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更新日:2017年7月31日

第2回研修主任研修会講話(平成29年7月26日)

I はじめに

 みなさん、こんにちは。浜松市教育委員会教育長の花井でございます。

 夏休みに入り、一息つきたいところですが、まだ皆さんの学校では、部活動や校内研修等で多忙な日々を送られていることと思います。また今日ここにいらっしゃる、研修主任の皆さんは、学校の要として、校内研修を推進してくださっていることと思います。日頃の取組に深く感謝申し上げます。

 さて、本日は、浜松の子供たちの未来を支える指針である、第3次浜松市教育総合計画「はままつ人づくり未来プラン」の目指す子供の姿、その中でもキャリア教育と授業改善についてお話いたします。

II 浜松市の目指す子供の姿に迫る本市のキャリア教育とは

1 「はままつ人づくり未来プラン」では

 本日お手持ちの「平成29年度版はままつ人づくり未来プラン」のリーフレットにありますように、「はままつ人づくり未来プラン」では、「未来創造への人づくり」と、「市民協働への人づくり」の2つの理念を掲げています。これは、「未来を創っていける子供たちを、子供たちを取り巻く市民、大人たちが力を合わせて育てる」ということです。

 では、「未来を創っていける子供」にするために、どういう子供に育てていけばよいのでしょう。浜松市では、「夢と希望を持ち続ける子供」「これからの社会を生き抜くための資質や能力をはぐくむ子供」「自分らしさを大切にする子供」の3つを、目指す子供の姿として示しています。

 子供は、「夢と希望」を持つことによって、「ひと・もの・こと」に関わり、困難や失敗を乗り越え、これからの社会を生き抜くために必要な「資質や能力」を育んでいきます。また、子供は、「資質や能力」を育むことによって、自分の可能性を高めていきます。そして、「夢と希望」に向かって、自分が持つ「資質や能力」を育みながら力強く生きる子供は、心が耕され、正しい判断力や価値観に基づいた「自分らしさ」を磨いていくことができます。この「自分らしさ」を磨いていくこと、つまり「自分らしさを大切にすること」が、前向きに未来を生き抜いていくための原動力になると考えています。

2 「自分らしさを大切にする子供」を育てていくためには

 では、「自分らしさを大切にする子供」を育てていくためには、どうしたらよいのでしょう。ここで、ある映画の話をしたいと思います。

 3年ほど前、「夢は牛のお医者さん」というドキュメンタリー映画が全国で公開されました。こうしたジャンルの映画では「ヒット」と言える作品だったようですが、御覧になった方はいらっしゃいますか?

 あらすじを紹介します。

 新潟県にある全校児童9人の山間の小規模校から、話が始まります。まだ「総合的な学習の時間」もない時代に、この9人の児童で、牛を育てる取組が行われます。心を込めて育てた牛を出荷する日、子供たちは別れの涙にくれます。ここまでなら、似たような映画もあるかもしれませんが、この映画はここで終わりではありません。映画はその後、26年間にわたって、この小さな学校に在籍していた9人の中の一人の少女を追い続けます。

 小学校3年生だった彼女は、親身になって牛の世話をするうちに「牛のお医者さん」になりたいと思うようになります。そして、その夢を諦めずに中学校、高校と勉強に励み、見事国立大学に合格し、獣医になります。

 映画はさらに続きます。牛は大きいので、女性獣医としての主人公は、その扱いに相当苦労しています。にもかかわらず、故郷新潟の畜産農家から絶大な信頼を得るようになるまでの研鑽・努力の過程や、結婚・出産を経て、子育てをしながら働く姿まで描かれています。以上が映画のあらすじです。

 この主人公の少女は、本市の目指す子供像である「夢と希望」「資質・能力」「自分らしさ」の3つを兼ね備えた少女であると思います。しかし、夢であった女性獣医となるまでには、少女自身の努力はもとより、家族や学校、地域の皆さんそれぞれの支えがあったはずです。この中で、学校は、「牛の世話」をする学びの場を提供しています。想像するに、学校は、子供たちに「命の大切さ」を学ばせる意図があったと思います。しかし、その根底には、「キャリア教育」のねらいも、しっかり流れていたのではないでしょうか。

