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更新日:2017年7月3日

県校長会理事研修会講話(平成29年6月15日)

はじめに

(1) 浜松市の紹介

 今年の1月からNHKの大河ドラマ「おんな城主 直虎」が始まりました。この物語の舞台は、浜松市の北西部、北区の井伊谷周辺です。物語の中に登場する緑豊かな山々や田畑は、今でも浜松市にそのままの姿で存在しています。ドラマに度々登場した山城は、実は浜松市の天竜区の水窪にある「高根城」です。ドラマに出てくる城は平成15年に復元されたものですが、南北朝から戦国時代にかけて実在した城です。最近は観光名所となり、大勢の観光客が集まっているそうです。このように浜松には、歴史の足跡が至るところに残る一方で、世界的な大企業の本社や高層ビルの建つ市街地もあります。また、新幹線や高速道路、新東名高速道路など交通の大動脈も通っています。さらに、遠州灘、天竜川、北遠の山々、そして浜名湖と多様で豊かな自然環境に恵まれています。これが、市の中では、高山市に次ぐ全国2位となる広大な面積を誇る浜松市の多様性です。「日本の縮図」と言われる所以です。

(2) 浜松市の学校

 この浜松市には、平成29年4月現在、浜松市立の小学校が97校、中学校が49校あります。児童数が1,000人を超える小学校、生徒数が700人を超える中学校もあれば、小学校で6校、中学校で3校がへき地学校の指定を受けています。また、へき地学校に準ずる小学校が1校あります。このように、浜松市の学校は多様な教育環境のもと、地域の特色を生かした教育活動を推進しています。

(3) 県校長会について

 さて、皆様は県内各地の小中学校の校長先生方のリーダーとしてご尽力いただいている方々です。日々、様々な教育課題への対応をしていただいているとともに、これからの教育の在り方についても熟考され、静岡県の義務教育界のトップリーダーとして、確かな方向性を指し示していただいております。県校長会の組織としての力、そして各会員の皆様のたゆまぬ「自己研鑽」により、全国に誇れる静岡の教育は支えられています。改めて感謝申し上げます。本日はせっかくの機会ですので、教育行政のトップである教育長として、「校長会と教育行政との連携について」、校長会の皆様にお伝えしたいことをお話ししていきたいと思います。

「空」を見上げて何を感じ取るか

 私の朝の日課の一つに、「空を見上げる」ということがあります。今は梅雨時ですので、今朝も梅雨空を見上げてきました。空一面が雲で覆われている様子を見ると、気分も暗くなりがちですが、あの雲の向こうに生命力あふれる夏の日差しが控えていると考えれば、気持ちも切り替わります。

 さて、毎日の天気と同じように、「これから、我々を取り巻く空(教育環境)はどうなっていくのだろうか」と皆さんも日々考えることが多いと思います。「どうなっていくのか」を判断するためには、毎日「空を見上げる」、つまり、「情報収集に努める」ことが重要になります。今、教育界の「空を見上げる」と何を感じ取れるでしょうか。ここからは、「教育、学校を取り巻く外的環境と学校内部の内的環境」について考えてみたいと思います。

(1) 教育、学校を取り巻く外的環境はどうなっているか

 教育、学校を取り巻く外的環境として、2つの事例をお話しいたします。

1. 地方教育行政の組織及び運営に関する法律(地教行法)の改正

 今から6年前の平成23年に大津市で起こった「いじめ事件」がきっかけとなり、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」の改正が行われました。改正内容につきましては、皆さんよくご存知だと思いますが、「地方公共団体と教育行政の関係」「教育行政と学校の関係」など、せっかくの機会ですので確認していきたいと思います。

 改正の柱として、次の3つがあります。

 一つ目の柱として、「国の地方公共団体への関与の見直し」があげられます。具体的には、緊急時等に文科大臣が教育委員会に対して指示できるようになりました。これ以降、各地でマスコミが大きく取り上げるような「いじめ問題」が発生するたびに文科省から指示が出されたり、直接、現地に入って指揮を取ったりすることが見られるようになりました。

