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更新日:2019年8月13日

研修主任研修会講話

1 はじめに

 長い梅雨が明け、夏らしい暑さが続いています。夏休みに入って2週間ほど経過していますが、先生方におかれましては、子供たちへの指導や研修、自己研鑽等、多忙な毎日を送っていることと思います。また、みなさんは、学校の要として、校内研修を推進してくださっていることと思います。日頃の取組に感謝申し上げます。
 さて、今日は、時間をいただきましたので、大きく4つについて話をしたいと思います。

2 子供を取り巻く社会状況

 まずは、今の子供たちを取り巻く社会状況がどのように変化しているかを確認していきたいと思います。我が国そして世界を取り巻く環境は大きな変革期にあります。経済発展が進む一方で、高齢化やグローバル化により、社会的課題が複雑化してきています。

 国は、経済発展と社会的課題の解決を両立させるために「Society5.0」を提唱しました。これは、IOTですべての人とものをつなげ、人工知能(AI)を活用して様々な知識や情報を共有したり、ものの新たな可能性や価値を生み出したりしようとするものです。これにより、希望がもて、世代を超えて互いに尊重し合い、一人一人が活躍できる社会の実現を目指していきます。
 アメリカの学者レイ・カーツワイル氏は、「シンギュラリティ」の到来を予言しています。「2045年に、人工知能(AI)が人類の知能を超える」、つまり、AIが地球上でもっとも賢い存在となり、さらに賢い人工知能をAIが生み出すことで、爆発的なスピードで世の中は変化していくだろうという考え方です。
 これにより、仕事の在り方や雇用形態が変化したり、あらゆることが自動化され、ものの価値が下がったりすることで、人類の在り方そのものに変化が起こると予想されており、AIの発展には不安な側面があるという見方もあります。

3 持続可能な社会の担い手となるために

 こうした時代に、子供たち一人一人が持続可能な社会の担い手となるためには、子供たちにどのような力を育成していけばよいのでしょうか。
 国の第3期教育振興基本計画では、2030年度以降の社会を見通し、「自立した人間として、主体的に判断し、多様な人と協働しながら新たな価値を創造する人材を育成する」ことを重点として挙げています。
 新学習指導要領では、「よりよい学校教育を通じて、よりよい社会を創る」という目標を、学校と社会が共有し、連携・協働しながら、新しい時代に求められる資質・能力を子供たちに育む「社会に開かれた教育課程」の実現を目指しています。さらに「生きる力」を「知識及び技能」「思考力・判断力・表現力」「学びに向かう力・人間性」の三つに整理し、「主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善」と「カリキュラムマネジメントの実現」により、三つの資質・能力をバランスよく育むことを目指しています。
 本市は、ものづくりを始めとした民間の力を中心に自立的な発展を遂げ、政令指定都市の仲間入りを果たした全国でも類いまれな都市です。その原動力は、何事にも果敢に挑戦する「やらまいか精神」という本市の伝統的な進取の気性です。この「やらまいか精神」を未来につなぐために、市民が一丸となって、子供たちが社会を生き抜く資質や能力を育むとともに、生涯にわたって夢と希望を持ち、その実現のために大志を抱き、果敢に挑戦し続ける人づくりに取り組んでいます。

4 第3次浜松市教育総合計画について

 こうした国の動向や本市の人づくりの考え方をふまえ、第3次浜松市教育総合計画について、2019年度版のリーフレットを使って説明します。
 「第3次浜松市教育総合計画」は、市民の皆様に親しみやすいよう「はままつ人づくり未来プラン」と呼んでいます。「未来を創り出せる子供をみんなの力で育てる」、これが「はままつの人づくり」の考え方です。この計画は、平成27年度から令和6年度までの10年間を基本構想とし、前期・後期の二つの期間に分けています。令和元年度は5年目、つまり前期計画最終年であり、総まとめの年になります。これまでの取組成果を後期計画につなげていくためにも、第3次教育総合計画についての理解を深めていくことが大切と考えます。
 そこで今日は、「はままつ人づくり未来プラン」の柱になる部分を確認していきます。