 第3次教育総合計画の2つの理念、「未来創造と市民協働」について、先程説明し上げましたが、そのうちの「未来創造」について、もう少し詳しく言えば、「自分の未来を自分で創っていく子供を育てる」ということになります。それは、「キャリア教育」が目指している子供の姿でもあります。さらに言えば、子供が「よりよく自分らしさを発揮していく姿」とつながっています。

 子供たちが、「自分らしく生きるすべ」を、習得する手立てとして、そして、本市の目指す子供の姿に迫るための手立てとして、「キャリア教育」の推進を重点に据えた教育活動を推進していただきたいと考えています。

3 キャリア教育推進に向けた教育委員会の取組

 教育委員会では、「キャリア教育」を推進することが目指す子供の姿の実現につながり「未来創造への人づくり」「市民協働による人づくり」の実現につながると考え、平成28年度から「はままつ人づくり未来プラン検討委員会」の中に「キャリア教育推進部会」を立ち上げ、「キャリア教育」の推進について協議してまいりました。

 その「キャリア教育推進部会」での協議や、「はままつ人づくり未来プラン検討委員会」での各学校における教育総合計画の取組に対する平成28年度評価・検証に関する協議の中で、次のような意見が出されました。

 ・「キャリア教育」を手立てとして第3次計画を推進していくことが、目指す子供の姿の実現につながる。

 ・既に学校で行われている教育活動と「キャリア教育」の推進がどのように結びついているかを示す必要がある。

 ・これらの協議結果について周知が必要である。

 そこで、各小中学校や保護者・地域に「キャリア教育」の推進について周知を図ることを目的に、平成29年度「はままつ人づくり未来プラン」リーフレットにおいて「キャリア教育」について示させていただきました。教育委員会といたしましても、学校はもとより、保護者や地域の皆さんの意識の向上に努めてまいります。

4 キャリア教育を推進する上で押さえておきたいこと

 さて、各学校でキャリア教育を推進していく上で、押さえておきたいことをお話しいたします。去る6月29日に教育センターで、筑波大学藤田教授をお招きし、「キャリア教育リーダー養成研修」を開催しました。各学校からお一人参加してくださったことと思います。

 その中で、中央教育審議会答申をもとに、「一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育」が、「キャリア教育の今日的な定義」であるということが紹介されました。この定義の中に出てくる「キャリア発達」とは、「社会の中で自分の役割を果たしながら、自分らしい生き方を実現していく過程」のことです。つまり、「キャリア教育」が、子供の「キャリア発達」を促し、子供が「自分らしく生きるすべ」を習得していくことにつながるということです。

 また、「キャリア教育を通して育てる4つの基礎的・汎用的能力」についても、説明がありました。

 1つは、「人間関係形成・社会形成能力」です。これは、他者の個性を理解する力、他者に働きかける力、コミュニケーション・スキル、チームワーク、リーダーシップなどのことです。

 2つめとしては、「自己理解・自己管理能力」です。これは、自己の役割の理解、前向きに考える力、自己の動機付け、忍耐力、ストレスマネジメント、主体的行動などのことです。

 3つめとしては、「課題対応能力」です。これは、情報の理解・選択・処理等、本質の理解、原因の追究、課題発見、計画立案、実行力、評価・改善などのことです。

 4つめとしては、「キャリアプランニング能力」です。これは、学ぶこと・働くことの意義や役割の理解、多様性の理解、将来設計、選択、行動と改善などのことです。

 これら4つの能力は、キャリア教育を通して育てたい要素を、できる限り分かりやすく提示するという考え方でまとめたものです。これらは、新学習指導要領前文で述べられている、「社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の作り手となる」ために必要な資質・能力であり、本市の教育で言えば、「自分らしさ」を磨いていくための資質・能力と言えます。

 つまり、これらの「キャリア教育を通して育てる4つの基礎的・汎用的能力」とは、各学校にとって、「新しい概念として、新たに示された」のではなく、新学習指導要領が目指すものや、本市の教育総合計画が目指しているものと同じ方向性の中で捉えていくものであるということです。

5 本市においてキャリア教育を推進させるために各学校で意識していただきたいこと

 さて、先ほど触れた「夢は牛のお医者さん」というドキュメンタリー映画の話に再び戻ります。「自分らしい生き方を確立していく」という視点から、この映画を捉えてみます。

 映画の主人公の少女、高橋知美さんと言いますが、知美さんは、仔牛の世話に熱中する中で、「仔牛のことが好きになり」、おそらくは、「さらに仔牛のことをもっと知りたくなり」、仔牛や動物に関する知識を得ようと主体的に学び始めたことでしょう。その中で、「自分は仔牛と深くかかわることができる仕事をしたい」と思うようになりました。

