管路延長を示す管路更新率も、外見上実績値が年々低下している。
  • 浜松市水道事業アセットマネジメント計画を着実に推進するとともに基幹管路耐震化等の取組を市民に広報し、水道水の安全安心な供給を行うことが求められる。

【意見】

  • 浜松市水道事業アセットマネジメント計画に基づき、地震発生後の断水期間の短縮を目的に基幹管路の耐震化を優先的に行う本市独自の取組を進めていることは評価できる。しかし、これらは「管路経年化率」及び「管路更新率」という既存の指標の改善には結びつかないため、取組が正しく評価されないおそれがある。このため、計画の趣旨や分かりやすい指標を用いて市民の理解を得るための情報提供及び広報活動が必要となる。
    一方で、資産の老朽化を見るための「有形固定資産減価償却率」も年々悪化しているため、計画の進行管理においては、この指標の推移に注視しつつ、安全で安定的な水道水の供給に努められたい。

イ 技術力の維持向上について

【現状及び課題】

  • 浜松市水道事業経営プラン2020-2024において、的確で持続可能な水道事業の運営には、水道施設の維持管理業務に係る職員の技術力の維持向上が必要不可欠としている。
  • 水道事業では、再任用職員の技術力の活用と民間との連携による研修運営体制を確立し、職員技術研修を実施している。また、維持管理業務の外部委託が進むなか、職員の技術力の維持向上のため、一部の業務は委託せず職員による漏水等の現場対応体制を確保している。
  • 技術力の維持向上を補完するため、AI(人工知能)を活用した漏水調査や水道マッピングシステムをクラウド化することで、現場等の遠隔地において画像データ等の活用を可能とするなど、DX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んでいる。
  • 経験豊かな職員の退職や外部委託等が進むなかで、市民に安全な水道水を安定的に供給するため、長年培ってきた技術力について、次代を担う職員へ継承していくことが重要となる。

【意見】

  • 水道事業において、長年培ってきた水道施設の維持管理業務に係る技術力について、研修運営体制や漏水等の現場対応体制を整え、次代を担う職員への継承に努めていることは評価できる。
  • 経験豊富な職員の退職や維持管理業務の外部委託が進むなかで、引き続き、市民に安全安心な水道水を継続して安定的に供給していくため、一層のDXの推進により職員の負担軽減を図るとともに、職員の技術力の維持向上に取り組まれたい。

(4) 下水道事業会計

ア 維持管理の見通しについて

【現状及び課題】

  • 令和3年12月に浜松市下水道事業アセットマネジメント計画(4年からの50年計画)を策定した。この計画は、老朽化対策事業を中心に据え、投資計画、財政計画の概要を定めるとともに、災害対策事業や事業運営の効率化を高める統廃合の実施等の事業を行う方針について定めたものである。
  • 動力費は、電気料上昇に伴い増加傾向であった。電気料変動の動向は不透明な状況であり、機器の老朽化に伴い電力使用量も増加することが懸念されるため、動力費の推移について、今後も注視していく必要がある。
  • 維持管理に係る業務量の増加が見込まれるなか、職員の技術力の継承が課題として挙げられる。課題解決に向け、DXの取組として建設現場における遠隔臨場(タブレットを用いた映像、音声による検査や品質確認)やWEB会議システムによる部内打合せ、マンホールポンプ監視装置のクラウド化(現場の運転状況をデータセンターに集約し、監視・制御するシステム)などICT(情報通信技術)を積極的に取り入れ、技術力継承及び向上に繋がる研修会や技術アドバイザー制度などの取組を進めている。

【意見】

  • 浜松市下水道事業アセットマネジメント計画において、老朽管更新について、事故時被害リスクの高い管路の優先的更新と管路老朽度の管理により更新費用の平準化を図るとした方針は評価できる。
  • 今後は、計画を着実に推進し、施設を堅実かつ計画的に維持管理することで、下水道事業を持続的に提供するよう引き続き取り組まれたい。
  • 職員の技術力の維持については、限られた職員で効率よく業務を進めるよう様々な取組を進めていることから、今後とも、DXの取組により職員の業務負担軽減を図るとともに、職員の専門的技術の習得、継承及び向上に向けた一層の勤務環境づくりに取り組まれたい。

イ 浜松市下水道終末処理場(西遠処理区)運営事業のコンセッション方式に関するモニタリング実施状況等について

【現状及び課題】

  • コンセッション方式による浜松市下水道終末処理場(西遠処理区)運営事業において、運営権者は、自らが作成したセルフモニタリング計画に基づき、本事業の運営状況が浜松市公共下水道終末処理場(西遠処理区)運営事業要求水準書(以下「要求水準書」という。)の基準を満たしているかについて、モニタリングを行っている。
  • 市及び第三者機関は、運営権者が行うセルフモニタリングの結果を踏まえ、浜松市公共下水道終末処理場(西遠処理区)運営事業公共施設等運営権実施契約や要求水準書の達成状況をモニタリングしている。なお、ダブルチェックを目的とした第三者モニタリングにおいては、より高度な専門性や知見を必要とする項目に絞り込み実施している。
  • 市が行う経営モニタリングの補完として、民間会計・財務に係る専門的知見を有する補完者からの助言などの支援を受け、経営部門におけるモニタリングの有効性を確保している。
  • 要求水準書において地元調達を優先的に活用するよう定めていることから、運営権者が毎年度作成した実施計画において、数値目標として市内業者への発注件数を30%以上とした。事業を開始した30年度からこれまで、市内業者への発注件数は30%以上を達成している。なお、3年度市内業者への発注金額の割合は20.0%であり、対前年度比12.5ポイント上昇している。

【意見】

  • 西遠処理区運営事業に関するモニタリングは、経営部門、改築部門、維持管理部門などについて高度な専門性が求められるなか、運営権者が行うセルフモニタリングに対して、市及び第三者機関によるモニタリング、更に、会計の専門家による経営モニタリング補完業務などによるチェック体制を構築して実施している。
  • 今後も、より効率的、効果的なモニタリングを行うとともに、得られた知識、ノウハウについては、西遠処理区運営事業以外の処理場等の維持管理委託に対しても応用することで、全体のレベル向上に取り組まれたい。
  • 運営権者による工事発注業務について、運営権者との定例会等において地元調達に配慮するよう協力を求めている。今後においても、市内業者が受注可能なものについては、その技術力向上に資することが期待できることから、可能な限り参加が可能となるよう、運営権者の協力を得るよう努められたい。

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