(1)教育理念

 教育理念は「未来創造への人づくり」「市民協働による人づくり」の二つです。浜松は人財が一番の誇りです。家庭・地域・学校で学んだことを通して、自ら人間力を高めた人財が、地域固有の文化や資源を生かした創造的な活動を活発に行ったことで、新しい価値や文化、産業が次々と創出され、世界に誇る都市として発展してきました。この先人たちの精神を受け継ぎ、未来を創造できる人財を、市民協働で育成していくことを目指しています。

(2)目指す子供の姿

 目指す子供の姿として、三つの姿を掲げています。一つめは、「自分らしさを大切にする子供」です。子供は自分自身を見つめ、少しずつ自分を成長させていく過程で、次第に心が耕され、より正しい判断力やより高い価値観を持ち、それに基づいて行動するようになります。そして、自分のことだけでなく、他人を思いやり、自他の命を大切にできるようになります。このような人としての行動を特徴づける「自分らしさ」は、ゆっくりと時間をかけて磨いていく必要があります。
 二つめは、「夢と希望を持ち続ける子供」です。子供たちは、遠い将来、あるいは近い将来に夢と希望をもてたとき、それを実現するための課題が、たとえ困難や苦労を伴うものであっても、逃げずに立ち向かったり、他者と協力したりしながら、夢中になって取り組むようになります。
 三つめは、「これからの社会を生き抜く資質・能力を育む子供」です。これからの社会を生き抜く子供には、創造し、協働し、自立することが必要となります。また、健康な心と体、自然や芸術の美しさを感じる力、規範意識や倫理観は人として欠かすことのできない大切な資質・能力です。日々の生活や学習場面で、子供自らが主体的に課題を解決することで必要な資質・能力は育まれていきます。
 自分らしさを大切にすることは、子供たちが夢と希望を持ち、自らの資質・能力を育みながら前向きに生きていくための原動力になります。また、自分らしい生き方とは何かを模索していくようにもなります。

(3)三つの重点

 また今年度、喫緊の課題として特に重点としているものが三つあります。それは、「キャリア教育」「コミュニティ・スクール」「教育の情報化」です。中でも、「はままつ人づくり未来プラン」を推進する上で、核となっているキャリア教育について説明します。
 本計画においては、子供たちが自分らしい生き方を実現するための手立てとして「キャリア教育」を核とした人づくりを推進しています。皆さんもご存知だと思いますが、キャリア教育とは、「一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な力を育てることを通して、社会の中で自分の役割を果たしながら、自分らしい生き方を実現していくための教育」です。
 子供たちは、今学んでいることと自分の将来や社会とのつながりを実感したとき、「主体的に学ぶ」ようになり、社会で活躍する大人の姿に「夢や希望を持つ」ようになります。また、多くの人との関わりの中で、学びを通して身に付けた力を発揮することで、「資質・能力」は育まれ、「自分らしさ」が磨かれていきます。つまりキャリア教育を推進していくことは、本市が目指す子供の姿の実現につながるのです。
 キャリア教育を通して育成していきたい力は「基礎的・汎用的能力」です。国は「人間関係形成・社会形成能力」「自己理解・自己管理能力」「課題対応能力」「キャリアプランニング能力」の四つを示しています。各学校においては、この四つのフィルターを通して、自校の教育活動や子供の実態を見つめ直し、付けたい力を設定していくことになります。グランドデザインにキャリア教育に関する内容を明記してくれている学校も増え、意識の高まりを感じています。
 しかし、その一方で「キャリア教育をどのように進めていけばよいのか」を模索している学校が少なくないことがわかりました。今年度から「キャリア教育実践モデル校」の実践が始まります。教育委員会としても、モデル校の様々な取組の様子を紹介していきます。
 それぞれの学校の周りには、その地域ならではともいえる「学びの素材」が数多く存在しています。園・学校、保護者、地域、社会が一体となってそれらの素材を生かすことが、子供たちの自分らしい生き方の実現につながります。キャリアモデル実践校の取組を参考にしながら、各校の実態に応じた、各校ならではのキャリア教育の実践を考えてほしいと思います。