 これらが、本市の教育総合計画でいうところの「自分らしさ」を追求していく過程と言えます。知美さんは「自分らしさ」を追い求め、自身が求める「なりたい自分の姿」を実現させるために、必要な力を獲得していこうと、主体的に学んでいきます。結果として、自分の夢であった「牛のお医者さん」となることができました。

 知美さんは、「仔牛とふれあう」ことを通して、学ぶ意欲と目的を強化していき、夢と希望を持ち、「なりたい自分の姿」を描きながら、「自分らしさを発揮する」ことができました。知美さんの場合は、「仔牛を育てる」という体験が、「自分らしさを発揮させる」手立てとなりました。

 ここで、お伝えしたいのは、私たちにとって、子供たちに「自分らしさを発揮させる」手立ては、体験だけではないという認識をもつことが重要です。学校教育の一丁目一番地は授業です。「体験を通して、社会とのつながりや学ぶ意義をよりよく理解していく」こと、言い換えれば「自分らしさをよりよく発揮していく」のと同様に、授業改善を進める中で、子供自身が「自分らしさをより高めていこうとする」姿勢を身に付けさせることが大切です。

 今、各学校では新学習指導要領が示す学びの姿を実現していこうと、様々な授業改善の取組が始まっています。「主体的・対話的で深い学び」の実現が求められています。このことについては、後半詳しくお話をしますが、「キャリア教育の推進」という視点から、これからの授業の姿について述べたいと思います。

 「なぜ学ぶのか」という目的を持つことや、「学びの見通しを持つ」などして、自身の学びに対する主体性を持つこと、周囲との対話的な学びにより学びの質を高めたり幅を広げたりしていく授業を実現させていくこと、さらに、各教科における「見方・考え方」を働かせて「深い学び」を実現させること、こうした授業を行っていくことが、子供一人一人の「自分らしさの発揮」につながっていきます。

 より質の高い「はままつの教育」を進めていくにあたり、『本年度は「キャリア教育の推進」を重点にしていきましょう』と各学校に呼び掛けています。各校においてはキャリア教育推進のために、まずは、次の2点を意識して、自校の教育活動を見直してみてください。

 一つには、授業改善や豊かな体験活動を通して、「主体的・対話的で深い学び」を実現させ、子供一人一人の「自分らしさをよりよく発揮させる」こと。

 二つには、教師は子供一人一人の「自分らしさ」を見とり、「様々な職業や社会生活に広く生かすことができるあらわれ」を意味づけ、価値づけしていくことです。

6 研修主任の立場でキャリア教育を推進していくために

 次に、「キャリア教育」推進に向け、研修主任の皆さんにお取り組みいただきたい具体例を一つ紹介したいと思います。

 各学校には、研修テーマや研究組織、授業の視点、目指す子供の姿、授業モデルなどがすでにあると思います。それらを、「キャリア教育を通して育てる4つの基礎的・汎用的能力」を参考にして、見直していただきたいということです。この4つの能力は、先ほどもお話ししましたように、本市の教育で言えば、「自分らしさ」を磨いていくための資質・能力と言えます。

 つまり、新たに何か取り組みを始めるのではなく、今取り組んでいる研修内容を、子供たちが「自分らしさをよりよく伸ばす」ことができる力を育てるという視点から見直すということです。ぜひ、校長先生の指導・助言を受けながら、研修主任の立場でできることを模索してみてください。

 各校において、キャリア教育を重点においた教育活動を推進するためには、キャリア教育の視点からの、各校の教育活動の意味づけ、価値づけを行うことが大切であると考えます。

 本市が目指す子供の姿に迫るために、そして、「未来を創っていける子供」を育成するために、先生方お一人お一人の共通理解の下、「キャリア教育」の推進を意識しながら教育活動を展開していくことが大切です。よろしくお願いします。

III 浜松市の目指す子供の姿に迫る授業改善

〜「主体的・対話的で深い学び」に関連させて〜

 2つめのテーマに移ります。「浜松市の目指す子供の姿に迫る授業改善」についてお話を進めます。

1 新学習指導要領の告示(はじめに)

