緊急情報
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更新日:2023年3月24日
はままつの文化財
Vol.24 平成21年3月15日
楠木遺跡(北区三ケ日町岡本)では以前から古代の瓦片が採集され、古代の寺院跡ではないかといわれていました。
しかし、その実態ははっきりしないため、本年2月16日から23日にかけて試掘調査を行いました。
調査では、奈良・平安時代の瓦が大量に出土したことから周辺に瓦葺きの建物が存在していた可能性が高まりました。
古代には、瓦葺きの建物は寺院の建物にほぼ限られていましたので、この地に古代の寺院があったことがほぼ確実となったといえます。
これまで浜松市内で古代の瓦がまとまって出土したのは東区和田町の木船廃寺跡(寺院跡)、浜北区根堅の篠場瓦窯跡が知られているのみです。
楠木遺跡は浜松市で2例目となる古代寺院跡となります。
今回の調査では、後世の造成のため寺院跡の遺構は残っていませんでしたが、今後、近くで見つかることが期待されます。
発掘作業のようす
次に今回出土した瓦について紹介しましょう。
その多くは屋根に葺かれた平瓦や丸瓦ですが、屋根の軒先を飾った軒平瓦や軒丸瓦も多く出土しました。
これらには、それぞれ2種類の文様が施されています。
軒平瓦には、簾状文と小花文と呼ばれる文様があります。
簾状文は、短い長方形の区画が帯状に並ぶものです。
また小花文は小さな花の文様をいくつも並べたもので、楠木遺跡では花弁が8枚ある花文が横一列に並んでいます。
軒平瓦
軒丸瓦
軒丸瓦には、単弁12葉蓮華文(花弁が12枚ある蓮華文)と単弁16葉蓮華文があります。
いずれも蓮の花をイメージした文様で、古代寺院の軒丸瓦に良く見られる文様です。
今回出土した瓦と類似する文様は、隣接する愛知県の旧三河国の範囲で多く見られます。
その中でも特に宝飯郡小坂井町の医王寺廃寺跡で出土した瓦と似ています。
楠木遺跡のある三ケ日地区と三河国の交流を物語るものでしょう。
2種類の瓦は、左のように組み合わせて使われました。
今回は、狭い範囲を調査しただけですので、隣接する場所に古代寺院の遺構が残っている可能性があります。
今後、寺院跡が私たちの前に姿を現すことを期待したいと思います。
※「最新情報かわら版」のページでもご紹介しています。
<現地見学会>
浜名惣社神明宮と初生衣神社の見学も同時開催。
開催日:平成22年4月4日(日曜日) ※雨天決行
集合時間:午前10時からと午後1時30分からの2回
集合場所:浜名惣社神明宮境内
※事前申込みは不要。
※駐車場に限りがありますので、極力乗り合わせてお越し下さい
<出土品展示>
期間:平成22年4月6日(日曜日)~25日(日曜日) ※月曜休館
会場:三ヶ日図書館
開館:午前9時半~午後6時[火~土曜日]
午前9時 ~午後5時[日曜日]
北区引佐町渋川、天竜区寒沢に渡る渋川自然環境保全地域は、浜松市指定天然記念物「ギフチョウ」の生息地として知られています。
「春の女神」とも呼ばれるギフチョウは、絶滅が危惧される希少種で、アゲハチョウ科の小型の蝶です。
3月下旬を過ぎると、本格的に成虫の飛来が確認されるようになります。市では天然記念物に指定するとともに保護条例を定め、食草であるヒメカンアオイも含めた環境の保全に取り組んでいます。
渋川といえば、つつじまつり(県指定天然記念物:シブカワツツジ群落)が有名ですが、ギフチョウに出会える幸運を期待して一足早く渋川のまちを訪れてみてはいかがでしょうか?