(4)SDGsの取組

 ここからは、SDGsの取組について説明します。みなさんは、SDGsという名称を聞いたことがあるでしょうか。
 2015年の国連総会で、2030年までに先進国と途上国が一体となって達成を目指す17の持続可能な開発目標(SDGs)が示されました。21世紀の世界が抱える課題が包括的に挙げられており、教育分野では「すべての人への衡平な質の高い教育と生涯学習の機会を提供する」ことが目標として挙げられています。
 本市は、三つの強み「温暖な国土縮図型都市」「進取の気風やらまいか精神」「多様性と共助にあふれた社会」を生かしながら、誰一人置き去りにすることなく、一人一人が持てる能力を発揮できる社会の実現に向け、SDGsを推進しています。特に、林業の成長産業化や再生可能エネルギーの導入促進、多文化共生に関する取組が高く評価され、2018年に内閣府から「SDGs未来都市」に選定されました。
 また本市は、外国籍の人や外国にルーツを持つ人が多く居住しています。他にも豊橋市や飯田市など、同じように外国人が多数居住する都市があり、現在13の都市が集まって「外国人集住都市会議」を行っています。国際化に必要不可欠な外国人住民との共生をめざす先進都市ともいえます。「多文化共生が国際的な人材をつくる」という観点から、外国にルーツを持つ子供たちの不就学をなくし、就学促進を図るとともに、外国にルーツを持つ青少年の義務教育期のキャリア支援に取り組んでいます。
 第3次教育総合計画においては、「施策4-4 外国につながる子供支援充実のための施策」の中で、「就学に必要な日本語指導、教科指導、母国語指導」、「円滑な学校生活を送るための適応支援」、「学校への円滑な転入に向けたコーディネート」、「日本の生活、文化に適応するための生活習慣指導、地域社会との交流」等の取組を推進しています。
 また「持続可能」という観点から考えれば、学校教育そのものを持続可能なものにしていかなければなりません。そのためには、「「学校における働き方改革」と「教員の人材育成」を推進し、子供たちにより質の高い教育を提供していくことが大切であると考えます。

5 研修主任に期待すること

 最後に、学校運営の中核を担い、校内研修を推進していく立場である研修主任に期待することを、「つかむ」「つなぐ」「試す」の視点で話したいと思います。
 まずは「つかむ」です。みなさんにつかんでほしいことは次の三つです。一つめは、「社会情勢や教育に係る国、市の動向についてつかむ」ことです。様々な取組の背景や根拠を知ることは、自校の研修内容の方向性との整合性を図るためにも必要なことです。
 二つめは「子供の実態をつかむ」ことです。授業や研修の成果を振り返るためには、子供の実態(表れ)を正確につかむことが重要です。
 三つめは「教職員の実態をつかむ」ことです。教職員のニーズに合った研修の進め方を工夫してください。これは、働き方改革にもつながることです。
 次に「つなぐ」です。「つなぐ」とは、教職員同士をつなぎ、教え合い、学び合える雰囲気づくりをするということです。これにより、「子供に関する様々な情報が共有できる」、「子供の指導に関するノウハウが継承される」、「積極的な授業公開につながり、授業力が向上する」」等の効果が期待できます。
 最後に「試す」です。教職員も変化の激しい時代に柔軟に対応していくことが大切です。これまで培ってきた経験則を大切にしつつも、それだけにとらわれず新たな視点でチャレンジし続けてほしいと思います。
 小学校においては令和2年度から、中学校においては令和3年度から新学習指導要領が全面実施となります。小学校では、プログラミング学習など、新たな内容にも取り組んでいく必要があります。「学校における働き方改革」が叫ばれる中、学校における研修の在り方についてはかなりの工夫が必要です。みなさんには、新しい視点や切り口で自校の研修を見直し、実践の推進役となって学校を引っ張ってほしいと期待しています。

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