 二つ目の柱として、「教育行政の責任の明確化」があげられます。これは、いじめ問題、体罰、学校の安全管理など、様々な教育課題が顕在化する中、社会的要請により、教育委員会に求められる責任が大きくなってきたことによるのものです。責任の所在を明確にするため、「教育長」の任命について、「首長が議会の同意を得て任命」という仕組みになり、教育行政のトップとしての「教育長」の責任と、「教育長」を任命した「首長」の責任が明確になりました。

 また、これまでは教育委員会の中に「教育長」と「教育委員長」が存在しましたが、新制度では「教育長」に一本化されました。これも責任の明確化の一つです。

 三つ目の柱は、「総合教育会議の設置と大綱の策定」です。各自治体に「総合教育会議」を設置すること、及び「教育大綱」の策定が義務づけられました。これにより、皆さんの市町でも同様であると思いますが、首長の「教育」に対する発言力が大きくなってきています。

 この「地教行法の改正」を、教育に対する国及び地方公共団体の「介入」と取るのか、それとも「教育の価値を高め、その一層の成果を得るための方略」と取るのかで、「地方公共団体と教育行政との関係の在り方」や「教育行政と学校との関係の在り方」に大きな違いを生じることとなります。

 私は、行政の目と、教育の実践家としての2つの視点から、この改正を捉えています。「新教育委員会制度」の下での「教育長」として、「教育の質を高め、その一層の成果を得るための方略」として今回の法改正を受け止め、「地方公共団体と教育行政の関係」、そして、「教育行政と学校の関係」がよりよくなっていくように、それぞれの持ち場で、日々取り組んでいくことが、教育の質の向上につながり、ひいては「未来を担う国民の育成」に資することとなります。

2. 今、義務教育に求められているビジョンは何か

 教育、学校を取り巻く外的環境として、もう一つ挙げたいと思います。

 ただいま「法改正」に関わる話の最後に「未来を担う国民の育成」ということをお話ししましたが、義務教育の小中学校長として、子供の育ちのゴールイメージをどこに設定するのかということについてお話したいと思います。

 浜松市では、浜松市総合計画・基本構想として、30年後、つまり1世代後の理想の姿として「浜松市未来ビジョン」を策定しています。30年後の浜松市の姿を表すキーワードとして「創造都市」、「市民協働」、「ひとづくり」をあげています。この30年後の理想の姿を実現させるために、今、どんな施策を立てていくべきかという視点から行政が行われています。

 さて、小中学校の教育について考えてみましょう。それぞれの学校では、学習指導要領に代表される国から出される告示や通達、各種計画、そして、県、市町の教育委員会が示す教育計画等をもとに、教育課程を編成するなどして日々の教育活動を意図的・計画的に行っています。

 私が伝えたいのは、こうした各学校での教育計画を立案する際に、「子供の育ちのゴールイメージ」をどの段階に設定しているのだろうか、ということです。浜松市の行政計画は「30年後の姿」をゴールイメージとしています。

 各学校のグランドデザインでは、ゴールイメージとして「義務教育修了段階」の子供の姿においていることが多いのではないでしょうか。自分たちが責任をもって指導に当たることができるところまでについて「こんな子供に育てたい」ということを明確に示すことは、効果的・効率的な教育を行う上で大切なことであると思います。

 しかし、私は、それだけではなく、「子供たちが就労し、良き市民(納税者)として自立した姿」をゴールイメージにして、義務教育段階で、育てたい資質・能力や態度を考えていく必要があると思います。つまり、学校教育を行うにあたって、「行政の一環としての小中学校の教育がある」という認識も必要であるということです。