渋川エリアの文化財:渋川のイチョウ、渋川のボダイジュ、凱旋紀念門
ギフチョウ
市内には歴史を感じながら桜の美しさを楽しめる場所があります。
浜松城跡(浜松市指定史跡)、鳥羽山城跡は、桜の名所としても有名ですが、浜松にある100を越える城・砦跡の代表格でもあります。
お城というと天守閣をイメージしますが、防御施設の配置を考える楽しみ方もあります。
歴史ブームの今年の春は、桜をめでながら戦国時代に想いをはせるのもよいかもしれません。
鳥羽山城跡
2月には、こんな調査活動などを行いました。
1日 |
東区和田町 |
木船廃寺跡試掘 |
---|---|---|
4日 |
浜北区 |
天井板絵現地確認調査 |
8日 |
北区三ケ日町 |
殿畑遺跡工事立会 |
10日 |
中区葵西ほか |
姫街道の松並木松くい虫防除実施状況調 |
12日 |
南区飯田町 |
山ノ内遺跡試掘 |
16日 |
北区三ケ日町 |
楠木遺跡試掘(~23日) |
17日 |
本庁 |
第3回文化財保護審議会 |
22日 |
天竜区春野町 |
仇山古墳群試掘(県教委実施~23日) |
24日 |
北区三ヶ日町 |
殿畑遺跡工事立会 |
26日 |
浜北区於呂 |
百々原遺跡試掘 |
応募方法
参加者の郵便番号・住所・氏名・年齢・電話番号を明記の上、奥浜名湖・『井の国』千年祭実行委員会(龍潭寺)あてFAX(053-542-0901 )
受付開始:
3月15日~(先着順、定員になり次第締切)
回 |
開催日 |
時間 |
講座名 |
会場 |
---|---|---|---|---|
1 |
4月11日(日曜日) |
10時~正午 |
奥浜名湖の弥生集落と銅鐸の谷 |
引佐健康文化センター |
2 |
4月25日(日曜日) |
10時~正午 |
都田流域の古墳群と王者の墓の系譜 |
引佐健康文化センター |
3 |
5月16日(日曜日) |
10時~正午 |
王者の墓の系譜 |
細江みをつくし文化センター |
4 |
5月30日(日曜日) |
10時~正午 |
奥浜名湖の南北朝の城と戦国の城 |
引佐健康文化センター |
5 |
6月13日(日曜日) |
10時~正午 |
奥浜名湖の中世・近世芸能 |
引佐健康文化センター |
6 |
6月27日(日曜日) |
10時~正午 |
『井の国』ど真ん中 |
現地見学会 |
見附から御油にいたる姫街道沿線の市民活動団体が連携して結成した「姫街道連絡協議会」の全面的な協力を得て細江図書館で開催しました(全3回)。
本講座には、市内全域から36名の方にご参加いただきました。
第1回目は、「本坂通宿村大概帳」や中泉代官林鶴梁の日記などを用いながら、古代から近代にいたる本坂通(姫街道)の歴史を概観しました。
第2回目は「姫街道連絡協議会」が実施した姫街道検定の結果報告や、姫まつ倶楽部、細江町歴史・文学グループ、三ヶ日町郷土を語る会の皆さんから、活動内容を紹介していただきました。
第3回目は、フィールドワークです。
西気賀駅を出発し、浜名湖を眺望しながら難所である引佐峠を越え、三ヶ日宿まで史跡や文化財を見学しながら歩きました。
当日は好天に恵まれ、参加者の皆さんも街道ウォーキングを楽しまれたようです。
姫街道沿線では、各団体による見学会やウォーキングなど様々な催しが行われています。こうした行事に参加しながら、多くの皆さんに姫街道の魅力に接していただければと思います。
フィールドワークのようす
<編集後記>
楠木遺跡から出土した瓦の、蓮華の花をアレンジした文様から、古代寺院??三河と交流があった??・・・などと推定されています。
瓦ひとつでも、いろいろな歴史を物語ってくれるのですね。
さて、もうすぐ桜のシーズン!浜松城跡や鳥羽山城跡をご紹介しましたが、ほかにも文化財と桜の両方が楽しめるスポットがたくさん。
今年はどこに行こうかな?
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