 まずは、新学習指導要領の告示についてです。

(1)改正の経緯

 平成29年3月31日、新学校学習指導要領が示されました。

 今回の改訂は、平成28年の中央教育審議会答申を踏まえて行われたものです。答申においては、「よりよい学校教育を通じてよりよい社会を創る」という目標を学校と社会が共有し、連携・協働しながら、新しい時代に求められる資質・能力を子供たちに育む「社会に開かれた教育課程」の実現を目指すとされています。

 そして、学習指導要領が、学校、家庭、地域の関係者が幅広く共有し活用できる「学びの地図」としての役割を果たすことができるよう、次の6点にわたってその枠組みを改善するとともに、各学校において教育課程を軸に学校教育の改善・充実の好循環を生み出す「カリキュラム・マネジメント」の実現を目指すことなどが求められました。

 その枠組みとは

 1. 「何ができるようになるか」

 2. 「何を学ぶか」

 3. 「どのように学ぶか」

 4. 「子供一人一人の発達をどのように支援するか」

 5. 「何が身に付いたか」

 6. 「実施するために何が必要か」  の6点です。

 後半は、この中でも「どのように学ぶか」を中心に新学習指導要領を確認し、「はままつの教育」と関連付けながら、目指す子供の姿に迫る授業改善について、話を進めたいと思います。

2 主体的・対話的で深い学びとは

(1)改正の基本方針

 今回の改訂の基本方針の中の一つに、『「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善』の推進があります。

 子供たちが、学習内容を人生や社会の在り方と結び付けて深く理解し、これからの時代に求められる資質・能力を身に付け、生涯にわたって能動的に学び続けることができるようにするためには、これまでの学校教育の蓄積を生かし、学習の質を一層高める授業改善の取組を活性化していくことが必要です。

 そこで、「「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善」を推進することが求められました。

 その際、次の点に留意して取り組むことが重要であるとしています。

 1. これまで取り組まれ蓄積されてきた優れた実践を否定し、全く異なる指導方法を導入しなければならないと捉える必要はない。

 2. 授業の方法や技術の改善のみを意図するものではない。

 3. 各教科等で行われている言語活動、観察・実験、問題解決的な学習などの学習活動の質を向上させることが主眼である。

 4. 単元や題材など内容や時間のまとまりの中で、どのように組み立てるかを考え、実現を図っていくものである。

 5. 深い学びの「鍵」として、その教科等の「見方・考え方」を働かせることが重要になる。「見方・考え方」は、その教科等ならではの物事を捉える視点や考え方である。

 6. 基礎的・基本的な知識及び技能の確実な習得を図ること。

 以上の6点です。

 では、ここからは「「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善」についてもう少し具体的に述べたいと思います。まず、これを通して育成する資質・能力についてお話しします。

(2)主体的・対話的で深い学びを通して育てる資質・能力

 中央教育審議会答申では、予測困難な社会の変化に対し、主体的に関わり、感性を豊かに働かせながら、どのような未来を創っていくのか、どのように社会や人生をよりよいものにしていくのかという目的を、自ら考え、自らの可能性を発揮し、よりよい社会と幸福な人生の創り手となる力を身に付けられるようにすることが重要であると示しています。

 こうした力は、これまでも言われてきた「生きる力」であり、この「生きる力」を、より具体化し、教育課程全体を通して育成を目指す資質・能力を、

〇「何を理解しているか、何ができるか」

〇「理解していること・できることをどう使うか」

〇「どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか」

の「三つの柱」に整理するとともに、各教科等の目標や内容についても、この三つの柱に基づく再整理を図るよう提言がなされました。

 それを受けて、新学習指導要領では、子供の発達の段階や特性等を踏まえつつ、次に掲げることが偏りなく実現できるようにするとしています。

 それは、

1. 知識及び技能が習得されるようにすること。

2. 思考力、判断力、表現力等を育成すること。

3. 学びに向かう力、人間性等を涵養すること。 です。

 「何を学ぶか」という教育の内容を重視しつつ、子供がその内容を既得の知識及び技能と関連付けながら深く理解し、他の学習や生活の場面でも活用できる、生きて働く知識となること、その内容を学ぶことで児童が「何ができるようになるか」を併せて重視する必要があり、子供に対してどのような資質・能力の育成を目指すのかを指導のねらいとして設定していくことがますます重要となります。

