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更新日:2023年3月24日
はままつの文化財
Vol.14 平成21年6月15日
浜松市博物館において、6月7日(土曜日)から7月12日(日曜日)にかけて、「地下に眠る浜松の至宝―きらめく金装大刀―」を開催しています。
今回の展示では、2003年以降に浜松市内で出土した至宝の数々500点を一堂に集めました。
展示品には、中区鳥居松遺跡から出土した金装円頭大刀、浜北区篠場瓦窯跡(しのんばがようあと)から出土した古代瓦、鴟尾、同じく浜北区中屋遺跡から出土した黒漆螺鈿鞍など、全国的にも注目できる出土品が含まれます。
金装大刀は大人気です
金装円頭大刀(きんそうえんとうたち)
金装円頭大刀
6世紀の中ごろに製作されたもので、金や銀で飾られています。
大刀は全長80cm、刀身は鉄製、つかの本体は木製です。
つかには、見事な龍や唐草の模様が彫刻されています。
彫刻はとても細かく、当時の工芸技術の水準の高さを物語る逸品といえます。
この大刀は、浜松地域を統治していた有力者が、大和地方の王族や豪族から手に入れたものとみられ、当地の政治構造の解明に一石を投じる発見となりました。
鴟尾(しび)
鴟尾
鴟尾とは、高さ130cmをこえる大型の装飾瓦で、現代のしゃちほこのように屋根の両端に据えられました。
7世紀末に現在の浜北区に建立された寺院に用いられるために制作されたとみられます。
完全な形に復元された鴟尾は県内では例がなく、荘厳な古代寺院の姿を現代に伝える貴重な資料といえます。
黒漆螺鈿鞍(くろうるしらでんぐら)
黒漆螺鈿鞍
13世紀の工芸品で、鎌倉時代に行われた河川の護岸工事に伴い埋められました。
貝殻をはめた螺鈿装飾の痕跡をとどめ、完全な構造を保ったまま出土しました。
13世紀の鞍が完全な状態で出土することは全国的に例がなく、美術史の分野からも注目が集まっています。
6月7日(日曜日)博物館にて「遺跡が語るいにしえの浜松」 と題し、県研究所職員を含め4人による最新発掘成果の報告会を行いました。
多数のみなさんにご来場いただき、関心の高さを伺わせました。
なお、7月5日にも展示解説を行います(詳細は左記参照)。
展示解説「地下に眠る浜松の至宝を語る」
浜松市生涯学習課(文化財担当)職員による展示解説
日時:7月5日(日曜日)午後2時から
場所:特別展示室内(要観覧料)
※申込みは不要です。直接会場へお越しください。
調査報告会のようす
笠井遺跡から出土した遺物の整理作業を行っています。
約300平方メートルと狭い調査面積でしたが、奈良・平安時代の土器を中心に多くの遺物が見つかっています。
その中で珍しいものとして、ほぼ完全なままの陶馬が1点と別の陶馬の脚部が2点、当時としては高級食器の緑釉陶器片が1点、海水を煮詰めて塩を作るための製塩土器片が7点出土しています。
また、香炉蓋に付いていた宝珠つまみや、駿河から運ばれてきた特殊な細長い壺もありました。
これらの遺物は通常の集落遺跡から出土することは稀であることから、近くに古代の役所に関係する施設があった可能性があります。
今後の調査が期待されます。
復元作業中・・・
笠井遺跡出土土器
5月には、こんな調査活動などを行いました。
試掘調査(長期)
半田山古墳群(5月8日~)
鳥居松遺跡(5月18日~)
その他の調査
8日 |
天竜区春野町 |
市指定建造物「瑞雲院山門」現状調査 |
---|---|---|
13日 |
中区森田町 |
鳥居松遺跡工事立会い |
13日 |
南区増楽町 |
増楽村北遺跡試掘調査 |
14日 |
東区笠井町 |
笠井遺跡試掘調査 |
15日 |
中区西伊場町 |
下山田遺跡試掘調査 |
20日 |
東区大島町 |
上大瀬遺跡工事立会い |
21日 |
南区堤町 |
堤町村東遺跡試掘調査 |
22~25日 |
西区・北区・天竜区 |
重要文化財の防火・防犯に関する緊急現状調査 |
29日 |
西区志都呂町 |
市指定天然記念物「妙相寺のイヌマキ」現状調査 |
<重要無形民俗文化財「遠江のひよんどりとおくない」のうち『川名のひよんどり』>
川名八日堂修理工事現場説明会
川名のひよんどり祭礼が行われる八日堂の修理工事現場を公開します。
あわせて、建造物及び保存修理工事の説明を行います。
事前申込制ではありませんので、当日どなたでも御覧いただけますが、工事現場での移動となりますので歩きやすい服装・靴でお越しください。
午前11時~正午 北区引佐町川名
※応募方法など詳細は、広報はままつ5月5日号に掲載
<浜松市指定天然記念物「浜松海岸のアカウミガメ及びその産卵地」>
親と子のウミガメ教室
7月18日(土曜日):ウミガメ講座
7月25日(土曜日):ウミガメの産卵調査と海岸ウォッチング
豊かな自然に恵まれた奥浜名湖地域には、「三ヶ日人」出土地の只木遺跡をはじめ、全国の銅鐸ファンに知られた「滝峯の谷」、神秘的な天白磐座遺跡など、旧石器時代から中近世にいたる多くの遺跡が残されています。
また、南北朝時代の遠江南朝方の拠点として全国的にも有名な三岳城や千頭峯城など、よく整備された城跡は全国の城跡ファンを魅了してやみません。
その他にも、三遠南信地域に中世から続く田楽・神楽・念仏踊りなど郷土芸能の数々や、龍潭寺や長楽寺実相寺を初めとする遠州流の歴史的な庭園などが残り、奥浜名湖地域は遺跡や文化財の宝庫と言えます。
このガイドブックは、これら奥浜名湖地域に生まれ、育まれ、今日まで守り伝えられてきた文化財の魅力を余すことなく解説しており、実際に現地に赴き、散策する際にも役立つよう、文化財の紹介はもちろん、現地付近の地図や散策コース等も掲載しています。
<編集後記>
速報展の目玉はなんと言っても金装大刀。
数世紀を経た今も、金の輝きは当時のままにまばゆいほど残っています。
入ってすぐ目に入る大きな鴟尾は大変重く、展示準備の際は大の男性が6人がかりで運んだそうです。
この鴟尾は一部復元ですが、当時も200キロ以上あったとのこと。
クレーンもない時代、一体どうやって屋根に載せていたのでしょうか!?
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