 例えば、今、浜松市だけでなく、どこの市町でも喫緊の課題として、「人口減少社会という流れをどのように踏みとどめるか」というものがあります。この課題に対して、どこの市町でも様々な施策を実施しています。その施策立案の一つの有力な視点として、「人口定着のために教育はどうあるべきか」ということを学校教育の場で意識していくことも大切ではないかと思います。

 また、「産業振興や経済成長」という課題も、各自治体で取り組むべき最重要課題の一つです。学校長として、「産業・経済成長に資するために教育はどうあるべきか」という視点をもった考察も必要であると考えています。

 「行政」と「学校教育」という観点から、教育、学校を取り巻く外的環境について、2つの話題をお話ししました。ぜひ皆様も、それぞれの地域、自治体と学校とのかかわりについてお考えいただければと思います。

(2) 教育、学校を取り巻く内的環境はどうなっているか

 次に、教育、学校を取り巻く内的環境について話を進めます。

1. 新学習指導要領への対応

 まずは、新学習指導要領への対応があげられます。今、どこの学校でも準備に追われていることと思います。本市においても文科省でこれから行われる説明会に指導主事が参加し、その内容を市内の教職員対象に伝達研修を行っていく予定です。

 この新学習指導要領ですが、昨年来、「社会に開かれた教育課程」、「カリキュラム・マネジメント」、「主体的・対話的で深い学び」など、今回の改訂を特徴づける言葉が話題となってきました。私は今回の改訂の趣旨を端的に表しているのが、これまでの学習指導要領には無かった「前文」であるととらえています。

 その「前文」には、教育基本法第1条に定める「人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期す」という教育の目的と、同法第2条に定める教育の目標が述べられています。

 さらに、「自分のよさや可能性を認識すること」、「他者を価値ある存在として尊重すること」、「多様な人々と協働すること」ができる子供を育てることを通して、未来を担う子供たちが将来、「社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の作り手となる」ことを求めています。これが、新学習指導要領が目指す教育の姿を端的に表すものであると考えております。

 新学習指導要領への具体的な対応については、知恵を出し合って考えていくことが必要ですが、まずは目指すべき方向性についてしっかりと捉えておくことが大切です。

2. これからの社会に求められる「学び」とは何か

 新学習指導要領に関連して、これからの社会に求められる「学び」についてですが、新学習指導要領の総則に示されている次の3つの資質・能力で整理されています。

 (1)知識及び技能が習得されるようにすること

 「何を理解しているか」、「何ができるか」

 (2)思考力、判断力、表現力等を育成すること

 「理解していることをどう使うか」

 (3)学びに向かう力、人間性を涵養すること

 「どのように社会、世界と関わり、よりよい人生を送るか」

 これらの資質・能力を育てるために、各教科等の指導だけでなく、教育課程全体で計画的・体系的に育んでいく必要があります。

3. 「いじめ、不登校の増加」への対応、「教職員の働き方改革」の必要性等

 さらには、「いじめ、不登校の増加」への対応や、新聞報道等でも取り上げられている「教職員の働き方改革」の必要性など、これまでにも増して、学校や教育を取り巻く内的環境は、それぞれに大きな課題が山積しています。

 特に「教職員の働き方改革」につきましては、教職員の多忙化を解決する即効性のある決定打を打つことは難しいかもしれませんが、関係各課と学校とで知恵を出し合い、少しでも多忙化解消に資する有効打を積み重ねていきたいと考えています。

「雨」に備えて何を考えるか

 さて、「空を見上げて」情報を収集しました。次は、収集した情報をもとに今後の方向性を定めることになります。「雨が降りそうだな」と察知した時、何をしたらよいでしょう。学校や教育に関する外的環境や内的環境を眺めることで収集した情報をもとに、「今後、こうなるのではないか」という見通しを立てていくことが大切です。つまり、予測をして、方針を固めることになります。

(1) 教育、学校の在り方の変化を了解すること(「社会に開かれた教育課程」)