 このため、全ての教科等の目標及び内容も、「知識及び技能」、「思考力、判断力、表現力等」、「学びに向かう力、人間性等」の資質・能力の三つの柱で再整理しています。

 これらの三つの柱は、学習の過程を通して相互に関係し合いながら育成されるものです。

(3)主体的・対話的で深い学びの実現を目指した授業改善

 このような求められる資質・能力を育成するために、新学習指導要領では、単元や題材など内容や時間のまとまりを見通しながら、子供の「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善を行うことを明示しているわけです。

 この授業改善の具体的な内容は、中央審議会答申において、授業改善の三つの視点として次のように説明されています。

1. 学ぶことに興味や関心を持ち、自己のキャリア形成の方向性と関連付けながら、見通しをもって粘り強く取り組み、自己の学習活動を振り返って次につなげる「主体的な学び」が実現できているかという視点。

2. 子供同士の協働、教職員や地域の人との対話、先哲の考え方を手掛かりに考えること等を通じ、自己の考えを広げ深める「対話的な学び」が実現できているかという視点。

3. 習得・活用・探究という学びの過程の中で、各教科等の特質に応じた「見方・考え方」を働かせながら、知識を相互に関連付けてより深く理解したり、情報を精査して考えを形成したり、問題を見いだして解決策を考えたり、思いや考えを基に創造したりすることに向かう「深い学び」が実現できているかという視点。

の三つです。

 これらの視点の具体的な内容を手掛かりに、質の高い学びを実現し、学習内容を深く理解し、資質・能力を身に付け、生涯にわたって能動的に学び続けるようにすることが求められているわけです。

 そして、この視点に立った授業改善を進めるに当たり、各教科等の学びの深まりの鍵となるのが、先ほど紹介した各教科における「見方・考え方」です。

 これは、各教科等において身に付けた知識及び技能を活用したり、思考力、判断力、表現力等や学びに向かう力、人間性等を発揮させたりして、学習の対象となる物事を捉え思考することにより、鍛えられていきます。

 そして、こうした「見方・考え方」を働かせながら、知識を相互に関連付けてより深く理解したり、情報を精査して考えを形成したり、問題を見いだして解決策を考えたり、思いや考えを基に創造したりすることに向かう学習過程を重視した学習の充実を図ることが大切なのです。

 ここまで、「「主体的・対話的で深い学び」を通して育てる資質・能力」・「「主体的・対話的で深い学び」の実現を目指した授業改善」についてお話ししてきました。

 次に、浜松市における授業改善の視点についてお話しします。

3 授業改善の視点を持つ

(1)「はままつの教育」における授業改善のための「4つの視点」

 浜松市においても冒頭申しましたとおり、「第3次浜松市教育総合計画」において、「未来創造への人づくり」をテーマに、目指す子供の3つ姿を設定しています。

 この中の、「これからの社会を生き抜くための資質や能力を育む」ことは、新学習指導要領解説総則編の改訂の経緯でもふれられています。

 そして、浜松市においては、目指す子供の姿の具現のため、「はままつの教育」では授業改善のための4つの視点を示してきました。

 「思考し、創り出す(創造)」、「共に生み出す(協働)」、「自ら決め、実践する(自立)」そして、「自分を見つめる」です。

 「思考し、創り出す」とは、知識や技能を活用し、思考力・判断力・表現力等を高め、新たな価値を見出すことです。これは、知識や技能の獲得だけでなく、それらの意義やよさ、活用の可能性までも捉えることをいいます。

 「共に生み出す」とは、互いの異なる考えを尊重し、それぞれのよさを活かして共に支え合い、新たな考えを生み出すことをいいます。考えの違う子ども同士であっても、共通の目的に向かいながら、アイデアを出し合う、協働する学びを進めていきます。

 「自ら決め、実践する」とは、自分が何をすればよいのかを決め、困難を乗り越え、実践することをいいます。

 「自分を見つめる」とは、客観的に自分の考えや行動をより深く見つめることです。そして、「思考し、創り出す」、「共に生み出す」、「自ら決め、実践する」に表される3つの子供の姿には、その全てにおいて「自分を見つめる」子供の姿が内包されています。

 例えば、子供が真に「思考し、創り出す」ことに実感を持ったとき、そこには、自分をより深く見つめている子供の姿があります。私たちは、子供の内面を捉え、適切に応じながら、目の前の子供を成長へと導いてあげたいものです。

 これらの視点は、目の前の子供を目指す子供の姿に向かって高めたい、成長させたいと願うその過程において、どのような手立てを投げ掛けたらよいのかについてのよりどころとなるものです。