 今、世の中の大きな流れとして、社会全体で教育を考えること、つまり「社会に開かれた教育課程」という言葉に代表されるような意識は、広く国民の了解事項となりつつあります。

 つまり、今後の見通しとして、「教育のことは教育者に」という意識から、「市民総がかりで子供を育てる」という認識に変わっていきます。この変化を、学校は了とすることができるのか、そのとき教師の専門性はどのように発揮されるのか、さらには、どのような専門性が求められるのか、ということが大きな問題となります。

 これまでも、「開かれた学校」という言葉があったように、学校が主導して、地域の人材を学校に招き入れることはやってきています。しかし、「社会に開かれた教育課程」ということは、学校と社会(市民)が同じ立ち位置に立って協働して子供の教育にあたるということです。これは言い換えれば、教育が「学校の専売特許」ではなくなるということです。これを了としなければならないということです。

 さらに、教育行政の世界でも、「教育長は教職経験者から」という認識から、「教育長は教育行政職員のトップ」という認識へという変化が起きています。これが先ほど申し上げた新教育委員会制度です。これらの変化を了とすることが、まず重要です。

(2) 今後の方向性を定める

 こうした認識の変化を、教育界全体がきちんと認識することができるということが、時代の変化に応じた確かな「方向性を定めること」となります。

 浜松市では、本市全体の教育の在り方の方向性として、「未来創造への人づくり」と「市民協働による人づくり」を理念に掲げた第3次教育総合計画を策定・実施しています。「未来創造への人づくり」では、例えば、「今、学んでいることが社会、未来とつながっていることを意識した学習をしていこう」という方向性を指し示しています。「市民協働による人づくり」では、例えば、「多くの人たちとの協働により地域の子供たちを育てる」という学習のイメージを提案しています。

 さきほど触れた新学習指導要領が目指している教育の姿は、浜松市が策定している第3次教育総合計画に掲げている「未来創造への人づくり」「市民協働による人づくり」の2つの理念を通して描かれる教育の姿と相通じるものです。浜松市では、こうした方向性を定め、これからの社会が求めている学びの姿の具現を目指しています。

(3) より広い視野を持つ

 方向性を定める場合には、「より広い視野を持つ」ことも大切です。

 たとえば、公教育を担う私たちですので、「日本国民としてどうあるべきか」という視点から教育を考えることも大切です。新学習指導要領の中で示されている「主体的・対話的で深い学び」、「小学校における教科 外国語の新設」、「特別の教科 道徳」の創設などを見ていくと、これからの日本国民の姿が浮かんできます。

 先ほど、義務教育期間よりも長いスパンでゴールイメージを持つことをお話ししましたが、それが縦軸(時系列)での視野とすれば、今お話していることは横軸として、例えば、よりグローバルな視点を持つということであると言えます。

(4) 「学校」という単位にとらわれない

 これまで、「社会の変化をとらえること」、「その上で方向性を定めること」、「方向性を定めるためには、より広い視野を持つこと」と話を進めてきました。

 それらに加え、方針を定める礎として「学校という単位にとらわれないこと」を挙げたいと思います。

 これまで学校がグランド・デザインを策定する時には、国及び教育委員会の方針や地域環境等を考慮して検討してきました。しかし、策定に際しての話し合いは、学校内で教職員のみで行い、学校内で意思決定をすることが通常でした。「学校」の経営方針を定めるのですから、当然と言えば、当然のことです。

 この、今までは当然であったことが、今後は、変わっていくことが必然となります。なぜならば、国は、今後、「学校運営協議会」の設置や「地域学校協働活動」の推進を積極的に進めていきたいという意向を持っていることは明白だからです。

 そうなってくると、グランド・デザインについても、学校内部だけでの策定ではなく、地域と連携できる部分は連携しながら策定し、地域住民や保護者に承認、評価される学校経営を行っていくことが求められるようになります。

 振り返ってみますと、小学校、中学校、それぞれが校種ごとの教育活動だけを見つめていた時期があり、その後、小中連携、幼少連携など校種を越えた連携が進みました。そして、「地域に開かれた学校」となり、今は「社会に開かれた教育課程」へと移り変わっています。今後、それが、「市民総がかりでの教育」へと進んでいくのでしょう。

どんな「傘」を用意するか

 「空を見上げ、情報収集に努め」、「雨に備えて、対処する方向性と定め」ました。いよいよ「どんな傘を選ぶか 具体的手立てを講ずるのか」です。

(1) 校長会と教育長の連携

 皆様は教育長の任期を御存じでしょうか。以前ですと、他の教育委員と同じように4年間でしたが、現在の新制度では教育長の任期は3年となっています。これは首長の任期が4年であるため、首長の在任中に少なくとも一度は教育長を代えることができる任命権を持つようにするためだと言われています。

 この3年間の任期の中で、教育長として「どんな傘を選ぶのか」(「教育長として何をなすべきか」)は、どの市町の教育長も抱く思いではないでしょうか。

 私は、「何をなす」にしても、まずは、現状の把握や分析が必要であると考えます。その中で、新たな施策、具体策の種となる「ニーズ」が明らかになります。教育長が施策の是非の判断をする根拠は、そうした正しい「ニーズ」の把握にあります。

 施策の是非の判断に際して、校長会との連携がこれまで以上に大変重要になってきます。教育長が把握している「ニーズ」に誤りはないか、それをもとにした分析に誤りがないか、的を射ているか等について、「校長会」という組織がチェック機能を働かせて、見守っていただけるとありがたいと思います。

 そして、校長会の会長、副会長、理事等の役員である皆様は、校長会として教育長に具申できる立場にいらっしゃいます。これまでの積み重ねた御経験や知見から、また、校長会組織として自校だけでなく、小学校、中学校の校種を超えて市町全体の学校の状態を把握していただいた上で、よりよい教育の具現を目指した進言を期待しています。

(2) 校長会に望むこと

 ここにいらっしゃる皆様の中には、指導主事として教育委員会事務局での勤務経験がある方も多いのではないかと思います。学校での御経験に加え、行政での様々な御経験を強みとして、学校経営に手腕を発揮されていることと思います。

 行政経験のある方には、御承知のことだと思いますが、校長会と教育委員会事務局とが、より効果的な連携を図っていくためには、行政のルールについて十分な理解をしていただくことが必要です。

 たとえば、学校の側から、「新たに人員を増やしたい」、「新たなモノや仕組みを導入したい」などニーズがあった時、教育委員会事務局に対して、「どのタイミングでニーズを伝えればよいのか」、「どんなものを準備してニーズを伝えればよいのか」、などについて考慮することが大切です。

 およそどの自治体も、7~9月ごろが、来年度予算についての部局内の調整が始まる時期となります。このタイミングを逃すと、来年度の当初予算に反映されず、「また、来年考えましょう」となることがあります。

 近年は、どの自治体も財政状況は厳しいと思われます。その中で、新たな予算措置を行うのならば、財政担当の厳しい査定に耐えうるだけの根拠が必要となります。「エビデンス(根拠)を示す」、そのために、「できるだけ数値で示す」「他都市との比較資料を用意する」、また、前年に通らなかった要求でも、改めて「要求を継続的に繰り返す」など、「ニーズ」が「マスト」となるような周到な準備が必要になります。この点で、一緒になって予算を獲得していくためには、校長会や各学校と教育行政とのきめ細かな連携が必要となってきます。

 人事についての話題では、私が昨年度から新たに行っていることを紹介したいと思います。私以前の教育長は、義務教育学校の校長経験者が3代続きました。その先輩たちは「新任校長校訪問」を行ってきました。先輩たちに比べ、私は教職員個々に関する情報量は圧倒的に少ないと思っています。ですから、そこを少しでも解消するため、「新任校長校訪問」に加え、「新任教頭校訪問」を行うようにしました。