(2)視点を持つことで手立てが変わる

 H28、H29教職員版「はままつの教育」実践事例集では、H27「はままつの教育」を基に各教科領域、生徒指導における具体的な指導の場面を取り上げて、実践のビフォー・アフターの形式で示しています。

 「ビフォー」に表されるものは、教科領域等の枠組を越えて、「よくありがちなことだ」「自分にもあてはまる」という場面を設定しています。

 そして、それを改善するための具体的な手立てである「アフター」は、他の学習活動でも十分に転用できるよう汎用性のあるものにしています。

 大切なことは、どのような子供の成長を求めるか、そのためにどんな手立てを打つか、という点です。

 子供が学んだことに実感、納得している姿、友達と生み出したものやそのかかわりに充実感をもつ姿、困難を乗り越えた達成感に満ちている姿、新たな問いを持ち次への課題に向かおうとする姿、これからに期待感を膨らめた姿などをイメージし、「4つの視点」を意識した授業改善のための具体的な手立てを仕掛けることが大切です。 

(3)単元や題材など内容や時間のまとまりの中で改善する

 ここで、気を付けていただきたいのは、授業改善の「4つの視点」は、必ずしも1単位時間の授業の中で全てが実現されるものではないということです。

 例えば、動機を大切にし、学習の見通しを立てたり、学習したことを振り返ったりして、自身の学びや変容を自覚できる場面をどこに設定するか、試行錯誤させ、それぞれの意見を深く関わらせる場面をどこに設定するか、知識・技能を活用させ、新たな価値を見出す場面をどこに設定するか、など、単元や題材など内容や時間のまとまりを見通して、授業改善を進めることが大切になります。

 つまり、単元や題材など内容や時間のまとまりをどのように構成するかというデザインを考えることが重要なのです。

 また、子供の実際の状況を踏まえながら、資質・能力を育成するために多様な学習活動を組み合わせて授業を組み立てていくことが重要であり、例えば「共に生み出す」ことを表面的に捉え、ただ、ペアで相談させたり、小グループを作って話合いをさせたりするなど、「4つの視点」そのものが、目的にならないことに留意するが必要があります。

 教職員版「はままつの教育」では、このような「4つの視点を意識した授業改善」をお願いしてきたところですが、これは先程説明した新学習指導要領における「主体的・対話的で深い学び」の実現を目指した授業改善」と同じ方向を目指すものであると考えます。

 つまり、本市においては、新学習指導要領が目指す授業改善の取組は、すでに多くの実践が積み重ねられてきているということです。

 今後もこれまでの取組をさらに充実させ、改善していくことで、子供たちに求められる資質・能力の育成を確実に進めていきたいものです。

IV おわりに

1 組織的な研修体制をつくる(カリキュラム・マネジメントの視点を持つ)

 最後に、カリキュラム・マネジメントについて少し触れたいと思います。

 カリキュラム・マネジメントとは、各学校においては、児童や学校及び地域の実態を適切に把握し、教育の目的や目標の実現に必要な教育の内容等を教科等横断的な視点で組み立てていくこと、教育課程の実施状況を評価してその改善を図っていくこと、教育課程の実施に必要な人的又は物的な体制を確保するとともにその改善を図っていくことなどを通して、教育課程に基づき組織的かつ計画的に各学校の教育活動の質の向上を図っていくことです。

 そこで、各学校においては、「校長の方針の下に、校務分掌に基づき教職員が適切に役割を分担しつつ、相互に連携しながら、各学校の特色を生かしたカリキュラム・マネジメントを行う」ことが必要になります。

 みなさんは、研修主任として、各学校の教育目標の具現に向けて、各校の育てたい資質・能力を明らかにし、それらについて授業改善を通して育てていく中心的な役割を担います。

 今後も、各校の教育活動の質の向上のため、研究推進メンバーを中心とした組織的かつ計画的な取組により、これまで通り、もしくは、これまで以上に、教科等横断的な視点を持って校内研修を推進し、実施状況をもとにした更なる改善をお願いしたいと思います。

 各校において、浜松の子供たちが、新しい時代に必要となる資質・能力を身に付け、社会の中で自分の役割を果たしながら、自分らしい生き方を確立していけるよう、質の高い教育活動が積み重ねられますことを願いまして、私の講話とします。

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