 今年もすでに始めていますが、大量交替期である今年も、新任校長校29校、新任教頭校35校、計64校の訪問を5月から10月にかけて行います。全国第2位の広さを誇る浜松市ですので、片道2時間以上かかる学校へも出かけていきます。これを行うことで、新任校長、新任教頭への理解を深めるだけでなく、それぞれに実際に勤務していただいている学校、地域も知ることができます。海辺の学校もあれば、山深い中にある学校もあります。今年訪問する学校の最大児童数は1,367人(内野小学校)、最小児童数は8人(熊小学校)です。実際に出かける中で、先生方の思いをより切実に受け止めることができるのではないかと思っています。

 こうしたことも行っていますが、やはり日々、校長会の皆さんと情報交換する中で、誠実に教育に取り組んでいる先生、リーダーシップを発揮している先生、確固たる教育信念を持って課題解決にあたっている先生など、次代を任せられる先生方について教えていただけるとありがたいと思っています。

 次の話題に移ります。実は昨日14日まで、浜松市では5月議会が開かれていました。今回の議会では、代表質問で3つ、一般質問で8つの質問が、学校教育部、つまり教育委員会事務局に対して出されました。

 どこの市町でも共通だと思いますが、ここ浜松市でも数ある部局の中で、学校教育部ほど議会の質問が数多く寄せられるところはありません。それだけ、教育に対する関心が高く、また教育の重要性を感じられている議員が多いということであろうと思います。

 今回の質問事項及び答弁内容は、校長先生だけでなく、全教職員が閲覧できるように、教職員が持つネットワークシステム上にアップしています。なぜなら、浜松市における教育行政の最新の課題、今後の取組みや基本的な考え方についてやりとりされるのが、市議会だからです。早ければ、議会終了後、すぐに教育施策に反映されることもあります。ここでの質問、答弁を先生方にぜひ知っておいていただきたいと思っています。

 校長会の役員の皆様には、ぜひ、それぞれの市町の議会の様子にも注目していただき、各学校の経営に反映できるものは反映していっていただけたらと思います。

 また、議会への注目をお願いしたい理由として、反対方向の視点から、申し上げます。議会の答弁者は教育長、部長です。教育長の行政方針や具体的施策をチェックできる場としても議会はあります。私にとっては、ある意味、厳しいことですが、児童生徒6万4,000人と教職員約4,000人を有する浜松市の、重い職責のある「教育長」です。市民も含め、校長先生、教職員の方々の目でチェックしていただく事は、義務であると考えております。特に、校長会の役員の皆様方には、教育の専門家という観点からのアドバイスをいただきたいと思っています。

 現在は、様々な教育課題があり、それこそ、「市民総がかりで取り組まねばならない」時代に入っています。今後も、教育長から校長会長及び校長会役員の皆様への理解・協力を求めることが多くなることを理解していただきたいと思います。その時々に、校長会長及び校長会役員の皆様には、「よき理解者」、「よきアドバイザー」であり続けることを願っています。また、「時には教育長の味方」、「時には教育長に物申す具申者・諫言(かんげん)者」であっていただきたいと思っています。

むすび

 本日は皆様の貴重な研修の時間をいただき、校長会と教育行政のよりよい連携について、話題提供をさせていただきました。

 私個人の経験上からくる思いも多分にあったことはご容赦願いたいと思いますが、新教育委員会制度が始まり、3年目となります。どこの市町でも首長と教育長及び教育行政の関係、教育長及び教育行政と学校との関係については、今まではなかったものが生じたり、今まではあったものがなくなったりすることは十分にあり得ます。

 そうした時に大切になるのが、本日の話のテーマである「校長会と教育行政との連携」であります。これをきっかけに県内各地でより充実した連携が育まれることを期待します。

 御清聴、ありがとうございました。

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